断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

カテゴリ:ロレーヌシュレッパー系列( 5 )

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前回の記事で制作した無線機のラックを設置する。テキトー考証で既につけてしまっている無線機ラックを解体。
カッターの刃を慎重に差し込み少しひねってやると瞬間接着材で接合した部分がパリっと剥がれる。
既に配線をしてある無線機は、本当は配線を一度外して作業したほうが設置作業は楽になるという気がしたものの、せっかくつけた配線もバラすのは少し忍びなかったので、配線をつけたまま宙に浮かしてラックの取り替え作業。ずいぶんとアクロバティックな作業になってしまったもののなんとか完了。

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ついでにアンテナベースがつく雨避けの板も少し改修。実物は端部が補強をかねて折り返してあるようなので、プラ板の細切りを貼り足して整形。

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アンテナからの入力ケーブルのコネクターはアンテナ基部下、無線機横にレイアウト(たぶん)る
無線機の雨避け板の上にはヘッドホンの収容箱が置かれるのが標準レイアウトのようだけど、ノルマンディ戦での捕獲車両の写真では見当たらないので、それに倣って設置してません。
車内通話用のコネクターが設置されているかどうかは、参考にした記録写真では判然としないものの、運転手がヘッドホンをつけていると思われる写真もあるので、運転手席への通話用配線があったと想像できます。となると車内通話用のコネクターも設置されていた可能性が大。模型ではスピーカーの後ろにチラリと見えるのがそれ。

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無線機ラック改修完了。これで当たらずとも遠からず。資料写真と比較してみます。

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この記録写真の高解像度の写真があれば、各部のディテールが判明するものも多そうですが、現時点での考証はこのくらいが限界。

射表といわれる射撃補正用の数値が書いてある黒板は、アフリカ仕様では無線機横の戦闘室内部側面に設置されてましたが、この写真を見る限りはノルマンディ仕様の車両ではそこになく、どうやら前面装甲板左側についていると思われます。装甲板上端がうっすらと線がダブルになっていて、内側に薄い鉄板が貼ってあるように見えるのが、射表ではないかと推測。

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ちょっと気になること。米軍の調査報告書からの抜粋ですが、砲座の部分の車体には欠き込みがあるような図。そして補強用の三角のプレートの有無について。

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BrachModelのキットではこの切り欠きは表現されてません。その横の補強用の三角のプレートがキットでは用意されているのですが、どうもこれは記録写真の読み取り間違いと思われます。

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締め切りもあるので、もうそのままにして先に進めようと思ったけど、やっぱり気になる。サフェーサーを吹いた後で例の三角の補強板をレザーソーで切断撤去。砲架下にハの字型にシャーシ下部まで伸びるアングル材を写真の画角で錯覚して三角プレートと判断したのでしょうが、これは間違い。
プラストラクトの1.2mmアングル材を貼り付けてそれらしく再現。砲座の欠込みは最大仰角時の揺架の干渉を避けるための措置だと思われます。これを再現するには模型の構造に影響するので今回は見送り。(まあ次回はないと思うけど)

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最後の悪あがき。戦闘室外側左後部の足掛けステップは実物でも薄いプレートでできていて曲がってることが多いので、ピンセットで掴んで少しひねって、体重で少し変形したように。

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これで工作は終了。時間もないから塗装を始めます。サフェーサープライマーを全体に吹いて、2400番のペーパーで粒子の荒れたところを均して下地調整。工作のキズや接着跡などスケール感を損なうものがないかの最終チェック。

by hn-nh3 | 2018-11-11 18:28 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(2)
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ロレーヌシュレッパー 15cm自走砲 制作メモ、その4。
オープントップの戦闘室内に装備された無線機を再現したことは前に記事に書いたものの、無線機ラックが考証的な正確さを欠くまま工作を進めたことが気になってました。

EduardからRPMのロレーヌシュレッパー用のエッチングパーツが出ているのですが、上の写真はそのパーツ図で、見ると黄色の丸で囲んだところが無線機ラックのパーツ。

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ラックは上部に屋根板がついて側板は4本のツノが下がるような独特の形状。しかし無線機のショックアブソーバーとフレームの関係が少し変だったり、車体への取り付け方が曖昧だったりして、これがオリジナルな装備を正確に再現したものかどうかがわかりませんでした。

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ノルマンディで鹵獲された車両を上から撮影した写真の無線機の部分。この写真から屋根板があることはわかっていたものの、これがEduardのパーツのように屋根と側板が一体化した形状のものなのかは、この写真だけでは判断しにくいところ。
仮にこの写真がEduardの考証のソースだとすると、側面についているアンテナ線のコネクターや車体についているアングル材のフレーム状の構造体もあってしかるべきだが、それは再現されてないので、Eduardがいったい何を参照してパーツ化しているのかが気になります。

d0360340_19043209.jpg思い浮かぶのはアバディーンで展示されていた現存車両。写真はWikimedia Commonsより。

アフリカ線で鹵獲されたもので保存状態も良好。しかし残念なことにオープントップであるはずの戦闘室上面が保存用に鉄板で塞がれてしまっていて、内部を見ることができない。だからこの車両の戦闘室内の写真資料を検索しても全然でてこないのです。

この車両は近年、別な場所に移されてレストア、屋内展示されていることもあり、ひょっとするとEduardはキット化するときにそこから何らかの資料を得て再現したのかとも想像してます。


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レストア後のこの車両の内部写真を探しても、なかなか見つからなかったのですが、ひょんなことからこのサイトにたどり着きました。

そこに内部写真がありました。ついに見つけました。写真の端に件の無線機ラックが写ってます。

その写真から無線機ラック部分を抽出してみると、確かにEduardのパーツに似た形状のものがそこにあります。屋根と一体化した側板のツノの先端にボルト。無線機のショックアブソーバーがそこに留められていたようにも思えます。配線も残っているので復元したものではなさそうです。

写真で見切れてしまって車体への取り付け部の詳細は不明であるものの、車体側に設置されたアングル材のフレームに固定されていると想像できます。このアングル材はノルマンディのロレーヌでも確認できるので、アフリカ、ノルマンディ戦で共通する仕様と考えてよさそう。配線が側板の向こうに回っているのはそこにアンテナコネクターがあると思われます。これもノルマンディのロレーヌの写真と符号します。

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イラクのロレーヌの写真。この車両は2005年、アメリカがイラクに侵攻したときにバスラ北部で発見されたもの。
そんなところにさまよっていた経緯も興味を惹かれますが、今回は無線機に注力。
後部からの写真に無線機ラックと思われるシルエットが確認できますが、よく見ると四角い箱ではなく、側板下部がツノのようになったもののようにも見えます。

Marder ll やMarder lll などドイツ軍自走砲車両に一般的な車体取付用ラックとは異なる独特の形状ですが、これがロレーヌ系改造車両の無線機ラックと考えてよいのかもしれません。

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決め手はこの写真。ノルマンディで鹵獲されたロレーヌシュレッパー改造砲兵観測車の内部写真からのピックアップですが、ラックの部分を注意してみると、例のツノ型に似た形状のアーム。中央部が欠込まれている形状は無線機フレームのY型の固定金具に干渉しないようにしたためか。

無線機のショックアブソーバーを固定する位置が少し違ったり、(内部であるので)天板はなく側板だけの構造だったりしますが、かなり共通点のある仕様。15cm自走砲と同じA.ベッカーの工場で生産された車両なので、同じ部材を使った可能性もありそう。

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よせばいいのに、試しに作ってみました。プラストラクトのアングル材で車体固定用ラック。0.3ミリプラ板でつの型の無線機ラックを作成。

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ツノの先端にショックアブソーバー固定用のボルト。これはドラゴンの何かのキットからボルトを流用。
プラ板細工は楽しいですね。ずっとレジンと瞬間接着剤と格闘していただけに、プラ材で流し込み接着剤でできる作業のなんと快適なことか。調子にのって作ってしまいました。

配線コネクターはK59のレジンパーツを利用。これは瞬間接着剤で固定。そして銅線で配線を再現して、一度は作ったラックをもうこの新しいラックに取り替える気まんまん。

...時間がないんだから、よせばいいのに。(つづく)

by hn-nh3 | 2018-11-04 21:50 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(2)
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11月。SUMICON参加作品、レーヌシュレッパー 15cm自走砲の制作も佳境。
締め切りまで残り1月を切って、工作もなんとか.. 完了、か。

操縦席周りのパーツなど、塗装してからでないと接着できないパーツを残してほぼパーツも揃って、ここ数日は細部の瑣末なディテールの追加作業。

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ヘッドライトはフランス式。キットに付属のエッチングでライトの基部を組み立てる。ついでに銅線でライトのコードを追加。真横から見ない限りは殆ど見えないので模型的にはあってもなくても大して変わらないのだけど、やっぱりこういうところはなんとなく大事な気がする。
当然のことながらホーンにも配線があるはずだけど、配線をどこで車体に引き込んでいるのかわからなかったこともあって、ここはとりあえず省略。

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車体側面のハッチ。ここの取手はロッドの根元の部分を潰して本体にリベット止めとなっているのを再現。0.3mmの真鍮線をペンチで潰してヤスリで整形、リベットを植えた。小さいのを選んだつもりだったけど、こうやって拡大してみるとちょっと大きすぎたか...

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車体後部の手すりは車体装甲板に溶接留め。真鍮線で作った手すりの根元にエポキシパテを練りつけて溶接の肉盛りを表現。真鍮線を植えただけのほうが模型的にはシャープに見えるけど、装甲板の溶接痕などとトーンをそろえて質感がチグハグにならないように。

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乗降用のタラップは付属のエッチングを利用。車体には突きつけ接着するだけで強度的に不安だったので、接着部をカッターでけがいて溝を掘って僅かではあるけど埋め込みにして固定。
実際は根元を補強するディテールがあるんじゃないかと当時の写真を観察するも、どうも実車も突きつけで溶接しただけの納まり。だから簡単に破損してしまうのか、鹵獲された車両ではタラップが取れてしまっているケースが多い。

テールランプはドイツ式のものがついている。ディテールがしっかりしているタスカのアクセサリーパーツを利用。ちょっと変化をつけて、4穴の車間確認灯ではなくフラップをあげて下部のブレーキランプが見えるようにしてみた。

ソミュールに残るMarder l ではテールランプが上下逆さま。ブレーキランプが上側にくるようについていて、これがロレーヌシュレッパー系の設置方法なのかどうなのか。でも記録写真で同じMarder lでもブレーキランプが下側にくる標準的なパターンは確認できるので、とりあえず標準的な仕様にしています。

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テールランプの取り付け基部がドラゴンのキットの不要パーツから流用。前照灯と同じく、テールランプにも配線を再現してみました。やっぱりランプを灯すには電源が必要だしね。模型が電気仕掛けでピカーっと光る訳ではないけど。

by hn-nh3 | 2018-11-01 20:43 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(4)
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ロレーヌシュレッパー 15cm自走砲 制作メモ、その2
プラストラクトのプラ棒(0.3mm×0.8mm)を使って小さなラックを作ってみた。この手の細工は真鍮など金属板を使うのが定番ですが、金属板を曲げてエッジを出すのは以外と難しいところもあるので、プラ板の積層で表現。微細工作の達人hiranumaさんに影響されたというのもあるかな。

曲げた部分プラの弾力で開いてしまうので、この後に瞬間接着剤を塗って開かないように固めました。で、何を作っているのかというと、この写真。

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ノルマンディ戦で鹵獲された車両(右2段)を見ると、戦闘室装甲板の右側面に何かのラックらしきもの。これは何かしらと考えていて思い当たったのが、左の写真。ロレーヌシュレッパ車台の対戦車自走砲Marder l の戦闘室内部にMP40をかけるためのラックがついてます。MG34をかけるためのものの可能性もありますが、自衛用武器をかけるための着脱式のラックと思われます。ラックは2段式のようにも見えますが、この写真だけでは詳細は不明。

ヴェスペやグリレなどの自走砲には戦闘室内にMP40用のL型ラックが標準装備になっていることもあり、このロレーヌシュレッパーにも何らかの小火器用ラックが装備されていたのでは?と考えられますが、それがコレ、なのかも。

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接着してみました。こんな感じかなという当たらずともとも遠からずのディテールです。MP40であればマガジンポーチ、MG34/42であればドラム弾倉のラックを車内のどこかに装備しているはずですが、資料がないので保留。

次は車体側面に点々とついている小さなフックを自作します。

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キットにはレジンで小さなフックが用意されています。なかなか繊細な出来ですが、それでも太さはオーバースケール。
Dragonのキットなどではエッチングパーツでこのフックが用意されてたりもしますが、エッチングの厚みのなさはそれはそれで悩ましく、今回は0.18ミリの銅線で自作してみました。1時間で20個。所要時間は1個あたり3分。

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制作過程。極小のパーツを効率よく量産できるように加工のジグを用意しました。カッターの替え刃を両面テープでプラ板に固定してスリットをつくり、そこに銅線を定規で押し込んでフック型にプレスするという仕組み。

前に自作したときは、真鍮板を加工して簡易ジグを作って0.2mmの真鍮線をプレスしたのですが、同じ素材だとダメですね。使っている間にジグの真鍮材が鈍ってきてしまってすぐにエッジがでなくなって結局はプレス後にピンセットで修正するというめんどくさいことになったので、今回はその反省を踏まえた材料の選択。プレス型は硬いカッターの刃、曲げるのは柔らかい銅線の組み合わせ。もうちょっと写真映えするかっこいいジグにしたかったんですけどね..

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フックの数はアフリカ戦の車両では戦闘室車体上部:前部左右に各2、側面に各3、後面3。ノルマンディ戦になると写真右の車両のように側面のフックが5個の車両が多くなりますが、左の車両など3個のままの車両も確認できます。左の車両はPanzerwrecks8 Normandy-2に掲載の別アングルからの写真で側面のフックが3個であることがわかります。有名なジグザグ迷彩の車両も側面フックが3個ですね。これらの車体上面のフックは大戦後半の車両によくみられる偽装ネット装着用というより戦闘室上面に防雨シートをかけるためにつけられたもの。アフリカでは気にならなかったけど、ノルマンディ地方だと、側面フックが3個だとシートに溜まった雨が車内に入ってしまったりしてフックを追加したのかしら。

ノルマンディの車両では戦闘室前面の予備転輪ラックの下に偽装ネット用と思われるフックが追加されているのが確認できます。いずれにせよ、残っている事例写真が少ないので標準仕様かどうかは不明。その他細部の仕様も、生産途中に改良されたものなのか現地で追加されたものなのか、車両ごとに微差があったりします。

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だいぶ形になってました。ブロック毎にある程度工作は進めてあったとはいえ、レジンキットだと組み立ては大変。パーツの成形精度は素晴らしいですが、勘合がゼロタッチで逃げがなったりするので組み立てには難儀しました。
細部の調整など組み立て完了まであと一息。いやー大変、もう不眠不休ですね...(嘘)

締め切りがせまってお尻に火がついてからでないと本気だせないのは、小学生の頃からの変わらない習慣。夏休みの絵日記に記録する毎日の天気を「復元」するのは大変でしたね。当時はインターネットなんてなかったから、古新聞を引っ張り出して天気欄を集めたり、思い出せる出来事の記憶を時系列にたどって天気を推測したり。。「考証好き」はその頃に身についたものかも。

by hn-nh3 | 2018-10-28 09:38 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(8)
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久しぶりに模型の話。ブラチモデルのフルレジンキット:ロレーヌシュレッパー 15cm自走砲をSUMICON参加作品として、6月より制作しているのだけど、いろいろとあって制作は大幅遅延。
そういえばこっちのブログではこの話題の記事はまだアップしてなかったことに気づきましたが、今更最初から始めるのも気がひけるので、現在進行形の話から始めます。

今回はオープントップの戦闘室内に搭載された無線機の話。生産数の少ない自走砲は記録写真も少ないこともあって、戦闘室内の装備はモデラー泣かせ。多分にもれずロレーヌシュレッパー 15cm自走砲も、内部がわかる写真が非常に少ない。北アフリカに送られ1942年のエル・アラメイン戦で捕獲された車両を調べた報告書(Preliminary Report No. 13 - Lorraine S.P. Mounting)を見ると、戦闘室には砲弾ラックの類はなく、単純に榴弾砲と乗員スペースを囲っただけのものだったようだ。

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オープントップの戦闘室左後部に無線機を積んでらしく、「収容箱が2個」との記述が確認できます。残念ながら無線機周辺を写した写真が報告書には載っていないので、推測にはなるがMarderllなどに搭載されていたような2段式の無線機ラックが装備されていたのだろうか。この記述が正しいとすれば、他の自走砲車両の事例を参考にモデリングすればよさそうにも思われますが、気になるのが次の写真。

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ノルマンディ戦で捕獲されたと思われる記録写真が残ってます。鮮明さを欠くのが惜しまれますが、無線機周りの装備がわかる貴重な写真。比較参考にアフリカで捕獲された車両と、同じくノルマンディ戦の車両の写真も並べて検証してみます。

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無線機が設置されているのは黄色い数字のno1.の部分。上から見たノルマンディ戦の車両では無線機ラックは2段積みのタイプではなく1つしかないように見えます。下の写真のアフリカ戦の車両ではぼんやりとした影ぐらいにしか判別できない。アンテナのつく雨避けのガード(no.2)はどの車両でも共通して確認可能。その隣の四角い箱(no.3)はヘッドホン収容箱と想像しますが、設置が確認できるのはアフリカの車両のみ。ノルマンディの車両では雨避けガードの下部に無線機用変圧器(no.4)の取付金具があるのがわかります。

砲弾ラックのようなもの(no.5)がノルマンディ戦の車両に積んであるのが見えますが、固定式の装備ではなく、運搬用の砲弾コンテナを必要に応じて載せてたのかもしれません。

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参考資料として、2段組の無線機ラックと1段のみのラックの搭載事例。38t戦車車台を利用したグリレH型とマーダーlll M型の写真。

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2段組のラックに搭載されていたのは、Fu5(もしくは Fu16)と言う受信機と送信機が別筐体になっているタイプでII号戦車からティーガーまでの戦車系列、III号突撃砲やヘッツアーなど密閉式の戦闘室を持つ突撃砲/駆逐戦車などが主に装備。それに対して、1個タイプのFuSprech a/d/fはsdkfz.250などハーフトラック、ベスペやマーダーIIIといったオープントップの自走砲などに搭載。上の無線機の写真はK59(1120)のレジンキット。

無線機の機構と運用方法から詳しく紐解いていけば、どの車両にどのタイプの無線機が使われていたか明確にわかるのかもしれませんが、まだそこまで調べ切れてないので、事例からの推測にはなりますが、オープントップの自走砲でも1942年に設計されたグリレHやマーダーIIは2段式のラック(Fu5/Fu16)が採用され、同様に1942年に生産、北アフリカに送られたロレーヌシュレッパー自走砲も2段式のラック(Fu5/Fu16)を搭載していたとするのに無理はなさそうです。

ではなぜノルマンディ戦の車両では2段ラックではなく1個タイプの無線機を積んでいるように見えるのか?。おそらくは1943~44年に生産された多くの自走砲と同様にFuSprech a/d/fを搭載していたからでは、と想像します。

ロレーヌシュレッパー自走砲はアフリカに40両が送られた後、さらに40~50両が追加生産。後部の駐鋤などが改良されたバージョンがノルマンディに配備。その際に無線機の仕様も変更された可能性を考えてます。同じロレーヌシュレッパー車台を利用した7.5cm対戦車自走砲:マーダー1の無線機も1個タイプの無線機だったのは写真(Panzerwrecks 11 P56掲載)で確認。

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ロレーヌシュレッパー車台を利用した着弾観測車の写真。ロレーヌシュレッパー自走砲と同じアルフレッド・ベッカーの工場で生産された車両。砲兵部隊の前方に進出して、着弾位置の修正の指示を出すなど通信機能を強化した車両だけあってか、Fu5/Fu16(+Fu2/15) とFuSprech a/d/fの両方を装備していますね。

ノルマンディ戦で使われたロレーヌシュレッパー15cm自走砲の無線装備に関しては、別のアングルから写した内部写真が見つかるか何かの公式記録で確認できない限りは結論はなさそうですが、今回のモデリングではマーダー1 、マーダーlllと同様のFuSprech a/d/fを搭載していた、との仮定で進めてみます。

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用意した無線機のパーツ。黄色いレジンの機器はK59(1120)のFuSprech a/d/fのセット(no.Z-13)から。前にオチキス改造自走砲を作った際に購入したセットのあまり。FuSprech a/とFuSprech fの2つの無線機の2-in-1。ラックはオチキス改造自走砲の制作で使ってしまっていたので、ドラゴンのGrille自走砲のキットに不要パーツで入っていたMarderlll M用ランナーから流用。

変圧器、車内通話用コネクター、配線コネクター、アンテナベースはK59(1120)の無線機セットに入っていたもの。配線のソケットなど恐るべき注型精度。

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ドラゴンのMarderlll用パーツから流用した無線機ラックは抜きテーパーでフレームが厚くなっていたので、薄く削ってK59(1120)の無線機が嵌るように修正。

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部品を戦闘室に組み込んでみました。無線機ラックを車体に固定するホルダーはMarderlll用パーツをそのまま使用。実際にそうだったかは不明ですが、角度的にもぴったり。変圧器にはバッテリーからの電源と無線機、車内通話コネクターへの電源供給ケーブルを0.13mmの銅線を使って配線。
車内通話コネクターは、記録写真のアングルでは確認できないのですが、ヴェスペやマーダーlllでも装備していることから、同様に装備していたと仮定。

Panzerwrecks 11"Normandy-2" に掲載のマーダー1でも通話装置が写っていることから、ノルマンディ戦の時には他の車両と同様に装備していたと想像していますが。先掲のアフリカ戦の車両の調査報告書には運転手席への通話装置は確認できない、と記述があるので、初期生産車では車内通話コネクターは装備していなかった可能性はあります。

ヘッドホン用収容箱は無線機上に設置されていたのかいなかったのか、他の場所に配置されていたのか、わからなかったのでとりあえず保留。そのかわりに円筒状のスピーカーをアンテナベース脇にぶらさげてみました。このパーツはドラゴンのMarderlll用パーツのものを薄く削り込んで使ってます。最近発売されたPassionModelsのヴェスペ用エッチングセットにもスピーカーのフェイスは入ってましたね。

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配線はK59(1120)の無線機セットに入っていた説明書を参考にしています。配線に使った銅線はEUREKAのワイヤーセットから0.13mmのものを使用。変圧器周りの電源供給ケーブルはもうひとまわり太いのを使って、通信用コネクトケーブルとの太さの違いを表現すればよかった。と作った後で反省。

by hn-nh3 | 2018-10-21 12:52 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(14)