断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

MとMun:前編 (3cm MK103 auf sf.38(t) vol.4)

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Grille改造3cmFLAK製作記その4。
戦闘室前面装甲板の変形を直そうと試みたものの、見事失敗して結局プラ板で新規に作り直すハメになった話はSUMICON BBSではお知らせしていましたが、失敗の備忘録として書き留めておきます。
キットのパーツ。装甲板の薄さを見事に表現してるものの成型時の収縮で少し角度が歪んでました。最初は手で曲げて直そうと思ったものの固くて矯正できず、熱を加えたらなんとかなるかしらと、ヤカンにお湯を沸かして蒸気で蒸してみたら、あらら...歪みが直るどころかさらにひどくなる始末。リカバーしようとさらに加熱したら変な形に縮みはじめました。スチロールは熱を加えると伸びるよりも縮みます。気づいた時には後の祭り。

右にあるのが変形してしまったキットのパーツ。左が新規に製作している途中の部品。0.5mmプラ板にドリルで穴を開けてMasterClubのレジン製リベット0.9ミリを挿しています。このリベット。実写では本当は丸頭の六角ボルトなのだけど、実車のディテール写真を拡大してやっとわかる程度だし、そこまでは..ということで丸頭リベットで代用。
この穴あけ作業の時に気がついたのですが、キットのパーツは中央のスリット部分にはリベット(丸頭ボルト)が表現されていない... これはどういうことかと、少し調べてみました。

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左が15cm重歩兵砲を積んだ標準的なGrilleM型。右が弾薬運搬車。砲架を外して弾薬ラックを増設しています。
重歩兵砲搭載のGrilleMでは砲身が突き出す前面装甲板のスリット部分の側面に防護板がついています。それに対して弾薬運搬車(GrilleM-Mun)では、ラックと干渉しないように防護板を付けない仕様。

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現存車両などで確認すると、この防護板はL型に曲げた部材で前面装甲板とボルト/ナットで繋いでいます。防護板とL型材はリベットで接合されています。メンテナンスなど必要な時に外せるようにしてあるのかと思われます。

ここで不可解に思えるのが弾薬運搬車のこの部分。増設弾薬ラックと干渉するので防護板は不要。しかし、15cm重歩兵砲に積み替えて通常のGrilleMとしても運用できるように計画されたことからすると、防護板が設置できるようにボルト穴が用意されているはず。しかし、写真を見ると内部からはナットの存在が確認できるものの外側にはボルトがあるのかないのかよくわからない感じ。

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弾薬運搬車、中央のスリット下の装甲板どうしをつなぐ部分にはボルトナットが外からも確認可能。しかし、スリット部分は内側にはナットがあるものの外側からはボルト頭はどうみても存在しません。沈頭型のボルトを使用したのか、ボルトそのものがないのか。これらの写真からは判別しかねるところ。

ドラゴンのパーツは弾薬運搬車型として、この部分、外からはボルト無し/内側にはナットあり、というこのよくわからない状態が表現されてます。白箱のキットだし、GrilleMのパーツをそのまま流用して知らんぷりすることもできたのに、わざわざ専用パーツを起こしたところは(完璧ではないけど)グッドジョブ。

文献資料としては非常によくまとまってる”NUTS&BOLTS”のシリーズ vol22.15cm SLG33/2(sf)auf GW 38(t)”Grill"(sdkfz138/1)part1:ausf.m には、詳細なアクソメ図面が掲載されていますが、弾薬運搬車型のこの部分。普通の丸頭ボルトでL型部材を止めて、防護板はつけてない(つまり前面装甲板スリットにL部材だけが留められた)仕様で表現されています。
これはL型部材と防護板がリベット接合であったことを考えると、ちょっと考証に難あり。そのソースも示されていないので、これも結論は出ず。

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さてさて、本題のプラハのGrille改造3cmFLAK。
例のスリット部分のボルトがどうなっているかというと、この写真でもぼんやりとボルト頭らしきものが判別できます。
防護板はついていないので弾薬運搬車タイプの車両なのか、あるいは通常の重歩兵砲搭載タイプの砲架と防護板を取り外したものかは判断に迷うところ。

改造が簡単なのは弾薬運搬車タイプですが、例の防護板用ボルトが先の写真の車両とは仕様が違います。試作車ではボルト無しor沈頭ボルトだったものが、生産型で普通の丸頭ボルトに変更になったのか。単純に考えれば、部品を共通化して互換性を持たせるために、量産型の弾薬運搬車は外側にもボルトが見える仕様になっていたと考えるのが自然な流れに思えます。運用上も貴重な重歩兵砲をわざわざ取り外して改造するより、持て余し気味の弾薬運搬車を活用したと考えるのが自然。

しかし、別な写真を見ると、この車両には量産型の弾薬運搬車タイプとも言い切れない特徴があったりして、標準的な重歩兵砲搭載タイプを改造した可能性も依然として否定できないのです。

(後編に続く)

by hn-nh3 | 2017-06-21 12:49 | 38(t)系列 | Comments(0)