フリウルを黒染めした日
2018年 11月 17日
製作中のロレーヌシュレッパー15cm自走砲の履帯にフリウルのホワイトメタル製連結履帯。履帯のガイドホーンの間隔と上部転輪の幅がぴったりすぎてなかなか通らなくて試し履きをするにも一苦労。結局、上部転輪の裏側をヤスリで削ったりして... 苦労して嵌めたところで力尽きて、撮影した写真を後から見たら転輪が一つ外れてた。やれやれ。
連結式のメタル履帯は強度もあるし、垂れ下がり方も自然でいいのですが、塗装はネックですよね。可動部の塗装が難しかったり塗っても剥がれやすかったりと、やっぱり金属自体を発色させる黒染めが仕上がり的にはリアル。今回は、AKの黒染め液(メタルバーニッシュフィールド)を使ってフリウル履帯の黒染めで仕上げてみます。
実は私、初めてなんです… 黒染め。
したことないからなんとなく気後れして数年前に買った黒染め液を今日の今日まで後生大事に保管してましたよ。
でも.. 今日は覚悟を決めて、ついに黒染め初体験!
先ずは染色液に漬け込む前の下処理。繋いだ履帯のクリーニングには酢に台所用洗剤を少し混ぜた溶液を使用。電動歯ブラシでホワイトメタル表面の離型剤などを落としていきます。そして一晩漬け込んでメタル表面の酸化皮膜を溶かします。これが残っていると染まりが悪いようです。洗剤は数滴でよい、とのこと。
酢は使い捨てになるので安価なものを、とスーパーに行ってみたけど…難しいですね。イージーなお酢は成分を見ると出汁とか果汁とか添加物がいろいろ。フリウルに昆布出汁がどう影響するかは未知数です。結局家にあった純米酢を使いましたよ。洗浄作業は酢酸液に洗剤の爽やかな香りも混じってフリウルでピクルスでも作ってる気分。
漬け込んで一晩たったら、酢酸と洗剤の混合液から引き上げ、水洗いして乾燥。履帯のホワイトメタルは艶が消えて鈍い灰色に。光沢が残っているところは離型剤や接着剤で表面が覆われている可能性があるので、そこは染まらないからもう一度酢酸液でよく洗浄。この時の色ムラが黒染めにもそのまま影響するから要チェック。
さて、いよいよ黒染め。100円ショップで買った底の浅いポリプロピレン容器に黒染め液を履帯がヒタヒタになるくらいの深さに注ぎます。
綺麗な青。成分はなんだろう。瓶には書いてないからよくわからないけど硫酸銅かしら?
黒染め開始。電動ハブラシで隅々まで溶液が行き渡るように磨きながら様子をみます。みるみると黒くなっていきます。ものの1分くらいで黒くなります。思ったよりも短時間。
頃合いを見計らって引き上げ、水洗いして乾燥。あっという間に作業は終わりました。酢酸液での下処理が悪いと表面の不純物が析出して白い斑点が出来ることもあるようですが、今回は特にそれもなくラッキー。
染めむらが出たら引き上げて、クリーニングしてからもう一度漬け込み。その意味でも最初の漬け込みは少し色浅めぐらいで引き上げて様子を見て進めるのがコツかも。
染め時間が長くなると黒錆色より赤錆色が強くなる様子。漬ける時間が長くなると反応が進み過ぎて表面が荒れてくるとのこと。黒染め液から引き上げて水洗いする前に放置しておくと赤錆に。車輌の表現に合わせて、この辺りのさじ加減は... 何事も経験ですね。
黒染め液の温度で反応時間も違うようです。冷えてると反応が遅いとか。この時は室温20度くらい。
水洗いの後、乾燥させるとこんな感じ。今回作っているのは歴戦の車両ではないので、もう少し黒の段階で止めてもよかったかな。ピンの頭を固定した瞬間接着剤のはみ出しで黒く染まってない部分ができてしまいましたが、このくらいは油絵の具でレタッチします。
あっという間に終わりました。まだもう一回ぐらいできるかしら。
綺麗な色のグラデーションを描く使用後の黒染め液をとりあえず元の容器に戻します。廃液は有害なので下水には流せないらしく、処分するなら新聞紙に吸わせてゴミの日に。燃やしたら、成分が大気中に放出されそうだし... なにがいいのかはわかりません。
作業は全て使い捨ての手袋つけて行います。履帯自体が鉛を含んでいるし、黒染め液も有毒成分があるので手につかないように作業を進めます。終わった後、手袋を裏返してゴミも一緒にくるんで捨ててしまうと後始末が楽です。
黒く染めは結構あっという間で設営から掃除まで合わせて30分もかからないくらい。酢酸液での洗浄が必要無かったらもっと簡単なのに…
と、思って比較実験してみました。連結済みのピースは酢酸液で洗浄、下処理してから染めたもの。バラのピースは下処理なしで黒染め液につけたもの。何もしてないと染まり方は悪いです。時間をかければできないことはなさそうですが、やっぱり下処理してからの方が綺麗に染まります。手抜きはできない、ということかしら。
余談。
ここまで読んで気づいている人も多いと思いますが、黒染めの方法は四谷仙波堂のホームページにあったAK黒染液の解説記事に多くを依っています。
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hiranuma
at 2018-11-17 22:41
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昔々、モデルガンの黒染めをしたことがあります。
丁寧にペーパで磨き上げたガバメントを薬液で染めてから乾かしてオイルで磨いて仕上げるとブルーブラックで実物の様と
悦に入っていました。
金属製のキャタピラは高価で手間もかかるけど黒染めができるのはいいですね。
いつか縁があったら、。
丁寧にペーパで磨き上げたガバメントを薬液で染めてから乾かしてオイルで磨いて仕上げるとブルーブラックで実物の様と
悦に入っていました。
金属製のキャタピラは高価で手間もかかるけど黒染めができるのはいいですね。
いつか縁があったら、。
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hn-nh3 at 2018-11-18 05:18
ブルーイング、と言われる技法でしたっけ。履帯の黒染め専用商材が出る以前はモデルガンの黒染め技法を応用して履帯を染めてたようですね。真鍮のエッチングパーツも黒染めしてから使うと、塗装の剥がれが防げていいとか。それも機会があれば試してみたい技法ではあります。
プラの連結式履帯の出来がよければそれを塗装して鉄らしく表現すればそれでいいと基本的には思ってますが、たとえばこのロレーヌシュレッパーみたいに、ロコ組みやC組など塗装がやりやすい組み方が難しいタイプの車両は金属製履帯に頼りたくなりますね。
今回の反省は黒染め以前にフリウル履帯の組み立ての時、連結穴に差し込む連結ピンの長さがマチマチになってしまったこと。
ワイヤーからの切り出し長さの基準となるマスターを1本つくって、それをガイドに切り出したのですが、マスターを識別できるように色付けせずにやったものだから、途中で入れ替わったりして結果、連結ピンが不揃いになってしまったのが心残り。次回は長さを揃えるようにプラ板などで切り出し用のガイドを作って作業しようと思ってます。
プラの連結式履帯の出来がよければそれを塗装して鉄らしく表現すればそれでいいと基本的には思ってますが、たとえばこのロレーヌシュレッパーみたいに、ロコ組みやC組など塗装がやりやすい組み方が難しいタイプの車両は金属製履帯に頼りたくなりますね。
今回の反省は黒染め以前にフリウル履帯の組み立ての時、連結穴に差し込む連結ピンの長さがマチマチになってしまったこと。
ワイヤーからの切り出し長さの基準となるマスターを1本つくって、それをガイドに切り出したのですが、マスターを識別できるように色付けせずにやったものだから、途中で入れ替わったりして結果、連結ピンが不揃いになってしまったのが心残り。次回は長さを揃えるようにプラ板などで切り出し用のガイドを作って作業しようと思ってます。
by hn-nh3
| 2018-11-17 18:53
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Comments(2)