断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

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大戦中のドイツ軍戦車のOVMは何色で塗られてたのか、という話の後編。
前回の記事では、大戦後半に車体基本色がダークイエローに変更になった以降のOVMを検証して、車体色にあわせてOVMもイエローベースの仕様になっていたことを確認。今回は、大戦前半のグレーベース車体の時の事例を含めて考えてみます。

上の写真は1939年、ポーランド戦にてワルシャワで勝利のパレードを行った時の写真。車体後部のマフラーは排気の熱でいい具合に錆色になってます。その上の牽引ワイヤーは、土埃で鉄色なのかグレー塗装なのかは判別不能。車体側面のエアインテイク上部にあるクリーニングロッドは木部はニス仕上げ。

d0360340_05025104.jpg1941年6月、ロシア。バルバロッサ作戦時の写真と思われます。グレーベースの車体はOVMの色の確認が難しく、鉄部を黒色で仕上げたいわゆる鉄色なのか、車体色にあわせてグレー塗装を行っているのかの判別がつかないのが実際です。この写真も土埃を巻き上げて、フェンダー上のジャッキや車体後部側面のバールが何色なのかを判断するのは不可能。

鉄色のままだったとしても車体色とのコントラストも少なく、土埃を被って車体と色が同化しやすいこともあり、実際現場でもカムフラージュ色ということではあまり問題にはならなかったと想像します。

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1941年、冬の東部戦線。Ⅳ号戦車F型の車体の埃が雪(雨)で流されて各部の色が明瞭になっています。正面の予備履帯も鉄錆色でドイツ戦車の模型の塗装見本、という感じ。車体前部のミッションアクセスパネルの上にシャベルが載ってます。木部はニス色、鉄部はグレーではなく黒色塗装が剥げて鉄の地肌が見えてきている質感が確認できます。

フェンダー上に装備するジャッキが失われてしまっているのは惜しいところ。ジャッキは車体にあわせてグレーで塗装されていたのか、黒色塗装など工具とあわせた塗装だったのか確認したかったのですが。
車体側面アンテナケースの下に予備履帯がフェンダーに3つ装着されてますが、他の履帯のようには錆びてないのは注目すべきところ。防錆処理が行われてますね。グレーで塗装されてた可能性もあります。
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渡河中の3号(H)潜水/指揮戦車。いい写真です。水に濡れて木部のニス色がくっきりと見えます。鉄部ははっきりしませんが、おそらく黒色塗装でしょう。フェンダー上に装着している予備転輪がレッドプライマー塗装のままになっているのも興味深いところ。

d0360340_05484001.jpgこの頃のグレーベース車体に積まれたOVMは概ね、こんな色調だったんじゃないかと推測します。
鉄部は黒色塗装で防錆処理。木部はニス色。写真のシャベルはオリジナルの状態かは不明ですが、使い込まれるうちに鉄部の地肌の金属色が見えてきたりして、いわゆる模型の鉄表現に近い感じになると思われます。

装備品の色に関してはこんなサイトも参考になります。>ドイツ軍軍装品の塗装色
そのサイトでワイヤーカッターも見れます。>車載用大型ワイヤーカッター
ワイヤーカッターに関しては鉄部は黒色塗装、ハンドルの部分は木ではなくてベークライト。模型では他の工具の木部の色とは違えて表現するといいと思います。

大戦前期のOVMの鉄部が車体と同じグレーで塗装されていた可能性は少なそうです。偽装効果を考えて車体色のグレーで塗るなら、木部も色をあわせてグレーで塗るはずですが、その事例を見かけません。
ただし、ジャッキは消火器同様、車体色で塗られていた可能性も高いと思います。明確に確認できる写真が手元にないので断言はできませんが。

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1942年のウクライナと思われます。この時期、イエローベースの塗装が開始されますが、OVMの塗装は従来のままだったようです。写真でははっきりとはわからないものの、木部と鉄色の違いが認識できます。

d0360340_06282264.jpgただし、ややこしいのはシャックルは既にイエローベースの塗装になっていた可能性はあります。右の写真は工場出荷時に撮影されたと思われるⅣ号F2(G)型ですが、イエローベースにうっすらとグリーンの迷彩。フェンダー上のOVMは車体色とは違う色調ですが、フェンダー前部のS字シャックルはノテックライトと同様、車体色でペイントされているのが確認できます。

その目で見ると、上のカラー写真のⅣ号戦車のシャックルもイエローベースのようにも思えてきます。

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ややこしいのはこの写真。新品のⅢ号突撃砲F型ですが、OVMの色はマチマチ。車体右側フェンダー上のハンマーは鉄部が黒。車体左側フェンダー手前の黄色の楕円で囲った部分にはエンジン始動用のハンドルがありますが、これは車体と同じダークイエロー。その後部のバール類とクリーニングロッドはまた違う色。クリーニングロッドは木のニス色として、バールの仕上げは黒でも車体色でもなく... これに関してはもう少しリサーチが必要。

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アフリカ戦線。チュニジアに送られた車両では、OVMは鉄色(黒)のままのものを使っているのを確認できます。アフリカ戦線では、装備品類もあっという間に砂塵にまみれてあっという間に白っぽくなってしまうから装備品にサンド色塗装を施す必要性は少なかったのかもしれません。砂地に岩や灌木類といった風景と既に同化しているようにも見えます。英軍車両の迷彩もサンド色と黒の組み合わせですし。

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同じくチュニジアで輸送船から陸揚げされるⅢ号N型の有名な写真をトリミングしたもの。サンド色に塗装された車体フェンダーの上には黒い色の工具類が搭載されているのが確認可能。

チュニジアに車両が搬入された42年末〜43年初頭は、既に東部戦線南部戦区ではイエローの塗装が始まっていたものの、ヨーロッパ戦線の基本色はグレーのままだったので、工場に納入されるOVM類も鉄部は黒色塗装の仕様が標準だったと思われます。


1943年の2月に車体の標準塗装色がダークイエローに制式に変更されますが、暫くはOVMの色はそのままだったように思われます。生産の始まったパンターD型の工場写真では木部ニス色と鉄部黒色の工具を搭載しているものが確認できます。OVMの工具の色にダークイエローが使われるようになるのはアフリカ戦以降、クルスクやイタリア線が始めることなのかと推測してます。

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1943年9月、イタリアはサレルノ付近。第16戦車師団のⅣ号戦車G/H型。ダークイエローの単色塗装の車体の泥除けフェンダーがはね上げられた上にスパナが置いてありますが、車体と同じダークイエローで塗装されているように見えます。フェンダーの上に載ってる工具は土埃を被ったり光の角度で、ただ白くなってたり、光ってたりして明るく見えてるだけの場合も多いのですが、スパナの縁のペンキの剥げ具合を見ると、塗装色はイエローで間違いないように思えます。

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1943年夏、東部戦線。ボルトオンの増加装甲、エアフィルター装備のⅣ号戦車G/H型車体はダークイエローベースにグリーンかブラウンの迷彩をスプレー塗装。フェンダー上のジャッキ、工具類は車体と同色のダークイエローと思われます。この車両は予備履帯も車体色でペイントされてます。

d0360340_08463845.jpgイエローベースの工具の現存品の写真を見つけました。写真出典はココ:Kubelwagen/Schwimmwagen shovel

工具類の鉄部塗装が黒でなくダークイエローであるかはモノクロ写真でも判別は比較的容易なのですが、木部の塗装が実際どうだったのかは正直よくわからない部分でした。グレーベースの車体では工具の木部は明色で認識できましたが、イエローベース車体の場合、木部がニス仕上げでも木の地色が明るい場合はカラー写真でもはっきりとは区別がつかない場合が多く、果たして木部がダークイレローに塗られていたのか、あるいは塗る必要があったのかはわからないというのが実感でした。

この写真を見ると、木部もイエローで塗装された事例があったことが確かめられますが、工具全体をダークイエロー一色で塗りつぶしても、塗料の下地への吸い込みの違いか、鉄部より少し暗く見えるのがわかります。素材の違いによる塗料の発色の違いがモノクロ写真では色の判別を難しくしている理由だったのがわかりました。

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写真出典:PANZERWRECKS 4 P28 1945.1 フランス,ドイツ国境付近のH39

とは言え、大戦後半のOVMの色にはいろいろなパターンがあったように思われます。車体色にあわせて全てダークイエローに塗りつぶしているパターンの他にも、イエロー塗装のジャッキやシャックル類と鉄色の工具が混在していたり、ジャッキ類も再び暗色のものが使われている事例など探すといろいろと見つかります。特に大戦末期、車体の迷彩にグリーンやブラウンの面積比率が増えてくるとOVMの塗装もそれにあわせた例も見つかります。

そのあたりの事例も追跡していくと面白いのですが、長くなるので今回はここまで。気が向いた頃に続編やります。

by hn-nh3 | 2017-09-29 09:31 | 資料 | Comments(2)
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戦車模型で車体に積んでいるシャベルやらハンマーの類、いわゆるOVM(車両装備品)を何色に塗るか、というのは実は悩ましい問題。
プラモの組み立て説明書には鉄部はメタリックグレイかガンメタル、木部はレッドブラウンに塗りましょう、なんて指示があったりするものの、それはリアルさの表現というより模型的な約束事という気もします。

実際、どうだったのか。ドイツ軍の場合、大戦初期はダークグレーの車体に鉄色と木色の組み合わせのOVMで間違ってません。しかし中期以降、車体の基本色がダークイエローに変更され、3色迷彩が一般的になる時期になると、車体色と同じ色で塗りつぶしている事例を見かけるようになります。冒頭の写真もその一例。

d0360340_18432312.jpg1944年4月。某総統閣下にヤクトティーガーがお披露目された有名な写真ですが、注目すべきは丸で囲った部分。車体側面に搭載しているシャベルの鉄部は車体色と同じダークイエローで塗装されています。予備の履帯も同様、ダークイエローが塗られているのがわかります。
モノクロだと、反射で光ってるのか、土埃を被って白くなっているのか判別がつかないことが多いのですが、カラー写真は、そのあたりの識別も容易。

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同様に新兵器、ヘッツアー・シュタールのカラー写真。「砲身がグレーの耐熱プライマーで塗られていた」という事例でよく使われる写真ですが、注目すべきは砲身の下、右フェンダーの上のジャッキ台。木の厚板にスチールの補強バンドが巻かれた標準装備品ですが、これも車体と同じダークイエローで塗りつぶされています。

よく見ると、転輪のゴム部分にもホイールを塗ったときのダークイエローが結構はみ出してますね。塗装なんて案外、こんなもんだったんですね。

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三色迷彩のsdkfz.251/D。東部戦線で撮られた動画からの1コマですが、フィルムの退色と解像度の荒さで正確な色調とは言えないものの、色のニュアンスはわかります。車体についているシャベル。これも車体色と同じ色調と思われます。少なくとも黒鉄色の光沢で明るく見えている色ではないのは確か。

車体と同じダークイエローでペイントして工具のシルエットを際立たせない、というのは迷彩効果として考えれば、当然の思考だと思います。大戦初期のグレーの車体色の時であれば、OVMの鉄部がいわゆる工具色である黒色塗装であっても、車体に溶け込んで目立たなかったものの、車体色がダークイエローに変更された以降は、車体から浮き上がらない色調が望まれたのではないかと推測します。

ただし、OVMの塗装色もダークイエローになるのがいつ頃から一般的になるのかは不明。43年の夏頃だと、ダークイエローの車体に従来タイプの色調の工具が載っているものも多く見られます。

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パンターA型。写真の日付が正確であるなら、1945年の4月21日。車体側面のOVMが3色迷彩でオーバーペイントされている事例。
もっとも、このパンター、A型が生産されていた時に一般的な迷彩はもう少しもやっとしたもので、この4はっきりとしたコントラストをつける迷彩のスタイルは44年の秋以降に流行するパターンと思われます。おそらくリペイントされたもので、その時に工具類も一緒に塗りつぶされたものと想像します。なので、これが一般的なものと言えるかは微妙。

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1945年3月、ドイツ国内、フランクフルト南方の街で撮られた写真。第643重戦車駆逐大隊のヤクトティーガー。これもフィルムが退色していて正確な色調とは言い難いものの車体に3色迷彩が施されていることは判別できます。よく見ると、パターンに斑点の混じった「光と影」迷彩であることがわかります。44年の9~10月頃に塗装されたものになるでしょうか。

d0360340_20040052.jpgその写真の部分拡大。車体側面に搭載された3本クリーニングロッドのパイプは、車体の迷彩と一緒にオーバーペイントされているようです。

丸で囲んだ部分を見ると、クリーニングロットを固定しているステーの金具の横の部分に「明るい影」があります。これはパイプの元々の色の木の色調、もしくはダークイエローに塗装されたものの上にグリーンとブラウンの迷彩色がスプレーされた時、ステーの金具の下に隠れて迷彩色がかからなかった部分が、使っているうちにずれて見えていると想像します。

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スクラップヤードのⅣ号駆逐戦車。1945年4月。出典はPANZERWRECKS 3 p94。
手前の車体の天板の上に転がっているシャベル。鉄部は明らかに明るい色が塗られていれ、使ってペンキが剥げたところに金属色が露出しています。シャベルの柄の部分が木肌の色なのか、同じくダークイエローで塗られているのかはモノクロ写真から判別することはできませんが。シャベルの手前に転がっている車体基銃の曲銃身の黒鉄色とは明確に違う明るい色調であるのは確か。

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ダークイエローの基本色で塗られたヘッツアー。写真出典はIN FOCUS 1 jagdpanzer38t p95。別写真からわかる車体番号より1944年7-8月生産車とのこと。撮影地はイタリアか旧ユーゴスラビア。車体後部側面にバールとジャッキを搭載。どちらも車体と同じダークイエローで塗りつぶされているのがわかります。バールなどの工具は必ずしもダークイエローで塗りつぶされている事例ばかりではないですが、ジャッキが車体と同じ色でペイントされているのはヘッツアーに限定されない一般的な仕様になってきています。

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1945年5月9日。チェコ国内から撤退するドイツ軍部隊のsdkfz.234/4。出典はPANZERWRECKS 4 p51。
44年秋以降に迷彩はすべて工場塗装となって輪郭のはっきりしたパターンになると、ちょっと困ったことになります。装備品はフェンダー中央部に消火器、クリーニングロッド、この写真からはわかりにくいものの、別写真でフェンダー前部にシャベルを積んでいますが、すべてダークイエローでペイント済み。黒い工具色で納品されたものを車体とあわせてペイントしたのではなくあらかじめダークイエローの塗装色で納品されたものをそのまま積んだと想像しますが、グリーンやブラウンのパターンの上にダークイエローの工具が搭載されると、却って目立ってしまってます。
こうなるとまたイエロー以外の工具のほうが迷彩効果が高く思われ、事実、そうした事例もまた見られるようになります。

今回はここまで、次回は大戦前期のグレー車体での事例やイエローベース車体での例外的な事例などなど。(続く)

by hn-nh3 | 2017-09-27 20:45 | 資料 | Comments(0)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その12

車両本体の工作もそろそろ終盤。フェンダーに載せるOVMを準備します。
OVM。スコップ、ジャッキ、ハンマーとかあれこれ必要な工具を車体に積んでる姿は戦車の魅力の一つ。いつでもどこでもキャンプできそうでワクワクします。ところで「OVM」と普通に書いてしましましたが、OVMってどういう意味か調べてみたら、[on-vehicle material:車両装備資材]ということでした。直訳するなら工具でなくてもいいんだね、必要なら焚き木を積んでもOVM。長年モデラーやってたけど初めて知ったよ。

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さて、本題。Grilleに積まれていたOVMの実例を見てみます。資料が少ないので引用したのは同系車のMarderlll-Mの写真。
フェンダー上に車体右はスコップ、バール、ハンマー。左側にはジャッキ、雑具箱、ジャッキ台、斧。これはGrilleもMarderlllも共通。スコップとバールはクランプでひとまとめにされてます。

クランプはドイツ軍仕様(後期型)のタイプ。それ以前の38t系列の戦車車台を利用した自走砲ではチェコ式の革バンドで固定するタイプでしたが、こんなところでも標準仕様:ドイツ化が行われてるんですね。この問題、その後のヘッツアーに至っては右ハンドルから左ハンドルに変えられて、そのおかげで75mm戦車砲の砲弾の装填がやりにくくなった、というおかしな話になってしまってますが。ドイツ仕様だから仕方がないけど、絶対無理..って思ってたでしょうね、設計した人。

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右はMarderlll-M。左はGrille。フェンダー端部、エアインテイクの下にワイヤーカッターを積んでいるようです。右の写真。工場で撮られた記録写真ですが、多くの記録写真ではこの箇所はクランプのみで何も積んでません。上の写真もクランプのみ。アバディーンに残存するgrilleでもクランプは存在します。(写真:prime portal )

ワイヤーカッター用のクランプはどの車両にも用意されてるのですが、実際に積んでる写真はほどんど無し。なんでしょうね、これ。ワイヤーカッターはオプション?
                          
d0360340_20111640.jpgジャッキと雑具箱。有孔板を加工した雑具箱はキットのエッチングパーツをベースに制作。手前の背板は実際には存在しなくて、車体側面装甲板が背板替わりに成る無駄のない構造。模型的には強度確保のため背板を残してます。車体への接着用にプラペーパーを背板に瞬間接着剤で固定。

ところで、この雑具箱。ジャッキ横の蓋の隣。つまりジャッキの下になる部分には天板はなし。ジャッキ搭載状態ではジャッキが天板替わりになるという割り切った設計。(写真:Prime Portal)

雑具箱の上のジャッキを固定するクランプ。キットには中途半端な部品しかなかったので、エッチングパーツを流用して自作。

                   
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クランプ類は、PassionModelsのジェニーズクランプを使用。組み立てやすさを追求したというけど、部品が小さくで目がシバシバします。はっきり言って、クランプをエッチングパーツで作るのは嫌いです。クランプは工具と一体整形されたプラの部品に、せいぜいハンドルだけエッチングに替えるぐらいで充分、といつも思っているのですが、このキットのOVMはクランプのモールドがなくエッチング部品が前提..

クランプの「足」は搭載工具がフェンダーのリブやステイと干渉しないように、実車ではハの字型のプレートがクランプに溶接されてます。エッチングパーツの端材を使ってこれも再現。斧は刃先をカバーするホルダーがあるので、真鍮板で自作。あー疲れた。

ジャッキ台は木板部分そケガいて木目を表現。帯金はプラストラクトのプラ材を巻いて薄く削りました。固定用の超ネジは、ジャンクパーツから流用。

ところで、これらのOVM類。実際は何色だったんでしょうね。模型だと、よく金属部分は黒鉄色、柄の部分は木目色で表現されてますが、実際問題、金属部分が黒鉄色、つまり、鉄の地金かよくて黒染め程度の防錆処理だと雨ざらしの環境に置くと、あっという間に赤錆まみれになってしまいますよね。ペンチを外に置き忘れたらどうなるか...経験あります。
上の実車写真で見ても黒鉄色ではなく、クランプと同じ色に見えます。即ちダークイエロー。柄も車体色で塗装されて木の色ではなかったと言う気がします。だいたい鉄色でピカピカ光ってたら、あっという間にヤーボに見つかってしまいます。

模型上の表現なんでしょうね。鉄部は鉄色、木部は木色というのは。しかし、OVMを車体色のダークイエローで全部が全部塗りつぶしたら、模型的にはサボってるだけみたいに見えてしまうし、この問題は悩ましい。

by hn-nh3 | 2017-09-21 20:43 | 38(t)系列 | Comments(3)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その11
切り株砲ことMK103 BAUMAFFE 車載タイプ、ようやく形になってきました。

3cm MK103の簡易砲架タイプについての考証記事(Baumaffe , Baumaffe part2)を元に、プラ板細工で形を再現していきます。
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機銃をセットする揺架のパーツとシールドがどのように固定されていたかは、正直よくわからない。シールドの付根部分に2つのボルトらしき影が写真で確認できるのを手がかりに、揺架の端部に固定用のフランジが張り出していて、それにボルトで固定していると推測。シールドが2つあるのは、照準穴にスリットがあるタイプと無いタイプ。どちらを使うか迷っていたので、とりあえず両方制作しました。操作用の肩当てリングは、MG151ドリリンクの部品をUVレジンで型取り複製したものをベースにディテールアップ。軸には補強用の真鍮線を埋め込みました。細いパーツを芋付けにするとだいたい破損するのでその予防。

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MK103の機銃背面の点検蓋との干渉を避けるため二、シールドと肩当てリングがヒンジで回転する機構があったと推測して、その機構を再現。模型もヒンジで可動..
は、しないのですが、とりあえず接着前に可動状態を再現して撮影。

         
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閉じたところ。ロック機構はそれらしく作ってみましたが、全くの想像です。ただ、チェーンが下がっているのが写真では確認できているので、なんらかのロックがそのあたりにあったはずです。シールドの前にあるパイプは操作用ハンドル。真鍮パイプで制作。揺架とのジョイント部のディテールはこれもデッチアップ。ボルトとか補強板とかこんな形が合理的かなとイメージしました。

MK103搭載グリレを後ろから写した写真がなくて苦労しましたが、入手したプラハ蜂起の本にチラリと後ろ姿が写ってる写真を発見。細部は判別できないものの、リングをつなぐ水平バーらしき影は見えるので、当たらずとも遠からず、というところか。

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左側面。弾薬箱は、キットの3cm MK103-38の部品から流用。Baumaffeの写真のものとは微妙に違うものの、他に資料もないので、ひとまず先に進みます。新事実が判明した時に取り替えができるように、引っ掛けてあるだけにしてます。

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右側面。グリレに搭載されているのは、照準のバルジがないタイプのようです。照準穴にスリットがあるかないかは、写真を眺めて迷った末に、スリットのないタイプだと判断。背面からの写真でスリット付きであればそのラインの影が見えるはずのところに無い、というのが判断の根拠。この写真で照準穴から下に伸びる線のようなものは、雨かオイルの垂れでは無いかと想像。

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シールド側面からの実物の写真。照準穴の辺りに何か突出物があります。背面からの写真でも、その部分に何かの影が確認できます。照準スコープのような物がついていたのではと想像できるものの、他に判断を補強できる資料がなくとりあえず保留。

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で、問題の車載用ベース。この部分が写っている写真が見つからないため、全くの想像でデッチアップ。写真右の2つ耳が生えたようなプレートは、グリレ本来の15cm重歩兵砲用の砲架固定ベース。キットに入っているものは少し形状が間違っていると思われたので、資料を参考に自作。このパーツに固定できるような車載ベースを考えてみました。

ベースプレートには、グリレの砲架固定ベースのボルト穴位置に合わせて着脱用ボルト。改造してMK103を搭載するときに、やっぱり元の15cm重歩兵砲を再搭載、ということも可能性も想定して作ったんじゃ無いかというストーリーです。

このベースプレートにパイプを立ててMK103 Baumaffeを載せます。補強板は三角の板だと正規部品っぽく見えるので、フラットバーを使って、ありあわせの材料で作った雰囲気にしてみました。弾除けのシールドを前に追加。工場に転がってたヘッツァーのサイドスカートを流用したという設定で、ヘッツァーのサイドスカートにあるボルト穴を再現してあります。

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車載用ベースをグリレ本体にセットしてみたところ。これも新資料が見つかっても修正できるように完全固定はしてません。戦闘室内部の状態は資料に乏しく、装備品など実際にどうなっていたかは不明。

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搭載してみました。車体のOVM類を作れば工作はだいたい完成でしょうか。
来月末に締め切り迫る。急げ!!



by hn-nh3 | 2017-09-16 18:26 | 38(t)系列 | Comments(4)

マジックトラックを繋ぐ

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履帯、組みました。キットの「マジックトラック」を流し込み接着剤でC組みに。

と、まあ作業日誌的には1行で終わってしまう内容ですが、備忘録というかお役立ちTips的に工程を書き留めておきます。
リモネン、セメントS、ロコ組み、C組み...長いブランクを経た出戻り経験者としては、最初全くその意味がわからず右往左往、ようやく履帯の詳しい組み立て方を書いた記事にたどり着いて助けられたことがあるので、そのバトンをつないでおきます。

履帯は戦車模型の華でもあるけど、その組み立てはやっぱり最大のネック。...夜中に小人が耳の中から出てきてバラバラの履帯を勝手に繋いだりしてくれてもいいのだけど... といつも思います。
一体成型のベルト式履帯は便利だけど軟質樹脂の可塑剤の経年変化が心配だし、アフターパーツでフリウルとかマスタークラブのメタル組み立て式履帯を買うという選択枝もあるけどお金かかるしで、やっぱりキットに入ってるプラの組み立て式履帯を使うことが多くなります。

1枚1枚をランナーから切り出して使うタイプ。曲線部分はバラで直線部分などは一体化が図られた部分組み立て式、プラの組み立て式履帯には幾つかのタイプがあります。マジックトラックというのは、ドラゴン社のキットに(かつて)入っていた予め切り外した状態でパックされた履帯の商品名。ピンゲート工法で射出成型されたと思われ、転輪の接触面に小さな成型痕があったりします。パーツを切り出す手間が省けてユーザーには便利だけど、コストがかかるのか最近のキットには入らなくなってしまっているのがちょっと残念。時代の流れですね。
※「ピンゲート」については→金型の分類

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「マジックトラック」の組み立て。カッターマットに履帯長さ+10cm程度の長さのマステを貼ります。その上に履帯の仮止め用に両面テープを履帯長+5cm程度の長さで重ねて貼ります。両面テープを直接カッターマットに貼ると、後でマットから剥がせなくて大変な思いをします。マステを両面テープの下に貼っておけば使用後にさっと剥がせるのでオススメ。

両面テープは低粘着タイプか、接着面をベタベタ触って粘着力を弱くしておきます。両面テープは履帯の半分くらいの幅だけ残して定規を貼り付けて、履帯を並べるガイドにします。履帯幅の半分しかテープを使わないのは接着後の履帯を外しやすくするため。それ意外の両面テープ接着面は定規か他のもので隠しておきましょう。作業中に手がうっかりくっついてうっとおしいです。毛足の長いセーターなんか着て作業してたら大変なことになります。

準備が済んだら、マジックトラック(組み立て式履帯)をチマチマと並べていきます。必要数+3枚程度、取り付け時に長さ調整します。並べ方はあまり隙間が開かないように。途中、押しながら間隔を調整。変に隙間が空いていると接着剤が下に周り込んだり、接着剤で溶けたプラが接地面にはみ出して汚くなったりします。
並べる作業は片側15分、左右で所要30分程度

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履帯の接着。リモネン系の流しこみ接着剤を塗り込んでいきます。リモネン系の接着剤は柑橘系の揮発油分がプラを溶かす現象を利用したもので、初期強度の発現は遅いものの、ゆっくりと固まって強度が出ます。通常の部品の接着にはクレオスのセメントSが便利ですが、履帯の組み立てにはコレ。履帯に塗り込んで半乾きの時のグニャグニャとする状態を利用して転輪の巻きつけて形を整えることができます。

塗り込む量は多過ぎず少なからずの適量で。少ないと作業中にプチプチ切れて発狂しそうになるし、多すぎると履帯の隙間から溶けたプラがはみ出したり形が歪んだりすることがあります。このサジ加減は履帯の形状によって違って毎度試行錯誤になるので、予備履帯とか余ったコマで事前にテスト、確認しておくといいですね。

塗り込みは、リターンローラー側になる部分は切れないように割としっかり、端っこの接続部数枚は長さ調整でピースを切り離しやすくするために接着材は控えめに。下に敷くカッターマットは接着材に強いものにしましょう。100円ショップのカッターマットは溶剤で溶けて履帯が緑色に染まります。

塗り込んだらタイマーを仕掛けて20分待ちます。履帯のピースが繋がり始めるので、両面テープから外して接着材を塗り残して切れやすい部分がないか確かめて、そういう箇所にはリモネン接着剤をぬりたして、さらに20分、合計40分程度待ちます。
固まり具合は板ガム程度、とはよく言います。連続した履帯がグニャと曲がって形が残るぐらいの硬さ。

リモネン接着剤は、クレオスのMr.セメント・リモネン(流しこみタイプ)を使ってます。タミヤからも同様のものが出てますが、初期強度が出るのが少し遅く、匂いが半日ぐらい残るので、個人的にはクレオスの方が好み。初期強度については個体差があったりするみたいなので、どっちがいいとは断言はできませんが。

ちなみに、リモネンセメントは自然素材を使っていて体に優しいと言う利点はあるのですが、材料の性質上、劣化する現象があるみたいです。古くなると接着力が弱くなることがあります。実は今回も一度失敗しました。塗り込んで1時間くらい待っても接着が弱くてプチプチ切れたので、諦めて全部バラしてアルコールに漬けて接着剤を落として、接着剤を買い直してやり直しました。過去にも同じ経験あり。リモネン系接着剤は1年に1回は買い直したほうが良さそうです。

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履帯の取り付け。固まってきた履帯を裏返して細切りのマステを貼ります。巻きつけ途中にで履帯が切れた時にバラバラにならないようにしておく保険です。ただし、あまりピンと張らずに緩めに付けておきます。テンションが強いと変なところでたわみがでます。裏側に接着剤がはみ出て汚くなってしまったピースとかがあればこの時点までに修正しておきます。

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駆動輪から巻きつけて駆動輪で接続。履帯を駆動輪の歯に引っ掛けて全体の長さを調整しながら組み合わせます。途中、履帯が切れたりしたら、速乾性のセメントSで補修して作業を進めます。片側はうまく行きましたが、反対側は一箇所、切れたので補修、養生用の細切マステが役に立ちました。

巻きつけの途中で履帯の垂れも表現。リターンローラーの間の垂れ下がりとともに、駆動輪と転輪の間の斜めの部分も自重で自然に撓んだようにな形を作っておくとリアルです。転輪と誘導輪の間も同様。ただ、この辺りは実車では走行中と停車時で変わってくるし、舗装道路を走るときと不整地走行の時では履帯のテンション変えたりするので、その塩梅は模型としての設定によりますね。

上部のリターンローラー部分の垂れ下がりは、ほどほどに。実車の写真を見ると案外とピンと張ってたりします。激しく垂れた模型の作例を時々見ますが、履帯の垂れを表現するのは模型としての様式美みたいなところがあって、あまり強調しすぎると、却って現実から遠ざかる気がします。

と言う訳で、垂れ下がりは控えめにしてますが、接着剤の乾燥時の収縮や曲げ復りを考慮して適量より少し大きめに垂れを付けておきます。その後、静かに乾燥。巻き付け作業は20分。接着剤塗布から合計で 片側1時間。両側を作って2時間。並べる準備の30分を含めて合計の所要時間は2時間半。

ちなみに今回はC組み。駆動輪のところでCの形で繋がった履帯を塗装する時に外せるようにしました。ただうまく外したり再装着できるかは様子を見ながら判断します。転輪も履帯と接着させて一体化、転輪+履帯のセットで外せるようにしたロコ組みという方法もあり、そっちの方が強度はあるものの塗り分けが面倒になるので一長一短。どっちを選ぶかはケースバイケース。

by hn-nh3 | 2017-09-15 13:38 | 模型 | Comments(0)

T-34 & PANTHER

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前回の記事でのグリレの38t系誘導輪をヘッツァーのものに換える試みは、38t系とヘッツァーでは車輪径が異なるので基本的には互換性を欠くものの、車軸やハブは38t系の仕様を踏襲していたのではないかと考えて、隣接する転輪との干渉や履帯枚数の変更がなければ換装しても問題は起きないだろうと思っての話。

この転輪換装のヒントになったのが、T-34にパンターの転輪を履かせて使っていた事例で、今回はそれを少し検証してみます。

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大戦末期、ベルリン侵攻の頃になるとソ連軍の補給線も伸びきって、予備部品が不足したのか、転輪が外れたまま使っている戦車の写真を見かけたりします。(写真出典:waralbum.ru/35949/

T-34/85とSU-85の写真は1945年5月9日、ドイツ国境付近、チェコのウースチナー・ナド・ラベムという街で撮られたもの。この車両群を見て驚くのは、パンターの転輪を混ぜ履きしていることです。T-34/85は第2、4転輪、SU-85は第2、3転輪にそれぞれパンターの転輪を流用しています。
写真出典は、Recycled Panther Wheels より。かば◎さんに教えてもらいました。写真には、わかりやすく星をつけたり加工してます。

車輪の直径はT-34のディッシュ型転輪が830mm、パンターが860mm。半径にすると違いは15mmなので大きさ的には全く問題なさそう。同じT-34でもディッシュ転輪とは直径が違う鋼製転輪を混ぜ履きしてたくらいだから、走行に支障がない限りはノープロブレムという話なのか。

サイズ的には似た転輪を違う戦車に履かせる場合、問題となるのが、車軸とかハブとかの互換性。38tとHetzerのように同じ系列の工場で生産されたものであれば、ベアリングやボルトなど部品の互換性はありそうですが、T-34とパンターとなると、そもそも製造された国自体が違うので、そんなに簡単に嵌るのかという気もしますが。

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検証図を作ってみました。転輪の断面図を同縮尺にして重ねてみたら、面白いように一致しました。

事例の写真でパンター転輪にもT-34のハブキャップを使っているのが肝です。ハブキャップがT-34用だとすると、ベアリングが納まるハブもT-34のものを使っていると推測するのは容易です。となると、パンター転輪はいわゆるアウターのホイール部分だけ使って、ハブにどう固定するかだけを考えればいい話になります。

T-34のディッシュ型転輪はゴムをはめる外周リングにプレスされたディスク部品を溶接して、ハブの中央にあるリング状のフランジに2枚合わせのディスクをボルト固定する構造になっています。MiniArtから昨年リリースされたT-34系転輪は、ディスクの溶接痕と2枚合わせの部分にボルトの軸が再現されてましたね。
ちなみに初期型のディッシュ型転輪の場合は、ディスクのボルト固定部に円形のリングをかませているようです。ボルトが一つぐらい緩んでもガタつかないようにする配慮でしょうか。後期型の転輪になるとこのリングは省略。

※作図上、引用したT-34の転輪断面図が初期型のリングをかませるタイプになってますが、写真の事例では後期型タイプでリングを使わない固定法でパンターのホイールを嵌めていると思われます。

しかし、パンターの転輪。T-34の転輪ハブのフランジ部分に奇しくもすっぽり嵌るサイズだったのは驚き。パンターは開発段階でT-34をコピーしたものとは聞いてますが、まさか転輪のサイズまでそっくりコピーしたということではないのでしょうが、このフィット感はいったい何? 

さすがにボルト穴までは一致しなくて、T−34が6穴ボルトでパンターは8穴ボルト。だから、パンターのホイールをT−34のハブに取り付けるには、ボルト穴を開けなおす作業は必要。でもこのくらいの加工なら、前線の野戦修理工場でも十分に対応できそうです。


追記(9/11)
修理工場で撮られた写真を見つけました。(→ Легендарный т-34-85 )
この写真で見ると、パンターのホイールの8つのボルト穴のうち2つを生かして、残りはT-34の車軸ハブのフランジの6つのボルト穴に合わせてホイールに穴を開け直しているようです。
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その他、本文で掲載したT-34/85とSU-85の写真の解像度の高い写真
やはり、パンターホイールのボルトはハブに合わせて6つ穴に開け直されているように見えます。
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by hn-nh3 | 2017-09-10 13:39 | 資料 | Comments(7)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その10。
戦闘室内の工作は、ディテールが不明な部分もあって停滞していたものの、先日、入手したプラハ蜂起の写真集(レビュー記事はこちら:プラハ 1945.5 )の中に手がかりとなる写真をいくつか発見。
写真左が、オリジナルのアングル。右は部分の拡大。(写真出典:Prahou pod pancirem povstalcu Ceske kvetnove povstani ve fotografi)写真自体は有名な未完成ヘッツアー(蜂起部隊が工場から未完成車両を引っ張り出して使用)を写したもので、その前方にチラリと見えるのが、お目当のGrille改造3cmFLAK。しかし手前のヘッツアーと写真のアングルが災いして車体の大半が見切れてしまっているのが何とも惜しいところ。ただ、ちょっと面白いことに気がつきました。黄色い丸で囲った部分に注目。

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グリレ車体は自走砲専用車台としてミッドシップ型のエンジン配置になっているため、排気管は車体側面を伝って後部のマフラーに導かれる構造になっています。しかし、この車両、途中の継手のところで排気管が外れてしまっている様子。後方に向かって周囲の装甲板が黒く煤けたように見えるので、何らかの原因でそこで外れてしまって、しばらくこの状態で走り回っていたと思われます。

ここに排気管のジョイント部分があるのは知っていたので、現存車両の写真を見ながら、何とかく再現したのが右の写真。ただ、ちょっと間違ってます。実際にはバンド後方が段付きのパイプソケットになっていて、それをエンジンからのパイプに差し込んで、ボルトで締めて固定する、という構造になってます。時間があったら段付きのパイプに修正したい部分でしたが、どうやら、その必要はなくなりました..

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排気管自体をバッサリと切り落として、実車のように排気管が脱落した状態を再現。自作した固定バンドも不要になったので除去。ちょっと勿体なかったけど。

車体後部がはっきり写った写真は見つかってないので、マフラーが外れていたのか残っていたのかは不明。せっかく作ったものを取るのも忍びないので、写真に写ってないことを幸いとして残しました。排気管は何かにぶつかったかで潰れてしまったのでジョイントのフランジ部分から外した、という解釈にしてみました。切断面に穴を開けてパイプらしく見えるように加工。

そして改造のついでに、ちょっと余興。
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車体後部右側の誘導輪にヘッツアー後期型の6穴タイプの誘導輪を使ってみます。
追突されて排気管と一緒に誘導輪も壊れてしまったので、これ使ってみる?という感じで近くにあったヘッツアーの誘導輪を応急処置でつけてみた、という設定を考えてみました。車体右側の誘導輪の付近が写った写真は見つからないので、実際にどうなっていたかは不明。特定車両の再現というリアリズムの中にも、ちょとしたフィクションが紛れこむ隙間がこういうところにあります。

アカデミーから発売されていた「プラハのヘッツアー」の不要部品から6穴タイプの誘導輪を流用。整形が厚くて野暮ったかったので、穴の縁を削って薄板のプレスに見えるように修正。車軸はドラゴンの車軸に嵌るようにプラパイプを埋め込んで調整。

ヘッツアーの足回りは新規に設計されているので、38t戦車系列の足回りとはサイズが異なってます。転輪の直径は775mmから825mm、誘導輪は535mmから620mmと一回り大きくなってます。誘導輪は半径で42.5mm大きくなってますが、まあ使えない大きさではなさそう。履帯の幅もヘッツアーは広がってるもののガイドホーンの幅は変わってないので、車軸部分に互換性があれば多分使える、はず。ベアリングとかは変えたりしないはず、という想定。

そういえば、ソ連軍のSU-85にパンターの転輪をはめて使ってるのがあったような。

by hn-nh3 | 2017-09-07 19:45 | 38(t)系列 | Comments(2)

T-60 来襲

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大変なことになってきました。我が家にT-60が2台、GAZ?工場製と第37工場製。MiniArtから立て続けに発売。しかも鋼製転輪の264工場製のリリースも発表されて、もう何が何だか。
SU−122の時はバリエーションと言ってもその違いなんて、ほとんど間違い探しのレベルだったから1つだけ買って他はスルーしちゃいましたが、T-60は生産工場と時期によって転輪とか砲塔が違ってたりして、ちょっと気になってしまうんですよねー

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35215(GAZ?)と35224 (No.37)のキットの違いは 、大雑把に言うと転輪が違います。T-40から引き継いだディスクタイプの転輪と鋳造のスポークタイプの転輪。
他は共に初期型の砲塔など仕様はほぼほぼ一緒で、わずかにトランスミッションのアクセスハッチのボルト数の違いがあったりするくらい。

35215は当初、GAZ工場製と謳ってましたが途中でその表記は消えてます。キットで再現されているディテールがGAZ工場製の特徴とは言い切れないのだと想像します。私もロシア側に寝返ってまだ日の浅いモデラーなので細かいことわかりません。セータ☆さんのブログ記事:gizmolog や最近発売されたCanforaのT-60本を眺めながら作ることにします。

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いい出来です。インテリア再現キットとはいえ、車体が小さいので眩暈を覚えるほどのパーツ数ではないです。最近のMiniArt らしくディテールもシャープ。フェンダーのリブもプレス模様がちゃんと裏側にもモールドしてありましたよ。

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ディテールも繊細。別パーツのドライバーズハッチ周りのバルジの装甲板の溶接跡も雰囲気あります。車体との取付部の溶接跡もちゃんと表現してあって、もう伸ばしランナーで追加工作する必要なし。

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砲塔はスライド金型を使って、側面のディテールも丁寧に再現。前面の張り出し上部のベンチレーション用のスリットもそれらしく表現されてます。さすがにスリットは抜けてなかったけど覗き込んでも見える場所ではないので、このくらいで十分か。

この砲塔前面のベンチレーション用スリットはT-40から踏襲された形式ですが、防御力にはやっぱり問題あったのか、ここにつけるのは廃止して砲塔ハッチにベンチレーターをつけた改良型の砲塔が後に登場します。このタイプもいずれキット化されるんでしょうね。

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d0360340_05340484.jpg履帯は組み立て接着式。両サイドに穴の空いたトレッドパターンのモールドはHobbyBossのT-40のものよりも細部のニュアンスがよく再現されてます。
ガイドホーンの軽め穴も当然のように抜いてます。ただ、穴のエッジに少しバリが出るのか、穴の輪郭が安定してないのが少し惜しいところ。

最近のタミヤのキットで、ガイドホーンの穴を再現しないでなんとなくごまかしているのは、こういうリスクを嫌っての判断なのかもしれないですね。

..

さてさて、ちょっとここでガチンコ対決。T-40からT-70まで使われているディスク型ホイールのキット比較。MiniArtのT-60のものとHobbyBossのT-40、TamiyaのSU-76Mを並べてみました。
                  
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TamiyaのSU-76Mは転輪の幅が広がったタイプのものなので厳密には同じではないのですが、プレスしたお椀型のディスクを転輪のリム部分のリングに溶接した構造は同じ。HobbyBossのものはリムの表現が少し強調されすぎてる感はあるものの雰囲気は悪くないです。Tamiyaのものは、溶接部のディテールが少し間延びしていてちょっと違和感を覚えます。最近作のバレンタイン戦車もそうだったけど、タミヤさんはどうも転輪の曲面のニュアンスの把握ができてないところがありますね。

              
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MiniArtのT-60。GAZ工場製で使われているディスク型転輪は誘導輪も同じ形ですが、直径はアイドラーホイールのものが一回り小さくなってます。前のバージョンのT-40から踏襲された形式ですが、何か意味があったのでしょうか。後のT-70では同サイズのもので統一されていること考えると、補給が煩雑になっただけだったような気もします。

これが少し悩みの種で、GAZ工場製のT-60。誘導輪が一回り小さい正規パターンのものと、転輪と同じサイズのものを使っているのがあるんですよね。
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GAZ工場製T-60(写真出典は共にCanfora T-60より)


by hn-nh3 | 2017-09-01 06:20 | 模型 | Comments(6)