断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

カテゴリ:草花( 2 )

ウクライナ・ベース

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ウクライナの風景。舗装されてない道と麦畑。制作中のT-60戦車のベースはこんな風景をイメージ。ウクライナ東部、ドニプロ市(ドニエプロペトロフスク)付近の村の風景で、キエフの南400km、ハリコフからは南東200km。写真は風景写真素材から有料でダウンロード。

d0360340_06154279.jpg土の色はチェルノーゼムと言われる黒土の乾いた灰茶色。ウクライナからロシア南部の穀倉地帯はだいたこんな色の地面のようです。 半乾燥のステップ気候に形成された土壌で、水分を含むと黒っぽい色になります。MIGのピグメントの「ロシアンアース」がそんな色。
黒土というと、日本だと「黒ボク」という土をイメージしますが、組成は火山性土の黒ボクとは全く違うものとのこと。



d0360340_06311792.png制作するベースの場所の設定は、1942年8月頃のスターリングラード南東部。7月25日のロストフ(ロストフ・ナ・ドヌ)(図の青い円)陥落後、ドイツ軍が侵攻した紫色のゾーン。
最大の激戦地となったスターリングラードは図の赤い円、冒頭の風景写真のドニプロは緑の円で囲んだエリア。地図出典はWikipedia。

エリア的には現在のウクライナ国境の東側、ロシア領内となるのでジオラマベースも「ロシアン・ベース」呼ぶのがふさわしい気もするけど、「ウクライナ・ベース」という方が語呂が良かったのでなんとなく今回の記事のタイトル。もっとも、ロシアというとレニングラードの北方の泥炭地まで含まれてしまうので、土質的にはウクライナから続くチェルノーゼム(黒土)のエリアという意味で「ウクライナ・ベース」という方が妥当か。


d0360340_08240601.jpg能書きはこれくらいにして、ジオラマベースの制作を進めます。
土台は近所のDIYで買った木材にワトコオイルの拭き取り。写真ではすでにマスキングしてしまったので見えませんが、ワトコオイルは浸透性の木材保護塗料でしっとりとした半光沢な仕上がりになるので最近はコレ。色はダークウォルナット。乾性油ベースなので1〜2日影干しの必要ありますが、木に染み込んだオイルの風合いは古材にも似た自然な表情。ちなみに、オイルの拭き取りに使った布を放置しておくと自然発火する場合もあるとのことなので、水につけてから処分するなど扱いには少し注意。

地面の下地には100円ショップで買ったコルクシート(3mm)を接着。戦車が転回してできた履帯の轍の深さが欲しかったので、嵩上げ材として利用。この後に盛り付ける粘土の定着をよくする効果も期待してます。

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地面の表現には石粉粘土。使ったのは「ラドール・プレミックス」という乾燥後に削ったり盛ったりがしやすく扱いやすい粘土です。下に貼ったコルクシートのエッジを利用して5ミリ幅に切ったプラ板でぐるりと囲んで粘土の盛り付けの型枠に作り、木工用ボンドをコルクシートの全面に塗布してから石粉粘土を2mmくらいの厚さで盛り付けて、生乾きの時にプラ板の型枠を外しました。

表面にはジオラマ用の小石とコルク片(轍の彫り込みで発生した残材)を埋め込み。道の部分にはタイヤの轍の跡、路肩には乗り上げた履帯の跡をつけます。ジャンクパーツにあったICMのフォードV3000のタイヤを転がしてタイヤの通過痕を再現。履帯痕は積みの山からオチキスH39用のフリウルの組み立て式履帯を利用。この痕跡を見てそれと看破できたら脱帽です。その時は、ドイツ軍のボイテオチキスが通ったんだよと言い訳するつもり。

粘土が乾いたら撒いた砂利の剥落防止に水で薄めて中性洗剤を垂らした木工用ボンドを塗り込むのが鉄板。今回はマットメディウムを水で溶いたものを使いました。接着力は木工用ボンドに及ばないものの、つや消しの仕上がりになるので塗り込みにも気を使わずにすみます。

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着色にはウェザリングペーストを使ってみました。ピグメントの類がペースト状になったものでそのままでも泥っぽい感じに。
色は冒頭の写真のような土の色にするために、WP02のマッドホワイトにWP01マッドブラウンを混合、そのままではまだ黄色が残るので白っぽいピグメント(MIG P027 ライトダスト)を混ぜて彩度を落として使用。

麦畑に乗り入れて轍が深く掘れた部分は湿った黒土の色。WP01マッドブラウンを塗り込んで、黒灰色のピグメント(MIG P034 ロシアンアース)を撒いてます。ベースの写真の上半分。路肩と麦畑になる部分には、ウェザリングペーストのマッドブラウンを筆に含ませたものを全体に弾いて飛沫を飛ばして草地の土のポクポクした感じ、ロシアンアースのピグメントも撒いて、少し湿り気がある感じを表現。

写真下半分の道になる部分は土がカラカラに乾いたイメージでウェザリングペーストのマッドホワイトに土埃色のピグメント(AK インタラクティブ ヨーロピアンダスト)を混ぜて薄く溶いたもので全体にウォッシング。特に轍の深い部分に埃色が溜まるようにしました。
この辺りの表現は、DIORAMA Parfectionでスーパーテクニックを披露している吉岡和哉さんのツイッター記事を参考にしてます。

こうやって土だけのベースも写真にとってみると悪くないですね。壁にそのまま掛けたら現代アートみたい。
シリーズで各地の地面を作って並べたら楽しいかも.. 例えば1941年秋のレニングラード、43年冬のハリコフ、44年8月のワルシャワ、45年5月のベルリンなどなど...

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塗り込み用に色を調合して残ったウェザリングペーストは空き瓶に入れて保存。あと1回くらいは同じ黒土のウクライナベースが作れます。地面ができたら、次は夏草の表現。

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これは1943年7月のクルスクの写真ですが、一面の麦畑。日常的に麦の栽培風景に馴染みがないので、麦と言ってもどんな麦なのか、収穫時期はいつなのか、なかなかイメージがわかないので少し調べてみました:冬小麦と春小麦とライ麦

麦には秋に撒いて冬を越して初夏に収穫する冬小麦と、春に撒いて秋に収穫する冬小麦の2パターンがあること。寒冷地では小麦よりもライ麦が栽培されている、などなど。秋と言っても日本とは違って冬が早いので春小麦でも収穫は8月中旬〜9月頃。秋蒔きの冬小麦だと7月中旬から8月中旬に刈り取り。収穫期はこちらを参照:クロップカレンダー


ウクライナの風景写真を検索すると7月には麦畑は一面の黄金色に染まってます。クルスク戦の風景も緑一色ではなく黄金色の麦畑だったのかも。

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小麦とライ麦の風景の大きな違いは草丈になります。小麦は草丈1m前後で左のKV-1の写真のように麦の穂は腰高の辺り。ライ麦は1.5m〜1.8mと、人の頭が隠れるくらいの高さに成長するようです。写真右のティーガーの手間に見える麦は少し丈が高いのでライ麦かもしれません。ライ麦というと黒パンですね。ハイジがよく食べてたパン。

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麦を作ります。ジオラマで麦畑作る構想は以前から暖めていたものの、何で作ったらいいかの妙案は無し。先端に穂が実ったシルエットに見合う素材も見つからず、いっその事自作するかなど妄想は膨らみましたが、時間もないのであっさり断念。使えそうなジオラマ素材で代用します。

d0360340_10024696.jpg利用したのはMS Modelsの素材シリーズ彩葉(いろは)MS017 穂の出た植物セット2。これを麦に見立てるべく、短く切って根元を木工用ボンドで固めて地面に植えることにしました。製作中の「麦」はクリアファイルの上に置いて乾燥。はみ出たボンドでくっついてしまわずに乾いたらパリパリとはがせるのはポリプロピレン素材の利点。

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夏草のディテール。冒頭の写真の部分拡大です。麦畑のエッジは道端の雑草との勢力争いで麦の間に草地が入り込んでます。麦の生育が阻害されるのか、草地の側には未成熟の青い麦。他の事例をみると、雑穀の青い穂が混じっていることも。道の真ん中のタイヤで踏まれない部分にも雑草。ただし環境が悪いのか草丈は低め。路肩の部分にはいろいろな種類の雑草群落。ちらほらとは花をつけてる草もあるけど、この季節は花は少なめ。これは日本でも同じで夏場に咲く花は限定的。

d0360340_19125104.jpg路肩に生える少し穂をつけた雑草は当時の写真でも見かけます。レンドリースでカナダから送られたバレンタイン戦車Mk.Ⅶの足元に似たような草が生えてます。今も昔も一緒ですね。
雑草の種類がわかると楽しいのだけど、ウクライナの雑草図鑑みたいなWEBは見つけられなかったので品種は不明。

植物の植え方は、株を偶数では植えない。3つの株を不等辺三角形で配置。直線にならないように並べる。などなど注意して植えると自然な感じになります。ただしあまり意識すると「一様な不規則」になってこれもまた不自然になるので、このあたりは植物の気持ちになって、植物群落と勢力争いを意識して配置しましょう。(笑)

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草を植えたよの図。道と路肩の草地と麦畑。麦畑には戦車が入り込んだ轍、なぎ倒された麦の列。ただし畑に思いっきり突っ込まないで路肩に止まっているのはドイツ戦車でなくて赤軍戦車だから。

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道のディテール。スタティックグラスはマットメディムを塗った上から振りかけて固定。さらにマットメディウムを水で溶いたものを筆に含ませて弾いて飛沫を飛ばしたところにも振りかけてやると自然なバラけ具合に。ボリュームが欲しいところはスタティックグラスを盛り上げて水溶きマットメディウムを垂らして固定。
路肩の雑草は何種類かを混ぜて配置。利用した素材はMSmodelsの彩葉:MS-009穂のでた植物とKATOのフィールドグラスの明緑色と麦わら色、などなど。絵の具を使ってちょこちょこと夏草に小さな花を咲かせます。

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スタティックグラスも2色使って色むらを作ってやると自然な感じに。幾つかの種類が混じってるようにも見えるし、光が当たってるようにも見えます。麦畑の中に雑穀類のイメージで緑の穂の植物を混ぜてみましたが、あんまり目立たなかったですね。麦の色は素材はまだ少し青みが残る色調だったので、エアブラシでクリアイエローとクリアホワイトを軽く吹いて、8月のロストフ郊外の金色に染まったライ麦畑。

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by hn-nh3 | 2018-03-26 20:47 | 草花 | Comments(0)

1/26:燕子花図屏風

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最終日に行ってきました根津美術館の「燕子花図と夏秋渓流図」展。もっと早く行けばいいのに、展覧会とか映画見るのはいつもだいたいこんな感じで今回も駆け込みセーフ。展示の目玉は江戸時代の琳派の巨匠、尾形光琳の国宝「燕子花図(かきつばたず)屏風」と鈴木基一の「夏秋渓流図屏風」。

d0360340_18391523.jpg燕子花の屏風は毎年この季節にお披露目の恒例行事ではあるけど、今回は、江戸琳派のスター、鈴木基一の夏秋渓流図も並んで展示するとあって、この風景は見ておかねばと行ってきた次第。鈴木基一は去年、サントリー美術館で朝顔図屏風を擁した大展覧会があったりして、ちょっとしたブームなのかしら。

語ればそれも面白いのだけど、今回のお題は切手。
展覧会にあわせたのかどうかはわかりませんが、今年の切手趣味週間の切手の図柄は、尾形光琳の燕子花図屏風。

六曲一双の屏風の図柄を上下二段に配して端正なレイアウト。近所の郵便局のお姉さんも「これまでで一番コンパクト」と言ってました。シート上部には左右一対の屏風を並べた全体図、その下の正方形に近いフレームの中に切手が並んでます。なんだかランナーにパーツがついたプラモみたいで、とっても綺麗なデザイン。

本来は屏風を正確に再現するためには6+6、合計12枚の切手が必要なものを、記念切手の10枚1シートというフォーマットがあったのか、それぞれ屏風の端部の一枚を省いて、5+5枚の画面で再現してあるのはちょっとだけ残念。切手として縦方向の長さの制約もあるのか、上下も画面が微妙にトリミングされています。

切手の横幅を細くすれば画面全体をレイアウトできたのでしょうが、このあたりは切手として一枚一枚にバラしてもデザイン的にきれいに見えるように「デフォルメ」したのだと思います。封筒に貼られた1枚の燕子花の切手から、屏風の全体像を思い浮かべるのもよし、残りの9枚の燕子花が今頃どこで花を咲かせているのか想いをはせるのもよし。
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シートから切り離すのがちょっともったいない気もしたけど、ミシン目で折り曲げて屏風のように立ててみました。縮尺は実物の約1/26。ここはもうちょっと頑張って1/24で再現してほしかったな。(..完全にモデラー視点)

行く春の尾やそのままにかきつばた(千代女)

風薫る五月のキットレビューならぬキッテレビュー。でした。

by hn-nh3 | 2017-05-14 20:42 | 草花 | Comments(0)