ミカンセーキ

炙りランナー、あるいは溶接痕

模型
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最近のキットは装甲板の溶接痕(ビード)の表現はとってもリアル。パーツ分割の都合で省略されているところに溶接ビードを再現する方法としてはエポキシパテが表現に優れてはいるもののパテを捏ねたり、ラインを整えたりする手間はちょっと面倒。最近はもっぱら伸ばしランナー。流し込み接着剤で溶かして溶接のビードを再現。
キット製作時に余るランナーをライターで炙っていろいろな太さのものを作っておくと便利。伸ばしランナー、その日の気分で意外と太さが好みのものにならなかったりするので、「体調がいい時」にたくさん作りためておきます。
2枚目の画像
溶接痕について少し考えてみます。実際の溶接には大きく2パターンあって、1つは「突きあわせ溶接」というもの。図の上の方法です。つなぎ合せたい部材の端部を角度をつけて切り欠いて板の奥まで溶接の熱が届くようにします。このための部材加工を「開先加工」と言います。裏側には「裏当て金」をつけておきます。突きあわせ溶接は部材をしっかりとつなぎ合せることができるので装甲板の接合によく使います。
もう一つは「隅肉溶接」と言う簡易な接合方法。図に下のパターンになります。組み合わせた部材の表面や隅の部分に溶接棒をあてがってバチバチっと溶接する方法。この方法だと部材の表面は溶けるものの奥までは届かないので強度が必要な部分には使えません。逆に熱の影響を少なく部品を固定できるので装甲板にフックなど小部材をつけたりするにはこの方法。
分厚い装甲板同士をつなぎ合せるのは「開先加工」にも限度があるので、第二次大戦当時は厚板の完全な溶接は未だ難しかったようです。それを補う方法として、組み継ぎと言って、ジグザグに切り欠いた装甲板を組み合わせて、ある程度の深さまでの溶接でも強度が確保できるようにする方法。しかし完全に接合したものではないので、被弾して誘爆した時にそこから破断してしまっている例をよく見ます。
3枚目の画像
話を模型に戻します。伸ばしランナーを部材に直接おいて溶接痕を表現しようとすると、図の下の例のように、溶接ビードが大きく盛り上がった状態になってしまって、少し荒々しいイメージ。

盛り上がりを少なく、もう少し繊細に表現するには部材に溝を掘って、そこに伸ばしランナーをはめ込んで、その状態で溶かし込む方法。図の上のパターンになります。この溝の深さと伸ばしランナーの太さの組み合わせでいろいろなニュアンスをコントロールします。このための溝の筋彫り作業は模型の「開先加工」。

4枚目の画像
この「開先加工」の深さの違いでどのような溶接痕ができるか、3パターンで実験してみました。Aは筋彫りなし、ラインのあたりをつけるためのケガキ線だけ入れてます。Bは伸ばしランナーの直径の1/3程度が埋め込まれる深さの溝。Cは2/3程度埋め込まれる溝をつけたもの。写真左は溝にランナーをはめ込んだ状態。それを流し込み接着材で溶かしたものが写真右。(写真:クリックで拡大)

平面部分の溶接表現には直径の1/2ぐらいの溝を作るのがラインもきれいに出て良さそう。入隅部分には溝は必要ないだろうけど、出隅に溶接ビードを作る時には必要不可欠。

溝に嵌めたランナーに接着剤を塗ってカッターで刻みを入れて接着剤を塗って柔らかくして形を整えてまた接着剤を塗って乾かして溶接ビードを表現。カッターの刻みを細かくしてもう少し繊細な感じにしたかったけど... 実験だから今回はこの程度で。
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