断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

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魚市場の1日

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その巨大なスケール、夥しい数の魚、魚、魚。場内を縦横無尽に走り回るターレ。忙しく働く市場の人々。初めてここを訪れると、とにかく物量の凄さに圧倒される。目に映るものの意味が理解できなければ、一瞬ここはどこの国の風景かと思ってしまうような迷宮的空間。

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築地市場の攻略本を見つけました。
「築地市場 絵でみる魚市場の1日」
判型31×22cm 16ページ の絵本
著者は、このブログを見ている人ならご存知、あのモリナガ・ヨウさんです。

雑誌「Armour Modeling」の連載などで、イラストの描き語りともいうような手法で表現されるディテールへの眼差しが魅力ですが、そのトーンで築地市場の謎を解き明かしてくれます。

表紙からして凄いですね。セリ場や仲卸の店を俯瞰的に微細なディテールを描き分けています。ターレットトラックだって、ひとくくりに「ターレ」ではなくエレトラック、マイテーカーなど車種の違いも表現されてます。

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物語の軸は「築地市場の1日」。始まりは前日の夜から早朝3時頃の風景。各地の漁港からセリにかける魚を運ぶトラックがやってきます。正門を続々と通過する大型トレーラー。普通目にすることのないこの風景は、やはりここは「物流センター」であることを実感させます。

当初は船や鉄道での運び込みがメインだったので、この正門が搬入路として想定されてなかったこともあり、歩行者はトラックがビュンビュン通り過ぎる横をする抜けるように入っていくことになります。歩行者通路はバリケードや赤いコーンでかろうじて確保されてるそんなディテールもよく描かれてます。

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築地といえばマグロのセリ。五時半の開始に先だって仲買人が品定めする場面。マグロは肉質の確認用に尻尾が切り落とされてます。産地や目方を示す黄色い紙や赤いペンキで書かれたセリ番号.. マグロの並べ方が卸売会社ごとの島に分けられてるエピソードが吹出し的に挿入されるなど、その場からは見えない物語も説明的にならない描写はさすがですね。この島ごとにセリは行われるので、時間とともに風景は移動していきます。

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セリが終わって魚は仲卸の店に並びます。店ごとに取り扱う魚の種類も違って、その数600あまり。市場の巨大な大屋根の下、ピカピカとした電球に照らされて魚が所狭しと並べられている風景。上から見た図解的なイラストは魅力的。ここは街の魚屋さんとか料理店などの買付人と言われるプロのための店。魚の問屋さんですね。

最近は一般の買い物客にも売ってくれる店も多いです。魚につけられた価格(キロあたりの単価が記載)を見て、自分でどの魚にするか選んで、上からぶら下がるビニール袋に魚を入れてお店の人に渡すと、目方を計ってくれて売値(キロ単価×目方)が決まります。公設市場なので基本値切りはなし。店の奥の帳場に行ってお金を払って品物を受けとって店を出ると言う仕組みになってます。

イラストは本当によく描けてます。魚を包む紙、輪ゴム、クリップで吊られた注文伝票、濡れないようにラッピングされた計量計。上を見上げると目にする「2階」や、活け締めの魚の鮮度を保つための「神経抜き」の技など小ネタも満載。描くためにかなり通いこんで、お店の人に聞き取りをして、写真だってこんなに描けたりはできないでしょう。

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9時を回ると築地の1日もそろそろ終わり。買付人の波も去り仲卸の店は片付けを始めます。休憩の食事をとったり売り場の清掃。12時を過ぎると場内に人はほとんどいなくなって市場は空っぽになります。

市場の1日はそこで終わりますが、魚はスーパーや街の魚屋に並んでそれぞれの家の食卓に。

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ターレやフォークリフト、小車と呼ばれる木製の台車など場内で見かける車両が克明に描かれてます。ターレも最近のバッテリーモーター車だけでなく旧型のガソリンエンジン車もあったり、ターレーの積載量も1tと2tの2タイプあることがしっかり押さえられてます。荷台下のバッテリーボックスも蓋を開けてもらったのでしょうか。中の様子がわかるイラストは貴重です。ボックスが2つにセパレートされてるのはショートタイプの1t 型ですね。

ターレの前輪ガードがボコボコで錆びてたり、木製の小車の荷台にはガールフレンドの名前、スクーターの足元に置かれた荷物や傷んで破れたシートにかけたビニール袋、などなど。「魚市場の1日」というテーマには直接関係なさそうなディテールが満載。というか作者の興味はまさにそっちか。物語はディテールに宿る。

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白眉はやはりこの本のカバーです。表紙と裏表紙、見返しに折り込まれた部分までびっしりと市場の鳥瞰図が描き込まれてます。隅田川沿いの荷揚げ場、セリ場、仲卸、買荷保管所(茶屋)、正門まで実際の空間が絵巻物のように広がっています。「異時同図法」と言われる、ひとつながりの空間に築地市場の夜から昼までの時間を描いた表現は、ある日の魚市場の1日でもあり、変わることなく繰り返されていきた日々でもあり。




by hn-nh3 | 2018-01-30 08:24 | 資料 | Comments(3)

本日の拾得物

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1月27日(土)晴れ。マイナス2度。いくぶん和らいだとはいえ寒さが続く。
朝の散歩で築地市場。年末年始の喧騒が去って場内はなんとなく静か。朝の冷え込みで観光客も出足も鈍いのか。正門前の掲示板にはいつもながらの築地らしい落し物。

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場内青果棟でミニターレを発見。これは乗って運転するタイプでなく、ウォーキータイプの運搬車。バッテリー式のモーターを搭載、車体前部の引き手兼ハンドルを押し上げると前進、離すと止まる仕掛け。
車種は関東機械製作所のマイテーカ DC−100。荷台サイズは800×1940、積載重量1000kg、最高速度は時速6km。どういう使い方をするのかはメーカーのページに説明ムービーあり。

ボディカラーは青と赤を青果棟で見かけました。メーカーのページを見るとグリーンもあるみたいですね。
この車両、水産棟では見たことがないのは車両リースの管轄の関係かなとも思うけど、何か理由があるのかしら。

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場内水産棟の仲卸で買い物。ノドグロです。長崎産の釣りモノ。K4500円の800g、体長34cm。
こんなに大きいのでなくても良かったのだけど、魚体の大きさが味にも関わってくるので、今日はちょっと張り込みました。
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「ノドグロ」と言う呼び方が有名になりましたが、魚の名称としてはアカムツと言います。水深100~200mくらいに住む半深海魚で白身の脂の旨さで有名な高級魚。深い海から一気に引き上げられたのか、少し目が飛び出てますね。
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口を開けて中を覗いてみます。口の奥が黒いのが「喉黒」という呼び方の由来。舌も黒いです。上顎の三本1対の歯が面白い形。エビやカニなど甲殻類、小魚、イカを主食としているのだとか。

さて、こいつはどう調理しよう。半身を刺身に残りは塩焼きか。頭はアラと一緒に煮付けるか。

by hn-nh3 | 2018-01-27 18:22 | 魚類 | Comments(0)
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MiniartのT-60制作、その4。またもや考証沼にはまりつつあるこの頃。制作も進めてます。
車内の工作はエンジン、トラッスミッションなど細かい部品の組み立てが続きます。パーツの精度はよく、極小ながらもダボなどがついてるので、取り付け位置に迷うことは殆どないです。ただ、パーツの切り出しの時にゲート跡なのかダボなのか、組立て説明書で形状をチェックしてからパーティングラインとか処理しないと、うっかりダボも削り落としてしまうミスが起こりがち。
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ちょっぴり追加工作。エンジンのプラグの配線を0.15mmの銅線で再現。銅線はEUREKAの銅線セット(0.13,0.15,0.18mm)を使用。プラグの頭の側面を狙って0.2mmのドリルで穴を開けて銅線を差し込んでます。
車内反対側にはバッテリー。実車を観察すると側壁にブレーカースイッチがあるので、これはプラ板とMasterClubのレジンボルトを使ってデッチアップ。レジンボルトの側面にドリルで穴を開けて銅線を差し込み。
こんなことしてもどうせ見えなくなってしまうので、内部の追加工作はこのくらいにして先に進めます。

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重箱の隅的考証あれこれ。左の写真は264工場製車体を上から撮った貴重な写真。排気管の吹き出し方向が、他工場製車体では斜め後方(8時の方向)に向いているのが一般的ですが、264工場製車体では後方吹き出し(6時の方向)の事例が確認できます。全ての車両がこの仕様であったのかは不明ですが、これはMiniartのキットでは表現されてない特徴。

右の写真。遠くに写っているT-34(エラの削げた砲塔のスターリングラード工場製)も気になりますが、今日の本題は写真の端にちらりと写っているT-60。どの工場で作られた車両かは不明ですが、操縦手ハッチの裏側の通気穴は丸い小穴がいくつも並んだタイプ。大きな2つの穴が空いたタイプもあるのですが、この使い分けがどのようになっていたのかは要検証。

この車両の面白いのは車体下部前面の増加装甲。中央のアクセスパネルや両サイドのフックと干渉しないように増加装甲板を切り欠いてあります。この車両では前回の記事で触れたミッション固定用の4つのリベットがあるタイプで、増加装甲には干渉を避けるための穴。セータ☆さん情報によると、車体後面では、リベットとの干渉を避けるためにスリットを設けた増加装甲の事例もあるのだとか。

その他、同じくセータ☆さんからの耳寄りの情報。264工場製の車両には砲塔左側面(8時の方向)に小さなボルトが三つあるのだそうな。車内の砲手用シートのアームを固定するもので、T-30,T-40の砲塔で見られたパターン。
他工場の車両にはこのボルトはなく、シートの取り付け位置も若干違う、とのこと。
このボルトを再現してみました。実車の写真を見ながら砲塔側面に穴を開けてMasterClubのレジン製リベット(0.6mm)を植えて見ました。実車ではリベットではなく尖頭ボルトが正解ですが、持ち合わせがないのでリベットで代用。
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平面図に他工場のシート位置(オレンジ色)と264工場製のシート位置を書き込んで見ました。他工場の砲塔では8角形の隅部にシート取付用のプレート(赤の部分)を溶接してそこにシート基部をボルト止め。砲塔外側にボルトがでない納まりになってます。それに対して264工場では、少し位置をずらして(青色)砲塔側面にダイレクトに固定。
これを再現してみます。キットではシート基部が赤色の部材と一体の整形なので、そこを削り取って位置を少しずらして接着。この位置だと砲塔の外れ止め金具と微妙に干渉しそうな感じで、実際どうなっていたのか?
現存する車両の中にこのボルトが確認できる264工場製の砲塔と思われるものがあるので、どこでもドアがあったらちょっと行ってハッチを開けて中を見たいところ。

このボルトは砲塔に増加装甲を貼ったタイプでは見かけない。増加装甲の下に隠されているという気もしないし、ボルト部分に干渉防止の穴がありそうなものだが。
シートの固定方法を変えたのか、あるいは他工場と同じ位置にシートを固定するように変更したのか。

by hn-nh3 | 2018-01-23 20:04 | T-60軽戦車 | Comments(0)

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前回の記事でT-60軽戦車、第264工場製の仕様の分析リストを掲載。今回は各部の仕様に関する考察をいくつか。冒頭の写真は、リストから漏れていた車両。角形の工具箱やゴムなしの460mmスポークタイプのアイドラーホイールなど第264工場製に見られる特徴をいくつか持っています。転輪はスポークタイプのハブキャップのボルトが3つのタイプ。砲塔のハッチはこのパターンからすると8角形ハッチの可能性が高いですが、写真では判断不能。
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第264工場製の車両は大きく2つのパターン。写真左の鋼製転輪+ゴムなし460mmスポーク型誘導輪、砲塔ハッチは丸型、操縦手ハッチは角の丸い一般的な形状。もう一つのパターンは写真右:スポーク転輪にゴムなし460mmスポーク型誘導輪(もしくはディッシュ型)、砲塔ハッチは8角形。運転手ハッチが角形ないしコーナーが45度に面取りされたタイプの可能性あり。

この両方の特徴を組み合わせたMiniartのキットのような車両の写真は未見。それぞれのパターンが並存するのは何となく理由がありそう。例えば「264工場」と言っても組立工場は複数あって、それぞれに調達した部品を組み立てるなど生産ラインが複数あったとか。あくまで想像ですが。

さて各論。まずは車体と足回り。
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Miniartのキットにもなっている第264工場特有の鋼製転輪の使用は1942年4月からなので、1941年12月から1942年4月まで(それ以降も)は第37工場で主に使われていた鋳造・スポーク転輪が多く使われてます。GAZ工場向けの部品を回してもらったのでしょうかプレス・ディッシュ転輪も使われていて写真の車両も混ぜばきしてますね。
前回の記事でアップしたリスト2のno.28の車両ですが、転輪のハブキャップのボルトが3本のタイプだと判別できます。上部転輪も全鋼製の3穴タイプ。このタイプはMiniartの第37工場製のキットに入ってます。転輪ハブキャップのボルト、上部転輪の穴が3と6の2つのバージョンから選択可能。

ボルトが六本タイプは砲塔や車体に増加装甲が施された頃に使用されているみたいです。セータ☆さんがアップしてくれたNo.23の車両の高精細な写真でボルト数が六本であることが確認できます。この車両は誘導輪にも転輪と同じものを使っていてちょっと悩ましい仕様。

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緩衝ゴムを内臓した鋼製転輪は1942年の4月に登場します。リスト1のNo.10の車両ですが、鋼製転輪とこれまた第264工場特有の仕様である460mm鋳造・スポーク誘導輪が使われています。鋼製転輪のハブキャップと上部転輪の穴の数までは判読できないのですが、Miniartのキットではハブキャップボルト3本、上部転輪3穴で再現されています。前記の鋳造・スポーク転輪と共通で調達された部品かもしれません。

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460mm鋳造・スポーク誘導輪は1942年の早い段階から使われているようで、鋳造・スポーク転輪を使用している車両でもよく見かけます。というか、そこが第37工場製車両との識別ポイント。

リストのNo.27の車両ですが、よく見たら転輪のハブキャップ。ボルト6本のタイプでしたね。
..うーん。ボルト本数が3から6本に変わるのは増加装甲を施す前後の時期かと思ってましたが、これを見ると必ずしもそうでもなさそう。

この車両の写真でははっきりしないのですが、第264工場では車体側面装甲板のジョイントが溶接接合になっています。上掲のNo.23の車両では溶接ラインがはっきりと確認できます。

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車体前部上面のミッション点検ハッチはキットでは3タイプ用意され、ボルト本数の違いが表現されてます。第264工場製のインストでは下の3−2−3ボルトのタイプを使うように指示がありますが、当時の写真でボルト本数まで判読できる写真がなかなか見つかりません。第264工場の車体製造ラインの写真が残ってますが、この写真を見ると上の4-2-4ボルトのタイプのハッチが使われていることがわかります。この写真で車体側面の溶接接合ラインもはっきりと確認できますね。写真のソースはココ:Танк со сталинградских окраин

車体下部前面のミッション固定用ボルトと後部の燃料タンク固定用?ボルトが生産のある段階からなくなることはセータ☆さんの記事で考察されてますが、その時期や仕様との関係がはっきりしないところもあってキットの制作では悩ましいところ。少なくとも前面のリベットは装甲増厚と関係しているようで、増加装甲の仕様を再現する場合は前面リベットのないタイプを選択して間違いなさそう。後部リベットがなくなるタイミングがどこか。砲塔の増加装甲のあるタイプでリベットなしを多く見かけるものの、リストのNo.13.14の車両は増加装甲は確認できないものの後部リベットはないタイプに見えます。

当時の写真では車両を前後から写した事例が少ないので、前後のリベットの有無の関係は博物館の現存車両から推測すると、前あり・後あり、前なし・後あり、前なし・後なしの3パターンになるのか。
そうした場合、例えばリストのNo.13.14のような車両の場合、後部リベットは確認できない車両で砲塔の増加装甲がないタイプ。車体前面の装甲増厚はないと判断して上記の3パターンにはない前あり・後なしという仕様になるのかどうか。

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リストを作っていて、第264工場製の車両では後部リベットが確認できないものが殆どだったので、ひょっとすると後部リベットなしが当初からの仕様だったのかとも思いましたが、見つけました。T-60のCANFORAのに掲載されていたNo.12の車両の高解像度写真で尾灯の脇にリベットが2つあるのが確認できます。車体前部のリベットについては上掲のNo.10の車両で確認できるので、鋼製転輪を装備の車両は当初、前後共にリベットがある仕様だったと推測。

操縦席や砲塔の仕様は装甲厚増強の問題と絡んで複雑なので、これはまた改めて考えてみることにします。
今回は、最後に気になる写真を2つほど。

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ヴォロネジ市街で撮影されたT-60。撮影時期は1942年7月頃か。砲塔の標準的な丸型ハッチ、ディッシュ転輪とGAZ製車両のようにも見えますが、誘導輪がゴムのないスポークタイプのものが使われていたり車体側面の装甲板がリベット接合ではなく溶接に見えることから想像するに、これは第264工場製の車両ではないかと。

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これもヴォロネジで撮影された写真。スターリングラード攻略の拠点として攻防戦が繰り広げられた街です。ここで撮影された一連の写真は、鋼製転輪・エラの削げた特徴的な砲塔を持つスターリングラード工場製のT-34が数多く投入されていたことを物語ることで有名ですが、その脇をウロウロしているT-60も同様にスターリングラード南方の第264工場製の車両と推測。砲塔ハッチこそ標準的な丸型ですが、460mm鋳造・スポーク誘導輪(ハブキャップ3本ボルト)や溶接接合の車体側面装甲板などなど第264工場製の特徴。

これらの車両、スポーク転輪(もしくはディッシュ転輪)なのに砲塔ハッチが8角形ではないので、第264工場製車両の標準的なパターンから外れているのですが、これがミッシングリンクではないかという気がします。
おそらく、生産開始当初は8角形ハッチはまだ存在せず、標準的な丸型ハッチの砲塔を搭載していたのではないかと。
その後、8角形ハッチが採用された砲塔の製造が始まり...とはいえGAZ工場向けの部品であった丸型ハッチも大量に届いてその在庫消化のための丸型ハッチ装備の砲塔の製造ラインも残され、その組立てラインには新型の鋼製転輪が届けられて..などなど。そんな想像もできます。


by hn-nh3 | 2018-01-18 12:46 | T-60軽戦車 | Comments(2)
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MiniartのT-60を作ろう:第264工場編。連載2回目でいきなりピンチ。今回はストレートに作ろうと思っていたのにどうも怪しい雲行き。
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第264工場で生産された車両は、鋼製転輪や砲塔の八角形ハッチ、フェンダーの角形工具箱など他工場の一般的な仕様から外れたユニークな特徴があり、Miniartのキットはその仕様を余すところなく再現しています。しかし一つ問題があって、その特徴の全てを備えたキットのボックスアートのような車両の写真が見つからないのです。

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第264工場で生産された車両と思われるものをあれこれ集めてみました。大きく分類すると、鋼製転輪+砲塔丸型ハッチとスポーク転輪+砲塔八角形ハッチの2つのグループに分かれます。それぞれに砲塔は増加装甲ありとなしのタイプが見られるので、転輪と砲塔ハッチの組み合わせは単純に生産時期の前後と言う話ではなさそう。キットの鋼製転輪+砲塔8角形ハッチのような264工場仕様が「全部入り」の車両は(写真が見つかってないけど)存在したのか、あるいは存在しなかったかは不明。

砲塔八角形ハッチのグループにはディッシュ型転輪のものがあったり、誘導輪にゴムなしの460mmスポーク型を使ってるタイプとディッシュ型を使っているものもあったりして、これまたややこしい。

第264工場では他に先んじて車体側面装甲板のジョイントを溶接するなど生産の合理化も行われています。その他、車体前面のミッション固定リベットと後面の燃料タンク固定?リベットがどのタイミングで廃止されるか、などなど。これらはセータ☆さんが"gizmolog>T-60"にて指摘していることなので、詳しくはそちらを参照。

車体の生産の合理化や装甲増強など他工場とも共通して行われていた変遷とハッチや転輪など第264工場仕様との関係を検証するため、ディテールリストを作りました。当時の記録写真から特徴を抽出していますが複数アングルから撮影された車両は少なく、車両全体の特徴をつかむために博物館の現存車両(生産工場は限定せず)もリストに含めました。

以下3枚。1枚目は現存車両(生産工場不問)、2〜3枚目は第264工場製とされる車両の現存写真から抽出。(いずれも画像クリックで拡大)
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T-60 現存車両(生産工場不問)リスト

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T-60 第264工場製 -1

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T-60 第264工場製 -2

リストで使用した写真:現存車両は”USSR Light tank Register”より。第264工場製の写真の多くはネットで見つかるものです。多くはこのサイト"T-60:modeller11@photofile.ru" から。
リストの車両のうち、エントリーno.16とno.17はセータ☆さんの個人コレクションから。ありがとうございます。

リスト化してわかったことと言えば「一筋縄ではいかない」ということしかなく、現時点での結論はありません。悪しからず。それでもいくつかのディテールについては個別的な考察をしてみたいところ。
記事が長くなってきたので、今回はここまで。(後編に続く)


by hn-nh3 | 2018-01-17 09:03 | T-60軽戦車 | Comments(10)

T-60 (Plant no.264) vol.1

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2018 新春企画。T-60をいっぱい作ろう!

MiniartがT-60軽戦車のバリエーションを怒涛の勢いでリリース。さすがにコンプリートは諦めますが、生産工場や生産時期での仕様の微妙な違いを再現したバリエーションキットなぜか惹かれます。ぱっと見で違いがわからないくらいの違いが考証モデラーの心をくすぐります。

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MiniartのT-60は既に3台も買い込んでいることは昨年の買い物リストでカミングアウト。積みの山を減らすべく2台(第264工場製、第37工場製)の生産を進めます。
第264工場製は、SUMICONのニューキットコンにエントリーしたものの、年末に仕事が立て込んでいたこともあり、仮組み程度。年が明けてようやく始動。

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インテリア再現キットです。インストでは先にトーションバーやミッション、ドライバーズシートなど内装部品を殆ど接着してから車体側板を組むように指示がありましたが、車体に歪みが出るのを避けるため、先に箱組みしてからミッション類を組み込んでいきました。

が、そこに思わぬ落とし穴。ミッションと車体の隙間にブレーキディスクの部品を嵌め込むのに難儀。接着してあった車体側板を無理矢理広げてなんとかセーフ。作業性を考えて車体前面装甲板を接着してなかったので助かりました。してたらアウトでしたね。途中、何度か接着したい誘惑に駆られてたのですが、セータ☆さんの指摘する「リベット問題」もあって、どうしようか思案してたのが功を奏しました。毎度ながらの問題先送り癖も、そんなところで伏線回収。

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工場のストックヤードに積み上げられた車体(上が第37工場、下が第264工場用)
このシーン、やってみたかったんですね。Panzerwrecks本なんかで製作中のパンターやらティーガーⅡのドンガラが積み上げられてる風景。T-60ならお手頃サイズ。
この2つのバリエーションキットは車体にも違いがあります。車体側面の装甲板は中間部で2枚の鋼板を継いでますが、前期のリベット接合と後期の溶接タイプの違いが表現されてます。車体底板は両キット共通の部品が入ってますが、リベットがびっしりと打たれた前期型仕様。264工場の溶接タイプを再現するなら不要なリベットをそぎ落とす必要があるのですが、参考になる底面の写真が少なく、これも判断先送り。

d0360340_06350322.jpgT-60の内部はどんな色で塗装されてたのでしょうか。博物館の車両を見るとT-34などでは車体部が白、底板や底板に固定されている器具類はライトグレーで塗られているのを見かけます。伝統的にそうしたカラーリングなのか、保存修復の際に現用戦車のパターンで塗装されてしまったのかは不明。現存するT-60の内部写真を見ると、同様に底面はライトグレー。写真出典は、"T-60 Werk 37 Walkaround"

底面がライトグレーなのはソ連戦車の一般的なパターンに従ったものと推測しますが、MiniartのT-60のインストを見ると、底面も白で塗りつぶすような指示になってます。同じMiniartでもSU-122ではライトグレーの指示があるので、T-60は底面も白で塗られていたという解釈なのでしょうか。確認したいところですが資料不足。

もっとも、標準的な仕様が判明したところで、仮に第37工場工場では底板はグレーで塗っていたけど、生産の合理化を進めていた第264工場では車内は全部白で塗っていた、という可能性もなくはないので、結論が簡単に出るものではなさそうですが。



by hn-nh3 | 2018-01-14 07:00 | T-60軽戦車 | Comments(2)
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築地場内市場セリ場風景 (2013頃撮影@hn)

2018年、1月5日に築地で最後の初セリ。10月の豊洲新市場への移転を控えて、80年あまり続いた築地の風景も今年が最後。
昨年末にキット制作のためのリサーチをしていた築地のターレ。早いとこ作らないと完成する前に築地がなくなってしまうので、本年の模型初めはターレーの工作から。

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作るのは3種類。ガソリンエンジン車の「ターレ」ショートボディタイプとバッテリー電動車の「エレトラック」のショートボディとロングボディ。いずれも水産棟仕様で作ります。
水産棟仕様は防錆と積載荷重に対応してフレーム補強、荷台が水産物対応になっているのが主な特徴。「ターレ」の荷台は木板張りなので、後でプラ板を貼って木目をけがいて板の質感を表現する予定。「エレトラック」の荷台はゴムシート敷きになっているので、キットの縞鋼板の模様は削り落として...ゴムシートはどうやって表現しようか思案中。

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「ターレ」のショートボディタイプ。実車を計測したところ、後輪の位置がキットよりもタイヤ半個分ほど後方にあるので、キットの車軸をカッターで削いで移動。本来であれば車軸と朝にフレームの斜め材の位置も修正が必要なのだろうが、それはスルー。どうせ裏だし..
ホイールベースが伸びた関係で、後輪のブレーキロッドがキットのものでは長さが足りず、0.6mmの真鍮線で作り直し。

「エレトラック」のロングボディタイプは荷台長さが1800に対して、キットのものは1950(やっちゃ場仕様)なので荷台をざっくりと切り詰め。それに伴いシャーシも切り詰めて長さを修正。ブレーキロッドも同じく真鍮線で作成。

「エレトラック」のショートボディタイプは、運転席周りだけ残して、後はプラ板で作り直すことに。
バッテリーボックスの配置構成がロングタイプとは違ってたりと、小改造では対応できないところがあったので、スクラッチしたほうが早いだろうと判断。
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写真は、青果棟で見かけたターレのボロボロの荷台。やっちゃ場仕様の縞鋼板の荷台が水産物の運搬にでも使われていたのか、激しく錆びてます。そのおかげでブレーキロッドがよく観察できます。
水産棟では売り場の洗浄に汲み上げ濾過した海水を使っているので、古いターレはとにかく錆び錆び。それでもここまでボロボロなのは初めて見た。




by hn-nh3 | 2018-01-11 20:29 | ターレットトラック | Comments(0)

2018 始動

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謹賀新年。今年はどんな年になるでしょうか。昨年は、春にこのブログを立ち上げ、夏から秋にかけてはSUMICONに参加したりと、いろいろな方とも話ができて、自分にとっても大きな変化のあった1年でした。何でもっと早く始めなかったのかしらとも思うけど、万事そんな感じですね。仕事だってお尻に火がついてからが本気モードだし、いつも。

ここでちょっとお知らせと言うかご挨拶というか。
私のハンドルネームのことなのですが、ブログの立上げ以前から「hn」を使っていたりしたこともあって、これまで表記が「hn」だったり「hn-nh」だったりでしたが、以降は「hn-nh」で統一していこうと思います。改めてよろしくお願いします。

「hn-nh」というのは単純にブログ登録の都合でできたハンドルネームですが、何となく履帯のピースみたいな形してるし、結局それを使う頻度が増えたので。まあ、「hn」自体、「ハンドルネーム」のイニシャルなので殆ど意味はなかったのですが。

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今年の目標は年間4個以上の完成。計算上は3ヶ月に1台完成...考証1ヶ月、工作と塗装にそれぞれ1ヶ月。自分にとっては結構ハード。

・ターレ2種(ターレットトラック、エレトラック)
・T-60軽戦車2種以上(第264工場製、第37?工場製)

いちおうこれだけで目標達成ですが、新年の抱負なのでもう少し目標は高く掲げるとすれば。

・バレンタイン戦車2種(カナディアンバレンタインMk.Ⅵ、Mk.Ⅳ増加装甲型)
・15cm砲搭載ロレーヌシュレッパー(ノルマンディ型:レジンキット)
・プラハ蜂起の鹵獲未完成ヘッツアー

このくらいまでは年内に何とか形にしたいところ。でないと在庫が減らないし。
この他にも工作が殆ど完了している車両もいくつかあるので、その気になれば月産1台も夢ではない話ですが...
これまでの行いを考えれば、夢は夢のままでしょうね。

今年もヨロシク。

by hn-nh3 | 2018-01-05 17:22 | 日々 | Comments(6)