断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

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フィギュア制作の塗装編。前回の記事は→ ソ連戦車兵改造
T-60軽戦車に載せるソ連戦車兵。MIniArtのフィギュアセットをベースにヘッドはタミヤの最近の3Dスキャンのものから流用。オリジナルのヘッドも個性的で捨てがたいものがあったけど、やっぱり目元や口のまわりがシャープなものをつかったほうが塗装は簡単。

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フィギュアの塗装は油絵の具を使ってます。油絵の具特有の粘りや乾燥時間の長さがグラデーションをつけたり細い線を引いたりするのに便利。下地はプライマーサフを全体に吹いた上に白の水性アクリル塗料(ライフカラー)を薄吹き。この時点で下地の荒れがないか確認して調整。その後、各部分に基本色を水性アクリル塗料で塗り込んでおきます。油彩の油を吸って乾燥を促進、定着をよくする効果があるようです。ちなみ使う油絵の具はダンボールの上で半日から1日程度油抜きしたものを使ってます。チューブから出したものを直接使うと、1週間たっても全然乾いてないということもあるから、これは欠かせない作業。

d0360340_09511744.jpg肌色の下地には青緑(ビリジャン)を塗ってあります。これは油絵の具が半不透明で薄塗りした場合に下地の色がうっすらと透ける性質を利用した塗り重ねの効果のため。

人間の肌の色は自分の手の皮膚を見るとよくわかるのですが、ぺったりとした肌色ではなく、皮下脂肪の薄い部分が赤っぽかったり、皮膚の下を走る太い静脈部分が青緑色を帯びていたりします。この色ムラを表現してやると人肌らしい色に。

この肌色の下に緑色を置く技法は、絵を描いてる人に聞いた話で、その時はへー、としか思ってなかったのですが、実際にやってみるとなかなか面白い効果がでます。

手順としては少し白を混ぜた青緑(ビリジャン)を最初に塗って乾燥。この上に肌色を薄くかけて基本の下地色をつくります。この時点では非常に顔色の悪い人になるのですが、上塗りをすれば顔色はよくなっていくので、この時点ではあまり気にしないように。写真は最初に青緑を塗ったときのもの。スタートレックにでてくる異星人のような色。
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けて 「肌色」という色は油絵の具にはないので、いくつかの色を混ぜて作ります。白にオレンジを少し混ぜると基本的な肌色ができるので、それに黄色や赤を混ぜながら欲しい色味になるように調整。そんな色を塗り重ねていくと人肌色に。手の甲の絵の具を薄く塗り残した部分には下地の青緑が透けて、血管の色のような感じに見えます。爪の周りには赤みを足した肌色をおいて、爪は白を足した色。

顔を塗る時もそうですが、影の色には赤と青を混ぜながら紫の色調を強くするくらいで、基本的には茶色は使わないようにしてます。確かに、茶色を使ったほうが陰影がくっきりとしてメリハリはつくのですが、どうしても人形っぽくなってしまうんですよね。実際、茶色なんて色は肌にはないし。ただ、アイラインには少し茶色をつかったほうが目元のシャープさが表現しやすいのも確か。
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顔は難しいですね。まだまだ塗りの甘さが目立ちます。白目はアクリル塗料で描いてその上にブルーグレイの絵の具で黒目を表現。今回、黒目塗りに乾燥の速さを考えてアクリル絵の具を使ったら見事にしっぱい。黒目はやっぱり油絵の具のほうが描きやすいです。失敗しても何度もふきとれるし。そんなことで目元を何度もやり直したものだから、表面が少し荒れてしまいました。目の部分には最後にクリアをかけて「光」を表現してます。

しかし細かい塗り分けの作業は3倍程度のヘッドルーペでは限界。その道の達人はどうやって塗っているんだろうと思います。ただ、慣れないながらもアルパインのフィギュアの塗装見本の写真とか見ながら、上瞼や下まぶた、小鼻の周り、口角の部分などの細かい明暗をつける作業をしていると、不思議でだんだん「見える」ようになっていくのも感覚としてわかります。見えないということの半分は塗るポイントを知らないから。それがわかるようになれば、ルーペの倍率を上げなくても今まで以上に見えるようになるのかも。

今回の大きな反省としては、下地の青緑を塗るのに油絵の具を使ったこと。服の色などアクリル塗料で下地を作った部分にくらべて上塗りの油彩の乾燥時間が全く違いました。肌色に使う白の絵の具の乾燥が遅いというのもあるのでしょうが、下地のアクリルが上塗りの絵の具の油を吸う効果が大きいのだと思います。

そんなことで、中塗りの肌色が乾ききらずに色を重ねてしまった部分など表面が荒れてしまってます。こういう場合は、一度乾かしてから表面に軽くペーパーを当てて塗り重ねるといいのでしょうが、今回は時間がなく断念。乾燥を含めた塗装期間を10日ほどやっぱりもう1週間以上は余裕が必要でした。

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戦車兵ヘルメットはレジンキットメーカーのTANK(タンキ)のものを利用。以前、四谷仙波堂で買ったもの。戦車兵用のゴーグルはタミヤのBT-7のクリアパーツについてたのを利用してます。モールドは良好ですが、さすがに最近のCAD/CAM金型のようなシャープさには及ばなかったので、エッジにペーパーを当ててディテールを調整。

d0360340_19281493.jpgもう一人のスキンヘッドの戦車兵。脱いだ戦車帽は当然に近くにあるだろうということで、用意しました。脱ぐなら戦車の中ではなく車外にでたところだと思うし。
TANK(タンキ)のレジンパーツを熱湯につけて柔らかくなったところをピンセットでつまんで変形させました。脱いでだらりと歪んだ感じに。

戦車兵の服装のディテール、色調はこのサイト:Авто-бронетанковые войска Красной Армии
を参考にしました。かば◎さんに教えてもらったサイトで、モデルさんが実際にコスプレしてる写真がずらりと並んでいるので、ロシア語よくわからなくても大丈夫。

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オーバーオール(つなぎ)は大戦初期の青いものにしました。1942年の夏頃だと、グレーのもののほうが一般的なのかもしれませんが、ジオラマの背景となる麦畑の金色とのコントラストを考えて青を選択。その下に着ている制服はギムナスチョルカといわれる折襟のタイプ。脱いだ戦車帽をそばにおいたのですが、影になってあまり目立たなかった...

フィギュアの胴体部分は襟元以外は袖口などキットのモールドをシャープに調整したぐらいで利用したのですが、長袖のままでよかったのかと..ちょっと不安に。

設定は1942年の8月。夏なら腕まくりくらいしてるのが自然なのかしらと、気になってロシア南部、ロストフの気候を調べてみました。→ロストフ・ナ・ドヌ気温
夏の暑さのピークは7月。8月の平均気温16.9度、平均最高気温28.8度、平均最低気温22.6度。東京の9月中〜下旬くらい。湿度や降水量は東京の2月と同じで非常に乾いた気候。いわゆるステップ気候というのでしょうか。
そんな感じなら、腕まくりしてなくても不自然ではないかな。
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by hn-nh3 | 2018-04-05 20:20 | 人々 | Comments(0)

ソ連戦車兵改造

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ソ連戦車兵のフィギュアを作る、の巻。製作中のT-60戦車に添える予定の2人組。どちらもMiniArtのソ連戦車兵のセット(Soviet Tank Crew at rest)から。少し大きめのヘッドをタミヤから出ているアメリカ戦車兵セットのものに取り替えてます。


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このフィギュアセット、Miniart初期の傑作フィギュアですが、昨年に装備品の新規パーツ追加でリニューアル再販されてます。

ボックスアートを見ると、ちょっぴり素朴なイメージで、どうなのかなと思ってしまいますが、なかなかどうしてプロポーションは抜群。モールドもドラゴンやタミヤの近作のようなシャープさには及ばないものの、Miniartのフィギュア特有のリアルな皺の表現など、現在の目で見ても十分に通用する水準。

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その中でも白眉はコレ。写真は試しにストレートに組んだものですが、なんとも存在感があります。この彫刻的な身振りを見ると、ドラゴンのフィギュアなんかはモールドはキレキレでも、ただの良くできた人形に見えてしまいます。
このフィギュアの特筆すべきことは、そんなことよりも、手が3本あることです。このシルエットには驚かされます。もちろん本当に腕が3本ある訳ではなく、ツナギを着る途中のポーズのため、袖に通しかけの腕と、まだ腕を通してない袖がぶら下がっているだけですが、この翼がついたような身振りに、なんとなくサモトラケのニケを思い出す。

インジェクションの都合で再現できなかった袖口を掘り込んだり、側面のモールドが甘くなってしまっている革ヘルメットをアフターパーツに取り替えるぐらいで十分に使えます。ヘッドも少し大きめでゴリラ顔ではあるけど個性豊かな表情で捨てがたいものがありますが、今回はもう少しカスタマイズしてみます。

d0360340_19595833.jpgタミヤの近作、アメリカ戦車兵セットからヘッドを流用しました。3Dスキャンを駆使して、最新のドイツ戦車兵セットとともに素晴らしい出来です。目元もちゃんと上瞼と下瞼がモールドされてたりします。

赤く囲った2人をスカウトしました。Miniartのフィギュアの中の人と代わってもらいます。アメリカから人材派遣、いわば人間レンドリースですね。

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このアメリカ戦車兵セットのヘッドはタンクヘルメットを被ってる関係で上頭部と耳がないのでエポキシパテで造形します。耳はロシアのガレージキットメーカー:TANK(タンキ)のレジンヘッドを「おゆまる」で型取りしてエポキシパテを詰めて複製したものを移植しました。1人はスキンヘッド、1人は革ヘルメット姿で再現します。ソ連戦車兵のヘルメットは同じくTANKのものを使用。

d0360340_23044452.jpg今まであまり意識してなかったのですが、人間の頭の形って、小判形ではなく洋ナシというような、こめかみのあたりから後頭部に向かって幅が広くなる形をしてるんですね。パテを盛って何か違うなと、この骨格の話に気がついて修正したものだから、最初につけた耳はパテの中に埋まってしまって、結局耳の大部分はエポキシパテで造作する羽目に。

ん? 耳のディテール? 意地悪なことは聞かないでください。今のところこのくらいが精一杯。

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ヘッドを仕上げるに当たって、ソ連戦車兵のイメージを固めます。こんな奴らがいいかな。1人は左の彼。もう一人は真ん中の人をベースに右の太っちょさんのイメージも加えてみます。タミヤのアメリカ戦車兵はやっぱりアングロサクソンっぽいので、もう少しスラブ系の顔にするために頬骨、眉骨を少し強調。鼻筋も少し低く。それで冒頭の写真のような感じに調整。

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一人目。左がオリジナル。右が改造後。ヘッドのすげ替えの他に、襟元を修正しました。キットのものはM43チュニック、通称ルパシカと言われる立襟のタイプ。これをM35、ギムナスチョルカと言われる普通の折襟の形にエポキシパテで改造。
オーバーオール(つなぎ)のエッジも掘り込んで上に着込んでいる感じになるようにディテールを強調。

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二人目。左がオリジナル。右が改造後。頭が一回り小さくなってバランスがよくなりました。腕やつま先の角度も調整。
こちらも襟の形を修正。手の指先などインジェクションの都合でモールドが甘くなってる’部分を彫り起こしてます。トカレフのホルスターはリニューアル版で追加されたものから。スライド金型使って側面もしっかり抜いてきてます。
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プライマーサフを吹いて、この後油彩で仕上げます。作業用のホルダーは洗濯挟み。
この辺りの制作環境は以外とローテク。



by hn-nh3 | 2018-03-22 23:45 | 人々 | Comments(0)