断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

カテゴリ:38(t)系列( 13 )

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春から制作を進めていたGrille改造 3cmFLAK、とりあえず完成してます。SUMICON参加作品として10月31日の締め切りになんとか間に合ってほっと一安心。

こっちのブログには塗装経過とかアップしてなかったので、工作終わったと思ったらいきなり完成、ということになってしまいました。伏線を回収しないまま突然に最終回を迎える人気のない漫画みたいですが、と言ってまだ完成してないふりして「サフ吹いたとこです〜」という偽装記事を書くも気が乗らないので、ひとまず完成報告。
完成にいたる過程の書き留めておきたいことはいくつかあるから、それは改めて記事にするつもり。

写真、撮りなおしました。コンペの最終日に慌てて撮った写真はちょっとミスったとこあるので、その顛末を含めて今回書き留めておきます。まずは再撮の写真をSUMICONのサイトよりも高解像度(1600×1200:写真はクリックで拡大)でアップ。キャプション再録。


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Grille弾薬運搬車改造3.0cmFLAK 1945.5 Praha

完成しました。ドラゴンの考証ミス白箱キットが形になりました。
1945年5月、ドイツの降伏と前後して蜂起したプラハ市民に鹵獲された車両です。
この車両を取り巻く状況を伝えるべく、ベースもつけてみました。

1. 拠点防衛用にGrille1を改造して3.0cmFLAKを無理やり搭載した車両。機関砲の簡易砲架をスクラッチ。新品の機関砲と改造のベースに使った中古車両のくたびれた感じの対比を表現しました。
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2. 左側全景:残っている当時の写真を参考にして各部を制作。
取り外されたトラベリングロック、車体のカモフラージュ用ワイヤー。迷彩柄も写真を見て復元。
プラハの街灯は当時の写真を元にそれらしく再現してます。
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3. 右側全景:こちら側の実車の写真は殆ど残ってないので、想像を交えて作ってます。
排気管は途中で脱落しているらしく、その状態を再現。
ここからはフィクションですが、破損の原因となったかもしれない事故の傷を車体につけてみました。
写真に残ってないアイドラーホイールは、接触事故で壊れて取り替えたというストーリーを設定。スペアホイール不足でヘッツアーの誘導輪を流用してます。
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4. 上から:機関砲への換装の時に元々の部品を取り外した痕跡を表現してます。
脇に立つフィギュアはミニアートのものから。手の表情だけ少し変えてます。
蜂起してドイツ兵やドイツ系住民を追い払っている市民を見て不安げな老婆。
その昔、ベルリンから嫁いでプラハにやってきました。彼女は追われる側なのか、排除する側になるのか。
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5. 後方から:途中で途切れた排気管。加倒式の後部装甲板の上にあるのはドイツ軍のヘルメットをゲットしてチェコの蜂起部隊が使っていたもの。チェコの国旗を付けてます。
路上で旗を振るのは赤軍の交通整理兵。ミニアートのものを首の角度と長さを調整。少し顔もいじってます。
彼女は戦車に乗ってウクライナからプラハまで来ました。22歳、ただしちょっと太め。
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6. チェコ民兵が鹵獲して使っていた様子を想像で再現。不便だったので、カフェから拝借したトーネットの椅子を車内に持ち込み。
機関砲を俯角で地上掃討に使うのには、踏み台があった方が便利。椅子は役に立ちます。
機関砲の脇には、朝のパンと新聞。ここ数日、パンは焼いてなかったらしく、
手に入れたものの固くてそのまま放置。パン屋襲撃。

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写真を取り直して、細部がだいぶ明瞭にわかるようになりました。前回の撮影ではコンデジを絞り優先モードで撮影した際に、なるべく奥までピントが合うように絞りをF値8.0まで上げて、他はカメラの自動設定でシャッタースピードは手ぶれ限界の1/15~1/20で撮った訳ですが、その時ISO感度の上限を設定してなかったものだから、うっかりISO800の設定になってしまったため、写真の粒子が荒れて、滲んだような画面になってしまってました。フィルムカメラで育った世代としては、絞り込んだら自動的にISO感度が変わるなんて意識してなかったよ..

再撮影では、光源をより明るくして、ISO感度は80で固定(6の写真だけISO200)して絞りはF値8.0〜5.6 シャッタースピードは前回同様1/15~1/20で撮影。
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左が今回の撮影。ISO値80、右が前回のもの。ISO値800。やっぱり粒子感がだいぶ違う。左の今回の写真の方が細部のディテールがはっきり見えます。もっともそれでも少しエッジがぼんやりしているのはコンデジの限界。センサーサイズが1/2.3なので元々の解像度までフルに利用できてない。やっぱり1.0型サイズぐらいは欲しかったかな...

それはともかく、今回の方が写真がクリアになった訳ですが、ちょっと腑に落ちない。細部までよくわかる模型写真としては断然に今回の方がいいのだけど、イメージを伝えるという意味では前回のものの方がよかったんじゃないか、という気も。
前回の写真の少し粒子が荒れた感じとか、暗部が潰れてしまっていたりとか、そっちの方が当時の写真を見ている感じもあるし、アングルも直感的で(工作とか塗装で頑張ったところが結局写ってなかったりするけど)空間の雰囲気は伝わりやすい。それに引き換え、今回の同じアングルで撮ったけど、あれこれとどのディテールを写し込むか気にしてシャッターを切ったから、少し説明的な写し方になっている感が否めない。

結局は何を伝えるための写真かという、なかなか悩ましい問題。
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by hn-nh3 | 2017-11-07 20:51 | 38(t)系列 | Comments(6)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その12

車両本体の工作もそろそろ終盤。フェンダーに載せるOVMを準備します。
OVM。スコップ、ジャッキ、ハンマーとかあれこれ必要な工具を車体に積んでる姿は戦車の魅力の一つ。いつでもどこでもキャンプできそうでワクワクします。ところで「OVM」と普通に書いてしましましたが、OVMってどういう意味か調べてみたら、[on-vehicle material:車両装備資材]ということでした。直訳するなら工具でなくてもいいんだね、必要なら焚き木を積んでもOVM。長年モデラーやってたけど初めて知ったよ。

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さて、本題。Grilleに積まれていたOVMの実例を見てみます。資料が少ないので引用したのは同系車のMarderlll-Mの写真。
フェンダー上に車体右はスコップ、バール、ハンマー。左側にはジャッキ、雑具箱、ジャッキ台、斧。これはGrilleもMarderlllも共通。スコップとバールはクランプでひとまとめにされてます。

クランプはドイツ軍仕様(後期型)のタイプ。それ以前の38t系列の戦車車台を利用した自走砲ではチェコ式の革バンドで固定するタイプでしたが、こんなところでも標準仕様:ドイツ化が行われてるんですね。この問題、その後のヘッツアーに至っては右ハンドルから左ハンドルに変えられて、そのおかげで75mm戦車砲の砲弾の装填がやりにくくなった、というおかしな話になってしまってますが。ドイツ仕様だから仕方がないけど、絶対無理..って思ってたでしょうね、設計した人。

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右はMarderlll-M。左はGrille。フェンダー端部、エアインテイクの下にワイヤーカッターを積んでいるようです。右の写真。工場で撮られた記録写真ですが、多くの記録写真ではこの箇所はクランプのみで何も積んでません。上の写真もクランプのみ。アバディーンに残存するgrilleでもクランプは存在します。(写真:prime portal )

ワイヤーカッター用のクランプはどの車両にも用意されてるのですが、実際に積んでる写真はほどんど無し。なんでしょうね、これ。ワイヤーカッターはオプション?
                          
d0360340_20111640.jpgジャッキと雑具箱。有孔板を加工した雑具箱はキットのエッチングパーツをベースに制作。手前の背板は実際には存在しなくて、車体側面装甲板が背板替わりに成る無駄のない構造。模型的には強度確保のため背板を残してます。車体への接着用にプラペーパーを背板に瞬間接着剤で固定。

ところで、この雑具箱。ジャッキ横の蓋の隣。つまりジャッキの下になる部分には天板はなし。ジャッキ搭載状態ではジャッキが天板替わりになるという割り切った設計。(写真:Prime Portal)

雑具箱の上のジャッキを固定するクランプ。キットには中途半端な部品しかなかったので、エッチングパーツを流用して自作。

                   
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クランプ類は、PassionModelsのジェニーズクランプを使用。組み立てやすさを追求したというけど、部品が小さくで目がシバシバします。はっきり言って、クランプをエッチングパーツで作るのは嫌いです。クランプは工具と一体整形されたプラの部品に、せいぜいハンドルだけエッチングに替えるぐらいで充分、といつも思っているのですが、このキットのOVMはクランプのモールドがなくエッチング部品が前提..

クランプの「足」は搭載工具がフェンダーのリブやステイと干渉しないように、実車ではハの字型のプレートがクランプに溶接されてます。エッチングパーツの端材を使ってこれも再現。斧は刃先をカバーするホルダーがあるので、真鍮板で自作。あー疲れた。

ジャッキ台は木板部分そケガいて木目を表現。帯金はプラストラクトのプラ材を巻いて薄く削りました。固定用の超ネジは、ジャンクパーツから流用。

ところで、これらのOVM類。実際は何色だったんでしょうね。模型だと、よく金属部分は黒鉄色、柄の部分は木目色で表現されてますが、実際問題、金属部分が黒鉄色、つまり、鉄の地金かよくて黒染め程度の防錆処理だと雨ざらしの環境に置くと、あっという間に赤錆まみれになってしまいますよね。ペンチを外に置き忘れたらどうなるか...経験あります。
上の実車写真で見ても黒鉄色ではなく、クランプと同じ色に見えます。即ちダークイエロー。柄も車体色で塗装されて木の色ではなかったと言う気がします。だいたい鉄色でピカピカ光ってたら、あっという間にヤーボに見つかってしまいます。

模型上の表現なんでしょうね。鉄部は鉄色、木部は木色というのは。しかし、OVMを車体色のダークイエローで全部が全部塗りつぶしたら、模型的にはサボってるだけみたいに見えてしまうし、この問題は悩ましい。

by hn-nh3 | 2017-09-21 20:43 | 38(t)系列 | Comments(3)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その11
切り株砲ことMK103 BAUMAFFE 車載タイプ、ようやく形になってきました。

3cm MK103の簡易砲架タイプについての考証記事(Baumaffe , Baumaffe part2)を元に、プラ板細工で形を再現していきます。
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機銃をセットする揺架のパーツとシールドがどのように固定されていたかは、正直よくわからない。シールドの付根部分に2つのボルトらしき影が写真で確認できるのを手がかりに、揺架の端部に固定用のフランジが張り出していて、それにボルトで固定していると推測。シールドが2つあるのは、照準穴にスリットがあるタイプと無いタイプ。どちらを使うか迷っていたので、とりあえず両方制作しました。操作用の肩当てリングは、MG151ドリリンクの部品をUVレジンで型取り複製したものをベースにディテールアップ。軸には補強用の真鍮線を埋め込みました。細いパーツを芋付けにするとだいたい破損するのでその予防。

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MK103の機銃背面の点検蓋との干渉を避けるため二、シールドと肩当てリングがヒンジで回転する機構があったと推測して、その機構を再現。模型もヒンジで可動..
は、しないのですが、とりあえず接着前に可動状態を再現して撮影。

         
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閉じたところ。ロック機構はそれらしく作ってみましたが、全くの想像です。ただ、チェーンが下がっているのが写真では確認できているので、なんらかのロックがそのあたりにあったはずです。シールドの前にあるパイプは操作用ハンドル。真鍮パイプで制作。揺架とのジョイント部のディテールはこれもデッチアップ。ボルトとか補強板とかこんな形が合理的かなとイメージしました。

MK103搭載グリレを後ろから写した写真がなくて苦労しましたが、入手したプラハ蜂起の本にチラリと後ろ姿が写ってる写真を発見。細部は判別できないものの、リングをつなぐ水平バーらしき影は見えるので、当たらずとも遠からず、というところか。

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左側面。弾薬箱は、キットの3cm MK103-38の部品から流用。Baumaffeの写真のものとは微妙に違うものの、他に資料もないので、ひとまず先に進みます。新事実が判明した時に取り替えができるように、引っ掛けてあるだけにしてます。

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右側面。グリレに搭載されているのは、照準のバルジがないタイプのようです。照準穴にスリットがあるかないかは、写真を眺めて迷った末に、スリットのないタイプだと判断。背面からの写真でスリット付きであればそのラインの影が見えるはずのところに無い、というのが判断の根拠。この写真で照準穴から下に伸びる線のようなものは、雨かオイルの垂れでは無いかと想像。

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シールド側面からの実物の写真。照準穴の辺りに何か突出物があります。背面からの写真でも、その部分に何かの影が確認できます。照準スコープのような物がついていたのではと想像できるものの、他に判断を補強できる資料がなくとりあえず保留。

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で、問題の車載用ベース。この部分が写っている写真が見つからないため、全くの想像でデッチアップ。写真右の2つ耳が生えたようなプレートは、グリレ本来の15cm重歩兵砲用の砲架固定ベース。キットに入っているものは少し形状が間違っていると思われたので、資料を参考に自作。このパーツに固定できるような車載ベースを考えてみました。

ベースプレートには、グリレの砲架固定ベースのボルト穴位置に合わせて着脱用ボルト。改造してMK103を搭載するときに、やっぱり元の15cm重歩兵砲を再搭載、ということも可能性も想定して作ったんじゃ無いかというストーリーです。

このベースプレートにパイプを立ててMK103 Baumaffeを載せます。補強板は三角の板だと正規部品っぽく見えるので、フラットバーを使って、ありあわせの材料で作った雰囲気にしてみました。弾除けのシールドを前に追加。工場に転がってたヘッツァーのサイドスカートを流用したという設定で、ヘッツァーのサイドスカートにあるボルト穴を再現してあります。

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車載用ベースをグリレ本体にセットしてみたところ。これも新資料が見つかっても修正できるように完全固定はしてません。戦闘室内部の状態は資料に乏しく、装備品など実際にどうなっていたかは不明。

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搭載してみました。車体のOVM類を作れば工作はだいたい完成でしょうか。
来月末に締め切り迫る。急げ!!



by hn-nh3 | 2017-09-16 18:26 | 38(t)系列 | Comments(4)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その10。
戦闘室内の工作は、ディテールが不明な部分もあって停滞していたものの、先日、入手したプラハ蜂起の写真集(レビュー記事はこちら:プラハ 1945.5 )の中に手がかりとなる写真をいくつか発見。
写真左が、オリジナルのアングル。右は部分の拡大。(写真出典:Prahou pod pancirem povstalcu Ceske kvetnove povstani ve fotografi)写真自体は有名な未完成ヘッツアー(蜂起部隊が工場から未完成車両を引っ張り出して使用)を写したもので、その前方にチラリと見えるのが、お目当のGrille改造3cmFLAK。しかし手前のヘッツアーと写真のアングルが災いして車体の大半が見切れてしまっているのが何とも惜しいところ。ただ、ちょっと面白いことに気がつきました。黄色い丸で囲った部分に注目。

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グリレ車体は自走砲専用車台としてミッドシップ型のエンジン配置になっているため、排気管は車体側面を伝って後部のマフラーに導かれる構造になっています。しかし、この車両、途中の継手のところで排気管が外れてしまっている様子。後方に向かって周囲の装甲板が黒く煤けたように見えるので、何らかの原因でそこで外れてしまって、しばらくこの状態で走り回っていたと思われます。

ここに排気管のジョイント部分があるのは知っていたので、現存車両の写真を見ながら、何とかく再現したのが右の写真。ただ、ちょっと間違ってます。実際にはバンド後方が段付きのパイプソケットになっていて、それをエンジンからのパイプに差し込んで、ボルトで締めて固定する、という構造になってます。時間があったら段付きのパイプに修正したい部分でしたが、どうやら、その必要はなくなりました..

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排気管自体をバッサリと切り落として、実車のように排気管が脱落した状態を再現。自作した固定バンドも不要になったので除去。ちょっと勿体なかったけど。

車体後部がはっきり写った写真は見つかってないので、マフラーが外れていたのか残っていたのかは不明。せっかく作ったものを取るのも忍びないので、写真に写ってないことを幸いとして残しました。排気管は何かにぶつかったかで潰れてしまったのでジョイントのフランジ部分から外した、という解釈にしてみました。切断面に穴を開けてパイプらしく見えるように加工。

そして改造のついでに、ちょっと余興。
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車体後部右側の誘導輪にヘッツアー後期型の6穴タイプの誘導輪を使ってみます。
追突されて排気管と一緒に誘導輪も壊れてしまったので、これ使ってみる?という感じで近くにあったヘッツアーの誘導輪を応急処置でつけてみた、という設定を考えてみました。車体右側の誘導輪の付近が写った写真は見つからないので、実際にどうなっていたかは不明。特定車両の再現というリアリズムの中にも、ちょとしたフィクションが紛れこむ隙間がこういうところにあります。

アカデミーから発売されていた「プラハのヘッツアー」の不要部品から6穴タイプの誘導輪を流用。整形が厚くて野暮ったかったので、穴の縁を削って薄板のプレスに見えるように修正。車軸はドラゴンの車軸に嵌るようにプラパイプを埋め込んで調整。

ヘッツアーの足回りは新規に設計されているので、38t戦車系列の足回りとはサイズが異なってます。転輪の直径は775mmから825mm、誘導輪は535mmから620mmと一回り大きくなってます。誘導輪は半径で42.5mm大きくなってますが、まあ使えない大きさではなさそう。履帯の幅もヘッツアーは広がってるもののガイドホーンの幅は変わってないので、車軸部分に互換性があれば多分使える、はず。ベアリングとかは変えたりしないはず、という想定。

そういえば、ソ連軍のSU-85にパンターの転輪をはめて使ってるのがあったような。

by hn-nh3 | 2017-09-07 19:45 | 38(t)系列 | Comments(2)
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グリレ改造FLAK制作記、その9。
車体の工作に目処がついたところで、いよいよ搭載する3cm機関砲の工作を開始。
1945年5月のプラハ蜂起の頃に市街戦の拠点防衛用に改造されたものと思われ、通常装備の15cm重歩兵砲を外して3cm機関砲を搭載したこの車両、確認できる写真では1両のみ。

応急改造は他にも行われていたようで、同様の機関砲をベルゲヘッツァーに搭載したり、2cm高射砲FLAK38をベルゲヘッツアーに搭載した車両も近郊で発見されています。プラハには、グリレやヘッツァーを生産していたBMMの工場があるので、修理などで回送されてきた車両を利用して、簡易改造の車両をあれこれ作ったんじゃないかと推測してます。

d0360340_23123909.jpg右の写真。航空機搭載用に開発されたMK-103・3cm機関砲に簡易な砲架をつけて対空砲として利用したものでしょうか。しかし資料が乏しく確認できる写真も他に数枚。地面に木の杭を立てて装着使用するのか。3cm-MK103 auf Baumstumpf " baumaffe” と言うキャプションがついてますが正式名称かは不明。言わば自走砲ならぬ「切り株砲」とも言う代物。

ドラゴンの白箱キットは3cm MK103を2cm FLAK38用の砲架に積んだものを搭載する解釈ですが、写真を見る限りは間違い。この簡易砲架の「切り株砲」を搭載していると思われます。
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わかりやすいように、切り株砲のパーツを色分けしてみました。砲架は黄色、シールドは青、肩当てのリングは赤。こうして見ると、グリレ改造FLAKはこの簡易砲架のMK103を搭載していたと考えて間違いはないでしょう。もっとも砲架周りが戦闘室装甲板の隙間からかろうじて見えるだけなので、砲架の脚部がどうなっているかは不明。さすがに木杭を立てて装着していることはないと思いますが。

ドラゴンの白箱の考証違いの件は、これまでにも海外のサイトでも指摘されていて、何方のサイトだったかは失念しましたが、このような色分け分析を行ってましたが、今はそのサイトもなくなっているようです。何れにしても、グリレ改造FLAKと切り株砲共に資料が乏しく詳細は不明、と言うのが今のところの結論。求む情報!
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この「切り株砲」を自作します。キットの考証違いもあって、使える部品はMK103の銃身機関部と弾薬マガジンのみ。砲架とシールドはプラ板から自作。肩当ては別キットのパーツを流用します。

作業に先立ち簡単な図面を作成。Photoshopで写真の遠近や歪みを補正したものを下敷きにCADで作図。これを元にグレーのプラ板を加工。白いプラ板を使ったほうが自作パーツっぽいのですが、グレーの方が形状の把握がしやすいので、やっぱりグレーのプラ板を選んでしまいます。丁寧に手の痕跡を残さないように作るほど、こんなパーツが用意されていたみたいに見えてしまうのが難点。

このMK103 簡易砲架バージョンは、レジンキットもあるみたいで、制作にはそちらも参照。ただし、そのキットも上掲の写真からの推測に依っているのか、解釈には疑問の残るところもあるのであくまで参考程度。

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砲架のパーツの加工をしていて気がつきました。グリレに搭載していたもの(写真左上)と参考にしている「切り株砲」の写真(写真左下)では、砲架側板の前部の斜めの切欠き角度に違いが。
はたと気になって他の事例を確かめてみると、ベルゲヘッツァーに搭載しているもの(写真右上)は側板切り欠きの斜めの角度が大きくて、グリレに搭載している砲架も、むしろこれに近いように思われます。別の切り株砲(写真右下)も切り欠き角度が大きいタイプ。どうやら簡易砲架にもいくつかのバージョンがある模様。

グリレに搭載されていたのはベルゲヘッツァー改造車に搭載していた傾斜角度の大きいタイプと推測します。
このサイトによると、チェコ共和国軍(蜂起軍)には2両の3cm機関砲搭載車の登録があったようで、グリレ改造車はその一両。もう一両は、確証はないものの、このベルゲヘッツァー改造車ではないかと。

そんなこんなで加工中のパーツの切り欠き角度修正。同じく自作した揺架と真鍮線の軸でつないで可動するようにしてみました。砲架下の水平回転軸は写真の影になんとなく見えるシルエットと上記のレジンキットからの推測。肩当ては他キットから流用しました。AFVクラブのBussingNag 4.5tトラックに1.5cm3連装機関砲(ドリリンク)を搭載したキットに入っていたレジンパーツを複製。

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複製は、100円ショップでも売ってる「おゆまる」で型取り。UVレジンで複製しました。本当はシリコン型とレジンで複製した方が精度はいいのでしょうが、この程度の形状ならこれで十分。

ちなみに「おゆまる」と、UVレジン、紫外線ランプは娘がデコレーション遊びに使いたいと言うので前に買ってあげたものを借用しました。
紫外線ランプは、清原 スーパーレジンUVクリスタルランプ9W こういうものは二つ返事で買ってあげる良き父親です。(ただし模型製作に利用可能な物に限る)

「切り株砲」の部品が揃ってきました。しかし、シールドや肩当ての取り付き部のディテールがいまひとつ不明で、写真に目を凝らしたり、ネットで資料探し回ったり。どこかで見切をつけて、えいやで作るしかないのですが.. (続く)

by hn-nh3 | 2017-08-08 08:57 | 38(t)系列 | Comments(0)
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8月始まる。グリレ改造FLAKの制作もいよいよ佳境。って、ここまでくるのに何ヶ月かかってるんだって感じですが、仕方ありません。お尻に火がつかないとエンジンかからないタイプなもんで。外では蝉の声。

とはいえ、盆前にはある程度の形にはしておきたいので、細部の工作もそこそこに、これまで作った部品、戦闘室の側壁を組んでいきます。オープントップの車両は、この辺りの作業が一番楽しいですね。
華奢なシルエットに細々とした部品類。重戦車にはない魅力があって、こんなのばっかり作ってる気が..

こういう車両の場合、工作と並行して塗装しながら組んでいくのが定石ですが、戦闘室側壁に成型時の歪みなのか嵌合の設計がうまくいってないのかで、ピタっとは決まらないところが多くて、無理やり接着しながら組む必要がありました。接着剤ベタベタ、隙間埋めのためには塗装は後に回した方がいいと判断しました。
塗装はちょっと面倒くさいことになりそう。

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細部の工作あれこれ。スキーのストックのようなパーツは雨天時のシートを張るためのマスト。キットにはプラで用意はされてましたが、こういうのは作業中に絶対に折る自信があるので、真鍮棒で置き換えました。先端は少し直径が小さくなってるので、真鍮線をピンバイスに挟んで、簡易なドリルレースの要領で先端をヤスリで細く加工。ポンチで撃ち抜いたプラ板に穴を開けて先端に装着。

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戦闘室内には護身用のMP40短機関銃のラック。再現車両の設定が放棄鹵獲車両なので、当然にMP40は紛失して空のラックのみ再現。プラストラクトのプラ材を2列のL型に組んで、ホルダーの部品をキットのパーツから削ぎとって移植。

プラストラクトのプラ材は秋葉原のラジオ会館のボークスで購入。よくみんな使ってるけど、どこで売ってるのかしらと思ってたら、なんだこんなところにあったのですね。そしてまた大散財..

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せっかく買ったプラストラクトのプラ材でいろいろと細かい細工。そこにディテールがあるから作るのか、材料があるから作るのか。

ミッドシップのエンジングリルから車体後部に伸びる排気管は実車では途中に継ぎ手があって、バンドで差し込み口を固定しているようなので、これを再現。

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運転席周りのインパネも作ってみました。操縦主クラッペの直下にあってから出入りのハッチからもよく見えるのでそれらしく再現。メーター類はポンチで抜いたプラペーパーをパネルに貼って、ピンバイスで中央に穴を開けて、丸ヤスリでグリグリ穴を大きくしてメーター周りのリムを表現してみました。

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ようやくここまできました。この次は最大の山場。MK103 3cm機関砲の簡易砲架のスクラッチが待ってます。




by hn-nh3 | 2017-08-02 18:41 | 38(t)系列 | Comments(4)
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グリレ改造3cmFLAK 製作編その7。
久しぶりの更新ですが、そんなに進んでません。ビールの美味しい季節になったり、高射砲陣地の図面描いたり...

ひとまずチョコチョコと作りためてた部品を配置してみます。
無線機ラック、15cm砲弾ラック、弾薬箱、ライフルラックなどなど。
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砲弾ラックはGriffonModelのアフターパーツを使いました。真鍮のパイプをラックの形にカットしたものが最初から入っているので、とても助かります。砲弾ラックを車体に取り付けるステーはエッチングを丸めたり折ったりの細かい作業。両手にピンセットを持っての加工。車体にセットしてしまうとあまり見えない部分ですが...

ドラゴンのキットには対空自走砲に改装したときに外したという解釈なのか、砲弾ラックのパーツが省かれてます。しかし、実際にはある程度は残っていたようです。

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d0360340_05365261.jpg上の写真の左2つはプラハで撮影されたグリレ改造FLAK。戦闘室の内側の様子がわかるのはこの程度。左上の側面後方から撮ったものは、写真もぼけていて残念ながら、何がどうなってるのかよくわかりません。左下の写真で前面装甲板スリットから砲弾ラックらしき影と弾薬箱の取付用ステーのようなものがあるのがわずかに見えます。

上右の写真は別の車両。これはチェコのピルゼン近郊で撮影された写真。この飛行場に集められた車両群は、Ⅳ号戦車の車体上部を取っ払って8.8cm高射砲をそのまま積んだ変態車両があったりとなかなか賑やかですが、その中にグリレを改造して7.5cm対戦車砲に換装した車両があります。言わばグリレ改造マーダーlll。(放棄車両の写真ばかり掲載している写真集シリーズ:Panzerwrecks15でこの車両を前から見た写真が発掘されています)

この車両を観察すると、戦闘室側壁の上部についてた弾薬箱が取り外されているのが確認できます。弾薬箱のステーは2列のフラットバーに留める構造なのがわかります。これと同じ影が例のグリレ改造FLAKにも見えるので、弾薬箱はステーのみの状態になっていることで間違いはないでしょう。下段の写真は、例のグリレ改造FLAKの別アングルの写真ですが、ここでも弾薬箱ステーと砲弾ラックらしき影。

砲弾ラックはそのままにして弾薬箱は取り外し... この事実が語るのは、やはり対空車両として本格的に改造されたものではなく、急場凌ぎに邪魔になる部分の装備だけ取り外して機関砲を積んだだけの簡易改造。場合によっては元の重歩兵砲に再換装できるように考慮していたかもしれません。
そんな見立てを元に各部の再現を進めていきます。
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戦闘室左側内部は、現存する写真には内部の情報はなく、全くの想像です。見えないということは、わからないということでもあるけど、想像する自由のある領域でもあったりします。無線機本体が抜き取られた空のラックやその横に座金のみ再現した車内通話用のコネクターの痕跡など、この車両が置かれた状況を踏まえたフィクションを部品で表現していきます。

無線機の隣は砲弾ラック。護身用のライフルラックはキットに入っていたエッチングパーツを使用。必要のない射撃用品の箱は、取り去られてラックだけになった状態を表現します。このパーツは真鍮板で自作。紙に描いた展開図をスプレー糊で真鍮板に貼ってハサミでカット。エッチングベンダーで折り曲げます。プラストラクトのプラ板とMasterClubのリベットで取り付けペグを再現。
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無線機横の砲弾ラックの隣の砲手用シート。プラのパーツだと塗装中に破損しそうだったので真鍮で置き換え。
真鍮パイプを立てて、真鍮線のシート支柱を差し込むようにしました。実際もそんな構造になってますが、模型でも外せるようにしておくと奥を塗装するのも楽です。
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戦闘室反対側の砲弾ラックの上に弾薬箱の外れたステーをプラ材で再現。プラ材を小さく切った座金に同じプラ材を薄く削ったフラットバーを渡して、弾薬箱の固定用のビス穴も開けてみました。
戦闘室上部の真鍮パイプは、雨よけシートのポールを立てるためのソケット。これもプラだと破損が目に見えてるので真鍮で置き換え。

真鍮部品の取り付けは、部品の裏に瞬間接着剤で細く切ったプラペーパーを先に貼り付けておいて、プラスチッック用の流し込み接着剤で本体と固定するようにしてます。この方法を前にどなたかのホームページで知ったのですが、プラ用の接着剤で本体に固定できると位置決めも簡単だし、接着後の修正も楽です。瞬間接着剤での一発勝負の作業は心臓にも悪いですし。

by hn-nh3 | 2017-07-14 05:06 | 38(t)系列 | Comments(0)
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グリレ改造3cmFLAK製作編 その6。
前回製作した無線機のラックを取り付け。無線機ラックはコの字型のショックアブソーバーを介してフレームにボルトで固定してあるので、Masterclubのレジン製ボルトをフレームに植えてみました。無線機ラックは背板部分に三角の補強板をプラ板で追加工作。フレームの下段には変圧器が2つ納まるようになっていますが、変圧器自体は紛失した設定にしているので、キットの取り付け台座のみ取り付け。残っている配線を銅線で再現。

操縦手席からの無線機用配線は電線管に通線されて通話装置に接続されますが、通話装置がなくなって断線した配線が垂れた状態を再現。最初、銅線がただ垂れ下がった状態にしてみたものの、配線が切れた感じがしなかったので、細い銅線を2本撚り合わせて、先端がほつれた感じにしてみました。縒り合わせた部分には瞬間接着剤を塗って電線の被覆っぽく。
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車内には、無線機の他に砲弾ラックや弾薬ケース、射撃用品など納めるボックスなどさまざまな装備品が装甲板に取り付けられています。

キットでは装備品を接着剤でぺったりと取り付けるように指示してありますが、実際は、ネジ穴を切った正方形の座金を装甲板に溶接して、その座金に装備品をボルト留めする構造。

プラストラクトの細切りプラ板(0.3×0.8mm)を短く切って座金に再現。座金の真ん中にはケガキ針でネジ穴を表現。装備品が失われてしまった部分には座金が露出して見える状態を再現する趣向です。

装備品もチマチマと加工を開始。座金に取り付けるためのステイをプラ板で再現。先端には0.6mmの六角ボルトを取り付け。こんな作業がしばらく続きます。

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by hn-nh3 | 2017-06-28 21:05 | 38(t)系列 | Comments(0)
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グリレ改造3cmFLAK その5
プラハ蜂起の混乱の中で鹵獲されたこの車両。オープントップの戦闘室内部を写した写真は残ってないので、戦闘室内がどうなっていたかは、多分に想像するしかありません。無線機などの貴重品はドサクサで失われて、ラックだけになった状態を再現してみます。

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しかし無線機のラック、意外に複雑な形状をしています。写真はヘッツァーの無線機ラックですが、このパターンはどの車両もほぼ共通。
スケルトンのフレームのサイドにコの字型のショックアブソーバー。サイドのフレームにはサスペンダーみたいなY字型の部品。
キットのパーツは無線機本体と一体モールドなので、くりぬいて使うか、あるいは頑張って自作するか....

モデラー沼に住む女神に相談すると、いらない東欧キットを押し付けられるとの噂もあるし... どうしたものかと思いあぐねてフラフラと秋葉原YSに行ってみれば... あるじゃないですか。
パーツばら売りコーナーに「あの夏のⅡ号戦車F型です ー みほとまほ」の無線機ランナー。しかも200円、まさに天佑。ガルパン特需の恩恵ですね。



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Y字型の先端のフックはさすがに抜けてなかったので、ドリルで穴開け。サイドのアブソーバーも型抜きの都合、コの字になってないので、ドリルで小穴を開けてカッターで穴を広げて形を修正しました。無線機は上下2個、それぞれ4個づつついてるので合計8箇所同じことの繰り返し。あー疲れる。

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さて、そろそろ今日の本題。前回ではグリレの通常型(重歩兵砲搭載型)と弾薬運搬車では戦闘室の前面装甲板のスリット周りの仕様の違いを検証して見ましたが、今回は「弾薬運搬車型には無線機を搭載していたか?」と言う問題です。

写真の上左の車両は弾薬運搬車の試作型、もしくは初期ロット。車内の無線機ラックは判別できないものの、側面装甲板外側にアンテナホルダーが確認できます。そして、上右の写真は、唯一現存する弾薬運搬車。肝心の前面装甲板が失われてしまっているものの、それ意外は非常に保存状態がよく、ほぼ完品と言ってもいいぐらい。

しかし、この車両には無線機ラック、アンテナホルダーがありません。上記のリンクの写真をみると、内部の弾薬ラックには全く欠損はなく、ライフルラックすら残っています。しかしなぜか無線機の関連の部品だけが一式、欠落しています。外れる可能性の少ない配線用の電線管も見当たらず、無線機が壊れて取り外したと言うより、そもそも最初からついていなかった可能性が大。
想像するに、試作車では通常型との互換性を考えて無線機を積んだ仕様にしてあったものの、生産途中で「弾薬運ぶだけなのに無線機いる?」って声が出て弾薬運搬車に無線機は積まないことになったんじゃないかと。

もちろん、これは推測の域を出ない話ですが、そう思わせる手がかりがあります。この現存車両。同じように欠落している部品として、予備照準器を収納する箱など射撃関連の備品を入れる箱もないのです。取り付け位置にネジの受座だけついています。つまり、弾薬運搬車に不要な射撃備品、無線機は装備されていなかった、と。
歩兵砲を積んだ通常型とペアで行動している時は、無線で交信する必要もないだろうし、仮に通常型の車両が壊れて、弾薬運搬車に歩兵砲を積み替えて運用する必要が出たら、その時に無線機も射撃備品も一式積み替えれば事足りる話です。

まあ、こんな瑣末な考証、どうでもいい話なのですが。件のプラハ放棄のグリレ改造FLAK(写真下)は弾薬運搬車を改造したものと言われていますが、写真を見ると無線アンテナのホルダーが確認できます。そして前回検証した戦闘室前面装甲のスリット周りのボルトの存在。それらを合わせて考えると、歩兵砲を積んだ通常型を改造したもののようにも見えます。

とはいえ、弾薬運搬車型でもそうした特徴を備えた初期生産型があったかもしれないし、むしろ、その可能性が大という気もしますが、模型での再現は通常型を改造した車両ということにしてみようかと思っています。つまり模型としての表現は、通常型であればついているスリット周りの防護板を、改造時に外した痕跡としてレッドプライマーの露出、ボルトの取付穴だけになった装甲板、などなど。

無線機ラックの工作。上下のフレームも肉抜きがされてなかったのでカッターで抜いて、中央に補強フレームをプラストラクトの0.3mm×0.8mmで再現。三角の補強板もつけてみました。プラの成型色が黄色いのでなんだかレジンパーツみたい。

しかし手間がかかりましたよ。こんなことになるなら、無線機そのまま残ってる状態の設定にすればよかった。
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by hn-nh3 | 2017-06-24 17:08 | 38(t)系列 | Comments(5)
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Grille改造3cmFLAK製作記その4。
戦闘室前面装甲板の変形を直そうと試みたものの、見事失敗して結局プラ板で新規に作り直すハメになった話はSUMICON BBSではお知らせしていましたが、失敗の備忘録として書き留めておきます。
キットのパーツ。装甲板の薄さを見事に表現してるものの成型時の収縮で少し角度が歪んでました。最初は手で曲げて直そうと思ったものの固くて矯正できず、熱を加えたらなんとかなるかしらと、ヤカンにお湯を沸かして蒸気で蒸してみたら、あらら...歪みが直るどころかさらにひどくなる始末。リカバーしようとさらに加熱したら変な形に縮みはじめました。スチロールは熱を加えると伸びるよりも縮みます。気づいた時には後の祭り。

右にあるのが変形してしまったキットのパーツ。左が新規に製作している途中の部品。0.5mmプラ板にドリルで穴を開けてMasterClubのレジン製リベット0.9ミリを挿しています。このリベット。実写では本当は丸頭の六角ボルトなのだけど、実車のディテール写真を拡大してやっとわかる程度だし、そこまでは..ということで丸頭リベットで代用。
この穴あけ作業の時に気がついたのですが、キットのパーツは中央のスリット部分にはリベット(丸頭ボルト)が表現されていない... これはどういうことかと、少し調べてみました。

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左が15cm重歩兵砲を積んだ標準的なGrilleM型。右が弾薬運搬車。砲架を外して弾薬ラックを増設しています。
重歩兵砲搭載のGrilleMでは砲身が突き出す前面装甲板のスリット部分の側面に防護板がついています。それに対して弾薬運搬車(GrilleM-Mun)では、ラックと干渉しないように防護板を付けない仕様。

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現存車両などで確認すると、この防護板はL型に曲げた部材で前面装甲板とボルト/ナットで繋いでいます。防護板とL型材はリベットで接合されています。メンテナンスなど必要な時に外せるようにしてあるのかと思われます。

ここで不可解に思えるのが弾薬運搬車のこの部分。増設弾薬ラックと干渉するので防護板は不要。しかし、15cm重歩兵砲に積み替えて通常のGrilleMとしても運用できるように計画されたことからすると、防護板が設置できるようにボルト穴が用意されているはず。しかし、写真を見ると内部からはナットの存在が確認できるものの外側にはボルトがあるのかないのかよくわからない感じ。

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弾薬運搬車、中央のスリット下の装甲板どうしをつなぐ部分にはボルトナットが外からも確認可能。しかし、スリット部分は内側にはナットがあるものの外側からはボルト頭はどうみても存在しません。沈頭型のボルトを使用したのか、ボルトそのものがないのか。これらの写真からは判別しかねるところ。

ドラゴンのパーツは弾薬運搬車型として、この部分、外からはボルト無し/内側にはナットあり、というこのよくわからない状態が表現されてます。白箱のキットだし、GrilleMのパーツをそのまま流用して知らんぷりすることもできたのに、わざわざ専用パーツを起こしたところは(完璧ではないけど)グッドジョブ。

文献資料としては非常によくまとまってる”NUTS&BOLTS”のシリーズ vol22.15cm SLG33/2(sf)auf GW 38(t)”Grill"(sdkfz138/1)part1:ausf.m には、詳細なアクソメ図面が掲載されていますが、弾薬運搬車型のこの部分。普通の丸頭ボルトでL型部材を止めて、防護板はつけてない(つまり前面装甲板スリットにL部材だけが留められた)仕様で表現されています。
これはL型部材と防護板がリベット接合であったことを考えると、ちょっと考証に難あり。そのソースも示されていないので、これも結論は出ず。

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さてさて、本題のプラハのGrille改造3cmFLAK。
例のスリット部分のボルトがどうなっているかというと、この写真でもぼんやりとボルト頭らしきものが判別できます。
防護板はついていないので弾薬運搬車タイプの車両なのか、あるいは通常の重歩兵砲搭載タイプの砲架と防護板を取り外したものかは判断に迷うところ。

改造が簡単なのは弾薬運搬車タイプですが、例の防護板用ボルトが先の写真の車両とは仕様が違います。試作車ではボルト無しor沈頭ボルトだったものが、生産型で普通の丸頭ボルトに変更になったのか。単純に考えれば、部品を共通化して互換性を持たせるために、量産型の弾薬運搬車は外側にもボルトが見える仕様になっていたと考えるのが自然な流れに思えます。運用上も貴重な重歩兵砲をわざわざ取り外して改造するより、持て余し気味の弾薬運搬車を活用したと考えるのが自然。

しかし、別な写真を見ると、この車両には量産型の弾薬運搬車タイプとも言い切れない特徴があったりして、標準的な重歩兵砲搭載タイプを改造した可能性も依然として否定できないのです。

(後編に続く)

by hn-nh3 | 2017-06-21 12:49 | 38(t)系列 | Comments(0)