人気ブログランキング |

断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

ドラゴン・トラップ


d0360340_07465847.jpeg

残念なお知らせです。
前々回の記事でDragonのlll号着弾観測戦車のキットには旧式の起動輪にスペーサーをはめて400mm履帯をつかえるようにした改修型起動輪がパーツで新たに起こしてある。これは絶対に買い! と言ってしまったのですが、どうやらこのパーツには罠がある模様。。

写真左側の丸穴があいたものがE~G型まで標準的に使われた360mm履帯用起動輪にスペーサーをかませた改良型。右端はH型後期以降に使われた400mm履帯用の新型起動輪。

d0360340_07531013.jpeg

真横から見るとこんな感じ。左側が400mm履帯用新型スプロケット。手持ちのJ初期型熱帯仕様のキットのものから。継ぎ目にパテがラフに塗りつけてあるのは気にしないでください。パテの乾燥中でだいたい三年くらい寝かした状態。
そして右側のものが、スペーサーをかませた旧型タイプ。400mm履帯が使用できるように幅が拡張してあるのがわかります。

d0360340_07562951.jpeg

仮組した状態。美しいディテールです。
ドラゴンはマニアックなバリエーションキットを展開するために、こうしたちょっとしたパーツの金型を追加で起こしたりするフットワークのよさは見事でしたね。(過去形)
このパーツでは歯車の裏側にリング状のスペーサーをかませて丸穴のあいたディスク部分との段差が大きくなった改修型の特徴を再現してます。

と、ここまではいいのですが...

d0360340_08030438.png

実車の写真と比較してみると、ん? キットのパーツのほうが段差が浅くない??

目の錯覚かなとあれこれと事例写真と見比べても、やっぱり実車のほうが段差が深い。
改修型スプロケットをつけてる現存車両もあるので、Primeportalのこの写真と比べてもやっぱり実車のスペーサーのほうが厚くみえる。その写真を見て他にわかることは、スペーサーリングには、ボルト穴を兼ねた軽量化の穴がリングに沿ってびっしりと並ぶ部材であることだ。鉄板を切り抜いたものではなく、鋳造部品なのだろう。

d0360340_08094721.jpeg

試しに上の実車写真と同じアングルで撮ってみました。車体は撮影用に作りかけのJ型車体で代用。
確実にキットのパーツはスペーサーが薄いですね。実車と比べて丸穴ディスク部分との段差が不足気味。

Primeprtalのこの写真でスペーサーの厚みがよくわかります。
車体側の歯車と外側の歯車にはめられてるスペーサーの厚みに違いがあるのです。内側のものは薄く外側のものは厚い。
それなのにキットのパーツは内側も外側も同じ厚みのスペーサーで設計されてしまってるのです。やっちまったね、ドラゴン。。

内側と外側のスペーサーの厚みの違いは、360mm履帯から400mm履帯へと対応させる際に、中心振り分け両側20mmに拡張すると内側では車体の干渉がでてくるので外側により大きく拡張させるようにしたのだと思われます。

3号戦車の履帯の変遷は初期の360mm時代の次に380mm履帯が登場、それにあわせて転輪も75mm幅から95mm幅に拡張。そして400mm履帯では起動輪もそれにあわせた対応が必要に。。
その経緯を踏まえると、380mm時代に両側に10mmずつ軌道を拡張、400mm履帯対応では内側10mmを維持して外側に30mmオフセットさせてトータル40mm(360→400)のスプロケット幅の拡張を行ったのか。

d0360340_11580575.jpeg

手持ちの資料をあらためて読み返したら、GROUNDPOWERの2019/ 5月号 ドイツlll号戦車(3) の寺田光男氏の記事に書いてありました。「...旧型起動輪へのスペーサーリングは、内側10mm幅、外側30mm幅のものが取り付けられた。」p21-22
この変更で履帯の軌道の中心線が10mm外側にオフセットした訳ですが、それに対応するため当初は転輪取付部に10mmのスペーサーをセットしていたなど、この履帯幅拡張に関しても詳しく解説してありました。。。資料は眺めるものでなく、読むものですね(^^;)

Panzertractsなども詳しく読めばそういう情報もあるのかもしれないですが、ハローというところでアロハと言っちゃうぐらいの語学力の身には、こうした日本語の詳細記事は助かります。寺田氏の記事はモデラー目線に応える情報が多く信頼性も高いので掲載号は保存版です。

d0360340_11583643.jpeg

キットのパーツも修正したくなるところですが、実行するかは正直微妙ですね。
確かにスペーサーの30mmと20mmの違いは大きい。たかが10mmだけどスペーサーの厚みの差は1.5倍。1/35スケールで0.3mmプラ板ほどの厚みが不足。
レザーソーで地道に歯車を切り離してサークルカッターで切り出したプラ板のリングをはさんで..と、やってやれないことはないのでしょうけど、問題はその先。スプロケットの修正で0.3mm外側にシフトした履帯の軌道にあわせて、転輪や誘導輪も調整するのか、あるいは起動輪のデフレンシャルギアケースを削って帳尻をあわせるのか、地獄の扉を開けてしまいそうで。。。

Commented by hiranuma at 2019-07-16 20:18 x
hn-nhさん

何やら楽しい工作のぞ感が来たようですね。
見つけてしまったらやるしかない、、。
案外簡単に済むかもしれません。
当方もシャーシーの調節が必要になったみたいです。
Commented by hn-nh3 at 2019-07-16 21:27
Jミリで始まってる hiranuma さんのBA-10もなんだか暗雲立ち込めてきましたね 。どうなることやら... むしろ楽しくなってきた、というべきか。(^^)

このキットの起動輪を修正するかどうかは激しく迷ってます。やってやれないことはないという声と、やったところでどうというものでもないという声と。。

しかし、さらに気まずいことに気がついてしまいました。。
フェンダーはE~G型とH型以降では幅が違うのですね。起動輪幅が20mmづつ外側に広がったのにあわせてフェンダーも広がったようです。GROUNDPOWERの2019.5月号の寺田氏の記事でも触れられてました。Panzertractsを見ても、全幅がH型以降は40mm(20mm+20mm)広がってます。

しかしキットのはJ型と共通パーツで、F型車体であるにもかかわらず、拡張後の「幅広」フェンダーになってしまってます。これまた悩ましい問題。

模型と図面寸法が一致するかどうかは、私自身はさほどこだわりはないのですが、このキットは履帯を換装したり増加装甲つけたり砲塔を改修したりと、「差分」が個性になってる車両なだけに、そこが違っちゃってるとどうにもこうにも。。
Commented by hiranuma at 2019-07-16 22:45 x
こうでなければならない、ではなくこうゆうのもアリではどうでしょうか?
戦時で変化の連続だったはずですから。
Commented by hn-nh3 at 2019-07-17 05:05
hiranumaさん
後の時期のものが先に現れる、といったような時系列的な事実が逆転しない限りは、解釈は自由になりますね。件の幅広フェンダーも改修時に全とっかえした結果、とすることもできますし。
Commented by はい人28号 at 2019-07-19 21:46 x
こんばんわ。2017年ドラゴンのⅢ号指揮戦車H型が発売された時にアフリカ軍団第8戦車連隊長車を製作しました。(2017年関西AFVの会でAM賞をいただいた作品)その際に私は表側の起動輪の部分と丸い穴の開いたプレートの間に1㎜板をかませて
40㎝履帯に合わせる工作をしました。該当部分に十分段差がとれました。
Commented by セータ☆ at 2019-07-20 01:50 x
>幅広フェンダー

結局こういうのは「自分自身と折り合いが付くかどうか」ですねー。

ちなみに、邦人さんはフェンダー側部をカンナで削って幅狭にし、折り返し部分をプラ板で新造して再現してましたよ。
既に工作していた自作の前部・後部フェンダーは作り直してました。
と、プレッシャーなど(^^;)。
Commented by hn-nh3 at 2019-07-20 06:07
はい人28号さん
あの素敵なⅢ号指揮戦車H型の作品にはそんな苦労があったのですね。。。起道輪スペーサーを自作する人なんていないよねーと思い込もうと思ってたのですが。(^^;)
ドラゴンのバリエーションキットは金型の追加流用で細部のつじつまがあってないことが多々あるので、正確を期そうとすると思った以上に苦労しますね。

スミコンがなくなって、はい人28号さんの鬼工作の現場を見せてもらう機会が減ったのが残念です。
Commented by hn-nh3 at 2019-07-20 06:32
セータ☆さんの言うように、「自分自身と折り合いが付くかどうか」というところなんでしょうね。

制作の際に自らに果たしたミッションに必要な作業かどうか。。このサイトでも公開しているGrilleM型改造3cmFLAKは、ベースキットのドラゴンのGrilleM型はオープントップの戦闘室の角度がおかしいんですね。そのため内部造作に矛盾がでてたりするんですけど、それよりも資料の少ないMK103 3cm機関砲の砲架をスクラッチに注力するということで、そこはスルーしたものです。

lll号着弾観測戦車は、特定車両の再現とまでは思ってないのですが、モデルとする実車をどのあたりの車両に定めるかで迷ってるところです。それ次第でディテール再現の必要性も取捨選択できると思うのです。

>>ちなみに、邦人さんはフェンダー側部をカンナで削って幅狭にし、折り返し部分をプラ板で新造して再現してましたよ。

うーん、それは余計な情報ですね。聞かなきゃよかった。。
フェンダー幅の問題を邦人さんがシレッっとスルーするなら心強い、と思っていたのに。(笑)
by hn-nh3 | 2019-07-14 12:16 | lll号戦車 | Comments(8)