断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

264沼(前編):T-60 (Plant no.264) vol.2

d0360340_06423850.jpg
MiniartのT-60を作ろう:第264工場編。連載2回目でいきなりピンチ。今回はストレートに作ろうと思っていたのにどうも怪しい雲行き。
d0360340_06512739.jpg
第264工場で生産された車両は、鋼製転輪や砲塔の八角形ハッチ、フェンダーの角形工具箱など他工場の一般的な仕様から外れたユニークな特徴があり、Miniartのキットはその仕様を余すところなく再現しています。しかし一つ問題があって、その特徴の全てを備えたキットのボックスアートのような車両の写真が見つからないのです。

d0360340_07403296.jpg
第264工場で生産された車両と思われるものをあれこれ集めてみました。大きく分類すると、鋼製転輪+砲塔丸型ハッチとスポーク転輪+砲塔八角形ハッチの2つのグループに分かれます。それぞれに砲塔は増加装甲ありとなしのタイプが見られるので、転輪と砲塔ハッチの組み合わせは単純に生産時期の前後と言う話ではなさそう。キットの鋼製転輪+砲塔8角形ハッチのような264工場仕様が「全部入り」の車両は(写真が見つかってないけど)存在したのか、あるいは存在しなかったかは不明。

砲塔八角形ハッチのグループにはディッシュ型転輪のものがあったり、誘導輪にゴムなしの460mmスポーク型を使ってるタイプとディッシュ型を使っているものもあったりして、これまたややこしい。

第264工場では他に先んじて車体側面装甲板のジョイントを溶接するなど生産の合理化も行われています。その他、車体前面のミッション固定リベットと後面の燃料タンク固定?リベットがどのタイミングで廃止されるか、などなど。これらはセータ☆さんが"gizmolog>T-60"にて指摘していることなので、詳しくはそちらを参照。

車体の生産の合理化や装甲増強など他工場とも共通して行われていた変遷とハッチや転輪など第264工場仕様との関係を検証するため、ディテールリストを作りました。当時の記録写真から特徴を抽出していますが複数アングルから撮影された車両は少なく、車両全体の特徴をつかむために博物館の現存車両(生産工場は限定せず)もリストに含めました。

以下3枚。1枚目は現存車両(生産工場不問)、2〜3枚目は第264工場製とされる車両の現存写真から抽出。(いずれも画像クリックで拡大)
d0360340_08181411.jpg
T-60 現存車両(生産工場不問)リスト

d0360340_08194163.jpg
T-60 第264工場製 -1

d0360340_08535570.jpg
T-60 第264工場製 -2

リストで使用した写真:現存車両は”USSR Light tank Register”より。第264工場製の写真の多くはネットで見つかるものです。多くはこのサイト"T-60:modeller11@photofile.ru" から。
リストの車両のうち、エントリーno.16とno.17はセータ☆さんの個人コレクションから。ありがとうございます。

リスト化してわかったことと言えば「一筋縄ではいかない」ということしかなく、現時点での結論はありません。悪しからず。それでもいくつかのディテールについては個別的な考察をしてみたいところ。
記事が長くなってきたので、今回はここまで。(後編に続く)


Commented by セータ☆ at 2018-01-17 21:49 x
拝読しました。確かにこうして一覧にしてみると「鋼製転輪&八角ハッチ」の組み合わせ車両が1台も無いのが不思議ですねー。

第264工場でのT-60の生産は1941年12月〜1942年7月の8ヶ月間ですが、特に後半はGAZに納入していた工場からパーツが回されるなど、わやくちゃな状態だったようです(装甲が増厚された後期の車両でディッシュ転輪を装着しているのはこの「GAZ下請け部品」が使用されてるんじゃないかなと思います)。

鋼製転輪については1942年4月以降の採用なので、7月までの実質4ヶ月間に使用されたことになりますね。八角形ハッチはもしかしたらもっと早い段階の装備だったのかなぁ?

なお、23番も私の所有写真なので下にUPしてみました。
gizmolog.cocolog-nifty.com/photos/zl/scan_2.jpg

「車体後面装甲・増加装甲付き」「操縦手ハッチ・角形」「砲塔・増加装甲付き」「排気管・後方90度吹出」です。従って恐らくは車体前面装甲も増加装甲付きでしょうね。
Commented by hn-nh3 at 2018-01-18 06:18
第264工場の最終組立てラインは複数あったのではと考えると問題はシンプルになります。造船所やら周辺の関連工作所のアライアンスグループを「第264工場」総称していたのではないかと。
(上向き溶接ができない)半自動のサブマージアーク溶接のための車体の回転台など大型設備が必要な部分は旧造船所で行い、(船の艤装は進水後水上で行われていたため)造船所では用意のなかった最終組立場は近郊の複数の関連工作所を充てた...などなど。こういった仕組みだとすると、それぞれのチームで調達した部品(砲塔や転輪など)の組み合わせ方で複数のパターンの車両が出来上がる。というような。
もちろん、想像の域を出ない話ですが。

23番の綺麗な写真、いいですね。車体側面が溶接であることも推測可能です。
ただ、この子の扱いには困りますね。誘導輪にゴムのついたスポーク転輪使ってるとか「校則違反」だし。
Commented by かば◎ at 2018-01-18 10:58 x
私としては、上記実車写真のサイトの#39で、T-60の後方に写っている車輌も気になります。
……何ですかこれ。
戦前試作の軽トラクター(Leichttraktor)?
Commented by かば◎ at 2018-01-18 11:10 x
なんで東部戦線にLeichttraktorが……なんて思ったんですが、改めてよく見ると、#39で前側に写っている車輌もT-60ではなく、Leichttraktorの足回りの違うタイプなのでは……。

Leichttraktor、クルップとラインメタルの差だけでなく、両社の中でも時期の差なのか、別途作り直しているのか、やたらにバリエーションがあって、これまた面倒ですね。

写真後ろのタイプはこれか……。たぶんラインメタル。German Tanksに出ているのとは形状がちょっと違います。
www.aviarmor.net/tww2/photo/germany/leichttraktor/leicht_rhein5.jpg

写真前のタイプはこれ? こちらもたぶんラインメタル。
www.aviarmor.net/tww2/photo/germany/leichttraktor/leicht_rheinmetall_m1933_6.jpg

(脱線話で済みません)
Commented by hn-nh3 at 2018-01-18 12:31
#39の車両はLeichttraktorでしたね。そのサイト、手前のをT-60と誤認して「東部戦線に投入された!?」的なアップロードになってしまってますね (笑)
参照用にその写真をここに置いておきます。
https://imgur.com/a/OGmBB

かば◎さんの引用したAVI ARMOURは面白いですね。
http://www.aviarmor.net/index.htm
アエロサンとかもあったりして素敵なアーカイブ。

ライヒとトラクトーア(Leichttraktor)など戦前のトラクター系は造形的にも面白いからキット化されるといいのにと思いますが、やっぱり実戦投入されてないのがアイテムとしては弱いのでしょうか。
T-27豆戦車ぐらいなら、どこかで出さないかしら。
Commented by かば◎ at 2018-01-18 12:39 x
T-27は、35でもキットが出ていましたよ。

確かセータ☆さんがお持ちのはずで、ほぼ全面エッチング(!)というオソロスバラしいキットでした。
考えてみれば、軽装甲でオープントップなら、レジンよりもエッチングのほうが適しているのかも……。いやまあ、それにしても……。
セータ☆さんがあれを完成させて見せてくれる日が楽しみです。

元になったカーデンロイド豆戦車が出たらちょっと欲しいです。
Commented by かば◎ at 2018-01-18 12:55 x
PARTのT-27、まだ売ってるっぽいです。
おひとついかがですか。

www.jadarhobby.pl/part-a01135-soviet-tankette-t27-135-p-20365.html
Commented by hn-nh3 at 2018-01-18 13:09
PARTのT-27.....見ました。
ヤバ過ぎ、これはもう金属模型じゃないですか....
パーツの写真見てフリーズ。
Commented by セータ☆ at 2018-01-18 21:15 x
PARTのT-27、持ってます(^^;)。
いつかT-35を作ったら、その横に置く用に作ろうと思ってます(遠大な計画)。
ただ、PARTの真鍮って総じて柔らかいんですよね。どうせなら(アベールの一部製品みたいに)厚手の洋白板とかでカッチリ組みたいところですが。

でも近いうちにどこかからインジェクションで出そうな…。
Commented by hn-nh3 at 2018-01-19 17:15
T-27...
HobbyBossあたりが出しそうな気もしますが、なんとなくがっかりの出来になりそうな気も.. そういえばBT-2のリリースはどうなったのかしら?

ズベズダのT-35は転輪のリムをフリーハンドドリルレース(右手にリューター、左手にサーフェスナイフ)で彫り込んでたりしたら体力消耗してそのまま放置中です。
https://imgur.com/a/QdjE1
by hn-nh3 | 2018-01-17 09:03 | T-60軽戦車 | Comments(10)