断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

ケイゾク (Turret-truck vol.3)

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(ターレ2種:京都市中央市場にて 2015年撮影@hn)

市場の乗り物、通称「ターレ」についての考察とキットの制作シリーズ その3。
前回の記事で現在の築地市場で走っているターレの種類を調査。いわゆるターレの名前の語源になった朝霞製作所製造のターレットトラックはガソリンエンジン車は場内で3台、場外のカフェ「ターレットコーヒー」の1台ぐらいを残すのみ。10年くらい前までは撮った写真に登場するのはそのターレットトラックが殆どだったけど。

昔は前照灯が丸型のタイプも走っていたのでは?との指摘があり、自分でも 思い返してみると、確かに90年代に初めて築地市場に行った時は、丸型ライトのものと、角形ライトのターレーットトラックの2タイプが走っていたのを見た記憶がある。その時撮った写真のフィルムが見つからないのが残念ではあるものの、何か手がかりは残ってないかと捜索開始。

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富士重工製モートラック:築地市場青果棟付近(2015年撮影@hn)

見つけました。2015年に撮った写真の中に、丸型のライトの車両が。富士重工(現スバル)製造の「モートラック」というシリーズ。90年代に見た黄色いボディに丸型前照灯のものとは放熱グリルの形状が少し違うのですが、そのバリエーションの一つかと思われます。
ちなみに、富士重工はその昔、戦前は中島飛行機と言う飛行機メーカーで「隼」など戦闘機を作っていたのは有名な話。

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ところ変わって、京都市は下京区の京都市中央市場。場外で見かけたターレはあの朝霞製作所製造の車両でも、ガソリンエンジン車ではなく、バッテリーモーター電動車タイプ。

d0360340_18594416.jpgこのタイプも実は丸型の前照灯。モーターで駆動するので、エンジン車のような排熱のための放熱孔が殆どない密閉型なのが特徴。ロゴマークが朝霞製作所朝霞製作所製造車はライトの上。富士重工のモートラックではライトの下にロゴがつくのも重要な識別ポイント。
この2つの写真の撮影は2015年。

市場調査員でもないのに何故、各地の市場で写真を撮っているのかと言う話は別にして、写真を撮っておくのは大事ですね。
ただし、この朝霞製作所製の電動ターレが築地市場でも走っていたのかは微妙。見た記憶も撮った写真でも見当たらない。

以前に朝霞製作所のターレーットトラック(ガソリンエンジン車)とシェアをニ分していたのは富士重工のモートラック(ガソリンエンジン車)ではなかったかと。
その証拠を見つけようとGoogleで検索するもネット上の写真や記述に手がかりなし。

そう、Google先生も知らないことが領域が存在します。それは近過去。
インターネットが普及し始めるのが1996年以降。2000年前後くらいから個人のHPで写真をアップした記事が手軽に作れるようになって、それ以降は爆発的に映像コンテンツが増殖。そこからはGoogl検索の得意とする領域。そしてもっと昔の写真などをアーカイブ的にアップしているサイトもたくさんあります。
しかし、インターネット前夜の未だ価値の定まらない時代の映像情報はまるで記憶喪失になったかのようにネット上では行方不明。
石器時代ではないけど、その地層は紙情報をたどるしかありません。

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1985年ごろの築地市場:写真出典「築地魚河岸」田沼武能、C.W.ニコル 他 とんぼの本 新潮社

現在のように観光化する前の市場らしい市場だった頃の風景を捉えたいい本です。出版は1985年。その本の26〜27Pの見開き写真の一部を拡大。
写ってました。これが当時の場内を走っていた丸型前照灯のターレです。車種は富士重工のモートラック。これです。
オレンジ色のボディに丸い形のライト。その両サイドに縦に配置された放熱グリル。バックガードは、当時の朝霞製作所ターレが初期型の角形フレームであったのに対して、モートラは上部のコーナーがアールになってるのが特徴。

他にはっきりと写ってる写真は少ないもののの、この本の中では富士重工モートラと朝霞製作所ターレと思われる車両が半々くらいの割合で確認できます。この丸目のモートラは市場の他に、駅の荷物運搬などでも使われていたようで、そんなものの現存車両の写真はネットでも見つかります。築地のモートラ。これももう少し追跡してみたい。

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継続事項その2:ターレとエレトラックのキット製作。
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朝霞製作所製「ターレットトラック」のショートタイプ。シャーシの外形寸法は築地市場での実測リサーチ結果とも符号したものの、後輪の位置が違う。いわゆるホイールベースが実車の方が長くて、それに合わせようとすると後輪の車軸を少し後ろにずらず必要がありそう。巻尺での計測、写真との比較からの判断。やっぱりホイールベースが違うと印象も少し変わってきます。車軸位置修正はそれほど大変な改造ではないので実行する予定。

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ニチユの「エレトラック」はキット化されているのはやっちゃ場(青果市場)仕様のロングタイプ。キットの荷台が長さ1950なのに対して築地の水産部門で使われているのは長さ1800の2t積載ロングタイプか1tのショートタイプ(荷台長さ1500)
そしてショートタイプの方が仲卸売り場の辺りではポピュラーな存在。

キットには2セット分入っていたので、荷台を切り詰めて水産部門で見かけるショートタイプとロングタイプに改造してみたい。
ただし、ショートタイプは荷台を切り詰めるだけでは済まず、荷台下のフレームも大きく改造する必要あり。
荷台の長さが違うだけなのにフレームがなぜ変わってくるのかというと、理由は荷台下のバッテリーボックスの配置。
電動車なので大量のバッテリーを搭載する必要があって、ロングタイプでは後輪車軸の前にまとめてバッテリーを収納できるボックスがあるのに対して、ショートタイプはホイールベースが短くなる関係でバッテリー収納スペースが車軸の前後二つに分割配置されているのが理由。そのためにショートタイプでは車軸の後ろのバッテリースペース補強用の三角のプレートがフレームに溶接されているのが外見的な大きな違い。

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ちょっと悩ましいのが「ターレットトラック」のエンジン収納ボディのモールド。

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エンジンを囲む円筒上のボデイは薄い鉄板で作られているのですが、排気、放熱用の穴は鉄板を打ち抜いてあります。

キットでも放熱用の角形メッシュを表現しているものの、やはりプラ成形の限界か、メッシュが太くて実車の中が透けて見える感じとはだいぶ印象が異なる。

ボディの鉄板をくり抜いて、そこに別部材の網が張ってある構造であれば、市販のメッシュパーツに交換してやればそれで話は済むのだけど、ボディの鉄板そのものに穴が打たれているのを金属メッシュをはめ込むことで再現するのは容易なことではない。

AFVのメジャーなアイテムであれば、ボディ全体をエッチングで再現した製品もサードパーティからリリースされそうなものだが、こんな車両では期待薄。

いっそのこと、オーダーしてエッチングパーツを作ってもらうかとか思ったりもするけど、やったことないし幾らぐらいかかるのかもわからないので、どうしたものかと思案中。

Commented by hiranuma at 2017-12-14 22:31 x
hn-nh3 さん

エンジン収納ボディは難しい工作ですがトライしてみたらどうでしょうか。
A)デザインナイフでコーナを拡張
B)極細四角ヤスリで削り拡張

テストとしてプラ板に9個か16個程度の穴を開け(均等に)それをナイフとヤスリで均一にうまく拡張できるかやってみるといいです。
失敗しますが、トライを重ねると何かしら掴めてきます。
それが正解になるかもしれません。
10回同じことをすれば2回くらいはうまく行きます。
Commented by セータ☆ at 2017-12-14 23:22 x
やはり丸目は可愛いですね。SF映画に登場するドロイドのようです。

ボディは、塗装をする事と経年変化の観点から、穴を拡張するよりもやはりエッチングが望ましいと思います。

自作エッチングも慣れれば簡単らしいです(邦人さんの話では…ですが)。エッチング作業そのものよりも道具をセッティングしたり諸々の方が面倒だとか。
hnさんは作図をこなされているので、版下の作成に関しては造作ないでしょう。イラレか、単純な形状ならばPhotoshopでもいけるんじゃないですかね。

業者発注も、個人ベースで受け付けている所も最近は多いですよ。ワンフェス等で、例えばフィギュア用の眼鏡とか、アホ毛(^^;)とか、エッチングが付属することも多いので、それなりに需要はあるのでしょう。
例えば、GUMKAのKP-41に付属のエッチングは下トコ製ですね。
www.atsd.jp/

1〜2台用分でエッチング1枚 2,000円位ならそれなりに売れそうな気もしますが…。
Commented by かば◎ at 2017-12-15 00:54 x
メッシュ部の周囲をエッチング1枚分くらい薄く掘り下げて、エッチングを貼ってから継ぎ目を丁寧に消すっていうのはどうですかね。
……と思ったんですが、そもそも前提として、このグリルと同ピッチの四角メッシュがあるかどうかが問題ですね。

ああ、とうとうhnさんまでエッチング自作なんていう修羅の道に……。
Commented by hn-nh3 at 2017-12-15 18:42
この悩ましい角形パンチングメッシュのディテール。キットでは実は裏側の方が大きな穴になってるのです。おそらく金型の原設計ではもう一回り大きな穴になっていたけど、金型加工の段階で裏から表に向かって抜きテーパーをつけた関係で、肝心な表側に抜けた穴が実物とは似つかない小さな穴になってしまった、と言うところでしょうか。パーツを裏返しの配置にして金型加工をすればもっと良い結果になっていたような気がします。現場とのコミュニケーション不足ですね。
Commented by hn-nh3 at 2017-12-15 19:14
>hiranumaさん
>>失敗しますが、トライを重ねると何かしら掴めてきます

なるほど、それが極意ですね。そうやって手の動かし方を体に覚えさせて..
加工のイメージができれば作業はできそうですが、このケースの場合は穴を広げた後の面強度の確保が難しそうです。
よく機銃口の開口とかでピンバイスで調子に乗って穴を深く浚ったりエッジを透けるように薄く削り込んでるうちに...(涙)
ということもしばしば。

>セータ☆さん
丸目のターレ。いいですよね。ターレットの部分の基本寸法がわかればターレのキットの部品を流用してスクラッチしてみたいところです。その場合、ターレットの部分はそれこそエッチング自作でないと、放熱グリルとか再現できなそう。

CAD作図の環境はあるので、それをイラレデーターに書き出して版下作成はそれほど難しいものではないという気もします。教えていただいたところなど個人のワンオフ制作に対応してくれるエッチング屋さんにコンタクト取ってみようと思いました。

版下が自分で作れれば、エッチング自体の値段は常識的な範囲に納まると想像しますが、問題はそこまでやる価値のあるキットかという話。エッチングパーツを投入すると、その解像度に合わせてその他のパーツもディテールアップが避けられず結果として完成が遠ざかるような気がして悩ましい。

>かば◎さん
メッシュを同面で納まるように加工して重ねしろはシアノンパテで埋めてシームレスにして... というのも考えたのですが、平面ならいざ知らず、曲面でそれができるか想像がつきません。

せっかくエンジンのパーツが用意されてるのだからメッシュからシルエットが透けて見えるような雰囲気を出したいところではあります..
by hn-nh3 | 2017-12-14 20:38 | ターレットトラック | Comments(5)