NIGHT FLIGHT

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「夜間飛行」1931

香水の名前のことではなく、ましてやPerfumeの曲の名前のことではなく、今日は本の話。
原題”VOL DE NUIT” 1931年に出版されたサン=テグジュペリの小説。


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サン=テグジュペリは日本では「星の王子様」(1943 )の作者として有名。飛行機のパイロットとしての経験が小説に色濃く反映されています。1935年にはサハラ砂漠に激落して生存が絶望視されたことも。
そんな体験が、星の王子さまの世界にも繋がっているとか。
そして、1944年7月31日。コルシカ島から偵察飛行に飛び立ったまま行方不明。

(ドイツ軍機による撃墜:彼の名前はドイツでも知られていて、彼の乗機だと分かっていれば...ということだったようです。)

というぐらいのことは知っていたものの、1944年にコルシカ島から出撃... ? ? と、サン=テグジュペリはどこの軍に所属していたのか、ふと気になって調べてみたら、自由フランス軍だったんですね。
1940年にフランスがドイツに降伏した後、彼はニューヨークに亡命。1943年に亡命フランス人で組織された自由フランス空軍の北アフリカ戦線に志願。1944年7月に行方不明になった彼の乗機がどうなったのかは長らくわからなかったものの、1998年にマルセイユ沖に沈んでいるのが発見されたんだそうな。

プラモブログなのに、なんでこんな話をしてるのかというと、制作していたロレーヌシュレッパー自走砲の中に「忘れ物」として置くのに何かないかしらと考えていて、銃器の類では乗員の顔が見えてこないし、フランスパンやワインといったものを戦車内に持ち込むの何か違うでしょ..で、ふと思いついたのが読みかけの小説。

それで、同時代の本として思い出したのがサン=テグジュペリの「夜間飛行」

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この本を1/35の模型世界で再現してみます。1931年のガリマール版は 実寸で12cm×19.5cm。本の表紙と裏表紙、中のページの写真をネットで探して、フォトショップで画像の歪みを補正、イラストレーターで1/35縮尺に縮小レイアウト。コンビニのカラーレーザープリンターで出力して切り抜いて組み立てました。

模型用の画像データーにプラモのランナーがついてるのは余興です。

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小さい.. 豆本というジャンルがあるけど、これはとても読めるサイズでは無いですね。
プリンターの出力解像度も限界なのかドットが荒く見えます。コンビニの機械じゃなくて、もっと高性能、高解像度のプリンターを使わないとこのサイズだとディテールが甘くなってしまう。

今回の1/35の夜間飛行の「初版」はとりあえずこのくらいで勘弁してもらって、いつか増版することがあれば、その時はちゃんとした出力センターに行こうかしら。データー欲しい人がいたらあげます。

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あ。もちろん、Perfumeの NIGHT FLIGHT だって好きですよ(笑)

Commented by セータ☆ at 2018-12-08 19:57 x
大人な遊びで良いですね。
1円玉がさりげなく平成元年ですね。
Commented by かば◎ at 2018-12-08 21:37 x
サンテグジュペリ(略称はサンテックス……なんですが、カタカナで書くとほとんど短くなってないですね)は、「飛行機乗りの小説家」として有名なわけですが、実際のところ、パイロットとしての腕は悪かったというのが通説です。

上の墜落写真にも写っているコードロン・シムーンも、戦間期の有名なツーリング機で、そこそこ安定した性能を持っているはずですが、サンテグジュペリはこれを確か2回も墜落させているんじゃなかったかな。原因としては「飛行中に夢想にふけって操縦が疎かになる」癖があったとか何とか言われていたような。

しかし(周囲の人間からすれば)「下手の横好き」というか、操縦が下手な癖にやたら飛びたがり、第二次大戦でも常に前線勤務を希望、自由フランス軍に参加後も、自責事故で飛行禁止命令を受けたこともあります。すでに佐官にまでなっているにもかかわらず、行方不明になった際の偵察飛行も無理矢理出たんじゃなかったかな……。

サンテグジュペリの乗機は作りたいと思ったことがあるんですが、行方不明時の機体はロッキード・ライトニングの中でもちょっと特殊な写真偵察機型の、確かF-5Bで、昔はそのものズバリのキットがほとんどなく、また綺麗な銀塗装というのは私の手に余る(これは今でも)ので、いつのまにか計画放棄してそれきりです。

でもコードロン・シムーンのキットは持ってるんだよなー。
Commented by hn-nh3 at 2018-12-09 05:46
>セータ☆さん

平成元年の一円玉は今回一番こだわったとこでしたね。(笑)
気づいてもらって嬉しいです。綺麗な1円玉ならいろいろあったけどやっぱりこの時期、平成元年製のが旬かな、と。

本の制作は楽しかったですね。紙を束ねて背にピット糊を塗って固めて表紙をつけてと、まるで製本作業みたいでした。

そもそも作った目的からすると表紙だけあれば中は白い紙束のダミーでもよかったのですが、ミニチュア本を開いて中が真っ白なのはやっぱり興ざめだから、本文のテキストページも再現しました。でも...ちょっとサボって全部同じページだから、この本で読み聞かせでもしようものなら、壊れたレコードプレーヤーのように同じ話を延々とリピート....
Commented by hn-nh3 at 2018-12-09 06:13
>かば◎さん

飛行機乗りとしてのサンテグジュペリのことは、知人が絵に描いてたりしたこともあってつまみ食い的に知ってただけですが、文学ほどには飛行の才はなかったみたいですね。側から見れば、操縦の腕は微妙だしパイロットの年齢制限超えてるのにコクピットには座りたがるめんどくさい有名人..だったんでしょうね。調べると、イメージしていたのとは違う姿がいろいろと見えてきます。伝説って、得てしてそういうものかも。
それでも砂漠に飛行機落っことして死にそうになったり、ニューヨークで周囲に馴染めなかったり、それが「星の王子様」に結実しているのだから、ある意味それでよかったのかもしれません。

コードロン・シムーンはエレールから1/72のキットが出てるのか。ちょっと箱型の味のあるフォルムの飛行機ですね。
彼の乗機を再現している人も結構いて、なかなか楽しそう。
ブログネタついでにちょっとサクッと作ってみるのもいいかなと思うも、そこにあるのは「サクッと...」のつもりで買ったプラモの山。
Commented by かば◎ at 2018-12-09 08:41 x
実は大学の時に知り合いの卒論テーマがサンテックスで、「どんな飛行機に乗っていたか」を調べたことがあったんです。

サンテックスといえば行方不明時の(今は被撃墜だったと確定しているわけですが)F-5Bか、「星の王子様」の直接の契機になったと思われる事故時のシムーンか、というのが模型的にも主ですが、他に、戦間期に郵便機として多用されたブレゲ―(14とか25とかかな?)やラテコエール、1940年戦役時に乗っていたブロック174とかもあります。
Commented by hn-nh3 at 2018-12-10 04:19
ブレゲー14は空気抵抗とかどーなのかしら?という角ばったエンジンカウルでなんだか空飛ぶトラクターみたい。
この時代の飛行機は空を飛ぶというより浮かぶような雰囲気がありますね。

>>どんな飛行機に乗っていたか」を調べたことがあったんです。

それはそれで論文が書けそう。「搭乗機の飛行特性がサンテックスの文体に与えた影響とその変遷」..とかとか(笑)

F-5B に乗っての最後のフライトは、飛行ルートに妻コンスエロとかつて結婚式を挙げた教会があって、それを見るために高度を下げたのでは、という話もあるみたいですね。
Commented by セータ☆ at 2018-12-11 02:42 x
1970年代のホビージャパンで「P-38特集」があり、サンテグジュペリの乗機を作った記事もあって、中学2年の時に友人と盛り上がりました。
ちょうどその時に読書感想文を書く授業があったので、その流れのまま友人は『夜間飛行』、私は『人間の土地』を選択して挑んだんですが、中2生に『人間の土地』は難しすぎましたねー。四苦八苦した記憶があります。
Commented by hn-nh3 at 2018-12-11 05:14
P-38という双胴のヘンテコな飛行機があるのを知ったのは、子供の科学の「よく飛ぶ紙飛行機集」(二宮康明)だったでしょうか。低速の滑空性能はよくなかった記憶が。

サンテグジュペリは今回記事にするにあたって、本棚で埃をかぶってた「夜間飛行」と「星の王子さま」を再読しましたが、最近のウェブブラウザの変な翻訳語になれきった脳みそには文学の「翻訳文体」は少ししんどかったですね。視力以上に文章読解機能が圧倒的に低下していることを思い知らされましたよ(笑)

それもあるけど、言葉とイメージの関係も変わってきてるんでしょうね。最近のは、文字の機能は映像のインデックスというか...
「人間の土地」は未読ですが、ブログネタにしたからには責任とって読んでみるかな。
Commented by at 2019-03-08 22:03 x
 HJの記事は、既出だったんですね、恥ずかしー。
 サンテグジュペリと言えば「戦う操縦士」も良いですよ。フランスと言う国家が崩壊していく様の描写が為になります。彼は必死にアラスとかに偵察飛行に出、命からがら写真を撮ってきます。幸いにして写真が上層部に届くことがあっても、既に連絡線、指揮系統がズタズタなので戦闘部隊に情報と命令が届くことはなく彼らの努力と死は報いられることはないと。それを彼は”大統領の指示は、彼が推す呼び鈴の先の部下よりも先に届くことはない”と言う風に表しています。
 彼が最後に乗っていたP-38の偵察型の作例はスケールアヴィエーション誌に載ってましたね。フィギュア自作のダイオラマ仕立てで確か表紙を飾っていたはず。1/48アカデミーの偵察型とハセガワの2コイチで、アカデミーの機首は幅が広めなので詰めて使った由。72ではドラゴンが偵察型を出していたけどそのままで彼が使用したタイプになるかは?
by hn-nh3 | 2018-12-08 18:33 | 資料 | Comments(9)