断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

一円陣地

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カンヌでグランプリ(パルムドール)を受賞して話題になってる是枝裕和監督の映画「万引家族」はまだ見に行ってないのですが、その映画に出演していて、前から気になっていた安藤サクラ主演の映画「百円の恋」をツタヤで借りてきて遅ればせながら見る。
... 32歳のニートの主人公(安藤サクラ)と彼氏(新井浩文)のダメ女、ダメ男っぷり、そしてボクシングに目覚めて変わっていく主人公のかっこよさといったら。しびれましたね。

そんなDVDを観たり散歩したりで模型制作はなんとなく停滞気味。KV−1も手を動かしてはいるけど....その話は次回ぐらいかな。

100円ショップのレジ脇にはついで買いを誘うスナック菓子があったりするけど、秋葉原YSのレジで振り返ると、艦船用のカスタムパーツが壁から下がっていて手持ち無沙汰にこっちを眺めていたりするんですよね。

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自分、艦船ものには手をださないようにしてるので、その誘いには乗らない。...はずだったのですが、レジ待ちでふと見たら、なんだか聞き覚えのある高射砲の名前。八九式12.7cm高角砲。

大戦中の戦艦や駆逐艦などに搭載されていたものですが、地上の高射砲陣地にも配備された高射砲だったりします。

もっとも、都内の陣地ではスペックの低い八八式7.5cm高射砲がメインで小岩の陣地には12.7cm砲があったけど単装タイプ。この連装の八九式12.7cm高角砲は、近郊では前に記事にした小坪(逗子披露山)砲台など、横須賀軍港のような重要拠点の周囲に限定的に配備されたと想像します。

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守備範囲外の艦船模型でしたが、このファインモールドの1/700の高射砲のキットだけは、そんなことを理由にわが家に配備されてしまったのです。しかしパーツの細かいこと。ナノ・ドレッドと銘打ったこのシリーズはスチロール樹脂にABSを配合して強度を高めたとかで驚異的な細かいモールドを実現していて、1/35 AFVモデラーには眩暈を覚えるばかり。一箱に4セット入り。

組み立ては両手にピンセットを持って外科医になった気分で悪戦苦闘、パーツを飛ばすなどのアクシデントを乗り越えてなんとかひとつ完成。こんなことを軽々と100回繰り返せる艦船モデラーを尊敬しますね。
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とても小さな高射砲モデル。写真に撮っても小さい。

前に描いた小坪砲台の図面を1/700に縮小してプリントした紙の上に試しに配備してみました。1/700スケールの八九式12.7cm高角砲の陣地の完成。
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直径12mの円形の砲座も1/700スケールに変換すると直径1.7cm。プラ板をサークルカッターで切り出して積層するなどして、コンクリートのすり鉢状の半地下構造を再現したいところでしたが、その小ささにちょっと心が折れました。
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比較のために隣に一円玉。硬貨の直径は2cmだからそれより小さい。

吹けば飛ぶ紙の上に構築された一円陣地はつかの間。身捨つるほどの祖国はありや。
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Commented by hiranuma at 2018-06-17 14:41 x
一円陣地とは、、!
すごいスケール感です。
ウォーターラインシリーズの飛行機を作り込んで塗装している方がいましたがこのスケールでリアルに作るのはちょっと。
でも、机の上にチョンとあるといいでしょうね。
Commented by hn-nh3 at 2018-06-18 05:08
hiranumaさんの微細工作に目が慣れて自分も小ささへの閾値が下がったような気がしてプラ板で陣地造作を作るぞーと意気込んだものの、高角砲を組み立てたところで息切れしてしまいました(笑)
いずれ折をみてチャレンジしてみたい気がします。

ただ、手を止めた理由はそれだけでなく、まさにご指摘のような話に絡んでます。
1/35の世界でもすでに始まっていますが、物の太さ、厚み、彫刻のメリハリなど、縮尺どおりに正確に縮小するには、物質的に無理だったり、肉眼での識別が困難になったりでなんらかのデフォルメが必要になったります。

それが1/700にもなると、その傾向は顕著で、たとえば船のマスト、飛行機の風防など物理的に縮小再現が不可能なものの「置き換え」が行われます。艦船モデラーはその「1/700世界の約束事」を共有していますが、それを知らない1/35 AFVモデラーが見ると「デフォルメ」が不自然に見えて、どこか食玩的な虚構性を感じ取ってしまったりします。

この極小陣地モデルもより正確な縮小物を指向するなら、1/700よりも1/350での解像度の高い工作が妥当な気もします。
1/700で無理に再現しようとすると解像度の甘さが食玩的に見えかねないと危惧した訳ですが、撮影の時に比較のため1円硬貨を置いたところから少し風向きが変わってきました。

一円玉という日常性に共有された小ささ、軽さの世界。「一円陣地」という言葉の語感は、どこか一銭五厘の命という儚さや無念さの記憶とも繋がるような気もしました。
であるなら、むしろ積極的に1/700の世界に身をおいて食玩的なデフォルメを施し、おゆまる+UVレジン複製を行ってみたい気がしますが、未だデフォルメの見定めがついていないのが今日のところ。
Commented by かば◎ at 2018-06-19 10:09 x
ぜひ「小坪高角砲台」(披露山)のジオラマを……。
Commented by hn-nh3 at 2018-06-19 19:36
小坪の砲台を再現する野望はあるのですよ...

https://imgur.com/a/VfYXrJS
フェイクですが、前に猿の檻のガレージキットのラベルを作ったりしてました。箱だけじゃつまらないから、ペーパークラフトの切り抜き展開図くらい作ってみたいと思いつつ時は流れて...

1/72 はあきらめて1/700で作ってみるか(笑)
by hn-nh3 | 2018-06-17 06:18 | 構造物 | Comments(4)