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断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

Miasto 1944

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Courier crossing (1944.8) 撮影:Jerzy tomaszewski

ケーブルドラムから話は転がってワルシャワ。これまでに記事に書いたのものを並べると
などなど。

よくもここまで引っ張ったと我ながら思わないでもないけど、まだ続きます...

映画:Warsaw 44(原題 Miasto 44)のシーン。貼り付けた動画は映画の一部ですが、原題の Miasto 44 で検索すると全編もYouTube でみることできます。

1944年8月のワルシャワ蜂起をポーランド側から描いた映画で2014年の作品。こんなのあったの知りませんでした。日本では劇場公開はされなかったようで、DVDが発売されてます。邦題は「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」......と、なんともB級タイトルがついてます。戦争映画にありがち。

YouTubeの日本語字幕のないものをざっと眺めた限りは、あちこちで感想が書かれているように、映画としての出来はちょっと微妙。
と言っても、ストーリー展開がB級という訳ではなく、絶望的な状況に追い込まれていくハードな映像の中に唐突にスローモーションで挿入されるラブシーンといったよくわからない演出があったり、ここまで描かなくてもいいのにという展開についていくのがちょっとしんどかったりで、ポーランド人でない限りは正直なところ全編を観るのはおすすめしません。YouTubeのリンクを貼った短いシーンで雰囲気だけつかむ程度で十分かと。

ワルシャワ蜂起を扱った映画では過去にアンジェイ・ワイダが「地下水道(原題:Kanal)」なんて傑作を残してたりするから、それ以上の作品を作ろうと力が入ってしまったのは、作り手視点からすればわからないでもないけど。

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それはそれとして、映画のワルシャワの市街戦の考証は極めて緻密。前にも紹介した当時の記録写真を再現したと思われるシーンが随所にあったり、登場する車両や武器は本物?もしくはかなりの精度で再現したレプリカ。写真はそんな1シーンですが、市民を盾に鬼畜な攻撃を仕掛けるドイツ軍のパンター戦車。別なシーンで確認すると足回りはどうもT-55を流用してるものの、車体はかなりの再現度。OVMがちゃんと装備されてたり、キューポラに対空機銃架がついてたりと、ミリオタの厳しい視線に十分耐えられる仕上がり。よく見ると、パンターの後ろにヘッツァーもいますね。

その他にも、2cm対空機関砲FLAK38が、プライベートライアンの時と同じく対地攻撃で絶大な威力を発揮したり、ゴリアテ無線操縦爆薬運搬車との対決など戦争映画史ではお約束なシーンも。有人操縦の爆薬運搬車ボルグヴァルト B Ⅳも登場して、市民に鹵獲された車両が爆発してしまうといった悲惨な事故も史実どおりに再現されていたり。。
AK(ポーランド国内軍)の兵装も自国制作の映画ならではの再現度。MP40など鹵獲したドイツ軍の銃器に加えて、英軍から届けられていたステンガンやPIAT、ステンガンとMP40を参考にして地下生産されたブリスカヴィカなどなど。

バリケードでは、これはポーランド人の間ではお約束なんでしょうか。ケーブルドラムがあちこちで使われてます。
当時のバリケードの写真では、そこまでは登場頻度は高くないものの、やっぱりChwat号の有名なバリケード写真の印象が強いのか、映画ではこれでもかとケーブルドラムが街のあちこちに転がってますね。

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ほらほら。こんな感じでMiniArtのキットの正しい使い方みたいに登場します。
注目すべきは、ケーブルドラムにステンシル文字で描かれているロゴ。文字は「KABELWERK OZAROW」!
ワルシャワ南郊のオジャルフにあった電気ケーブル製造会社の名前です。Chwat号バリケード写真に写ってるドラムにも同じ文字がペイントされてます。この映画知ってたら、苦労して解読する手間はなかったですよ。

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記録写真のロゴと映画で再現されたものは微妙に書体が違ったり、文字下に白帯がペイントされてたりしますが。こういうタイプが当時もあったのかソースを知りたいところ。(誰も気にしてない?)
実は、Chwat号バリケード写真のケーブルドラムの横に転がってるゴミバケツがどんなものなのか追跡してたら、この映画に行き合ったった、というのが今回の記事の事の次第。映画にもゴミバケツがでてきますね。ブリキ製で一般的なものだったりしたのかしら。

MiniArtから1/35 ゴミバケツ(ポーランド型)なんてキットがでないかしらと、密かに待ち望んではいるのですが。





Commented by vol de nuit at 2019-01-27 00:12 x
hn-nh3さん、はじめまして。

素晴らしい記事、作品の数々に感動致しました。

是非リンクを貼らせていただきたく存じます。

よろしくお願い致します。
Commented by かば◎ at 2019-01-27 02:49 x
おー。「KABELWERK OZAROW」を再現しているとは!

……という文字が書かれていること自体、hn-nhさんの記事でようやく意識したくらいですが。

前の記事のコメント欄での話の続きになりますが、Chwat号が、バリケードに組み込まれていた時期には名前が書かれていなかったというのも、「ええっ! そうだったの!?」という感じです。
写真写りの問題で見えてないだけなのか、みたいなボンヤリした理解でいました。だいぶヌルイです。

ワルシャワネタでは、今年あたり、ずっと手付かずでストックしていたクブシュを作り始めようかなと思っています。いつかSUMICONで作ろう、なんて思っていたんですが、なくなっちゃったし……。
Commented by hn-nh3 at 2019-01-27 05:36
> vol de nuit さん
初めまして。ワルシャワネタでつながりましたね(^^)
折しもサンテックスのコードロン シムーンを製作中だったりと何かの縁を感じました。そちらのブログにもちょこちょと顔を出させていただきますね。

リンクの件は喜んで。
私のブログからは、と言うと「フラットにオープンに」が趣旨なので、サイドバーに特定のリンクを貼る事はしてない関係で、記事中で気になるサイト、参照記事にリンクを貼る形式とさせてください。

ハンドルネームは"vol de nuit" になるのか "i_am_afv_modeler" のどちらになるのでしょうか。
Commented by hn-nh3 at 2019-01-27 06:21
>かば◎さん
クブシュはさすがに映画には登場しなかったですね。とはいえ、動画再生のスライドバーを動かしながらのラフチェック程度に視聴しただけなので、どこかにチラリと登場しているのを見逃した可能性がない訳ではないですが。

Chwat号のバリケードも残念ながら映画には登場しなかったですね。撮影でヘッツァー調達できなかったのかな?とも思いましたが、記事に貼った写真のシーンのようにヘッツァーがチラリとしか映らないのにドイツ軍側で登場させるなんてもったいない使い方されてました。

同様にパンター戦車も鹵獲パンターとして登場させなかったのは演出上の理由でしょうね。装備に劣る非力なAKと強大無慈悲なドイツ軍という構図をわかりやすく見せるための。

それとChwat号を正確に再現するなら、内部火災が原因と思われる車体側面装甲板のヒビや天井装甲の剥離変形など、借り物のヘッツァーを壊さないといけなくなるし。
マーキングの件は確認しきれてはいないのですが、記録写真を並べて見ると。やはりバリケードから回収修理された時点に施されたものと考えるのが自然です。
Commented by かば◎ at 2019-01-27 13:22 x
これまた言われて初めて気付きましたが、Chwatの右側面装甲板、ヒビ入ってるんですね……。

手元に「ワルシャワ蜂起におけるポーランド国内軍の車輛」というポーランド語の本があるのですが、中身は、写真キャプションは英語併記なものの本文はポ語のみなので、お手上げです。読めれば、それなりに面白いことが書いてありそうなんですが。

(そういえば、いまだに「Chwat」がどんな意味なのかも知りません)

>vol de nuitさん

ワルシャワ蜂起がお好きなのですね。
サイトを拝見しましたが、飛行機も私の好きな機体がいくつも取り上げられていて楽しかったです。
Commented by vol de nuit at 2019-01-27 18:36 x
当ブログにお越しいただきありがとうございました!
今後ともよろしくお願い致します。

リンクの件、承知致しました。

ハンドルネームは"vol de nuit"でお願い致します。
Commented by vol de nuit at 2019-01-27 18:39 x
>かば◎さん

ワルシャワ蜂起とプラハ蜂起、ハンガリー軍がお気に入りです。(笑)

当ブログにお越しいただきありがとうございました!

かば◎さんのブログも、リンクを貼らせていただきたく存じます。
よろしくお願い致します。
Commented by hn-nh3 at 2019-01-28 05:16
>vol de nuit さん

ワルシャワ蜂起とプラハ蜂起、ハンガリー軍....ですか(笑)
プラハのヘッツァーもいろいろとリサーチしてましたが、やりっぱなしになってるので、(忘れてしまわないうちに)一度メモをまとめておきたいところです。よい情報あったらお願いします(^^)

ワルシャワのことは今回の補遺として追加情報を書き留めておくつもりです。近いうちに記事にしますが、その際にvol de nuit さんへのリンクも作っておきますね。

>かば◎さん
ポーランド語の資料は文字の発音すら知らなかったりすることもあり、心理的にも言葉の壁は高いものがあります。西欧言語のように単語の意味がある程度は類推できると多少は違うのでしょうが。

ポーランド国内軍の車両の資料を探していたら、
https://www.poczytaj.pl/ksiazka/pojazdy-powstancow-warszawskich-1944-jan-tarczynski,158299
とか、
https://www.dobra28.pl/home/62484-kubu-pancerka-powstaczej-warszawy-9788392660651.html
というクブシュの本もあることを知りました。

輸入代理店を通さない価格は魅力的ですが、(中身の情報が少ないことに加えて)ポーラン語に不案内だと、海外配送にも対応してるのかとかすらよくわからず、購入のハードルは高いです。
Commented by かば◎ at 2019-01-28 09:00 x
>vol de nuitさん

ワルシャワ蜂起とプラハ蜂起、ハンガリー軍……
私とどっぷり好みが重なってますね^^;
(私の場合は東欧各国全般ですが)

>hn-nhさん

ああ、下のクブシュの1冊本は知ってます……というふうに反応しかけたんですが、私の知っているクブシュの1冊本とは別物でした。どれだけクブシュで新しい本が出とんねん……。

ちなみに、私が知っている、割と最近出て、ちょっと欲しいなあ、と思っていたクブシュ本はこちらです。

https://www.jadarhobby.pl/mirage-samochd-pancerny-kubus-1944-book-p-41616.html

クブシュのインジェクションキットを出したMirage HOBBYが出した本で、表紙もキットの箱絵と同じです。
ただ、「何が何でも欲しい!」にならないのは、紹介されているページを見る限り、昔の実車写真はネットでサルベージして集めたものと基本変わらず、たぶん(写真点数的には)大部分を占めるであろう現存実車のwalkaround写真もかなりweb上にあるもので間に合ってしまうため。
ポーランド語が読めればまたちょっと違うんでしょうけれど……。
また、キット同様、この本も「シボレー155ベース説」を取っているようで、この点は私はちょっと疑問視しています。

hn-nhさん紹介の2冊は、2冊ともヤン・タルチンスキ著ですね。上で紹介した「ワルシャワ蜂起におけるポーランド国内軍の車輛」もタルチンスキ著なので、hn-nhさん紹介の1冊目は、そのリニューアル的な本の可能性も。うーん。欲しいかも。
Commented by hn-nh3 at 2019-01-28 16:03
プライベート写真から発掘された未公開ショットが多数掲載!オリジナルネガから新たにスキャンした高精細写真!謎の塗装色が判明!新知見に基づくオリジナル図面を収録!..とかでないと、最近はわざわざ本を買おうという気になれないですよね。

クブシュですらネットで内部写真もネットで多数見ることできる時代ですし。

ヤンさんの”POJAZDY POWSTAŃCÓW WARSZAWSKICH 1944”は、このページ(https://klassikauto.pl/pojazdy-powstancow-warszawskich-j-tarczynski-wkl-2009-r/)に少し中身が載ってますが、"POJAZDY ARMII KRAJOWEJ W POWSTANIU WARSZAWSKIM" のアップデート版なんでしょうかね。

先のコメントで本のリンク貼ったところの本屋さんは海外発送も対応してるみたいでしたが、送料が本の値段の倍ぐらいかかるとわかって、思いとどまってしまいました。
チェコの本屋さんでチェコ蜂起本を買えるか調べたら、それも送料が3000円超とかで.....東欧から送ってもらうのは高いのかしら。
by hn-nh3 | 2019-01-26 09:43 | 資料 | Comments(10)