年末の豊洲市場


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12月28日の豊洲市場。昨年の10月に築地市場から移転して最初はピカピカで落ち着きがなかった風景も、一年が過ぎてだいぶ陰りができてきた。やっぱり市場には多少くたびれた風景が似合う。

水産仲卸棟の通用口の脇にターレのスクラップヤード。修理に回す車両を仮置きしてあるのだろうが、当初はそんな使われ方を想定してなかった場所が日常の中でいつの間にか使われ方が変わってこんなことに。こういうのは楽しい。

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分解ターレ。ボディのカバーが外されて駆動部が露出。普段は見ることができない内部機構が観察できるので思わずシャッターを切る。

駆動方式は電動モーター。荷台下部に積んだバッテリーに充電してその電力で、ハンドル下に設置されたモーターを回して、前輪で走行する。かつては原付みたいな小さなガソリンエンジンを積んで、パタパタと音を立てて築地市場の中を走っていたターレも、ここ豊洲では全て電動車。水産棟では、この黄色いボディにグレーのヘッドの組み合わせのニチユ製”エレトラック"が主流。

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モーターの裏側にはファンがついてました。モーターが過熱して焼きつかないように冷却するための装置かな。ぐにゃぐにゃと曲がる配線はガソリンエンジン車にはなかった電動ターレならではの「臓物」。なにやら壊れたロボット風味。
この車両は簡単には直らなそうな雰囲気。パーツ取り用かしら。

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ターレのヘッド。外側のサークルはハンドル、内側の細いサークルはアクセルで手前をハンドルと一緒に握って倒すと加速、放すと減速。奥を倒すと後退。ブレーキは足元にあるフットペダルを使う。

あちこち錆びててかなり年季の入った車両。流れた錆びで赤みを帯びたヘッドカバー。錆び具合からして築地市場で使われてた車両でしょう。築地では場内の洗浄水に濾過した海水を使っていたから、構内車両はほとんど錆びだらけでした。

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ヘッドパーツの裏側。普段はなかなか見ることができない貴重なアングル。樹脂成形品で裏側には補強リブが入ってますね。そんなことがわかって何になる訳ではないけど。モーターの配線が3本あるってことは三相モーターかな。

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モーターを上から見たところ。部品の配置構成がよくわかります。車体のフロントガードには裏側に補強リブ、ホイールのボルト数は6個。そんなディテールを見たがる人はほとんんどいないと思うけど、いつか見たくなる時がくるかもしれないから、その時のために。

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隣に停まっていたフォークリフトもなかなかの歴戦の車両。どうやったらここまで..という錆びっぷりですが、これも築地市場の時から使われてた車両でしょうね。

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豊洲では魚は買えないの?という声を耳にするけど、YESでもありNOでもある、というのが答え。

豊洲市場は卸売市場なので、一般観光客向けの小売はしてません。なので仲卸売場への観光客の立ち入りは制限されてます。しかし、魚を「仕入れる」人はだれでも入ることができます。町の魚屋さん、お寿司屋さん、小さな料理屋さんのように気に入った魚を一匹二匹の単位で買うことができます。

切り身や捌いてくれたりはしないので、丸々一匹になりますが、売場のルールに従えばなんでも買えます。並んでいる魚にはキロあたり単価が表示されていて、選んだ魚をひょいと指で掴んで吊るしてあるビニール袋に自分でいれるか、近くにいる店のお兄さんに渡して、店の奥にある帳場に支払いに行きます。店のお兄さんが魚を計量して「ハギ(カワハギ)、ゼロヨン(400g)、サンサン(3,300円/kg)」と読み上げると帳場のおばちゃんがポンポンと電卓弾いて0.4×3,300=1,320円+消費税と示された金額を支払う仕組み。レジ横においてあるタオルで魚を掴んだ指は拭けます。

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この日の収穫。活締めのカワハギ。400g、K3,300(キロ単価)。場内の「やまふ」で購入。その場で締めたものなので買った時まだすこしピクピクしてましたね。野締め(水揚げのときに死んだもの)のものならこの半分くらいの値段だけど、薄造りにして肝醤油で食べるなら、肝の鮮度は大事。

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買った魚は家で自分で捌きます。カワハギの皮を剥いて頭を外したことろ。ちょっぴりスプラッターな写真でごめんなさい。
冬のカワハギは肝臓がまるまると太ってるので買うならこの時期。これを包丁でたたいて細かく擦って醤油とあえてた「肝醤油」に薄く削いだ白い身を浸して食べればフグに勝るとも劣らずの美味。

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本マグロ。大間の天然生。1サクで240g。赤身〜中トロ部位で3,700円、築地場外の「樋栄」で購入。豊洲の場内ではマグロはブロック売りが基本なのでさすがに手がでません。普通に数万、いいものは10万以上するからちょっと無理。

卸売市場が築地から豊洲に移転する時に、築地の場外市場の一角に小口の仕入れのための「魚河岸横丁」という仲卸の売場ビルが整備されて、朝の9時までは仕入れ客専門、9時以降は一般買物客にも開放していて、そこだと小分けにしたものを置いているので買いやすいです。

マグロは何も大間のものがいいって訳ではなくて、大間のものだってピンキリ。マグロは回遊魚だから季節でいいものが揚がる港はどんどん変わるし、その日の入荷の具合でいい産地のものを選んで買うといいでしょうね。だからデカデカと「大間マグロ」とか掲げてたりしてなくて、ひとつひとつ産地を明示してる店が買うのが賢明。顔を覚えてくれると、今日はこっちのカナダのほうがいいよ、とか教えてくれたりするし。

年末のマグロは正月用の相場で、この日の大間のはちょっとどうかなというところでもあったのだけど、お買い得用に用意されていた長崎の養殖もののほうが脂ののりや身質はよさそうではあったけど、酒の肴にするなら冬の味のする青森産かなと思ってこっちに手を出した次第。

Commented by hiranuma at 2019-12-29 20:52 x
魚がさばけるなんて素敵です。
大吟醸を持参して飲み会でも、、なんて。
Commented by hn-nh3 at 2019-12-30 06:07
いいいですね、酒盛り。しましょしましょう(^^)
市場巡りは月に1〜2回。魚を買って帰る趣味ももう10年くらいになるでしょうか。最初はさばくというより解体という感じだった手つきも最近は少しわかってきたかなと自分でも思える様になってきましたね。やはり数こなすことが上達への近道でしょうか。

魚は足が早いから積んでおく訳にもいかず、買って帰宅したら冷蔵庫に入れる前に下処理して、盛り付けはその日の夜かせいぜい次の日ぐらいまでに。包丁の入れ方も、イメージからずれてもパテ盛ったり修正できる訳じゃないから、迷わない、触りすぎない。いいトレーニングにはなりますね(何の?)w
by hn-nh3 | 2019-12-29 09:04 | ターレットトラック | Comments(2)