断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

荷車メモ

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At the market in Baryssau, Russia 1942:Franz Krieger

1942年、旧ソ連領内(現ベラルーシ)ミンスク近郊の都市、ボリソフ(Барысаў)の市場での一枚。撮影はフランツ・クリガー(1914-93)。オーストリアの写真家で戦時中はPKに所属。> LENS | World War II Mystery Solved in a Few Hours
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AT THE BERESINA NEAR BARYSSAU, RUSSIA 1942:Franz Krieger

写真はいずれも PIXPAST より。カラーフィルムのプライベートコレクションで、WEBで公開されている大戦期のカラー写真はフィルムからの色再現が見事で当時の実際の色調を知ることができる貴重な資料。
AFVに限定した写真コレクションではないので、それを期待すると少しがっかりしますが、それでも独ソ線初期のソ連戦車(BT,T-35)やドイツ軍(3号戦車、8輪装甲車、ソフトスキン)やフランス線で遺棄された仏軍戦車など、原版自体の発色や退色で再現しきれてない色もあるけど、このコレクションに登場する戦車や車両の色調は模型製作の参考になります。白眉はアフリカでロンメルが使用していた”MAX”のカラー写真でしょうか。個人的には当時の街や村の風景、人々の姿などAFV写真集では得られない情報がたくさんあって好きですね。
写真にはいずれも著作権があるので、上記2点は有料データー購入。



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製作中のKV-1戦車は、必要なメッシュ材料の調達や細部仕様の確定作業で、ちょこっと休憩タイム。(そのまま中断、ってことにはならないので大丈夫..) 

今日のお題は当時の写真に登場する農業用カート。

秋葉原のパーツバラ売りコーナーでちょっと前に購入。
このコーナーは戦車のキットのパーツランナーをバラ売りしていて、欲しい部品の調達に便利だったりしますが、フィギュアセットもランナーを細切れにしてフィギュア単体でバラ売りしてたりします。セットはいらないけどあの人は気になるなーなんていうときに、出会えると嬉しいですね。

もちろん全てのキットが並ぶ訳ではないので(どっちかというと在庫処分?)パーツとの出会いは一期一会。使うあてもないのに、つい買ってしまったりします。
                        
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小型のカートのパーツはMasterBox 3567「第二次大戦期の西欧市民」のセットに入っているもの。キットの箱絵には姿は描かれてません。農夫の傍に置く小道具にでもとセットされたのでしょうが、しかし2人の大人と少年少女が並ぶシーンにはちょっとそぐわないので表紙からは省かれたのか。いずれにせよ、このキット(セット未購入)に小型のカートが入ってるなんて知りませんでした。

d0360340_13394751.jpg余談ではあるけど、このキットにはシリアスな話題に触れてしまう部分があって、ボックスアートの右側に登場するヒゲを生やしたおじさんは実はユダヤ人だというような話。
これについては、かつて ”赤軍博物館別院 別当日誌”や模型慕情さんが記事で扱っていたのでそちらも参照。

ボックスアートの裏側には小型のカートと4人の組立図。帽子姿のヒゲのおじさんはキッパ(ユダヤ帽)とのコンパーチブル。少年も帽子を選べます ..軍帽をかぶって台車で何を運ぶんでしょうね。箱裏絵の構図からなんだかいろいろと想像してしまう。

どうしたものか、荷車の風景写真でピックアップした冒頭の2枚。意図したものではなかったのだけど、ボリソフ、ミンスクという街は、避けがたくそのことに関わる場所だったようです。
それ以上はここで語ることはしませんが。

話題を変えましょう。
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組み立ては一瞬です。荷台のフレームや車輪のスポークなどパーティングラインの処理は少し面倒だったけど、簡単に組みあがります。
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カートの裏側。前輪は引棒にあわせて方向転換できるように構造。引棒も高さを変えられるようなディテール。接着してしまいましたが、真鍮線を軸打ちすれば可動にもできそうです。動かして遊ぶことはないと思うけど。
なんとなくひっくり返ったカブトムシみたい。本来は何を運ぶためのカートなんでしょうね。

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このタイプのカートはポピュラーなのか、MiniArtの最近作:「ミルク缶と小型カート」(no.35580) のセットにも入ってますね。荷台のコーナーに柱のないタイプでMasterBoxのものとは細部が異なります。特にどこかのメーカーが専売特許で生産しているものではないだろうから、いろいろなバリエーションはありそうです。

d0360340_14285900.jpgMiniartnのキットの組立て説明図を見ると、前輪周りも少し複雑な構成。どちらが正解というものでもなさそうですが、モールドなどはこちらのほうがシャープな予感。ミルク缶は使う用事ないしとスルーしてたけど、買わないとだめかな。

この小型カートはアンティークとしても人気があるようで、Farm CartとかGoat Cartで検索すると、e-Bayなどで売ってるのが見つかります。花屋とかパン屋の店先においたら可愛いのでしょうね。

名前の話。Farm Cartというのはわかりますが、なんで「Goat Cart」というのか。検索するとヤギに牽かせた小さな馬車の写真がでてきて、「Goat Cart」というのは、総じて子供が馬車遊びをするためのおもちゃと思われます。しかし、それは2輪のいわゆるリンバーの子供版がほとんどで、キットでも再現されたタイプの4輪のカートをヤギで引いている事例は見つからず、なぜこの4輪カートも「Goat Cart」というのかは結局わからず。馬車とか西洋アンティークに詳しくないのではっきりとしたことは分からないけど、小型のトイカートのことをゴート・カートと呼ぶのかもしれません。ひょっとして、ゴーカートというのもそこからきてるのか?

この小型のカートが当時の写真に写っているのを探したのですが、見つかりませんでした。考えてみれば、目の前をティーガーとかパンターとか通り過ぎるのはカメラマンもすかさず写真に撮るけど、スターリン戦車に背を向けてこんな民生用カートを撮ったりはしないと思うし。

(築地市場でターレーを撮らずにゴミ収集ビークルにカメラを向けるようなもの...)

とはいえ、意地もあるから見つけました。キットのタイプそのものではないけど。
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YouTubeの動画:Rhineland-Palatinate in April 1945 (in color and HD) 10:00頃に登場

荷台がフレームのスケルトンタイプではなくて板で組まれた箱型タイプ。スケルトンタイプはミルク缶とか干し草運んだりするには便利ですが、小物を入れて避難するにはこっちの箱型タイプのほうが役に立ちそうです。暇なときにでもキットの荷台をこのタイプに改造してみようかしら。

この動画が撮られたのは1945年4月。ラインラント=プファルツ州ということで地理的にはベルギー、ルクセンブルグ、フランスと国境を接するあたりか。

「Goat Cart」は検索すると、German Farm Cart という名前ででてきたりもするから、ロシアや東欧ではなく、ドイツやフランスなど西ヨーロッパで一般的な小型荷車という気もします。(要確認)

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1/35スケールのキットで民生用/非武装カートにどんなものがあるかを集めてみました。軍用タイプは除いて、その他にも、件のMasterBoxのゴートカートのようにボックスアートに載ってないもの、一輪車など手押車のタイプ、見落としたものなどまだまだあるかも知れません。レンジキットメーカー:スターリングラードから出ている農業用カートはまさに冒頭の写真に登場するようなタイプ。タイトルにロシアの荷車とかウクライナの荷車とかありますが、地方によってどう違うのかはちょっと調べたくらいではわからない奥深き世界。

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レジンメーカーのスターリングラードからは、荷車に避難民を乗せたセットも出てます。上掲の動画もそうですが、民間用カートが登場する風景を探すと、従軍カメラマンが写真を撮ってる場所というと、やはり戦場から避難する、占領地から逃れる難民の写真にぶつかります。

この母子が荷車に乗った写真はドイツ軍がいなくなった村に帰還する時の写真のようですが、いずれにせよ戦争は抽象的な戦場ともいう無人の荒野で専ら行われていた訳ではなく、日常の街や村、畑があったところで起きていたことなんだなと..

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小さなカートが気になってキャプチャした写真ですが、背景は完全に破壊された村。

MasterBoxの小型カートのキットは、この前のSUMICONで制作したT-60のジオラマで使えるかと思って買い込んだものでした。
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記事は:ROSTOV 1942.8 :T-60 (Plant no.264) INDEX 参照

舞台設定はスターリングラードの前哨戦、近郊都市ロストフ陥落の少し後の風景。撤退、そして新たな戦線に送られる兵士、占領された街や村から逃れる住民の姿など、小さなベースの外側で起きている出来事が見えてくるように、何かベースの中に関連した小物を配置したくて、その候補のひとつで買ったのがMasterBoxの小型カート。

結局、スペース的な制約もあったし、小物の設定に作り込みが足りないと冗長になるだけなので、壊れたカートを配置するのはやめましたが...
戦場ではあるけど同時にそこは誰かが普通に暮らしていた日常でもあるような。
それもあって、戦車に踏み荒らされるのは草原ではなく麦畑。

戦車の模型を作る以上は、反戦を声高に訴えるとか戦争の悲惨さを伝えよう、なんてこと言うつもりは全くありません。しかし、戦車の模型を置くための「ベースという模型」は戦車がくる前からそこにあった場所、ともいうような日常世界をどこか表現しておきたいという気持ちがいつもあります。戦場だけど日常世界でもあるベース、の表現。 兵士たちがトランプに興じる戦場の日常ということではなくて。
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なんとなく雨の日は内省モード。





Commented by かば◎ at 2018-05-13 18:39 x
MBのこのセットは、箱絵を見た時に「ああ、ユダヤ人のおじさんだなあ」と思った覚えがあります。
個人的には、これに関しては「そう思った」というだけで、むしろ、同じMBでは「The 101st Light Company」のセットで「コラボ(対独協力者)」の丸刈り女性がキット化されたのが驚きでした。
どこかのキット紹介で「解放されたフランス女性」とか書いていたような気が。
基本(実はタミヤも割とそうですが)そのフィギュアがどういう立場でどういうシチュエーションなのかは解説されていないことが多いのは、ちょっと不親切な気がします。

以前、MMMだったかホビージャパンだったかで、ドラゴンの通信兵セットを使ったフランス戦線のジオラマ作例が出ていて、「1940年のフランス戦線に独軍協力ソ連兵捕虜(ヒフィス)」が出演していたのにはびっくりしました。
Commented by セータ☆ at 2018-05-13 20:22 x
最近、レジンフィギュアの D-Day Miniatures Studioが発売した「WWI Belgian Dog-drawn Cart with Crew 1914-15 」「WWI Dog-drawn Cart with Hotchkiss Machine Gun 」は「犬引きの荷車」で、おぉ!これに Miniartの牛乳缶を積めば、フランダースの犬!とか思いました。
Commented by hn-nh3 at 2018-05-14 06:10
>かば◎さん
丸刈りにされて赤ちゃんを抱いたまま引き回される女性の姿を撮ったロバート・キャパの有名な写真(https://imgur.com/a/3VwaGf0)がありますが、マスターボックスでその女性がキット化:MB35164(http://www.mbltd.info/35164.htm)されたのを見て、流石に... とは思いましたね。
扱いにくいテーマではあるけど、模型誌などでも全くスルーというのも。ウェザリングテクニックは毎号花盛りではあります。

マスターボックスのフィギュアは造形的に過剰演出や手足が棒なこともあって、結局殆ど買ってなかったりします。戦車の添え物に社会的なテーマを持ち込むことの是非はありますが、服装の設定背景や容姿に奥行きを欠いたファッションモデルのような兵士のフィギュアはやっぱり「厚み」にかけるんですよね。タミヤのフィギュアに感じる物足りなさの部分。

ノルマンディ戦ではドイツ語を話さないドイツ兵がたくさんいたという話がありますが、1940年の話は初耳です(笑)
KV-1の次はノルマンディのボイテ物でも作ろうと考えてました。

Commented by hn-nh3 at 2018-05-14 06:32
>セータ☆さん
その犬カートは荷台側面の木枠が4本ですが、パトラッシュの牽引するそれは3本。停止時に牛乳缶が前方に滑り出さないように、前面にも塞ぎ板を追加工作する必要がありますね。
側面の木枠は2本しかないシーンも確認されているので、実は2台持ちであったか、放映の合間に修理されていた可能性があります。塗装色はフレンチカーキグリーンといった感じでしょうか。それと、犬の口を半開きにして舌を少し出したほうがパトラッシュの雰囲気が出せるように思います。
って、思わずアニメ版フランダースの犬と比較してしまいましたよ。(笑)

馬や牛とは違う動物の使役に馴染みがないせいか、ヤギや犬が荷車を引いていると現代的視点では動物虐待に見えてしまったりもしますね。再放送したら、パトラッシュがかわいそう!とかのツイートが...
今回調べている中で、南部ロシア〜コーカサス方面ではラクダが結構な数で登場するというのも新鮮でした。
by hn-nh3 | 2018-05-13 18:23 | 資料 | Comments(4)