断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

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朝の築地場内市場 正門付近(2014年撮影@hn)

そろそろ新作の準備をしないとと思っていたところに、JAPANミリテールフォーラムで超絶技巧を披露されているhiranumaさんからのメッセージに背中を押されて、以前から作りたいと思っていた築地市場の構内荷物運搬車、通称「ターレ」を製作してみます。

「ターレ」とはターレット式構内運搬自動車というカテゴリーの3輪の運搬車。前輪が360度回転可能で小回りが効いて狭い通路でもスイスイ入っていけるため築地市場など各地の卸売市場で広く使われています。エンジンを搭載した円筒形のボディ(ターレット)が前輪と直結していて、リング状のハンドルをまわすとターレットと車輪も一緒に回転するシンプルな構造。その旋回性能の高さとシンプルな機構ゆえの耐久性で市場の構内を縦横に走り回っています。
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築地場内市場 仲卸売場通路(2017.11月※以降特記ないものは全て2017撮影)

今回製作するキットは2種類。アオシマの1/32特殊荷役シリーズから、「ターレー築地市場仕様」と「エレトラック魚河岸仕様」2009年発売の基本キットに魚河岸の小道具を加えて再リリースしたパッケージです。

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「ターレ」は朝霞製作所製造の商品名「ターレットトラック」で、この名前が一般化して構内用三輪運搬車のことをターレと呼ぶようになってます。動力にガソリンエンジン
を使っていて以前はこのタイプが主流でしたが、市場の半屋内環境で使用するのは排ガスの問題などあり、現在は新規の登録も不可、生産停止になっています。

「エレトラック」はニチユ製造のバッテリー搭載電動車。密閉型のターレットボディでガソリンエンジンタイプとは簡単に識別できます。動力用の充電バッテリーは荷台の下のボックスに設置。
電動タイプは他メーカーの関東機械センターの「マイテーカー」含めて、築地市場では2100台あると言われるターレーの大半が現在はこの電動タイプ。


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朝霞製作所製「ターレットトラック」(2009年撮影@hn)

撮りためた築地市場の写真を見返すと10年前ぐらいまでは写真を写ってるのは大半がこのガソリンタイプでしたが、現在はほぼ絶滅状態。 2017年現在、構内の主だった部分を歩き回った限りではガソリン車は3台の残存を確認。濃いめのオレンジの全鋼製ボディとメッシュの放熱グリルが識別ポイント。

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ニチユ(現在は三菱ロジスネクストに合併)製造の「エレトラック」

電動タイプのためターレットボディは密閉式。円筒部は鋼板にイエロー塗装。ヘッドの部分はグレーのプラスチック成形。リング状のハンドルが「ターレ」では水平なのに対して、「エレトラック」は運転席側に少し傾斜して機構的にも改良されています。バッテリー式のため連続稼働時間がガソリン車より短いのが欠点とされ、毎日充電の必要があります。
築地市場場内ではあまり知られていない所ですが、正門上部の立体駐車場がターレの充電プラットホームになっていて、市場の業務が終わる午後にもなるとターレが集まってきます。「ターレの巣」と勝手に名付けた絶好の観察ポイント。

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キットは15センチ角の2枚のランナーに配置されたパーツは必要にして最小限。組むだけなら半日もあれば十分なボリュームです。一箱にパーツのランナーが2セット、ターレ2台が作れるので、カラーリングや仲卸店のマーキングで変化をつけて楽しむのも一興。築地市場では売り場の洗浄に濾過した海水を使うので実車は錆び錆び。ウェザリングの練習に最適。2つのキットで都合4台のターレが出来るのでちょっとしたジオラマ作るのも良し。

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プラの成形色が白いのでディテールがわかりにくいものの、放熱グリルの角穴が抜けてるなどモールドは良好。
ただし、抜きテーパーや肉厚部の僅かなヒケなどタミヤの最近のものやドラゴンのキットを見慣れた目には少しもっさりした感じに映ります。最近のズベズダのキットぐらいの感じというのがニュアンス的には近い。

小さなパーツでは押し出しピンの位置を部品の外に設けるなど気を使ってますが、荷台など大きなパーツでは見えにくい裏面などにピンを配置しているので、多少の穴埋めパテ作業は必要かな。

もっとも、こんな車両がキットになってること自体がラッキーだし、タイガー戦車のように考証にうるさいモデラー達が見張ってる訳でもないので、あまり神経質にならずに気楽につくるのが、このキットの正しい作り方だと思います。

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仮組というか、足まわりシャーシをとりあえず組んでみます。どうしても気になる部分があったらディテールアップ、程度の心構え。左が「ターレーットトラック」右が「エレトラック」。前輪は実車同様に360度回転するようになってます。ブレーキはワイヤーではなく、シャーシに平行に取り付けられたロッドのリンク。
シャーシの断面形状はキットのような角パイプっぽい断面ではなく実車はコの字型にプレスした鋼板を組んでいるような気もしますが、外からはあまり見えないところなので、そこはスルー。タイヤのトレッドもメーカーと製造年代が違うのに共通なのかという疑問も残りますが、タイヤなんて消耗品なので使っているうちに同じタイヤに交換、という解釈もできそうなので、これもスルー。後輪の車軸が板バネも介せずにシャーシにベタ付けなのかは要リサーチ。

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あっという間にここまで出来ました。ターレット内部のエンジンもパーツで用意されています。奥の「ターレーットトラック」はガソリンエンジン。手前の「エレトラック」は電動モーター。荷台下部に収められたバッテリーもそれっぽく再現されてます。
エンジンのパイピング? 殆ど見えなくなるのにそんなディテールアップは今回はやりません。

並べて見て初めて気がつきました。2台のキット、荷台の大きさが全然違うんですね。築地市場で実車を見る限り、ガソリン車と電動車で荷台のサイズが大きく違うという印象はなかったのですが...
こんなマイナーな車両とは言え国内メーカーのものですから、キットの設計には設計図などメーカーから資料提供を受けて進めていると思うので基本寸法を間違えるということはないはず。メーカーのサイトとかで調べてみると、どうやら荷台のサイズ違いのタイプがそれぞれにあるようで、キットでは「ターレーットトラック」ではショートタイプ、「エレトラック」ではロングタイプのものをキット化しているようです。

2台の大きさの違いが、キットの設計ミスではなさそうということはわかったものの、荷台サイズの違うどのタイプがそれぞれ築地市場では一般的に使われているのか、これはちょっと調べてみる必要がありそう。
ということで、カバンに巻尺を入れて築地市場でリサーチ決行。またしても考証沼に落ちる(つづく)

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築地場内市場 旧鉄道輸送荷下ろしホーム付近(2012年撮影@hn)

by hn-nh3 | 2017-11-26 16:47 | ターレットトラック | Comments(6)

8月のプラハ(1968)

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プラハと写真の話の続き。前回の記事(「5月のプラハ」)で少し触れた写真家 ジョセフ・クーデルカ。彼が1968年のチェコ事件に遭遇して撮影したものをまとめた写真集があったので、思わず買ってしまいました。2014年に東京国立近代美術館であった彼の回顧展は行った記憶がありますが、2011年に東京都写真美術館で行われた「プラハ侵攻 1968」の展覧会は未見でした。その時に合わせて出版された日本語版写真集(原典は2008年に発表)

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ジョセフ・クーデルカ Invasion 68 Prague /プラハ侵攻 1968 平凡社 2011刊

版形は31.8×24.6cm 厚み2.6cm 295 ページ。でかいです。
表紙はシルバーに黒のロゴタイポでまとめられて至ってシンプル、かっこいいです。大きさの比較で、机の中に眠っていた未現像のフィルムを横に置いてみました。と言ってもフィルムなんか最近使わないから、大きさのイメージが掴めないですね..

Amazonで中古本を買ったのですが、表紙に少し使用痕がある程度で美品。プレミアついて当時の価格よりも高いですが、それでも中身の質と洋書を買うこと考えたら、全然お買い得。

この本の出来事の前提として少し説明しておくと、1968年1月、ワルシャワ条約機構の一員として社会主義国だったチェコスロバキアで、A.ドプチェクがチェコ共産党第一書記に就任。「人間の顔をした社会主義」を掲げて、検閲の廃止や市場経済の導入など、「プラハの春」と呼ばれる民主化の流れが生まれます。改革はやがて体制批判など党の存在基盤を揺るがす話にもなり、波及を恐れたソ連が突如、同盟国であるはずのチェコに軍事介入。ドプチェクは拘束、モスクワに連行されてしまいます。

(以下、写真出典は全てこの本より)
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冒頭に当時のラジオ局の放送の内容。1968年8月21日の未明にソ連軍が国境を超えてチェコ国内に侵攻。暴動などソ連軍に占領の口実を与えるような動きをしないよう市民に呼びかけるなど、緊迫した状況を伝えてきます。チェコとスロバキアとの微妙な空気感の違いも読み取れて興味深いです。

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侵攻するソ連軍と国旗を掲げて抗議するプラハ市民。銃を持っての武力抵抗にエスカレートしなかったのは、ラジオ局の放送が功を奏したのか。ソ連兵の乗る装甲車はBTR-40でしょうか。この時代の車両にはあまり詳しくはないのですが、ミリタリーモデラーのブログとしてはその辺りも少し触れておきます。

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プラハを占領するソ連軍車両。車両はASU-85空挺戦車か。撮影したジョセフ・クーデルカ(チェコ語読みではヨゼフ・コウデルカ)は当時30歳、航空技術者の職を辞して写真家としての道を歩み始めたところで、ルーマニアでのジプシーの撮影旅行から前日に帰国してこの事件に遭遇、その後の人生を大きく変えていく写真を撮ることになるのです。

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夜が明けて現れたソ連軍。戦車はT-54/55。BTR-152装甲車なんかも写ってます。識別マークとして白いラインを車体に描いているのがわかります。

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抵抗するプラハ市民。バスのバリケードを突破しようとするASU-85の姿が当時のニュースフィルムにも残ってます。

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抗議のデモに向かう市民の車列。撮影はプラハ市内のCKD工場の裏だそうです。CKDと言うとドイツ占領時代はBMM工場という名前で38(t)戦車やHetzer駆逐戦車を作ってた場所ですね。ミリオタ以外にはどうでもいい話ですが

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デモ隊の運転するこの車はなんだろう? こういうの好きなんですが、知識がなくて車種がわかりません。

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抗議集会。長くなるので紹介しませんが、抵抗する市民の姿をクーデルカは克明に追っています。見開きで30×50cmの写真はとにかく圧巻。これらの写真は当局の目を盗んで西側に持ち出され、匿名の写真家の撮影したものとして事件の真実を伝える大きな役目を果たします。
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クーデルカ自身は1970年にイギリスに亡命。これらの写真が自分の撮影であると名乗ることができたのは、国内に残る父親が亡くなり家族への迫害の危険が去った後の1984年。ロシアでゴルバチョフのペレストロイカが始まったのが1985年だから遠い話ではないことに気づかされます

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トレーラーの落書き。モスクワに帰れ!というメッセージ。1968年のソ連軍侵攻、1938年ミュンヘン会談で決まったナチスドイツによるチェコ併合。大国の都合で翻弄される小国の歴史の哀しみが伝わってきます。

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チェコ事件を伝えるこれらの写真は、映画「存在の耐えられない軽さ」でのプラハの騒乱のシーンの考証に使われたそうです。
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「存在の耐えられない軽さ」監督:フィリップ・カウフマン 1988年製作 171分

ミラン・クンデラ原作の小説の映画化。自由の風が流れ始めた1968年のプラハを舞台にダニエル・デイ・ルイス演じる脳外科医のトマシュ(ただし無類の女たらし)と彼に恋をしてしまった写真家志望のテレーザを演じるのはジュリエット・ビノシュ。彼らも否応なく事件に巻き込まれてしまいます。
ニコニコ動画ですが、http://www.nicovideo.jp/watch/sm6119205
この動画の11分あたりから騒乱のシーンが再現されてます。当時のニュースフィルムと再現映像をつなぎ合わせて、ソ連軍の侵攻してきたその時、彼らが本当にそこに生きていたかのように見せてます。

深夜のプラハに戦車がやってくる映像はさすがにT−55は借りてこれなかったのかT-34/85が「代役」を勤めているのはご愛嬌ですが、深夜の痴話喧嘩の最中に突然地響きでテーブルのグラスがカタカタと音を立て始めて異変が起きていることを気づかせ、そのまま広場を埋め尽くす群衆と戦車のシーンに繋がっていく編集は見事。テレーザは夢中で写真を撮りまくり、取材に来ていた西側の記者にフィルムを託すくだりはクーデルカの姿がダブります。

映画のこのシーンの続き(http://www.nicovideo.jp/watch/sm6120939)では、少しネタバレになりますが真実を伝えるために撮った写真が当局によってデモに参加した市民の告発に使われます。西側の記者に託してニューヨークタイムズに掲載された写真が「証拠」として使われてしまうシーンはたまらなく切ない。

それにしても、この頃のジュリエット・ビノシュは可愛かったですね。当時、招待券をもらったとかでガールフレンドと試写会に行った記憶があります。レオス・カラックスの「汚れた血」に出演してた時もよかったな。
...こんなこと言ってると、歳がバレるのですが。

by hn-nh3 | 2017-11-19 18:19 | 写真 | Comments(8)

5月のプラハ

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1945年5月5日、ベルリン陥落の後、当時ドイツ領出会ったチェコに侵攻してくるソ連軍に呼応してプラハ市民が武装蜂起。5月9日にはドイツ降伏となるので、いわゆるプラハ蜂起は都合4日程で終結。その時の混乱の中でも写真は意外に残されていて、冒頭のベルゲパンター?に37mmFLAKを搭載した改造車両など戦争末期の風変わりな車両がいろいろと記録されています。

蜂起軍のクレジットには載ってこないようなので、ドイツ軍がこの車両を使用している状況(蜂起部隊を警戒中?)を写したものと推測されます。
広場に面した窓から撮ったこの写真は、いったい誰がここから撮ったのだろう?

忘れがちではあるけど、写真は「誰かが写した」ものということ。忘れがちだけど。
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決起したプラハ市民を写した写真。この緊迫した場面でカメラを構えていた人間は間違いなくチェコ民兵と同じ側に立つ「味方」のカメラマンであったと思われます。だからこそ、立ち上がった市民が銃を構える場面を撮ることができて蜂起の瞬間を間近に記録した貴重な写真を今に伝えています。
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ここで気になるのは状況の複雑さ。このような写真は決して「普通の市民」が散歩の合間にポケットカメラで撮ったものではなく、その殆どは目的を持って「写真家」が記録した写真だったのではないか。というような話。

チェコスロバキアは1938年にナチスドイツに併合されて、ドイツ軍として連合国相手に戦っていたのだから、チェコの工場で生産される戦車(38t戦車やHetzer駆逐戦車)はドイツ戦車として前線に送られていたように、写真を撮ることを仕事としていたなら、当然にドイツ軍の様子を記録するカメラマンでもあったのかもしれない。
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この写真はいわゆる「プラハのヘッツアー」を撮ったもの。プラハ市内の工場で最終組立てをしてドイツ戦車として完成する前に蜂起部隊が奪取して未完成のまま使用した蜂起軍車両です。昨日まではドイツ軍に所属してドイツ戦車を撮っていた写真家も、その翌日には蜂起軍側で蜂起軍車両の写真を撮っていたのかもしれない。この戦車のように。

もちろん、中立的に撮っていたカメラマンもいただろうし、戦場カメラマンには弾は当たらない(敵味方の双方から撃たれない)という話もあるけど、蜂起したプラハ市民が勝利するのかドイツ軍に制圧されるのか帰趨がわからない状況で「何処に立って何を撮るのか」という問題は決して簡単な話ではなかったはずだ。そう思うと、残された写真にはカメラマンの立ち位置も写り込んでいるような気がしてくる。

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5月9日。ソ連軍はプラハを占領する。ドイツ残存部隊の掃討は11日頃まで続く。果たして赤軍は解放軍であったのか。首都にやってきた遠い国の戦車がどのように見えたのか、今となっては確かめようもないけど。

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最後の写真はその23年後。1968年8月のプラハ。
チェコスロバキアにソ連軍が侵攻。「プラハの春」と言われる民主化の運動はあっけなく潰されます。
プラハに侵入したソ連戦車とそれに抵抗する市民の様子を写した写真は密かに西側に持ち出されて、撮影した写真家の名は伏せられた匿名の写真としてロバートキャパ・ゴールドメダルを受賞。その有名な写真がジョセフ・クーデルカの撮影であったと明かされたのは、その16年後(1984年)のことだったという。
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by hn-nh3 | 2017-11-13 21:52 | 写真 | Comments(8)
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春から制作を進めていたGrille改造 3cmFLAK、とりあえず完成してます。SUMICON参加作品として10月31日の締め切りになんとか間に合ってほっと一安心。

こっちのブログには塗装経過とかアップしてなかったので、工作終わったと思ったらいきなり完成、ということになってしまいました。伏線を回収しないまま突然に最終回を迎える人気のない漫画みたいですが、と言ってまだ完成してないふりして「サフ吹いたとこです〜」という偽装記事を書くも気が乗らないので、ひとまず完成報告。
完成にいたる過程の書き留めておきたいことはいくつかあるから、それは改めて記事にするつもり。

写真、撮りなおしました。コンペの最終日に慌てて撮った写真はちょっとミスったとこあるので、その顛末を含めて今回書き留めておきます。まずは再撮の写真をSUMICONのサイトよりも高解像度(1600×1200:写真はクリックで拡大)でアップ。キャプション再録。


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Grille弾薬運搬車改造3.0cmFLAK 1945.5 Praha

完成しました。ドラゴンの考証ミス白箱キットが形になりました。
1945年5月、ドイツの降伏と前後して蜂起したプラハ市民に鹵獲された車両です。
この車両を取り巻く状況を伝えるべく、ベースもつけてみました。

1. 拠点防衛用にGrille1を改造して3.0cmFLAKを無理やり搭載した車両。機関砲の簡易砲架をスクラッチ。新品の機関砲と改造のベースに使った中古車両のくたびれた感じの対比を表現しました。
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2. 左側全景:残っている当時の写真を参考にして各部を制作。
取り外されたトラベリングロック、車体のカモフラージュ用ワイヤー。迷彩柄も写真を見て復元。
プラハの街灯は当時の写真を元にそれらしく再現してます。
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3. 右側全景:こちら側の実車の写真は殆ど残ってないので、想像を交えて作ってます。
排気管は途中で脱落しているらしく、その状態を再現。
ここからはフィクションですが、破損の原因となったかもしれない事故の傷を車体につけてみました。
写真に残ってないアイドラーホイールは、接触事故で壊れて取り替えたというストーリーを設定。スペアホイール不足でヘッツアーの誘導輪を流用してます。
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4. 上から:機関砲への換装の時に元々の部品を取り外した痕跡を表現してます。
脇に立つフィギュアはミニアートのものから。手の表情だけ少し変えてます。
蜂起してドイツ兵やドイツ系住民を追い払っている市民を見て不安げな老婆。
その昔、ベルリンから嫁いでプラハにやってきました。彼女は追われる側なのか、排除する側になるのか。
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5. 後方から:途中で途切れた排気管。加倒式の後部装甲板の上にあるのはドイツ軍のヘルメットをゲットしてチェコの蜂起部隊が使っていたもの。チェコの国旗を付けてます。
路上で旗を振るのは赤軍の交通整理兵。ミニアートのものを首の角度と長さを調整。少し顔もいじってます。
彼女は戦車に乗ってウクライナからプラハまで来ました。22歳、ただしちょっと太め。
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6. チェコ民兵が鹵獲して使っていた様子を想像で再現。不便だったので、カフェから拝借したトーネットの椅子を車内に持ち込み。
機関砲を俯角で地上掃討に使うのには、踏み台があった方が便利。椅子は役に立ちます。
機関砲の脇には、朝のパンと新聞。ここ数日、パンは焼いてなかったらしく、
手に入れたものの固くてそのまま放置。パン屋襲撃。

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写真を取り直して、細部がだいぶ明瞭にわかるようになりました。前回の撮影ではコンデジを絞り優先モードで撮影した際に、なるべく奥までピントが合うように絞りをF値8.0まで上げて、他はカメラの自動設定でシャッタースピードは手ぶれ限界の1/15~1/20で撮った訳ですが、その時ISO感度の上限を設定してなかったものだから、うっかりISO800の設定になってしまったため、写真の粒子が荒れて、滲んだような画面になってしまってました。フィルムカメラで育った世代としては、絞り込んだら自動的にISO感度が変わるなんて意識してなかったよ..

再撮影では、光源をより明るくして、ISO感度は80で固定(6の写真だけISO200)して絞りはF値8.0〜5.6 シャッタースピードは前回同様1/15~1/20で撮影。
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左が今回の撮影。ISO値80、右が前回のもの。ISO値800。やっぱり粒子感がだいぶ違う。左の今回の写真の方が細部のディテールがはっきり見えます。もっともそれでも少しエッジがぼんやりしているのはコンデジの限界。センサーサイズが1/2.3なので元々の解像度までフルに利用できてない。やっぱり1.0型サイズぐらいは欲しかったかな...

それはともかく、今回の方が写真がクリアになった訳ですが、ちょっと腑に落ちない。細部までよくわかる模型写真としては断然に今回の方がいいのだけど、イメージを伝えるという意味では前回のものの方がよかったんじゃないか、という気も。
前回の写真の少し粒子が荒れた感じとか、暗部が潰れてしまっていたりとか、そっちの方が当時の写真を見ている感じもあるし、アングルも直感的で(工作とか塗装で頑張ったところが結局写ってなかったりするけど)空間の雰囲気は伝わりやすい。それに引き換え、今回の同じアングルで撮ったけど、あれこれとどのディテールを写し込むか気にしてシャッターを切ったから、少し説明的な写し方になっている感が否めない。

結局は何を伝えるための写真かという、なかなか悩ましい問題。
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by hn-nh3 | 2017-11-07 20:51 | 38(t)系列 | Comments(6)