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断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

カテゴリ:HETZER( 4 )

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ワルシャワの蜂起軍に鹵獲されたヘッツァー(Chwat号)はバリケードに利用された数日後に回収、中央郵便局の中庭ゲートまで運んで修理される。その時に撮影された鮮明な映像が残っているおかげで、前後左右、かなりの範囲で細部の特徴を解読することができる。

「解読できる」ということは、模型にもその特徴を盛り込むことも可能....ということになるんですよね。
それでしばらく悩んでいたのが車体後部の誘導輪のディテール。記録フィルムを見ると、Chwat号の誘導輪は外周部にリブがついたタイプなのが確認できます。しかし、それに対してタミヤのキットの誘導輪にリブはついてないのです。

なんでもタミヤがキット化に際してディテールを省略したというのではなく、実際にもリブなしのタイプの事例はあるのでヘッツァーのキットとして間違いではない。Chwat号に使われているリブ付きのものは38t戦車の誘導輪に似た形状だったりするので、おそらくは生産初期に登場した仕様なのか。リブなしタイプはその後に登場した簡易改良型になるのだろうか。このあたりはもう少し事例を見て精査が必要。

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意を決してリブ付きの誘導輪の再現にチャレンジ。サークルカッターで細い輪を切り出す。使ったのは0.14mmのプラペーパー。本当は0.3ミリぐらいのプラ板から切り出してテーパーをつける加工をしたかったのだけど、サークルカッターの刃がプラ板の厚みで軌道がぶれてしまい、きれいな二重円が描けず断念。0.14mmでもわずかに軸ブレが起きたので、カッターで輪の内側を撫でてなるべく均一な輪になるように調整。

サークルカッターは「スーパーパンチコンパス」という製品を使ってます。小さな直径の円もきれいに切り出すことができるので便利なのだけど、さすがに0.5~1mm幅の二重円を切り抜くのは難しい。もっと高精度の円が抜ける道具が欲しい。

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切り抜いたプラペーパーの輪を貼り付けて調整。リブの厚みを0.3mm程度に細くしたかったので、ドリルレースで微妙に細削り。ドリルレースといってもハンドルーターの先につけた誘導輪のリブにカッターをフリーハンドで当てる程度の作業なので、加工精度はこの程度。プラペーパーとパーツの入隅にリキッドタイプのサフェーサーをパテ代わりに塗り込んで、ペーパーがけしてなだらかにリブが盛り上がったような形状に。しかしこうやって拡大してみると工作がまだまだ甘い。

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上部転輪の基部にもディテール追加。初期型の現存車両を観察して、リブを3本、ボルトを5本追加。軸部の形状はキットのような円錐形ではなく実物はラッパ状にすぼまっていく形状になっているのだけど、さすがにそれはスルー。再現したところでほぼ見えないし。

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誘導輪、転輪を装着してみました。転輪はリムのボルトが32本のタイプの初期〜中期型タイプになるので、キットのものをそのまま使用。転輪のリムやゴムの縁の形状は実物ではもっと微妙なニュアンスがあるのだけど、タミヤはあっさりと単純化してきます。ヘッツァーに限らずタミヤは転輪のディテール表現が物足りないと思うことがしばしば。
少し前にドラゴンがヘッツァーの自走砲型のためにリニューアルした転輪はそのあたりの再現度が緻密で、ドラゴンもまだまだ捨てたもんじゃないと思います。転輪のパーツだけ欲しい。

改造した誘導輪はなんとなくリブ付きのタイプに見える、でしょうか。


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結局、ヘッツァーの初期型の特徴をチマチマと再現するのにずいぶん時間を使ってしまいました。

転輪のリーフスプリングサスペンション軸部に開けた軽め穴とか、上部転輪の基部に追加したディテールとか、気にしなければそれまでだけど、やればやっただけの効果が出ているのがわかるでしょうか。
わからないですよね(笑)....自分でもそう思います。

by hn-nh3 | 2019-09-10 18:40 | HETZER | Comments(8)
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前回に引き続きchwat号の砲身周りの制作。タミヤのヘッツァーのキットは車内の砲尾部分は省略されているため、ハッチからチラ見え程度に再現しようとすると、どこからか使えそうなパーツを探して流用してこないといけない。

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搭載砲は7.5cm Pak39。7.5cm対戦車砲Pak40を車載用に改良したもので、閉鎖機を垂直閉鎖式に改め、駐退機のシリンダーを上部に2本並べた構成。

写真は1944年6月19日、プラハのBMM工場で撮影されたもので右側に搭載前のPak39がずらりと並んでいるのが見えます。
Chwat号も車体ナンバーから6月生産車と推測、この写真の時期に生産されていた車両なので、ひょっとするとどこかに写ってるかもしれませんね。天板のピルツ、車長の小ハッチがが未装備などの特徴は、写真に写っている車両と同じ。

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砲尾を流用するのに使えそうな車両を「地下工場」からひっぱりだしてきました。III号突撃砲G型とⅣ号駆逐戦車L/70(A)。

単純に同じ48口径だからとIII号突撃砲のものが使えるのかとパーツ形状をチェックすると、閉鎖機の上部の角部分がIII号突撃砲G型のキットではアールがついているのに対してヘッツァーの閉鎖機は45度に面を取った角張った形状なので、むしろⅣ号駆逐戦車のものに近い。駐退機のディテールもⅣ号駆逐戦車のものに似ている。

ちなみにIII号突撃砲G型の搭載砲は7.5cm Stuk40というものでⅣ号戦車(長砲身型)用のKwk40を突撃砲に搭載するために照準操作部や駐退機シリンダーの配置を変えたもの。口径こそ同じもののヘッツァーのPak39とは違うタイプ。Ⅳ号駆逐戦車L/70が搭載するのは70口径のPak42。閉鎖機まわりはヘッツァーのPak39と似ているが、ガード部分の形状が直線的であるなどの違いがある。車載形式に同じカルダン枠を採用するなど共通点は多いので、Ⅳ号駆逐戦車のパーツをベースに調整するのが近道。パーツ用にタミヤラング用砲身追加パーツを購入。

閉鎖機まわりはほぼそのまま使って、後退時のガード部分をコーナーを曲面に改修、長さも少し切り詰めるなどしてそれっぽく改造。操作用ハンドルは車外から覗き込んでも見えなさそうなので省略。あくまでハッチから砲尾がチラ見えする程度なので、それらしく見えればOK。
撮影用に出てきてもらったIII号突撃砲G型とⅣ号駆逐戦車L/70(A)は工場に戻します。

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防盾の鋳造表現を改良。前回の作業でテクスチャーづけに使った瞬間接着剤はタミヤのイージーサンディング。粘度が低いこともあって少しガサガサな質感になってしまった。今回はシアノンにベビーパウダーを混ぜて粘度をあげたものを使用。爪楊枝でのの字を描くように塗りつけて、硬化後に軽くサンディングするなどして表面をもったりした感じに調整しました。

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防盾基部、前期型と後期型の揃い踏み。左が今回制作した前期型のタイプ。タミヤの中期型のパーツから改造。右はというと、これは前に購入したプラハのヘッツァーのキット(アカデミー製)から。これもキットのパーツを削り込んだり、エポキシパテを盛ったりと基本形状をだいぶ修正してます。どこをどう直したかはだいぶ前のことなんで忘れちゃいましたが。。プラハのヘッツァーもパーツ撮影した後、また「地下工場」に戻します。

しかしいったい、いくつ未完成キットがあるんだろう。(自分でも謎)

by hn-nh3 | 2019-08-28 21:01 | HETZER | Comments(4)
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「Chwat」号の製作編その2

前回は、1944年6月生産車の特徴を再現すべく車体足回りの修正。今回は車体上部の修正作業。ベースとしたタミヤのヘッツァーは1944年8−9月頃の中期型の車両のため、初期型にするにはいくつかの変更が必要。

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車体上部についているピルツ(組み立て式クレーンの取付台座)は7月以降の装備になるので、先ずはそれを削り取る(写真の矢印の3箇所)。

車長席は戦闘室レイアウトの関係でエンジンルームに食い込むような位置に設けられてますが、そのハッチは大きな跳ね上げ式。さすがにこれでは不便だったらしく、中期型以降は小ハッチが設けられる(黄色い丸の部分)ことになるのですが、6月生産車では未装備なので、ハッチのモールドを削り落としてハッチの溝をパテ埋め。パテはいつもの「瞬着パテ」(シアノン+ベビーパウダー)。

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「Chwat」号に車長用のハッチが未装備なのは、当時の記録フィルムでも確認できます。8月5日、バリケードから回収する時に撮影されたフィルムより。

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「Chwat」号を正面から捉えた映像。中央郵便局の蜂起軍部隊拠点にて修理して自走できるようになった時に撮影されたときのもの。前面装甲には"Chwat"のマーキング。
車体天板は火炎瓶攻撃の際の火災で外れたのでしょうか。そのままになってます。この特徴は後の作業にて再現する予定。

先ずは初期型の最大の特徴である砲身周りの修正。砲身は先端部にネジが切ってあるタイプ。防盾は側面のエラが削げたような形状。これらはDEFモデルのアフターパーツ(レジン+金属砲身)を利用。車体側のマントレットはキットの中期型のパーツを改造して初期型仕様に仕立てます。

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車体にボルト接合するための「耳」が左右に張り出しているのが初期型の特徴。プラ板をサークルカッターで切り出してピンバイスで穴あけしたものを重ね貼りにして厚みを確保したものを接着。エポキシパテを盛って周囲をなだらかに整形。外周のフランジも初期型は少しスリムに見えるので、実車の写真を参考にアウトラインを修正。

砲耳の部分は周囲がドーナツ状に浅く盛り上がっていて以降のタイプは形状が違っています。一度モールドを削り落としてプラ板をリング状に切り出したものを接着。これは別部品ではなく鋳造で一体で形作られているので、周囲にエポキシパテを盛ってシームレスに再現。

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砲耳部分に埋め込みもマイナスネジは0.5mmプラ棒の小口に筋彫りして再現。ピンバイスに挟んで作業したらセンターもとれて簡単にできました。砲耳の両側にある2つの大きめのネジは砲の吊込用のフックをつけるためのネジ穴のようです。1.0mmのプラ棒を利用して制作。

筋彫りに使ってるのはシモムラアレックのホーリー0.2。これ意外に便利。

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表面に鋳造のテクスチャーをつけます。溶きパテではなく、瞬間接着剤を楊枝で塗り伸ばしながら細かな凹凸を再現。サフェーサーを軽く吹いて形状のチェック。ちょっとカサカサな感じになってるので、もう少し表面を穏やかに調整したほうがよさそう。

とりあえず今日はここまで。

by hn-nh3 | 2019-08-24 22:47 | HETZER | Comments(8)
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(7/30追記)
「Chwat」号の製作をぼちぼち進めていきます。この車両についてはこのブログでもたびたび取り上げてきましたが、ここで簡単におさらいしておきます。

1944年8月1日。敗走するドイツ軍に対して、ポーランドのレジスタンス(AK:国内軍)が蜂起を起こす。
8月2日。ワルシャワの中心部、ナポレオン広場にて蜂起部隊がドイツ軍の新型駆逐戦車、ヘッツァーを火炎瓶攻撃にて鹵獲。しかし車内の焼損がひどく、車両はそのまま街路を塞ぐバリケードとして利用される。8月5日にバリケードから回収されて中央郵便局の蜂起部隊拠点に運ばれて修理。
可動状態まで復旧した車両は鹵獲した小隊の名前をとって「Chwat」(ポーランド語読みでフファット)と命名、車両の両サイドと前面にマーキングが施される。
8月14日、戦闘に参加するために移動させようとしたものの、いくつかのバリケードを通過させるために壊すことが許可されなかったため、車両は中央郵便局に留め置かれる。9月4日のドイツ軍の爆撃にて建物が崩壊した瓦礫の下敷きになり、蜂起部隊の降伏後もそのままに。
戦後に掘り出されて修復、ポーランド陸軍博物館に展示される。1950年頃に当局の指示により車両は廃棄処分。「Chwat」のものとされる転輪のみ現存。

とまあ、要約するとこんな感じ。TANK ENCYCROPEDIA にも「Chwat」の項があるので、それを見るのがわかりやすい。

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この鹵獲されたヘッツァー第743戦車猟兵大隊に配備されていた車両で。チェコのBMM工場で1944年5月〜7月に生産された初期型の特徴が確認できる。車両の生産番号もNr.321078と判明しているようです。番号から推測すると6月生産車。

1/35のキットでヘッツァー初期型を探すと、ドラゴン(no.6030)とアカデミー(no.13278)からリリースされていて、どちらも「Chwat」号のマーキングがデカールで用意されている。
しかしドラゴンのキットは2002年頃のものであり、ディテールの再現度は現在の目からすると少々難あり。アカデミーのものは車体の長さが違ってたり転輪の立体感がいまひとつだったりと、後発のキットであるにも関わらずアドバンテージに乏しい。近年、ドラゴンからリリースされたヘッツァー車台の自走砲で足回りのパーツがリニューアルされていて、なかなか雰囲気はよいのでそれを利用するという手もあったが、もうちょっと手軽に作れるキットをと思い、今回はタミヤのヘッツァー(no.35285)を調達。

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タミヤのヘッツァーは1944年8〜9月頃の中期型の仕様のため、初期型を再現しようとなると防盾や砲身を交換する必要があり、DEFモデルのアフターパーツを利用するのが近道。
と、ここまでが前の記事で予告した製作のポイント。

しかし、調べてみると5~7月生産車にはこの他にも違いがあることに気がつく。軽い気持ちで初めて深みにはまるいつものパターンですが、要改造ポイントを書き留めておくと。
・初期型の防盾と先端にねじ切りのある段つきの砲身:DEFモデルのパーツを流用
・初期型のボルト耳付きマントレット:タミヤのパーツを切削改造
・車体天板にピルツがない:タミヤのパーツを修正
・車長ハッチに小ハッチがない:タミヤのパーツを修正
・車体上面後部に冷却水用ハッチがない:タミヤのパーツを修正
・同上部分に予備履帯:タミヤのパーツを利用追加
・排気管マフラーに防熱のパンチングガードがある:MSmodelsのエッチングパーツを利用
・車体後面誘導輪基部の履帯テンション調整具の形状が違う:38t戦車のジャンクパーツ流用
・リーフスプリングの基部のディテールが違う:タミヤのパーツを修正
・上部転輪の基部に5つボルトとリブ:あまり見えないからスルー?

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先ずはサスペンションのリーフスプリング基部の修正。初期型は板バネを束ねる部分がフラットで軸受け部分に軽め穴があいている。修正はプラ板で段を埋めて、ドリルで開口して穴の形を拡張整形。写真は途中段階で穴がヨレヨレしてますが、この後もう少しきれいに整えましたよ。

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といってもこの程度。穴の形になんとなくバラツキが出てしまっているのは手仕事の限界。
転輪をつければ隙間からちらりと見えるか見えないかなので、これで良しとして作業を「前進」。

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初期型のサスペンションは実車でも確認できます。この写真は戦後の修復時のものですが、ちょうど
第二転輪が外れていて基部の軽め穴があるのが見えてます。

ヘッツァーの生産が本格化した時期(1944年5月〜)とワルシャワで鹵獲された時期(1944年8月)から考えれば自明なことではあるのだけど、Chwat号は鹵獲修理時に撮影された写真や鮮明な動画フィルムがそれなりに残っていることもあり、実車でも詳しく確認できるのはありがたい。

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タミヤのキットは中期型の仕様であるため、履帯のテンション調整金具の形が初期型のものとは違う。
初期は38t戦車由来のパーツを利用していて固定ボルトが2穴であったが、中期型以降の金具では車体側板の角度にあわせてリファイン、ボルト穴が一つに減っている。

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初期型の金具はドラゴンの38t戦車系自走砲を作った時のジャンクパーツから流用。こういう時に役に立つから不要パーツはなかなか捨てられない。。

しかし38t戦車の部品がそのまま流用できる訳ではなく、ヘッツァーで斜めに角度のついた車体側板の角度にあわせて履帯テンション調整金具の取り付けプレートの上部が台形にテーパーカットされている。その様子を現存する初期型車両のディテール写真を見ながら修正。

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「Chwat」号の修理時の記録フィルムでも後部のディテールを確認。テーパーカットされた2つ穴の履帯テンション調整金具。排気管マフラーにはパンチングメタルの防熱ガード。後部上面のラジエーター冷却水補充用の小ハッチはまだなく、その部分に予備履帯を搭載。後部向かって右下の冷却水加熱口の蓋に増設される足掛けステップは、この頃はまだ未装備。なので、キットの足掛けステップのモールドは切除。

写真をよく見ると、エンジン始動クランクのキャップが脱落していたり、ワイヤーロープや予備履帯をつけたまま迷彩塗装をかけた痕跡など、「Chwat」号に固有の特徴も確認できるのですが、それを再現するのはもう少し先の作業になるかな? 

先ずは初期型の標準仕様へのキットの改修を進めます。(次回は車体上部)


by hn-nh3 | 2019-07-28 09:48 | HETZER | Comments(8)