断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

T34 & PANTHER : Season 2

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このブログを始めて1年。とりあえず続いてますが、世はSNSに移りブログはもはや過去のメディアかもしれません。いつも書きすぎてしまいますが、文章はできる限り短く、スティーブ・ジョブズのメールの返事のような完結さが理想です。

そもそも模型が語るに足るジャンルなのかは問わないにしても、たまにはティーガーとかパンターの記事も書いたほうがいいのかしら、人気ブログを目指すなら......
いちおうコレクションには、ティーガー1の中期型(DRAGON 6700)とヤークトパンターG2(DRAGON 6609)も持ってたりします。仮組みの後、まだ時期じゃないと箱に戻しましたが。

ということで今回はゴールデンウィーク特別企画。
買ってしまいましたよ!TAKOMのパンター戦車。ただし転輪のランナーだけ.....

d0360340_13454495.jpg秋葉原YSのパーツバラ売りコーナーでTAKOMのパンターがランナーバラ売りしているのを見つけて、転輪パーツだけすかさず買ってしまいました。このランナー、ずっと欲しかったんです。

なぜかというと、通常の千鳥配列の転輪パーツの他にパンターの予備転輪が入ってるんですね。ハブキャップが取り外されてボルト穴がモールドされた予備転輪の部品が2枚1組のランナーに各2個、合計4個も用意されています。

パンター戦車はⅣ号戦車などのように予備転輪が標準装備になっていないこともあり、多くのキットにはパンターの予備転輪が入ってることはなく、不要部品が山盛りのドラゴンのキットにも転輪に余りはなく、予備転輪が欲しかったら通常の転輪を型取りして改造するかサードパーティのレジンキットを探すかという選択肢しかなかったので、これは嬉しい収穫。

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美しいですね。最新の金型技術が惜しみなく注ぎ込まれたモールド。実物の雰囲気を捉えたリムの部分のディテール、ゴムタイヤのメーカー刻印は「CONTINENTAU」ではなくちゃんと「CONTINENTAL」になってます。予備転輪なので中央部のハブキャップはなく周囲の8個のボルトもボルト穴として表現されてます。さすがに穴は貫通してなかったので0.4mmのドリルで穴を開けてみました。裏面にも繊細なモールド。戦車本体を持ってなくても、これだけでもきっちり塗装して完成させたくなるクオリティです。
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で、転輪だけ買ってどうするの?となる訳ですが、まあ察しはついてると思います。
このパンターの予備転輪を使ってT-34の転輪を作ろうという話。以前に書いた記事:T-34 & PANTHER の続編です。

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これだけ引っ張って、ようやくイントロ。なんだか最近のテレビドラマみたいです...
見てますよ、ブラックペアン。

時は1945年5月9日。ドイツ降伏後のチェコに進駐する第一ウクライナ方面軍第三親衛軍所属のT-34戦車。5月5日に首都プラハで起こった市民の蜂起。抵抗する残存ドイツ兵、寝返って蜂起部隊を支援するROA(自由ロシア軍)。5月8日、ドイツ降伏。9日に赤軍はプラハを占領。一部のドイツ軍部隊の抵抗は11日まで続く。ROA部隊は赤軍の報復を恐れて南進、米軍側に投降...

ベルリンから転戦してきたT-34戦車の砲塔にはベルリン戦で描いた識別用の白帯が確認できます。もっとも、この写真の面白いところはそこではなくて、この戦車の転輪。第2、第4転輪にパンターの転輪を使っていることです。同時に撮影されたSU-85でもパンターのホイールを装着しているのが確認されてます。

(5/2 訂正:※写真のT-34は-85ではなく六角砲塔の-76であるとセータ☆さんより指摘があったので訂正しました。
 その他、車体はSTZ製であったり面白い仕様の車両のようです。詳しくはコメント欄参照)
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前回のあらすじというか、図版の再掲を含めたダイジェストになりますが、このパンターホイールを装着したT-34は撃破したパンターから転輪を引っこ抜いてT-34のサスペンションアームに差し込んでみた即興的なものではなく、おそらくは占領した地区の工場か何かで大量に入手したパンターの予備パーツの利用方法として考案され、走行試験もした「代用転輪」だということです。写真から類推するに、車軸に差し込む転輪のハブはT-34のもの。2枚のディッシュ型転輪をボルトで固定する皿状の部品にパンターのホイールを加工して取り付けたものだと推測しています。

試しにT-34とパンターの転輪の図面のスケールをあわせて重ねてみたら、取り付けボルトの構成などがほぼ一致して簡単な加工で取り付けられるように見えます。写真を観察するとパンターのホイールは8ボルト、T-34のホイールは6ボルトで穴の数は一致せず、そのままでは固定不可能なため穴を開け直しているのが確認できます。
パンター用のホイールの塗装色はドイツ軍から鹵獲したままのダークイエロー。ハブキャップとボルトは当然のことながら4BO:ロシアングリーンだと思われます。

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TAKOMのキットの予備転輪の部品をT-34の転輪ハブに取り付けられるように加工してみます。6穴ボルトの位置を作図してパーツに転記、ボルト穴を0.4mmのドリルで開けてみました。T-34の転輪ハブは、ホイールと別体で部品化されてるキットはないのでプラの汎用材から自作しました。

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といってもプラ棒とプラ板の簡単な細工。WAVEのグレーの5.5mmパイプを3mmの長さに切断。0.5mmのプラ板からサークルカッターで直径9mmのフランジを切り出して穴あけ加工。

d0360340_15421196.jpgプラパイプのカットはテキトーです。同じサイズの部品を切り出すときは、本当はジグとか用意してレザーソーとアルミの切断ガイドなんか使って正確に切り出すのが定石ですが、カッターで見当つけて切っただけです。

便利な道具は、一度プラモ作りから離れた時に全部捨ててしまったんです。レザーソーもアルミの切断ガイドも半田ごても。戦車マガジンの戦場写真集シリーズもモーターブーフの資料本も、タミヤの8輪装甲車もイタレリのオペルマウルティアも。フィールドキッチンも絶版になった時に3セットぐらい買ってストックしてあったけど全て捨ててしまったな。もう一度始めるとはその時思わなかったし。

というわけで、出戻り後の制作環境は以外とローテク。
唯一、引き出しに残ってたのはオリンポスのハンドピースぐらい。高校生の頃、彼女に買ってもらった..とかではないけど大枚はたいて買って大事にしてたものだから感傷があったのでしょうね。まだありますよ、サフとか吹くのに使ってます。
迷彩塗装など繊細さが必要なのものに使ってるのは出戻り後に買ったアネスト岩田の0.2mm(HP-BP)。

話を戻します。ラフに切り出したプラパイプは両面テープで固定してペーパースティックで高さを揃えました。穴の大きさはパイプの穴そのまま。ドラゴンとミニアートのキットではサスペンションアームの車軸の径が違うので使用するキットが決まったときに調整するつもり。

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ボルトを植えてみました。MasterClubのレジンボルト、サイズは0.9mm。ボルトヘッドだけではなく差し込み用の裏足がついているのが便利ですね。下穴をあけて差し込むことで取り付け精度が確保できます。ボルト差込み用の穴は0.6mmに拡張、裏から瞬間接着剤で固定してます。

ハブのフランジを挟んで抱かせる裏側のパンターホイールは、スペアホイールを使うのはもったいないので、通常のホイールの軸を取り、穴をリーマーで拡張して使用。さすがにこちらはボルト穴の加工は省略

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ハブキャップはMiniArtの転輪セットから流用。手持ちのT34/76の転輪混ぜ履き用にと以前に買っておいた「T-34 WHEELS SET 1942-43series」(no.35239)。側面に放熱穴あり、接地面の溝なしタイプです。軸穴はMiniArtのもののほうが正確なのか、太めのドラゴンのキットに使うには穴を拡張するなど一手間かかるのが惜しいですね。早くT-34も出してよ MiniArt。

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パンターホイールと混ぜ履きにするなら、本当はT-34/85でよく使われている側面の穴と接地面の溝のないタイプ、MiniArtの「T-34 WHEELS SET 1943-44series」(no.35239)と併用するのが正解なのでしょうが、今回はハブキャップだけなので購入は見送り。そもそもT-34/85のキット持ってないし。

T-34/85はトップヘビーなシルエットがあまり好みではないということもあったし、MIniArtからリリースされた時にでも買おうと思ってたけど、いっこうに発表されないですね。そうこうするうちにズベズダから新金型で発売されるみたいですが、出来はどうなのかしらね。

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T34 & パンターホイール完成です。TAKOMのキットには4個分のスペアホイールが入っているから、通常のホイールを改造したものと組み合わせれば、4個の転輪が作れる計算。塗装の際にはホイール部分をダークイエロー、ハブキャップは4BOグリーンで塗り分けてみたいですね。

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T-34の純正転輪と組み合わせて並べてみるとこんな感じ。第2、第4転輪がパンターホイール改造転輪。比較用にパンターのノーマルの転輪も上に並べてみました。さっそくT-34/85に装着!と、行きたいところだけど..わが戦線に戦車本体は未受領。

Commented by セータ☆ at 2018-05-01 23:40 x
上の T-34の写真は、キューポラ付き六角砲塔のいわゆる「43年型」ですね。拡大すると -76の防盾が見えます。
この車両、CANFORA刊の『AFV Photo Album(1)』P.99 に後方からの写真がありますが、車体は後面装甲板上下の接合部が丸まった、所謂「41年型」の車体です。
排気管カバーが STZ製のものなので、恐らく車体も STZ製でしょう。車体後部に煙幕缶 BDSh点火用の配管があるというのもチャームポイント。
Commented by かば◎ at 2018-05-02 00:22 x
「パンター転輪を付けたT-34」はそれなりに有名な存在ではありますが、ここまできっちり考証して工作している例は見たことがない気がします。
走ってるなあ……>hn-nhさん

>セータ☆さん

>>キューポラ付き六角砲塔のいわゆる「43年型」
>>恐らく車体も STZ製
>>車体後部に煙幕缶 BDSh点火用の配管

そりゃまたなんともヌエ的な車輛ですね。
使われている転輪も-76ではあまり見ない後期のものだし、本当に寄せ集めで1輌でっちあげたとか……。
Commented by hn-nh3 at 2018-05-02 07:48
セータ☆さん、かば◎さん、ありがとうございます。
言われてみると、写真のチェコに侵攻するT-34はよく見たら六角砲塔でしたね。既出資料のキャプションを鵜呑みにしないで先ずは自分の目で観察しろ、ということですね、やっぱり。

この写真では確認できませんが、STZ車体の特徴があったり、後期型転輪などの修理を重ねた痕跡、取れてしまったり曲がってしまったフェンダー、などなど。モデラーの心をくすぐる車両です。戦闘で真っ先に破損してしまいそうなライトが残っているのは、やはり転輪交換など整備を受けた際に補充されたものなのでしょうか。そうした車両の履歴を考えることは、模型で再現する際のヒントになりそうです。

「リサイクルパンターホイール」はPazerartからレジンキットが出てますね。
[RE35-168] http://www.msmodelswebshop.jp/product/12263
ただ、この製品はパンターホイールの8穴ボルトはそのままにT-34のハブキャップをつけただけの製品のようです。

もちろんT-34のハブを改造して8穴ボルトそのまま取り付けられるようにした可能性も否定はできませんが、鋳造のハブ部品の肉厚の鋳鉄材に穿孔する作業は大変で、穴の偏差が走行中のクラックの原因にもなることも予想されることから、やっぱりT-34の6穴ハブはそのままにパンターホイールのプレス材に穴を開けるほうがよっぽど簡単で機械的信頼性も高かったと想像します。

模型的に考えれば、パンターのホイールにT-34のハブキャップを植えてボルトは直さなくても十分な気はしますね。泥とかまぶしてしまえば細部はよくわからなくなるし。
ただ、そうした最終的な仕上がりのことよりも、パンターの予備パーツを手に入れて、T-34戦車に使えるようにボルト穴を開け直して転輪ハブに裏表で抱かせて....というような実際の改修作業に似たプロセスを模型として再現してみたかった、というのが今回の作業の意味合いですね。


CANFORAの「AFV Photo Album (1)」
これ欲しいんですよね。気づいた時にはすでに在庫切れ。Amazonとかでプレミアついててとても手がでない。
Commented at 2018-10-30 18:16 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hn-nh3 at 2018-10-31 06:30
セータ☆さん、おおきに!
早速、CANFORAのサイトで『AFV Photo Album(1)』買いました。ちゃんとワールドワイド対応になってて親切。海を超えてそのうち届くのを待ちます。この本はずっと入手できなくなっていただけに嬉しい情報。いつもありがとうございます。

ミニアームから「T-34用プレス式転輪セット 国営第112クラスノヤ・ソルボォ工場仕様」がリリースされるようですが、
ついつい、これはパンター転輪つけられるかな?と観察してしまいますね。(笑)

製品に(ズベズダ/ドラゴン/ミニアート用)と買いてありますが、 おや? ドラゴンとミニアートではトーションバーの転輪装着部の軸径が違うけど、うまくはまる仕掛けがあるんかなぁ.... と思って見れば、転輪の差し込み穴が空いてなくて、自分でドリルで開けろ、ということみたいですね。
by hn-nh3 | 2018-05-01 19:00 | 資料 | Comments(5)