1/36 :朝顔図屏風

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暑中見舞い申し上げます。梅雨も心も晴れずの日々の気分転換をかねて、郵便局で買い求めた朝顔の切手を「組み立て」屏風仕立てにしてみました。

切手のモチーフとなっているのが、江戸時代後期は琳派の画家、鈴木其一の「朝顔図屏風」。六曲一双、各178cm×380cm

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(サントリー美術館「鈴木其一」展 2016.9.10-10.30)

数年前に鈴木其一の大規模な回顧展があり、メトロポリタン美術館所蔵のこの朝顔図も出品されると聞いて実物を拝みに行ったものです。やっぱり実物大で見る本物の作品はきれいでしたよ。

ただ、想像以上ではなかったという印象もありました。前に「キッテレビュー」でとりあげた尾形光琳の燕子花図屏風の実物を根津美術館に見に行ったときの体験に似ています。

どちらの作品も紛れもない傑作であることは事実。草花の複雑な自然の造形の写生に止まらず、グラフィックの「図案」のような抽象化を行って屏風絵という装飾性に見事に応えてます。しかしそれ故か、どこか実在感が希薄というか何というか。

絵に何を求めるのか、という話になってくるのだけど、上野の博物館で長谷川等伯の松林図屏風の実物を見たときは墨のついた筆をバサバサッと叩きつけたような筆致など、作品集の小さな画面ではわからなかった「原寸の質感」に心が震えたものです。
それに対して鈴木其一の朝顔図は型紙を使って描いたかのような朝顔の花の葉のミニマルな反復。拡大も縮小も可能なパターンというか、絵画特有の原寸の物質性を逃れるような軽やかさとでもいうのか。

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そんな意味ではこの朝顔図屏風の切手は、スケールを変えても美しさが維持されるというこの作品の特質をうまく捉えてます。ちなみにこの切手は今年(2019)年の切手趣味週間の切手として4月に発売されたもの。ゴールデンウィークの頃に1シートは買っておいたのですがその時は朝顔の季節には早いかなと、今回のレビューであらためて1シート追加購入。近所の郵便局にはまだ残ってましたよ。

プラモよろしく台紙から切り離して屏風に組んでみます。縮小スケールを計算すると、約1/36。惜しい!(何が..)
前にレビューした光琳の「燕子花図屏風」の切手は図柄の上下がトリミングされてしまっていて、正確なスケールモデルとは言い難いところがあったけど、今回の朝顔図屏風はほぼほぼ原画のプロポーションが維持されてます。

ただし、切手のフォーマットの制約で本来なら12分割(六曲一双)となるべきところが、10枚組(五曲一双)となってしまってるのが同様に惜しむべきところ。

それでも、こうやってスケールモデルの楽しみ方ができることろはモデラー的にはうれしいですね。

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余興で1/35の兵士を屏風の隣に立たせてみたよ。屏風は高さ方向は 1/37ぐらいの縮尺に相当にするので、実物より少し小さく見えるけど、だいたいこんな感じ。
銃を構えた米兵は、MiniArtの(no.35089)第101空挺師団 ノルマンディ1944 から。特に修正も追加工作もなく組んでこのプロポーションの良さ。これもまた名作なり。

朝顔に つるべとられて もらひ水(加賀千代女)

Commented by デビグマ at 2019-07-27 09:10 x
今回もマニアックすぎてコメントは控えておりました(笑)。
屏風の切手をミニチュアに見立てる発想に感服。確かに1/36は惜しい。合わせるフィギュアは和装の日本人だとなお良さげですが、そんなフィギュアさすがになかったっけ?
タミヤの忠臣蔵くらいかしら?
どうでもいいコメント、失礼しました~
Commented by hn-nh3 at 2019-07-28 10:13
デビグマさん、しょうもない記事にコメントありがとうございます。(^^)

スケールモデラーとしては、何でもミニチュアに見えることってありますよね。。
その逆で写真を撮るときに、模型の大きさがわかりやすように添えた定規や一円玉が1/35の縮小世界を生きるモデラー目線からすると、とんでもなく巨大なものに見えたり(笑)

タミヤの忠臣蔵セット! そうか。。その手がありましたね。こんど使ってみよっと。
by hn-nh3 | 2019-07-20 17:34 | 草花 | Comments(2)