KVポケット (KV-1 vol.4)
2018年 05月 09日
右の写真の車両は強化型鋳造砲塔に42年型車体でエンジンアクセスハッチはフラットなタイプ。フェンダーには増設燃料タンクの固定金具がついてるのが確認できます。1941~42年型車体で見かけるエンジンデッキの点検ハッチをフラットなタイプに改造してみたのは前回までの話。 ...しかしこのフラットハッチ。生産簡易型というものではなく、通常のV-2Kディーゼルエンジンの供給不足を補うためにM-17Tガソリンエンジンを搭載した車両を特徴づけるハッチではないか、そんな解釈が近年の有力な説であることをセータ☆さんから教えてもらった。
考えてみると、標準ハッチのドーム型の膨らみにはアフィルターが収まっていて、フラットハッチを使うためにはエアフィルターが他所に移動する必要がある訳です。しかし42年型車体のすべてがフラットハッチでもなく後継のKV-1Sではドーム型のハッチに戻っていることを考えれば、フラットハッチはエアフィルターの位置が違うエンジンが一時的に採用されたことによる限定仕様、と考えるのが自然かもしれない。40~41年の一時期、M-17Tガソリンエンジンを搭載した車両が生産されたという記録もこのフラットハッチの登場する時期とかぶってくる...
結局のところ、フラットハッチの内側がガソリンエンジンかディーゼルエンジンかは模型的にはどっちでもいいのです。中は空っぽ、プラスチックのハリボテですから。モーターライズでもないし。
ポケットの中にはエンジンがひとつ。ポンとたたけばエンジンは二つ。
しかし、見えることのないエンジンの問題から避けて通れない理由がひとつあって、それはフェンダー上の装備品の話。
模型製作上の問題は、エンジンのハッチがフラットな車両にする場合、M-17Tガソリンエンジン車の可能性も考えて、増設燃料タンクを積んだ仕様を再現するのが妥当ではあるけど、右の写真の車両のようにタンクを積んだ形跡が見られない車両もあることをどう考えるのか ..未装備の訳は何か? あるいは取れてしまった理由は?..とか、悩みはつきない。
試しにタンクを乗せてみました。キットには入ってない増設燃料タンクはドラゴンのT-34から流用が出来そう。ただしフェンダーへの取付ディテールを調べる必要あり。
増設タンク付き車両では工具箱は40年型から使われている大型のタイプを装備しているパターンが殆どで、これはKV-2のキットから流用できるものの、トラペのKV初期型のキットはフェンダー幅が間違っているらしく工具箱のパーツも奥行きが長くなってしまっているので、流用するには奥行きを切り詰める必要がある…. さてどうしよう。
フェンダー上の装備の問題は、最終的な塗装やマーキングをどうするかという話とも関わってくるので、問題先送りで未完成とならないようにするためには、どこかで腹を括って決める必要がありそう。
目の細かいメッシュは細い銅線を編み込んで.. なんてことはもちろんやりません。
※5/11誤記訂正:M-17ガソリンエンジンのM-17がF-17となっていたので訂正しました。
エアフィルターが後方に移った時点でエンジンハッチの膨らみは不用になるわけですが、実際にはその後も膨らみハッチは使用されています。
hn-nhさんが記事中に貼った42年型の断面図で装着しているフィルターはマニュアルで言う「40年型」とは別物で、こういうタイプが一時的に(?)復活したのかどうかなど、ちょっと不明です。
KVのエンジンハッチの膨らみとエアフィルターの関係はワカラナイ部分が多いので、模型を作る分には適当に流しておいた方が良いかもですよ。
フェンダー上の装備との関連がわかればと思ったのですが...
41年型エアフィルターの図版ありがとうございます。出典は分厚いKV本かしら? 結局、あの膨らみには何が隠されてるのでしょうね。 知らなくてよいことかもしれませんが(笑)
文中にわたしの工作についてコメントいただき恐縮です。わたしのは自分がやりたい様に見たものを見たままに作れるかどうかで、昔の油粘土で鉄人28号を作っていたのと同じなのです。その所為か型式の違いを超えて作ることがありヘンテコになったりしますから要注意です。
hn-nhさんやセータさん、かば◎さんたちの戦車のディテールに関する考証、調査力は素晴らしく資料価値の高いもので敬服してしまいます。
わたしもKV- I を作ってみたいと思いますが個人的にはKV-I のドームハッチの形が好きです。
1941~1942 (KV-1 vol.3)の下段の方の雪の中を進む後ろ姿の
KV-I 、後ろから見た丸いお尻が膨らんだ感じがいいと思います。
また、筒型増加燃料タンクの前には箱型増加燃料タンクがありますが、これはハッチがドーム型か、フラット型か関わりなく搭載されているようです。
ところで、グリルメッシュは、アベールのやつはちゃんとキットのリベット列の幅に収まりますよ。
小さなパーツを同じ形でいくつも作る、というのは加工誤差などスクラッチでのウィークポイントになるところですが、ケッテンクラートの精密工作を見て勇気付けられました。
KV戦車のエンジンパネルはドーム型ハッチのほうが抑揚があって模型映えしますよね。KV-2はそれで作る予定(将来計画)なので、KV-1はフラットなハッチにしてみました。
時間かけて見栄えのしないハッチに改造して何やってんだかという感じではあるのですが(笑)
雪中を進むKV-1の後ろ姿の写真は、これ見てこのタイプのKV-1を作りたいと私も思った1枚です。
フェンダー上のタンクとエンジンアクセスハッチはいずれもどちらに紐付いているということではなさそうですね。時期がだぶるので何か関係があると思いたくなるのは考証の罠でしょうか。 件の角形ペリスコープも使用時期など事例を追いかけているものの、これもまた...
トランぺッターのKV-2は12年前にアベールの砲身をフィットさせる段階で終わっているのを思い出しました。また作りたいですけど、皆さんと被るとヌルいのがばれちゃうな…。
因みに最近、アベールのトラぺKV-2用のPEが売れ残りで安かったので購入したばかりです。独軍用なので要らないパーツばかりですが…。
ボイジャーのPEはタミヤのセモベンテ用が酷く、まともに使えなかったので信用していません。パッケージは良い感じなんですけどね。
アベールのPEって使ったことないんですよ。なんだか高級品のイメージがあって。半田付けも敷居が高いですね。
昔は半田ゴテと真鍮で遊んでたりしたこともあって嫌いではないのですが...
しかしボイジャーのPEにはやられましたね。パーツの設計にも工夫がないというか。パッケージはいい感じなのですが...
グリフォンのPEはSdkfz.138 Grille Hと Grille M改造3cmFLAKの制作でそれぞれ使ったことありますが、よく調べたなという考証の確かさと、パーツ設計にもモデラー心をくすぐるアイディアがありました。
燃料が入ったタンクを剥き出しで乗せたままにしておくのは流石に自殺行為でしょうし。タンクデサントも「勘弁してくれよ」…と思いますよね。
戦後のソ連戦車では増設タンクから車内タンクに燃料を供給出来るように配管が繋がっており、また増設タンクは車内から投棄出来るようになってますね。この投棄というのも、空のタンクを投棄というよりも、燃料の入ったタンクをリスク回避の為に投棄するという感じじゃないのかなー。
あとこれは細かいツッコミですが、ガソリンエンジンは「M-17T」ですね。
アベールのPEパーツについてコメントを書いたんですが、どうしても「禁止されているキーワードが……」に引っかかって書けません。何がダメなんだろう……。
(ちなみにPEを普通にカタカナで書くとダメらしい、というのは判りましたが、それだけではないようです)
というわけで、元の書き込みを端折って書くと、
アベールのPEにはKV用が各種ありますが、「KV-1用ベーシックセット」は要らない部品が結構多く、それよりもKV用グリルセットが必要最小限に近くオススメですよ、という内容でした。
エンジンの誤記訂正しました。M-17のMはミクーリン(Микулин)のMですね。
gizmologの[ミクーリンM-17ガソリンエンジンの記事(gizmolog.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/m-17-bac3.html)は読んでいたのですが...
「丸暗記はだめだ、意味を考えろ!」と何度も言われた高校生の頃を思い出しましたね。ミクーリンのM、覚えました。これで中間テストはOK
増設燃料タンクはT-34のものなど簡単に着脱できるディテールになってますね。それでも緊急時に身を危険に晒すことになるので車内から操作できるように進化していくのですね。
kunihitoさんの新作IS-3でもその辺りが素晴らしい解像度で再現されてましたね。
PEをカタカナで書くとコメントの禁止ワードに...(笑)
エキサイトのコメント制限はそういうことなんですね。PEパーツの加工ツールの名前も間違いなくアウトでしょうね...
戦車模型を語るに伏字は必要ないとは思うのですが、文字数制限(1000文字?)なんてのもあるみたいです。
アベールのKV用グリルだけのセットもあったのですね。しかも手頃な値段。 トランペッターのKVはキット本体の値段が2000円と良心的なので、相対的にアフターパーツが高く感じられます。これが本体価格が高額なキットだと感覚が麻痺して周辺パーツもついでに買ってしまえ的な気分になるから人の心理は不思議です。
ちなみにこの車輛、鋳造砲塔ですが緩衝ゴム内蔵転輪、戦闘室前面増加装甲は背の低いタイプです。
(kv1ehkranami.narod.ruより)
筒型燃料タンクはエンジン点検ハッチのタイプに関わらず装備されていた、というのが確認できる写真ですね。このサイトは車両の生産時期別に写真が整理されていて、もっと早くに気付いていればという感じです。ありがとうございます。
タンコグラ本で鋳造砲塔でも緩衝ゴム内蔵転輪の車両があることは気がついてましたが、41年10月頃に一時的に見られるレアケースなのかしらと知らないフリしておこうかしらと思ってたら、このサイトの10~12月生産車とされる車両を見ていくと、緩衝ゴム内蔵転輪ばっかり....うーん、悩まし。
ChTZ工場/41年10~12月/ZIS-5搭載のページの車両をつらつらと眺めていたら、件の砲塔角形ペリスコープを左右両方に搭載している車両がありました。No.26の車両(http://www.kv1ehkranami.narod.ru/big-z41/big_kv1-z41-026-002.jpg)
法則性が見えない... 調べれば調べるほどわからなくなるロシア戦車の罠。
42年生産車のインデックスがないのが惜しいですね。
それは私も思いました!
もちろん、このサイトで書かれていない、この後の生産型では全鋼製転輪メインになるんでしょうが、
「鋳造砲塔乗ってても緩衝ゴム内蔵転輪、こんなにアタリマエにあるんだなあ……」
というのは結構目からウロコでした。
何はともあれ、このサイト、「同一車輛の写真をしつこく集め、撮影された日時・場所も特定している」というのがスゴイですね。
以後の生産分についても頑張って欲しいです。
溶接砲塔と鋳造砲塔が並行して生産されていたように、転輪も時期がダブってる時期があるのかもですね。