Matilda Go To Russia Part.2

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2ヶ月ぶりです。

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夏の初めにマチルダ戦車のキットを作り始めて今は秋。記事を書くまでにだいぶ時間がかかってしまったことになるけど、模型そのものはとっくに組み立てが完成していて、この写真を撮ったのが初回の記事から1週間後の8月20日。


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それから何をしていたのかというがコレ。レンドリースでソ連に送られたマチルダの追跡調査を続けていました。前回のリストでは追跡できたのが100台くらいだったものが今回は280台。これまでGoogle頼みだった画像検索にロシアの検索エンジン:Yandex.com を使ってみたら、ロシア語サイトにアップされてるマチルダの画像がドッサリ.. Google先生でも知らないことって案外と多いんですね。

追跡リストは記事の後半に掲載しておきますが、イギリスからソ連に送られたマチルダ戦車は918台だから、そのうち30%くらいの車両が写真に写ってたてたというのは本当に驚くべきこと。


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マチルダ戦車は車体の両側と後ろの見えやすい場所にイギリスで工場出荷時につけられたWDナンバーあるので、車両の識別が簡単。違うアングルから撮られた写真でも番号で同じ車両だと特定できたりします。このT.46054号車は10枚くらい写真が残っていて、ディテールも全方向からの検証が可能です。
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エシュロンデカールにもこの車両マーキングが採録されているから、このT.46054号車を再現しようと考えてました。


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砲塔ハッチは低いシルエットのタイプ。タミヤのキットにはこのタイプのパーツも入っているのでそのまま使えました。タミヤの組み立て説明図にある背の高いキューポラは前期型に多くみられたもので、写真で残っている車両のリスト見る限り、ロシアでは低いタイプのハッチの車両が多数派のようです。


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T.46054号車を作る場合の改造の大きなポイントとしては、履帯をカバーするサイドアーマーの開口形状。スリット穴の前端はスクエア、後ろ端部は何かの取り付けペグがついた「5」のタイプ。コーナーにドリルで穴を開けてカッターで切り落として角丸の開口部になるように。


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そして後端のペグ(1)はプラ板で再現。ついでに排気管のジョイントのフランジに固定用のボルト(2)、ブレーキランプの配線をエナメル線でそれらしく。


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タミヤのキットでは、後部のフックは標準装備の燃料タンクのラックを取り付けるためのガイドがついたタイプだけど、この車両ではフックのみでワイヤをかけるシャクルがついた状態(3)。

キットでは省略されている(4)の部分の車体上部パーツを繋ぐリブと(5)駆動輪の最終減速機カバーのグリースアップ用ボルトも追加。その他、些末な考察をつらつらと。


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(6)アンテナベースもタミヤのキットに取付け指示はないけどパーツで入っているものを使用。組立説明図にある車体後部の可倒式のアンテナベースは前期型で標準のNo.11のもので、ロシアでそのタイプを見かけるのは2700番台の車両ぐらい(T.27880など)。多くは砲塔上部に固定するNo.19のタイプを使用しています。アンテナベースは輸送時には別梱包だったようで、輸送時の状態のまま未装備になってる車両もそこそこ見かけます。

(7)煙弾発射機のリモート用配線はエナメル線で追加。(8)砲塔の防盾上面の放熱穴はスリットの開口を広げてロッドを溶接したタイプを再現。ただしこれがT.46054号車の「正しいディテール」かは不明。ここが分かる車両の写真は少ないものの、タミヤのキットのようなスリットのタイプも見かけます。そして防盾の照準穴はキットの円の一部がカットされたものでなくてくるっと丸い縁が回るタイプに改造。(9)工具箱のカバーのハンドルはプラ棒細工で追加。(10)ロシアで見かけるマチルダではペリスコープはほぼカバーなし。キットでは再現されてないペリスコープのプリズムのエッジが三角になるように削り込み。

車載工具類はつけないのがソ連のマチルダの標準装備のようなので、キットの取り付け穴を埋めたり、ラックと一体でモールドされてた工具を削り取ってラックだけの状態にしてます。


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お楽しみのギミック。砲塔のサブハッチとサイドミラーは真鍮線を埋め込んで可動します。


履帯はセンターガイドの穴がちゃんと再現されているブロンコの組立可動式の履帯を使ってみました。
だけど、その穴が見えるのはフェンダー上の予備履帯ぐらいなので、足回りはタミヤのキットのもので全然問題なかったかも、というのが作ってみた後での実感。

しかも、T.46054号車を本気で再現するなら履帯はこのタイプではないという...

写真を見ると、どうやらグローサーリブのある履帯を使ってるようなのですが、流石にその履帯のキットはないし、ここを指摘する人はたぶん日本にもう一人くらいしかいないし。

なので正確にいうなら、これはT.46054号車に似ているロシアで割とよくあるタイプのマチルダ。


( 下にマチルダ追跡リストあり〼 )




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Matilda List 2021.10.24 update

Commented by セータ☆ at 2021-10-25 00:43 x
グローサー溶接の「下駄の歯」タイプ履帯、MasterClubから【MTL35186:Tracks for Matilda Flat type with welded grouser】ってのが出てますよん。
https://models-market.ru/product/MasterClub-MTL35186

これで1台は作ってやりたくなりますよね。
Commented by hn-nh3 at 2021-10-25 05:59
まじすか。MasterClubはMs.modelsさんの入荷情報でチェックするくらいだったので油断してました。
知ってしまうとグローサー溶接タイプに心は揺れますが、決心は固いですよ。
..というか蓋のゆるんだ流し込み接着剤の瓶を落とすという事故がありまして、マチルダは全身接着材を浴びたんですね。
それであちこちに染みができたし、履帯なんて(試し履きしてたところに)接着剤が回ってガチガチに固まってしまったのよ...
足回りを塗りながら組み立てるなどの組み立てが全部水の泡になりましたが、迷いも吹っ切れましたね(笑)
誘導輪も全鋼製タイプを3Dで作るか..なんて野望も夢に。

ところでごく一部で話題のグローサー溶接履帯ですが、フラットタイプのに下駄の歯を溶接したのに加えて、TD5910っぽいのに下駄の歯がついたのもあるのかしら?
https://imgur.com/a/BuU2eW7
Commented by デビグマ at 2021-10-25 09:39 x
待ってました!細かい工作いいっすね~
ここまでレンドリースのマチルダを追及した人は他にいないのではないかと・・脱帽です!
Commented by かば◎ at 2021-10-25 13:10 x
うぉう。これは資料性が高い……。
マチルダの工作を再開するときには全面的に頼りにさせていただきます。
予備履帯も頂いたきりですし。

マチルダの「下駄歯履帯」、グローサー自体はただの角棒っぽいので、インジェクションの履帯に一個一個貼っていく……というのを夢想したことはあります。夢想しただけ……。
Commented by hn-nh3 at 2021-10-25 20:36
デビグマさん
レンドリースマチルダはセータ☆さんがGizmologに詳細な分析記事を書いてるので、それあってのモデリングですね。

記事では書かなかったけど、サイドアーマーに並んでるメンテナンスのヒンジの車体側は沈頭リベットになっているのを再現したり、砲塔側面のラックが外れてボルト穴だけが残ってるのとか他にもいろいろ手を加えましたが、2ヶ月前のことなので、自分でも何をしたかもう忘れてますね。
Commented by hn-nh3 at 2021-10-25 20:53
かば◎さん
追跡リストはディテールの変遷を整理するために始めたのに、すっかり目的を逸脱して収拾がつかなくなってます。
こういうものの分かりやすい整理方法ってあるんですかね。

履帯はブロンコのものはタミヤより僅かにピッチが短いのか巻きつけるとぱつんぱつんになるので、予備履帯以外はタミヤの履帯を使うのが正解なような気がします。
by hn-nh3 | 2021-10-24 17:50 | マチルダ | Comments(6)