断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

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フリウルを黒染めした日

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製作中のロレーヌシュレッパー15cm自走砲の履帯にフリウルのホワイトメタル製連結履帯。
履帯のガイドホーンの間隔と上部転輪の幅がぴったりすぎてなかなか通らなくて試し履きをするにも一苦労。結局、上部転輪の裏側をヤスリで削ったりして... 苦労して嵌めたところで力尽きて、撮影した写真を後から見たら転輪が一つ外れてしまってました。やれやれ。

連結式のメタル履帯は強度もあるし、垂れ下がり方も自然でいいのですが、塗装はネックですよね。
可動部の塗装が難しかったり塗っても剥がれやすかったりと、やっぱり金属自体を発色させる黒染めが仕上がり的にはリアル。今回は、AKの黒染め液(メタルバーニッシュフィールド)を使ってフリウル履帯の黒染めで仕上げてみます。

実は私、初めてなんです… 黒染め。
したことないからなんとなく気後れして数年前に買った黒染め液を今日の今日まで後生大事に保管してましたよ。

でも.. 今日は覚悟を決めて、ついに黒染め初体験!

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先ずは染色液に漬け込む前の下処理。
繋いだ履帯のクリーニングには酢に台所用洗剤を少し混ぜた溶液を使用。電動歯ブラシでホワイトメタル表面の離型剤などを落としていきます。そして一晩漬け込んでメタル表面の酸化皮膜を溶かします。これが残っていると染まりが悪いようです。洗剤は数滴でよい、とのこと

酢は使い捨てになるので安価なものを、とスーパーに行ってみたけど…難しいですね。イージーなお酢は成分を見ると出汁とか果汁とか添加物がいろいろ。フリウルに昆布出汁がどう影響するかは未知数です。結局家にあった純米酢を使いましたよ。
洗浄作業は酢酸液に洗剤の爽やかな香りも混じってフリウルでピクルスでも作ってる気分。

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漬け込んで一晩たったら、酢酸と洗剤の混合液から引き上げ、水洗いして乾燥。履帯のホワイトメタルは艶が消えて鈍い灰色に。光沢が残っているところは離型剤や接着剤で表面が覆われている可能性があるので、そこは染まらないからもう一度酢酸液でよく洗浄。この時の色ムラが黒染めにもそのまま影響するから要チェック。

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さて、いよいよ黒染め。100円ショップで買った底の浅いポリプロピレン容器に黒染め液を履帯がヒタヒタになるくらいの深さに注ぎます。綺麗な青。成分はなんだろう。瓶には書いてないからよくわからないけど硫酸銅かしら?

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黒染め開始。電動ハブラシで隅々まで溶液が行き渡るように磨きながら様子をみます。みるみると黒くなっていきます。ものの1分くらいで黒くなります。思ったよりも短時間。頃合いを見計らって引き上げ、水洗いして乾燥。あっという間に作業は終わりました。

酢酸液での下処理が悪いと表面の不純物が析出して白い斑点が出来ることもあるようですが、今回は特にそれもなくラッキー。

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染めむらが出たら引き上げて、クリーニングしてからもう一度漬け込み。その意味でも最初の漬け込みは少し色浅めぐらいで引き上げて様子を見て進めるのがコツかも。

染め時間が長くなると黒錆色より赤錆色が強くなる様子。漬ける時間が長くなると反応が進み過ぎて表面が荒れてくるとのこと。黒染め液から引き上げて水洗いする前に放置しておくと赤錆に。車輌の表現に合わせて、この辺りのさじ加減は...何事も経験ですね。

黒染め液の温度で反応時間も違うようです。冷えてると反応が遅いとか。この時は室温20度くらい。

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水洗いの後、乾燥させるとこんな感じ。今回作っているのは歴戦の車両ではないので、もう少し黒の段階で止めてもよかったかな。ピンの頭を固定した瞬間接着剤のはみ出しで黒く染まってない部分ができてしまいましたが、このくらいは油絵の具でレタッチします

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あっという間に終わりました。まだもう一回ぐらいできるかしら。
綺麗な色のグラデーションを描く使用後の黒染め液をとりあえず元の容器に戻します。
廃液は有害なので下水には流せないらしく、処分するなら新聞紙に吸わせてゴミの日に。

でも燃やしたら、成分が大気中に放出されそうだし... なにがいいのかはわかりません。

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作業は全て使い捨ての手袋つけて行います。履帯自体が鉛を含んでいるし、黒染め液も有毒成分があるので手につかないように作業を進めます。終わった後、手袋を裏返してゴミも一緒にくるんで捨ててしまうと後始末が楽です。

黒く染めは結構あっという間で設営から掃除まで合わせて30分もかからないくらい。
酢酸液での洗浄が必要無かったらもっと簡単なのに…

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と、思って比較実験してみました。
連結済みのピースは酢酸液で洗浄、下処理してから染めたもの。バラのピースは下処理なしで黒染め液につけたもの。何もしてないと染まり方は悪いです。時間をかければできないことはなさそうですが、やっぱり下処理してからの方が綺麗に染まります。手抜きはできない、ということかしら。


余談。
ここまで読んで気づいている人も多いと思いますが、黒染めの方法は四谷仙波堂のホームページにあったAK黒染液の解説記事に多くを依っています。 しかし、四谷仙波堂は惜しくもこの9月で閉店。
ホームページも閉じてしまったので、ノウハウはどこかに書き留めておく必要あると思って記事にしておきます。

思えば、店主の製品紹介記事の批評的な視点は、たかが模型(商品)と、されど模型(再現)の間の溝に橋をかけるようなところがあって、初めてそのサイトを見たときは衝撃を覚えましたね。ネットの向こう側にいるモデラーに個人で模型を売っていくスタイルを見て、いい時代になったとその時は思ったものです。

インターネットは個人を拾い上げるツールとしてはとても優れているけど、個人的にビジネスをするには、実は向かないような気もします。ロングテールを狙った商品構成なのにWEB上では在庫確認ができないなどページ作りの欠陥もあったにせよ、話題の新商品に切り込んでいく言説のスタイルが、逆説的なパラドックスを抱えてしまっていたような。

実際問題、たとえば5000円の商品を一日何個売らないといけないのか、家賃経費と仕入代金を払っていくら残るのか、とか。想像するだけで本当に大変

どの分野でも個人でビジネスを続けるのが難しい時代になってきているような気がします。ここ最近。

by hn-nh3 | 2018-11-17 18:53 | 資料 | Comments(2)
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前回の記事で制作した無線機のラックを設置する。テキトー考証で既につけてしまっている無線機ラックを解体。
カッターの刃を慎重に差し込み少しひねってやると瞬間接着材で接合した部分がパリっと剥がれる。
既に配線をしてある無線機は、本当は配線を一度外して作業したほうが設置作業は楽になるという気がしたものの、せっかくつけた配線もバラすのは少し忍びなかったので、配線をつけたまま宙に浮かしてラックの取り替え作業。ずいぶんとアクロバティックな作業になってしまったもののなんとか完了。

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ついでにアンテナベースがつく雨避けの板も少し改修。実物は端部が補強をかねて折り返してあるようなので、プラ板の細切りを貼り足して整形。

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アンテナからの入力ケーブルのコネクターはアンテナ基部下、無線機横にレイアウト(たぶん)る
無線機の雨避け板の上にはヘッドホンの収容箱が置かれるのが標準レイアウトのようだけど、ノルマンディ戦での捕獲車両の写真では見当たらないので、それに倣って設置してません。
車内通話用のコネクターが設置されているかどうかは、参考にした記録写真では判然としないものの、運転手がヘッドホンをつけていると思われる写真もあるので、運転手席への通話用配線があったと想像できます。となると車内通話用のコネクターも設置されていた可能性が大。模型ではスピーカーの後ろにチラリと見えるのがそれ。

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無線機ラック改修完了。これで当たらずとも遠からず。資料写真と比較してみます。

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この記録写真の高解像度の写真があれば、各部のディテールが判明するものも多そうですが、現時点での考証はこのくらいが限界。

射表といわれる射撃補正用の数値が書いてある黒板は、アフリカ仕様では無線機横の戦闘室内部側面に設置されてましたが、この写真を見る限りはノルマンディ仕様の車両ではそこになく、どうやら前面装甲板左側についていると思われます。装甲板上端がうっすらと線がダブルになっていて、内側に薄い鉄板が貼ってあるように見えるのが、射表ではないかと推測。

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ちょっと気になること。米軍の調査報告書からの抜粋ですが、砲座の部分の車体には欠き込みがあるような図。そして補強用の三角のプレートの有無について。

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BrachModelのキットではこの切り欠きは表現されてません。その横の補強用の三角のプレートがキットでは用意されているのですが、どうもこれは記録写真の読み取り間違いと思われます。

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締め切りもあるので、もうそのままにして先に進めようと思ったけど、やっぱり気になる。サフェーサーを吹いた後で例の三角の補強板をレザーソーで切断撤去。砲架下にハの字型にシャーシ下部まで伸びるアングル材を写真の画角で錯覚して三角プレートと判断したのでしょうが、これは間違い。
プラストラクトの1.2mmアングル材を貼り付けてそれらしく再現。砲座の欠込みは最大仰角時の揺架の干渉を避けるための措置だと思われます。これを再現するには模型の構造に影響するので今回は見送り。(まあ次回はないと思うけど)

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最後の悪あがき。戦闘室外側左後部の足掛けステップは実物でも薄いプレートでできていて曲がってることが多いので、ピンセットで掴んで少しひねって、体重で少し変形したように。

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これで工作は終了。時間もないから塗装を始めます。サフェーサープライマーを全体に吹いて、2400番のペーパーで粒子の荒れたところを均して下地調整。工作のキズや接着跡などスケール感を損なうものがないかの最終チェック。

by hn-nh3 | 2018-11-11 18:28 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(2)
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ロレーヌシュレッパー 15cm自走砲 制作メモ、その4。
オープントップの戦闘室内に装備された無線機を再現したことは前に記事に書いたものの、無線機ラックが考証的な正確さを欠くまま工作を進めたことが気になってました。

EduardからRPMのロレーヌシュレッパー用のエッチングパーツが出ているのですが、上の写真はそのパーツ図で、見ると黄色の丸で囲んだところが無線機ラックのパーツ。

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ラックは上部に屋根板がついて側板は4本のツノが下がるような独特の形状。しかし無線機のショックアブソーバーとフレームの関係が少し変だったり、車体への取り付け方が曖昧だったりして、これがオリジナルな装備を正確に再現したものかどうかがわかりませんでした。

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ノルマンディで鹵獲された車両を上から撮影した写真の無線機の部分。この写真から屋根板があることはわかっていたものの、これがEduardのパーツのように屋根と側板が一体化した形状のものなのかは、この写真だけでは判断しにくいところ。
仮にこの写真がEduardの考証のソースだとすると、側面についているアンテナ線のコネクターや車体についているアングル材のフレーム状の構造体もあってしかるべきだが、それは再現されてないので、Eduardがいったい何を参照してパーツ化しているのかが気になります。

d0360340_19043209.jpg思い浮かぶのはアバディーンで展示されていた現存車両。写真はWikimedia Commonsより。

アフリカ線で鹵獲されたもので保存状態も良好。しかし残念なことにオープントップであるはずの戦闘室上面が保存用に鉄板で塞がれてしまっていて、内部を見ることができない。だからこの車両の戦闘室内の写真資料を検索しても全然でてこないのです。

この車両は近年、別な場所に移されてレストア、屋内展示されていることもあり、ひょっとするとEduardはキット化するときにそこから何らかの資料を得て再現したのかとも想像してます。


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レストア後のこの車両の内部写真を探しても、なかなか見つからなかったのですが、ひょんなことからこのサイトにたどり着きました。

そこに内部写真がありました。ついに見つけました。写真の端に件の無線機ラックが写ってます。

その写真から無線機ラック部分を抽出してみると、確かにEduardのパーツに似た形状のものがそこにあります。屋根と一体化した側板のツノの先端にボルト。無線機のショックアブソーバーがそこに留められていたようにも思えます。配線も残っているので復元したものではなさそうです。

写真で見切れてしまって車体への取り付け部の詳細は不明であるものの、車体側に設置されたアングル材のフレームに固定されていると想像できます。このアングル材はノルマンディのロレーヌでも確認できるので、アフリカ、ノルマンディ戦で共通する仕様と考えてよさそう。配線が側板の向こうに回っているのはそこにアンテナコネクターがあると思われます。これもノルマンディのロレーヌの写真と符号します。

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イラクのロレーヌの写真。この車両は2005年、アメリカがイラクに侵攻したときにバスラ北部で発見されたもの。
そんなところにさまよっていた経緯も興味を惹かれますが、今回は無線機に注力。
後部からの写真に無線機ラックと思われるシルエットが確認できますが、よく見ると四角い箱ではなく、側板下部がツノのようになったもののようにも見えます。

Marder ll やMarder lll などドイツ軍自走砲車両に一般的な車体取付用ラックとは異なる独特の形状ですが、これがロレーヌ系改造車両の無線機ラックと考えてよいのかもしれません。

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決め手はこの写真。ノルマンディで鹵獲されたロレーヌシュレッパー改造砲兵観測車の内部写真からのピックアップですが、ラックの部分を注意してみると、例のツノ型に似た形状のアーム。中央部が欠込まれている形状は無線機フレームのY型の固定金具に干渉しないようにしたためか。

無線機のショックアブソーバーを固定する位置が少し違ったり、(内部であるので)天板はなく側板だけの構造だったりしますが、かなり共通点のある仕様。15cm自走砲と同じA.ベッカーの工場で生産された車両なので、同じ部材を使った可能性もありそう。

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よせばいいのに、試しに作ってみました。プラストラクトのアングル材で車体固定用ラック。0.3ミリプラ板でつの型の無線機ラックを作成。

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ツノの先端にショックアブソーバー固定用のボルト。これはドラゴンの何かのキットからボルトを流用。
プラ板細工は楽しいですね。ずっとレジンと瞬間接着剤と格闘していただけに、プラ材で流し込み接着剤でできる作業のなんと快適なことか。調子にのって作ってしまいました。

配線コネクターはK59のレジンパーツを利用。これは瞬間接着剤で固定。そして銅線で配線を再現して、一度は作ったラックをもうこの新しいラックに取り替える気まんまん。

...時間がないんだから、よせばいいのに。(つづく)

by hn-nh3 | 2018-11-04 21:50 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(2)
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11月。SUMICON参加作品、レーヌシュレッパー 15cm自走砲の制作も佳境。
締め切りまで残り1月を切って、工作もなんとか.. 完了、か。

操縦席周りのパーツなど、塗装してからでないと接着できないパーツを残してほぼパーツも揃って、ここ数日は細部の瑣末なディテールの追加作業。

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ヘッドライトはフランス式。キットに付属のエッチングでライトの基部を組み立てる。ついでに銅線でライトのコードを追加。真横から見ない限りは殆ど見えないので模型的にはあってもなくても大して変わらないのだけど、やっぱりこういうところはなんとなく大事な気がする。
当然のことながらホーンにも配線があるはずだけど、配線をどこで車体に引き込んでいるのかわからなかったこともあって、ここはとりあえず省略。

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車体側面のハッチ。ここの取手はロッドの根元の部分を潰して本体にリベット止めとなっているのを再現。0.3mmの真鍮線をペンチで潰してヤスリで整形、リベットを植えた。小さいのを選んだつもりだったけど、こうやって拡大してみるとちょっと大きすぎたか...

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車体後部の手すりは車体装甲板に溶接留め。真鍮線で作った手すりの根元にエポキシパテを練りつけて溶接の肉盛りを表現。真鍮線を植えただけのほうが模型的にはシャープに見えるけど、装甲板の溶接痕などとトーンをそろえて質感がチグハグにならないように。

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乗降用のタラップは付属のエッチングを利用。車体には突きつけ接着するだけで強度的に不安だったので、接着部をカッターでけがいて溝を掘って僅かではあるけど埋め込みにして固定。
実際は根元を補強するディテールがあるんじゃないかと当時の写真を観察するも、どうも実車も突きつけで溶接しただけの納まり。だから簡単に破損してしまうのか、鹵獲された車両ではタラップが取れてしまっているケースが多い。

テールランプはドイツ式のものがついている。ディテールがしっかりしているタスカのアクセサリーパーツを利用。ちょっと変化をつけて、4穴の車間確認灯ではなくフラップをあげて下部のブレーキランプが見えるようにしてみた。

ソミュールに残るMarder l ではテールランプが上下逆さま。ブレーキランプが上側にくるようについていて、これがロレーヌシュレッパー系の設置方法なのかどうなのか。でも記録写真で同じMarder lでもブレーキランプが下側にくる標準的なパターンは確認できるので、とりあえず標準的な仕様にしています。

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テールランプの取り付け基部がドラゴンのキットの不要パーツから流用。前照灯と同じく、テールランプにも配線を再現してみました。やっぱりランプを灯すには電源が必要だしね。模型が電気仕掛けでピカーっと光る訳ではないけど。

by hn-nh3 | 2018-11-01 20:43 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(4)