断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

砲塔考(Valentine Mk.Ⅶ vol.3)

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タミヤの新作、バレンタイン戦車 Mk.ⅣをMk.Ⅶに改造してみよう!その3

カナダ製Mk.Ⅶの砲塔は、 Mk.Ⅳのような3ピースボルト接合ではなく、一体で鋳造された形状になってます。工作も継ぎ目やリベットを消していく作業がメインになるので、基本的には簡単。ただ砲身基部の防盾が内装式になっているので、先に防盾の工作をしてからでないと改造作業に入れないので、砲塔はしばし待機中。
(写真の砲塔:緑がAFVクラブ、黄色がタミヤ)
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そんな訳で、改修点のチェックを兼ねてタミヤとAFVクラブのキットを比較観察。
サイズ、各部のバランスは両者ほぼ一緒。パーツ分割とかディテール表現に考え方の違いが見えます。(まだ接着してないので、歪みがあったり嵌合精度が悪いとかではないので誤解のなく)

タミヤのキットは部品数を少なくするべくパーツ分割が工夫されていて、天板前面の換気用スリットなんか砲塔前部のパーツをはめるだけで自然に出来上がるようになってます。こういうところは流石と思います。しかし細部の表現となると、AFVクラブは天板の六角ボルト、リベット、マイナスネジと、実車の要素をできるだけ表現しようと努めているのに対して、タミヤは六角ボルトであるはずのモールドはただの丸。ひょっとするとひょっとすると六角ボルトになってるのかもしれませんが、肉眼で見る限りは判別できません。

防盾の張り出しの長さが両社でずいぶんと違うので、ここは要検証。
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写真出典:Wikimedia commonsより

そんなことも含めて実車の写真をあれこれ観察。側面の湾曲した装甲板に前部の砲耳部分のパーツをかぶせてボルトで止める構造になってます。前部のパーツは天板とツライチで嵌ってるのに対して、側面と後部は側面装甲板に天板を載せるような納まり。おそらくは部品の加工が悪くても誤差がそこで吸収できるようにとの設計なのかもしれません。
天板がはみ出る厚みはボルト高さ程度。その部分、タミヤのキットは、パーツが合わないんじゃなくて実物でも段差があるんだよ、ということが伝わるように、もうちょっと誇張して表現したほうがいいかも。

側面の装甲板と後部のちょっと面白い形をした鋳造部品との継ぎ目には微妙な段差があります。これは車両によって差があって、ほぼツライチな車体もあればはっきりとした段差になってるものもあります。タミヤのキットは段差がはっきりタイプ。AFVクラブは割とそろってるタイプ。
最初は鋳造したときの鋳型の型ずれ?とも思ったのですが、調べてみると側面と後部は別パーツになっていて内側からボルトで組み合わせる構成になっているようです。
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この曖昧な段差ができる理由として、「装甲側面板は実は鋳造部品ではなく圧延鋼板を曲げたものでは」ということに気がついたのは前回の記事で書きましたが、側面装甲板の表面はずいぶんとガサガサで、一見すると鋳造っぽいのも事実。タミヤとAFVクラブのキットにもそれぞれガサガサの肌合いが表現されています。確かに車体前面装甲板などの同じ厚さ(60mm)の圧延装甲板と比べてもまるで表情が違います。

じゃあやっぱり砲塔側面部品も鋳造なのかというと、鋳造にしては不思議な荒れ方で前後の鋳造パーツとも違う独特な質感になってます。
そのあたりがよくわかる写真をいくつか。→1.2.3.

砲塔前部と後部の部品の表面は、不規則なアバタ等いわゆる見慣れた鋳造肌なのに対して、側面の湾曲した装甲板は、どちらかというと規則的なさざ波のような模様。これはやっぱり鋳型に溶けた鉄を流し込んだときに生じた表情ではなく、何か機械的な加工をしている最中についた傷なんじゃないかと。

板金プレスとかには疎いので確かなことは言えないのですが、厚みに対して過大な曲げ加工を行うと、表面にシワを生じて破断するなどの「曲げ割れ」という現象があるそうです。そこまででないにしても、60mmという厚い装甲板をぐいっと曲げる加工を行ったときに鉄の表面に変化が生じた、と考えるのは不自然ではない気がします。

バレンタイン戦車の側面装甲板が圧延鋼板でできているというような直接的な言及はオスプレイ本の本文にはなく、確かな資料での確認は未だできていないのですが、状況証拠的には「鋳造ではない」と思われます。少なくとも鋳造一体型のMk.Ⅶ以外の3ピースボルト接合タイプの砲塔を模型で作る場合は側面をいわゆる鋳造肌にはしないほうが良さそう。


Commented by デビグマ at 2017-05-03 09:18 x
AFVクラブは再現度、組み易さが両立したいいキットでした。ただ、ゴムみたいな履帯は扱いづらいのです。あと、MK1は設計書にミスがあり、ヘッドライトの記述がなかったです。 Mk.Ⅳはどうでしょうか。
Commented by hn-nh3 at 2017-05-03 17:01
>デビグマさん
AFVクラブのキットは組み立てに注意は必要ですが、なかなかいいキットですね。デビグマさんの製作記で予習ができるので助かってます。

MK.Ⅳの組立説明書にはヘッドライトのパーツもちゃんと指示がありました。さすがに直したのでしょうね。思わぬトラップがあるのに未だ私が気づいてないのだけかもしれませんが...笑

同梱のぶにゃぶにゃの履帯、あれは使う気にならないですね。アフターパーツに替えようと思ってます。しかし、履帯のランナーに転輪のポリキャップがついてるのには最初気づいてませんでした。うっかり捨てなくてよかったー 
Commented by TFマンリーコ at 2017-05-04 20:04 x
素晴らしい考察です♪
私、何の疑問もなく砲塔側面も鋳造だと思っていました(笑)。

AFVクラブの履帯はモールドはともなく、瞬着が効かないのが困りものです。スカートが付いているタイプなら、ホチキスで止めてしまう(!)のですが、ぞうでないタイプだとさすがに厳しいかな…(苦笑)。
Commented by hn-nh3 at 2017-05-05 07:16
>TFマンリーコさん
鋳造かどうかなんて模型的には些細な事なんですが 笑
事の発端は、AFVクラブの砲塔です。後部パーツに鋳造表現がなくて側面は変な鋳造パターンだなと、さてどうしたものかと実車の写真とにらめっこしてたら、こんな深みに....

AFVクラブのキットはやはり履帯が最大の弱点ですね。アフターパーツに取り替え必至で(しかも同社の別売履帯はイマイチっぽい噂)買っていいものか迷って、これまでずっとスルーしてました。ホチキス止めとは割り切れなかったし 笑
by hn-nh3 | 2017-05-03 05:37 | valentine戦車 | Comments(4)