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断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

カテゴリ:lll号戦車( 1 )

ドラゴン・トラップ


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残念なお知らせです。
前々回の記事でDragonのlll号着弾観測戦車のキットには旧式の起動輪にスペーサーをはめて400mm履帯をつかえるようにした改修型起動輪がパーツで新たに起こしてある。これは絶対に買い! と言ってしまったのですが、どうやらこのパーツには罠がある模様。。

写真左側の丸穴があいたものがE~G型まで標準的に使われた360mm履帯用起動輪にスペーサーをかませた改良型。右端はH型後期以降に使われた400mm履帯用の新型起動輪。

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真横から見るとこんな感じ。左側が400mm履帯用新型スプロケット。手持ちのJ初期型熱帯仕様のキットのものから。継ぎ目にパテがラフに塗りつけてあるのは気にしないでください。パテの乾燥中でだいたい三年くらい寝かした状態。
そして右側のものが、スペーサーをかませた旧型タイプ。400mm履帯が使用できるように幅が拡張してあるのがわかります。

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仮組した状態。美しいディテールです。
ドラゴンはマニアックなバリエーションキットを展開するために、こうしたちょっとしたパーツの金型を追加で起こしたりするフットワークのよさは見事でしたね。(過去形)
このパーツでは歯車の裏側にリング状のスペーサーをかませて丸穴のあいたディスク部分との段差が大きくなった改修型の特徴を再現してます。

と、ここまではいいのですが...

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実車の写真と比較してみると、ん? キットのパーツのほうが段差が浅くない??

目の錯覚かなとあれこれと事例写真と見比べても、やっぱり実車のほうが段差が深い。
改修型スプロケットをつけてる現存車両もあるので、Primeportalのこの写真と比べてもやっぱり実車のスペーサーのほうが厚くみえる。その写真を見て他にわかることは、スペーサーリングには、ボルト穴を兼ねた軽量化の穴がリングに沿ってびっしりと並ぶ部材であることだ。鉄板を切り抜いたものではなく、鋳造部品なのだろう。

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試しに上の実車写真と同じアングルで撮ってみました。車体は撮影用に作りかけのJ型車体で代用。
確実にキットのパーツはスペーサーが薄いですね。実車と比べて丸穴ディスク部分との段差が不足気味。

Primeprtalのこの写真でスペーサーの厚みがよくわかります。
車体側の歯車と外側の歯車にはめられてるスペーサーの厚みに違いがあるのです。内側のものは薄く外側のものは厚い。
それなのにキットのパーツは内側も外側も同じ厚みのスペーサーで設計されてしまってるのです。やっちまったね、ドラゴン。。

内側と外側のスペーサーの厚みの違いは、360mm履帯から400mm履帯へと対応させる際に、中心振り分け両側20mmに拡張すると内側では車体の干渉がでてくるので外側により大きく拡張させるようにしたのだと思われます。

3号戦車の履帯の変遷は初期の360mm時代の次に380mm履帯が登場、それにあわせて転輪も75mm幅から95mm幅に拡張。そして400mm履帯では起動輪もそれにあわせた対応が必要に。。
その経緯を踏まえると、380mm時代に両側に10mmずつ軌道を拡張、400mm履帯対応では内側10mmを維持して外側に30mmオフセットさせてトータル40mm(360→400)のスプロケット幅の拡張を行ったのか。

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手持ちの資料をあらためて読み返したら、GROUNDPOWERの2019/ 5月号 ドイツlll号戦車(3) の寺田光男氏の記事に書いてありました。「...旧型起動輪へのスペーサーリングは、内側10mm幅、外側30mm幅のものが取り付けられた。」p21-22
この変更で履帯の軌道の中心線が10mm外側にオフセットした訳ですが、それに対応するため当初は転輪取付部に10mmのスペーサーをセットしていたなど、この履帯幅拡張に関しても詳しく解説してありました。。。資料は眺めるものでなく、読むものですね(^^;)

Panzertractsなども詳しく読めばそういう情報もあるのかもしれないですが、ハローというところでアロハと言っちゃうぐらいの語学力の身には、こうした日本語の詳細記事は助かります。寺田氏の記事はモデラー目線に応える情報が多く信頼性も高いので掲載号は保存版です。

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キットのパーツも修正したくなるところですが、実行するかは正直微妙ですね。
確かにスペーサーの30mmと20mmの違いは大きい。たかが10mmだけどスペーサーの厚みの差は1.5倍。1/35スケールで0.3mmプラ板ほどの厚みが不足。
レザーソーで地道に歯車を切り離してサークルカッターで切り出したプラ板のリングをはさんで..と、やってやれないことはないのでしょうけど、問題はその先。スプロケットの修正で0.3mm外側にシフトした履帯の軌道にあわせて、転輪や誘導輪も調整するのか、あるいは起動輪のデフレンシャルギアケースを削って帳尻をあわせるのか、地獄の扉を開けてしまいそうで。。。

by hn-nh3 | 2019-07-14 12:16 | lll号戦車 | Comments(8)