MとMun:後編 (3cm MK103 auf sf.38(t) vol.5)

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グリレ改造3cmFLAK その5
プラハ蜂起の混乱の中で鹵獲されたこの車両。オープントップの戦闘室内部を写した写真は残ってないので、戦闘室内がどうなっていたかは、多分に想像するしかありません。無線機などの貴重品はドサクサで失われて、ラックだけになった状態を再現してみます。

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しかし無線機のラック、意外に複雑な形状をしています。写真はヘッツァーの無線機ラックですが、このパターンはどの車両もほぼ共通。
スケルトンのフレームのサイドにコの字型のショックアブソーバー。サイドのフレームにはサスペンダーみたいなY字型の部品。
キットのパーツは無線機本体と一体モールドなので、くりぬいて使うか、あるいは頑張って自作するか....

モデラー沼に住む女神に相談すると、いらない東欧キットを押し付けられるとの噂もあるし... どうしたものかと思いあぐねてフラフラと秋葉原YSに行ってみれば... あるじゃないですか。
パーツばら売りコーナーに「あの夏のⅡ号戦車F型です ー みほとまほ」の無線機ランナー。しかも200円、まさに天佑。ガルパン特需の恩恵ですね。



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Y字型の先端のフックはさすがに抜けてなかったので、ドリルで穴開け。サイドのアブソーバーも型抜きの都合、コの字になってないので、ドリルで小穴を開けてカッターで穴を広げて形を修正しました。無線機は上下2個、それぞれ4個づつついてるので合計8箇所同じことの繰り返し。あー疲れる。

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さて、そろそろ今日の本題。前回ではグリレの通常型(重歩兵砲搭載型)と弾薬運搬車では戦闘室の前面装甲板のスリット周りの仕様の違いを検証して見ましたが、今回は「弾薬運搬車型には無線機を搭載していたか?」と言う問題です。

写真の上左の車両は弾薬運搬車の試作型、もしくは初期ロット。車内の無線機ラックは判別できないものの、側面装甲板外側にアンテナホルダーが確認できます。そして、上右の写真は、唯一現存する弾薬運搬車。肝心の前面装甲板が失われてしまっているものの、それ意外は非常に保存状態がよく、ほぼ完品と言ってもいいぐらい。

しかし、この車両には無線機ラック、アンテナホルダーがありません。上記のリンクの写真をみると、内部の弾薬ラックには全く欠損はなく、ライフルラックすら残っています。しかしなぜか無線機の関連の部品だけが一式、欠落しています。外れる可能性の少ない配線用の電線管も見当たらず、無線機が壊れて取り外したと言うより、そもそも最初からついていなかった可能性が大。
想像するに、試作車では通常型との互換性を考えて無線機を積んだ仕様にしてあったものの、生産途中で「弾薬運ぶだけなのに無線機いる?」って声が出て弾薬運搬車に無線機は積まないことになったんじゃないかと。

もちろん、これは推測の域を出ない話ですが、そう思わせる手がかりがあります。この現存車両。同じように欠落している部品として、予備照準器を収納する箱など射撃関連の備品を入れる箱もないのです。取り付け位置にネジの受座だけついています。つまり、弾薬運搬車に不要な射撃備品、無線機は装備されていなかった、と。
歩兵砲を積んだ通常型とペアで行動している時は、無線で交信する必要もないだろうし、仮に通常型の車両が壊れて、弾薬運搬車に歩兵砲を積み替えて運用する必要が出たら、その時に無線機も射撃備品も一式積み替えれば事足りる話です。

まあ、こんな瑣末な考証、どうでもいい話なのですが。件のプラハ放棄のグリレ改造FLAK(写真下)は弾薬運搬車を改造したものと言われていますが、写真を見ると無線アンテナのホルダーが確認できます。そして前回検証した戦闘室前面装甲のスリット周りのボルトの存在。それらを合わせて考えると、歩兵砲を積んだ通常型を改造したもののようにも見えます。

とはいえ、弾薬運搬車型でもそうした特徴を備えた初期生産型があったかもしれないし、むしろ、その可能性が大という気もしますが、模型での再現は通常型を改造した車両ということにしてみようかと思っています。つまり模型としての表現は、通常型であればついているスリット周りの防護板を、改造時に外した痕跡としてレッドプライマーの露出、ボルトの取付穴だけになった装甲板、などなど。

無線機ラックの工作。上下のフレームも肉抜きがされてなかったのでカッターで抜いて、中央に補強フレームをプラストラクトの0.3mm×0.8mmで再現。三角の補強板もつけてみました。プラの成型色が黄色いのでなんだかレジンパーツみたい。

しかし手間がかかりましたよ。こんなことになるなら、無線機そのまま残ってる状態の設定にすればよかった。
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Commented by かば◎ at 2017-06-27 22:08 x
>>パーツばら売りコーナーに「あの夏のⅡ号戦車F型です ー みほとまほ」の無線機ランナー。

たまにあのラックにはお宝がぶら下がってますね。
といっても、私自身は、「うおおおおおおおお! こ、これは!」級のものにはまだ出会っていませんが。

それにしても、ガルパン版だけに、そんな素敵パーツが加わっている例があるなんて知りませんでした。
Commented by hn-nh3 at 2017-06-28 21:18
バラ売りとは言え、初めてガルパンキット買いました(笑)
内部シーンも多いからインテリアパーツも需要があるのかもしれませんね。

>>「うおおおおおおおお! こ、これは!」級のものにはまだ出会っていませんが。

うーん... かば◎さんがバラ売りコーナーで絶叫するパーツってなにかなーと思わず考えてしまいましたよ。そもそもキットとして存在しているかどうかという次元の物のような気もするし。

BT−7のクリアパーツは何故かよく出るので見つけるたびに買ってます。ライトレンズとか汎用性があるので。
Commented by かば◎ at 2017-06-29 23:09 x
うーん……。
ドラゴンのT-34の初期型サスペンションアームの枝があったら結構ウレシイかな……。
あとは、YSのパーツ棚にタミヤのソミュアの車体上部の枝が出ないか、行くたびに探していたんですが、これは結局タミヤのアフターサービスに注文しました。
Commented by hn-nh3 at 2017-07-01 15:36
>>タミヤのソミュアの車体上部の枝

何に使うのかしら? あ... エンジングリル鏡対称問題の解消のためかな。

T34の丸型サスペンションアームはバラ売りしてほしいかも。いつ頃まで使っていたとか抜け止めベロの登場時期とか、もっと情報があるといいのですが。
Commented by かば◎ at 2017-07-02 19:10 x
はい、あのグリルは左右前後の全4枚、基本同じパーツを使っているようなので、片側だけを2輌分使います。
えーっと。どっちが正しかったんだっけ(←直すと言いつつうろ覚え。なんていい加減な)。

……複製しちゃえばパーツ買う必要はないんですが、1輌分なら複製するよりパーツ請求のほうが安いかな?

T-34のサスアームに関しては、ごくごく大まかには、「ナット砲塔からは角型アーム+抜けベロ付き」なんでしょうが、細かいことは、各工場ごとに違いそうですし、過渡期の車輌を作る際は悩みそうですね。
たとえば初期550mm履帯を履いていた、183工場製の最初期ナット砲塔型はどうだったのか、とか……。

忘れていなければ、今度「ハラショーT-34」の青木君に会った時にでも聞いてみましょう。
by hn-nh3 | 2017-06-24 17:08 | 38(t)系列 | Comments(5)