断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )
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フィギュア制作の塗装編。前回の記事は→ ソ連戦車兵改造
T-60軽戦車に載せるソ連戦車兵。MIniArtのフィギュアセットをベースにヘッドはタミヤの最近の3Dスキャンのものから流用。オリジナルのヘッドも個性的で捨てがたいものがあったけど、やっぱり目元や口のまわりがシャープなものをつかったほうが塗装は簡単。

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フィギュアの塗装は油絵の具を使ってます。油絵の具特有の粘りや乾燥時間の長さがグラデーションをつけたり細い線を引いたりするのに便利。下地はプライマーサフを全体に吹いた上に白の水性アクリル塗料(ライフカラー)を薄吹き。この時点で下地の荒れがないか確認して調整。その後、各部分に基本色を水性アクリル塗料で塗り込んでおきます。油彩の油を吸って乾燥を促進、定着をよくする効果があるようです。ちなみ使う油絵の具はダンボールの上で半日から1日程度油抜きしたものを使ってます。チューブから出したものを直接使うと、1週間たっても全然乾いてないということもあるから、これは欠かせない作業。

d0360340_09511744.jpg肌色の下地には青緑(ビリジャン)を塗ってあります。これは油絵の具が半不透明で薄塗りした場合に下地の色がうっすらと透ける性質を利用した塗り重ねの効果のため。

人間の肌の色は自分の手の皮膚を見るとよくわかるのですが、ぺったりとした肌色ではなく、皮下脂肪の薄い部分が赤っぽかったり、皮膚の下を走る太い静脈部分が青緑色を帯びていたりします。この色ムラを表現してやると人肌らしい色に。

この肌色の下に緑色を置く技法は、絵を描いてる人に聞いた話で、その時はへー、としか思ってなかったのですが、実際にやってみるとなかなか面白い効果がでます。

手順としては少し白を混ぜた青緑(ビリジャン)を最初に塗って乾燥。この上に肌色を薄くかけて基本の下地色をつくります。この時点では非常に顔色の悪い人になるのですが、上塗りをすれば顔色はよくなっていくので、この時点ではあまり気にしないように。写真は最初に青緑を塗ったときのもの。スタートレックにでてくる異星人のような色。
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けて 「肌色」という色は油絵の具にはないので、いくつかの色を混ぜて作ります。白にオレンジを少し混ぜると基本的な肌色ができるので、それに黄色や赤を混ぜながら欲しい色味になるように調整。そんな色を塗り重ねていくと人肌色に。手の甲の絵の具を薄く塗り残した部分には下地の青緑が透けて、血管の色のような感じに見えます。爪の周りには赤みを足した肌色をおいて、爪は白を足した色。

顔を塗る時もそうですが、影の色には赤と青を混ぜながら紫の色調を強くするくらいで、基本的には茶色は使わないようにしてます。確かに、茶色を使ったほうが陰影がくっきりとしてメリハリはつくのですが、どうしても人形っぽくなってしまうんですよね。実際、茶色なんて色は肌にはないし。ただ、アイラインには少し茶色をつかったほうが目元のシャープさが表現しやすいのも確か。
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顔は難しいですね。まだまだ塗りの甘さが目立ちます。白目はアクリル塗料で描いてその上にブルーグレイの絵の具で黒目を表現。今回、黒目塗りに乾燥の速さを考えてアクリル絵の具を使ったら見事にしっぱい。黒目はやっぱり油絵の具のほうが描きやすいです。失敗しても何度もふきとれるし。そんなことで目元を何度もやり直したものだから、表面が少し荒れてしまいました。目の部分には最後にクリアをかけて「光」を表現してます。

しかし細かい塗り分けの作業は3倍程度のヘッドルーペでは限界。その道の達人はどうやって塗っているんだろうと思います。ただ、慣れないながらもアルパインのフィギュアの塗装見本の写真とか見ながら、上瞼や下まぶた、小鼻の周り、口角の部分などの細かい明暗をつける作業をしていると、不思議でだんだん「見える」ようになっていくのも感覚としてわかります。見えないということの半分は塗るポイントを知らないから。それがわかるようになれば、ルーペの倍率を上げなくても今まで以上に見えるようになるのかも。

今回の大きな反省としては、下地の青緑を塗るのに油絵の具を使ったこと。服の色などアクリル塗料で下地を作った部分にくらべて上塗りの油彩の乾燥時間が全く違いました。肌色に使う白の絵の具の乾燥が遅いというのもあるのでしょうが、下地のアクリルが上塗りの絵の具の油を吸う効果が大きいのだと思います。

そんなことで、中塗りの肌色が乾ききらずに色を重ねてしまった部分など表面が荒れてしまってます。こういう場合は、一度乾かしてから表面に軽くペーパーを当てて塗り重ねるといいのでしょうが、今回は時間がなく断念。乾燥を含めた塗装期間を10日ほどやっぱりもう1週間以上は余裕が必要でした。

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戦車兵ヘルメットはレジンキットメーカーのTANK(タンキ)のものを利用。以前、四谷仙波堂で買ったもの。戦車兵用のゴーグルはタミヤのBT-7のクリアパーツについてたのを利用してます。モールドは良好ですが、さすがに最近のCAD/CAM金型のようなシャープさには及ばなかったので、エッジにペーパーを当ててディテールを調整。

d0360340_19281493.jpgもう一人のスキンヘッドの戦車兵。脱いだ戦車帽は当然に近くにあるだろうということで、用意しました。脱ぐなら戦車の中ではなく車外にでたところだと思うし。
TANK(タンキ)のレジンパーツを熱湯につけて柔らかくなったところをピンセットでつまんで変形させました。脱いでだらりと歪んだ感じに。

戦車兵の服装のディテール、色調はこのサイト:Авто-бронетанковые войска Красной Армии
を参考にしました。かば◎さんに教えてもらったサイトで、モデルさんが実際にコスプレしてる写真がずらりと並んでいるので、ロシア語よくわからなくても大丈夫。

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オーバーオール(つなぎ)は大戦初期の青いものにしました。1942年の夏頃だと、グレーのもののほうが一般的なのかもしれませんが、ジオラマの背景となる麦畑の金色とのコントラストを考えて青を選択。その下に着ている制服はギムナスチョルカといわれる折襟のタイプ。脱いだ戦車帽をそばにおいたのですが、影になってあまり目立たなかった...

フィギュアの胴体部分は襟元以外は袖口などキットのモールドをシャープに調整したぐらいで利用したのですが、長袖のままでよかったのかと..ちょっと不安に。

設定は1942年の8月。夏なら腕まくりくらいしてるのが自然なのかしらと、気になってロシア南部、ロストフの気候を調べてみました。→ロストフ・ナ・ドヌ気温
夏の暑さのピークは7月。8月の平均気温16.9度、平均最高気温28.8度、平均最低気温22.6度。東京の9月中〜下旬くらい。湿度や降水量は東京の2月と同じで非常に乾いた気候。いわゆるステップ気候というのでしょうか。
そんな感じなら、腕まくりしてなくても不自然ではないかな。
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# by hn-nh3 | 2018-04-05 20:20 | 人々 | Comments(0)
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T-60 第.264工場製車両、制作編その13。全鋼製転輪+砲塔ハッチ丸型仕様の完結編。
SUMICONでは一足先に完成のお披露目をしてますが、こちらでは忘備録がてら、制作メモを含めて書き留めておきます。

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OVMの塗装。金属部分はメタリックグレイで全体を塗った上に黒に近いダークグレーの塗料を塗って拭き取り。黒錆(or黒塗装)が剥げたところに鉄の地肌が露出しているような表情に。ともにアクリル系塗料。鉄部の錆色は油彩を上からかけて表現。

d0360340_21210830.jpg実際、T-60に搭載されていたOVMは何色に塗られていたかという問題も。

現存する博物館車両を見ると、柄の部分が木地の色の場合もあれば、車体色と同じ緑色に塗られていることも。
当時の記録写真を見てもどちらのパターンもあるように思われます。この写真、第264工場製の車両(砲塔8角形ハッチ)ですが、フェンダー上の斧の柄は明るい木地色に見えます。鉄部の色はわかりませんが、フェンダーの先にあるジャッキが黒色のようなので、斧の柄が車体色で塗られてないことから、斧の鉄部も黒色かと推測。

d0360340_21473905.jpgフェンダーに取り付けて周囲は土埃が溜まったようにピグメントなどで汚したら、なんだかドロドロになっちゃいました... 油断すると、1/35スケールではなく1/1の汚れになってしまう。
角形工具箱をつけてる車両の場合、フェンダー上のOVMはシャベルとワイヤーだけのようですが、ジャッキとか斧はどうしてれるのかしら?

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足回りの泥汚れはウェザリングペーストを利用。「マッドホワイト」を筆につけて弾いて飛沫を飛ばして車体下部全体に散らしたところに「マッドブラウン」をサスペンション周りに散らして土の湿った感じを表現。そのあと、ベースに使ったピグメントを振りかけて、ベースと色調を調整。転輪の塗装剥がれはグラファイト鉛筆を塗り込み金属感を強調。

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履帯をセットして車両は完成。履帯のウェザリングは今回、ちょっとトラブル。墨入れに油絵の具を薄くペトロールで溶いて使ったのですが、履帯の接着が甘かったのか途中でポロポロと取れて復旧に苦労。エナメルシンナーほどではないものの、ペトロールもプラを侵す性質があるみたいですね。

d0360340_05351428.jpgウェザリングで今回使ったマテリアル。AKインタラクティブのDUST EFFECTSとSTREAKING GRIME。いつも使うのはだいたいこの2つ。薄く塗り伸ばして溶剤(オドレスターペンタイン)で拭き取り。錆色ピグメント(Track Rust)は排気管周りに。その他、ベースで使った土埃のピグメントをフェンダーの周りに散らしてアクリル溶剤を筆で弾いて飛ばしてピグメントを定着。

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d0360340_05460928.jpg履帯の片側には麦畑に踏み込んでついた泥を表現。ウェザリングペーストのマッドブラウンにベース作りで使った草の素材を混ぜ込んで塗りつけました。

ウェザリングは今回はちょっと反省。T-60のような小さな車両の場合、慎重に施したつもりでもたちまちスケールアウト。もっとフィギュアの塗装の時のような小さなグラデーションを刻む必要があったか。サビ表現も抑えたつもりだったけど、写真に撮ってみるとなんだかんだ目につく感じでちょっと過剰。

夏のロシア南部の気候を調べてみたら、降水量や湿度は東京の2月ぐらいと非常に乾いた気候。錆の色は、水と結びついたオレンジよりも空気中の水分との反応による暗い茶色で抑えるべきでした。もっと計画的に考える必要ありで、これは次回の課題。

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# by hn-nh3 | 2018-04-03 06:11 | T-60軽戦車 | Comments(2)

ウクライナ・ベース

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ウクライナの風景。舗装されてない道と麦畑。制作中のT-60戦車のベースはこんな風景をイメージ。ウクライナ東部、ドニプロ市(ドニエプロペトロフスク)付近の村の風景で、キエフの南400km、ハリコフからは南東200km。写真は風景写真素材から有料でダウンロード。

d0360340_06154279.jpg土の色はチェルノーゼムと言われる黒土の乾いた灰茶色。ウクライナからロシア南部の穀倉地帯はだいたこんな色の地面のようです。 半乾燥のステップ気候に形成された土壌で、水分を含むと黒っぽい色になります。MIGのピグメントの「ロシアンアース」がそんな色。
黒土というと、日本だと「黒ボク」という土をイメージしますが、組成は火山性土の黒ボクとは全く違うものとのこと。



d0360340_06311792.png制作するベースの場所の設定は、1942年8月頃のスターリングラード南東部。7月25日のロストフ(ロストフ・ナ・ドヌ)(図の青い円)陥落後、ドイツ軍が侵攻した紫色のゾーン。
最大の激戦地となったスターリングラードは図の赤い円、冒頭の風景写真のドニプロは緑の円で囲んだエリア。地図出典はWikipedia。

エリア的には現在のウクライナ国境の東側、ロシア領内となるのでジオラマベースも「ロシアン・ベース」呼ぶのがふさわしい気もするけど、「ウクライナ・ベース」という方が語呂が良かったのでなんとなく今回の記事のタイトル。もっとも、ロシアというとレニングラードの北方の泥炭地まで含まれてしまうので、土質的にはウクライナから続くチェルノーゼム(黒土)のエリアという意味で「ウクライナ・ベース」という方が妥当か。


d0360340_08240601.jpg能書きはこれくらいにして、ジオラマベースの制作を進めます。
土台は近所のDIYで買った木材にワトコオイルの拭き取り。写真ではすでにマスキングしてしまったので見えませんが、ワトコオイルは浸透性の木材保護塗料でしっとりとした半光沢な仕上がりになるので最近はコレ。色はダークウォルナット。乾性油ベースなので1〜2日影干しの必要ありますが、木に染み込んだオイルの風合いは古材にも似た自然な表情。ちなみに、オイルの拭き取りに使った布を放置しておくと自然発火する場合もあるとのことなので、水につけてから処分するなど扱いには少し注意。

地面の下地には100円ショップで買ったコルクシート(3mm)を接着。戦車が転回してできた履帯の轍の深さが欲しかったので、嵩上げ材として利用。この後に盛り付ける粘土の定着をよくする効果も期待してます。

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地面の表現には石粉粘土。使ったのは「ラドール・プレミックス」という乾燥後に削ったり盛ったりがしやすく扱いやすい粘土です。下に貼ったコルクシートのエッジを利用して5ミリ幅に切ったプラ板でぐるりと囲んで粘土の盛り付けの型枠に作り、木工用ボンドをコルクシートの全面に塗布してから石粉粘土を2mmくらいの厚さで盛り付けて、生乾きの時にプラ板の型枠を外しました。

表面にはジオラマ用の小石とコルク片(轍の彫り込みで発生した残材)を埋め込み。道の部分にはタイヤの轍の跡、路肩には乗り上げた履帯の跡をつけます。ジャンクパーツにあったICMのフォードV3000のタイヤを転がしてタイヤの通過痕を再現。履帯痕は積みの山からオチキスH39用のフリウルの組み立て式履帯を利用。この痕跡を見てそれと看破できたら脱帽です。その時は、ドイツ軍のボイテオチキスが通ったんだよと言い訳するつもり。

粘土が乾いたら撒いた砂利の剥落防止に水で薄めて中性洗剤を垂らした木工用ボンドを塗り込むのが鉄板。今回はマットメディウムを水で溶いたものを使いました。接着力は木工用ボンドに及ばないものの、つや消しの仕上がりになるので塗り込みにも気を使わずにすみます。

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着色にはウェザリングペーストを使ってみました。ピグメントの類がペースト状になったものでそのままでも泥っぽい感じに。
色は冒頭の写真のような土の色にするために、WP02のマッドホワイトにWP01マッドブラウンを混合、そのままではまだ黄色が残るので白っぽいピグメント(MIG P027 ライトダスト)を混ぜて彩度を落として使用。

麦畑に乗り入れて轍が深く掘れた部分は湿った黒土の色。WP01マッドブラウンを塗り込んで、黒灰色のピグメント(MIG P034 ロシアンアース)を撒いてます。ベースの写真の上半分。路肩と麦畑になる部分には、ウェザリングペーストのマッドブラウンを筆に含ませたものを全体に弾いて飛沫を飛ばして草地の土のポクポクした感じ、ロシアンアースのピグメントも撒いて、少し湿り気がある感じを表現。

写真下半分の道になる部分は土がカラカラに乾いたイメージでウェザリングペーストのマッドホワイトに土埃色のピグメント(AK インタラクティブ ヨーロピアンダスト)を混ぜて薄く溶いたもので全体にウォッシング。特に轍の深い部分に埃色が溜まるようにしました。
この辺りの表現は、DIORAMA Parfectionでスーパーテクニックを披露している吉岡和哉さんのツイッター記事を参考にしてます。

こうやって土だけのベースも写真にとってみると悪くないですね。壁にそのまま掛けたら現代アートみたい。
シリーズで各地の地面を作って並べたら楽しいかも.. 例えば1941年秋のレニングラード、43年冬のハリコフ、44年8月のワルシャワ、45年5月のベルリンなどなど...

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塗り込み用に色を調合して残ったウェザリングペーストは空き瓶に入れて保存。あと1回くらいは同じ黒土のウクライナベースが作れます。地面ができたら、次は夏草の表現。

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これは1943年7月のクルスクの写真ですが、一面の麦畑。日常的に麦の栽培風景に馴染みがないので、麦と言ってもどんな麦なのか、収穫時期はいつなのか、なかなかイメージがわかないので少し調べてみました:冬小麦と春小麦とライ麦

麦には秋に撒いて冬を越して初夏に収穫する冬小麦と、春に撒いて秋に収穫する冬小麦の2パターンがあること。寒冷地では小麦よりもライ麦が栽培されている、などなど。秋と言っても日本とは違って冬が早いので春小麦でも収穫は8月中旬〜9月頃。秋蒔きの冬小麦だと7月中旬から8月中旬に刈り取り。収穫期はこちらを参照:クロップカレンダー


ウクライナの風景写真を検索すると7月には麦畑は一面の黄金色に染まってます。クルスク戦の風景も緑一色ではなく黄金色の麦畑だったのかも。

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小麦とライ麦の風景の大きな違いは草丈になります。小麦は草丈1m前後で左のKV-1の写真のように麦の穂は腰高の辺り。ライ麦は1.5m〜1.8mと、人の頭が隠れるくらいの高さに成長するようです。写真右のティーガーの手間に見える麦は少し丈が高いのでライ麦かもしれません。ライ麦というと黒パンですね。ハイジがよく食べてたパン。

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麦を作ります。ジオラマで麦畑作る構想は以前から暖めていたものの、何で作ったらいいかの妙案は無し。先端に穂が実ったシルエットに見合う素材も見つからず、いっその事自作するかなど妄想は膨らみましたが、時間もないのであっさり断念。使えそうなジオラマ素材で代用します。

d0360340_10024696.jpg利用したのはMS Modelsの素材シリーズ彩葉(いろは)MS017 穂の出た植物セット2。これを麦に見立てるべく、短く切って根元を木工用ボンドで固めて地面に植えることにしました。製作中の「麦」はクリアファイルの上に置いて乾燥。はみ出たボンドでくっついてしまわずに乾いたらパリパリとはがせるのはポリプロピレン素材の利点。

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夏草のディテール。冒頭の写真の部分拡大です。麦畑のエッジは道端の雑草との勢力争いで麦の間に草地が入り込んでます。麦の生育が阻害されるのか、草地の側には未成熟の青い麦。他の事例をみると、雑穀の青い穂が混じっていることも。道の真ん中のタイヤで踏まれない部分にも雑草。ただし環境が悪いのか草丈は低め。路肩の部分にはいろいろな種類の雑草群落。ちらほらとは花をつけてる草もあるけど、この季節は花は少なめ。これは日本でも同じで夏場に咲く花は限定的。

d0360340_19125104.jpg路肩に生える少し穂をつけた雑草は当時の写真でも見かけます。レンドリースでカナダから送られたバレンタイン戦車Mk.Ⅶの足元に似たような草が生えてます。今も昔も一緒ですね。
雑草の種類がわかると楽しいのだけど、ウクライナの雑草図鑑みたいなWEBは見つけられなかったので品種は不明。

植物の植え方は、株を偶数では植えない。3つの株を不等辺三角形で配置。直線にならないように並べる。などなど注意して植えると自然な感じになります。ただしあまり意識すると「一様な不規則」になってこれもまた不自然になるので、このあたりは植物の気持ちになって、植物群落と勢力争いを意識して配置しましょう。(笑)

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草を植えたよの図。道と路肩の草地と麦畑。麦畑には戦車が入り込んだ轍、なぎ倒された麦の列。ただし畑に思いっきり突っ込まないで路肩に止まっているのはドイツ戦車でなくて赤軍戦車だから。

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道のディテール。スタティックグラスはマットメディムを塗った上から振りかけて固定。さらにマットメディウムを水で溶いたものを筆に含ませて弾いて飛沫を飛ばしたところにも振りかけてやると自然なバラけ具合に。ボリュームが欲しいところはスタティックグラスを盛り上げて水溶きマットメディウムを垂らして固定。
路肩の雑草は何種類かを混ぜて配置。利用した素材はMSmodelsの彩葉:MS-009穂のでた植物とKATOのフィールドグラスの明緑色と麦わら色、などなど。絵の具を使ってちょこちょこと夏草に小さな花を咲かせます。

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スタティックグラスも2色使って色むらを作ってやると自然な感じに。幾つかの種類が混じってるようにも見えるし、光が当たってるようにも見えます。麦畑の中に雑穀類のイメージで緑の穂の植物を混ぜてみましたが、あんまり目立たなかったですね。麦の色は素材はまだ少し青みが残る色調だったので、エアブラシでクリアイエローとクリアホワイトを軽く吹いて、8月のロストフ郊外の金色に染まったライ麦畑。

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# by hn-nh3 | 2018-03-26 20:47 | 草花 | Comments(0)

ソ連戦車兵改造

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ソ連戦車兵のフィギュアを作る、の巻。製作中のT-60戦車に添える予定の2人組。どちらもMiniArtのソ連戦車兵のセット(Soviet Tank Crew at rest)から。少し大きめのヘッドをタミヤから出ているアメリカ戦車兵セットのものに取り替えてます。


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このフィギュアセット、Miniart初期の傑作フィギュアですが、昨年に装備品の新規パーツ追加でリニューアル再販されてます。

ボックスアートを見ると、ちょっぴり素朴なイメージで、どうなのかなと思ってしまいますが、なかなかどうしてプロポーションは抜群。モールドもドラゴンやタミヤの近作のようなシャープさには及ばないものの、Miniartのフィギュア特有のリアルな皺の表現など、現在の目で見ても十分に通用する水準。

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その中でも白眉はコレ。写真は試しにストレートに組んだものですが、なんとも存在感があります。この彫刻的な身振りを見ると、ドラゴンのフィギュアなんかはモールドはキレキレでも、ただの良くできた人形に見えてしまいます。
このフィギュアの特筆すべきことは、そんなことよりも、手が3本あることです。このシルエットには驚かされます。もちろん本当に腕が3本ある訳ではなく、ツナギを着る途中のポーズのため、袖に通しかけの腕と、まだ腕を通してない袖がぶら下がっているだけですが、この翼がついたような身振りに、なんとなくサモトラケのニケを思い出す。

インジェクションの都合で再現できなかった袖口を掘り込んだり、側面のモールドが甘くなってしまっている革ヘルメットをアフターパーツに取り替えるぐらいで十分に使えます。ヘッドも少し大きめでゴリラ顔ではあるけど個性豊かな表情で捨てがたいものがありますが、今回はもう少しカスタマイズしてみます。

d0360340_19595833.jpgタミヤの近作、アメリカ戦車兵セットからヘッドを流用しました。3Dスキャンを駆使して、最新のドイツ戦車兵セットとともに素晴らしい出来です。目元もちゃんと上瞼と下瞼がモールドされてたりします。

赤く囲った2人をスカウトしました。Miniartのフィギュアの中の人と代わってもらいます。アメリカから人材派遣、いわば人間レンドリースですね。

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このアメリカ戦車兵セットのヘッドはタンクヘルメットを被ってる関係で上頭部と耳がないのでエポキシパテで造形します。耳はロシアのガレージキットメーカー:TANK(タンキ)のレジンヘッドを「おゆまる」で型取りしてエポキシパテを詰めて複製したものを移植しました。1人はスキンヘッド、1人は革ヘルメット姿で再現します。ソ連戦車兵のヘルメットは同じくTANKのものを使用。

d0360340_23044452.jpg今まであまり意識してなかったのですが、人間の頭の形って、小判形ではなく洋ナシというような、こめかみのあたりから後頭部に向かって幅が広くなる形をしてるんですね。パテを盛って何か違うなと、この骨格の話に気がついて修正したものだから、最初につけた耳はパテの中に埋まってしまって、結局耳の大部分はエポキシパテで造作する羽目に。

ん? 耳のディテール? 意地悪なことは聞かないでください。今のところこのくらいが精一杯。

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ヘッドを仕上げるに当たって、ソ連戦車兵のイメージを固めます。こんな奴らがいいかな。1人は左の彼。もう一人は真ん中の人をベースに右の太っちょさんのイメージも加えてみます。タミヤのアメリカ戦車兵はやっぱりアングロサクソンっぽいので、もう少しスラブ系の顔にするために頬骨、眉骨を少し強調。鼻筋も少し低く。それで冒頭の写真のような感じに調整。

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一人目。左がオリジナル。右が改造後。ヘッドのすげ替えの他に、襟元を修正しました。キットのものはM43チュニック、通称ルパシカと言われる立襟のタイプ。これをM35、ギムナスチョルカと言われる普通の折襟の形にエポキシパテで改造。
オーバーオール(つなぎ)のエッジも掘り込んで上に着込んでいる感じになるようにディテールを強調。

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二人目。左がオリジナル。右が改造後。頭が一回り小さくなってバランスがよくなりました。腕やつま先の角度も調整。
こちらも襟の形を修正。手の指先などインジェクションの都合でモールドが甘くなってる’部分を彫り起こしてます。トカレフのホルスターはリニューアル版で追加されたものから。スライド金型使って側面もしっかり抜いてきてます。
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プライマーサフを吹いて、この後油彩で仕上げます。作業用のホルダーは洗濯挟み。
この辺りの制作環境は以外とローテク。



# by hn-nh3 | 2018-03-22 23:45 | 人々 | Comments(0)
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T-60 (Plant no.264) 制作その12。前回のフェーディング(退色表現)の上にもう一度油彩で変化をつけました。
細かなニュアンスの調整と車体下部からフェンダー、車体上面などに埃色をかぶせて、使い古されて全体に汚れが染み付いた雰囲気になるように。
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リベット周りやパネルラインの墨入れは油絵の具の焦茶(ローアンバー)に青(コバルトターコイズディープ)を混ぜたものを溶剤(オドレスペトロール)で薄く溶いたものを使用。黒を使うと淀むので補色の関係にある色を混ぜて絵の具の彩度を下げてます。墨入れに油彩を使うのはボカシがなめらかにできるからですね。エナメル系だと染みがついたようになりがちで拡大して見たとき時にスケール感を損なうことがあった経験から。 

排気管からの煤煙で黒ずんだエンジングリルのメッシュも油絵の具のローアンバーを擦り付けて表現。排気管の焼け錆び色も油彩で同様に表現。後の工程でこれに錆色ピグメントをまぶして仕上げる予定。

 
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車体下部には油彩でアースカラーを作って塗り伸ばして土埃の下地を作りました。実際かなり明るくしてますが、それでも写真にとってみるとフェンダーなどの影で沈んだ感じで落ち着いて見えます。これに転輪、履帯が被さるとさらに暗くなるので、もっと明るく塗っても問題なし。この部分をシャドウ吹きで暗色に塗装する手法もありますが、写真をとったときに車体下部が真っ黒に落ちてしまうことが多く、それは避けたいところ。

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車体下部は全体的に泥色を強くしてこの後に施すピグメントの色調と馴染むようにしてます。地面からの照り返しの光で明るくなる効果も少し意識してます。

砲塔や操縦席周り、車体フェンダーの一部はフェーディングの後で、緑色が強くなるように色を戻しました。Mr.ウェザリングカラーのフィルタリキッドの緑(フェイスグリーン)を部分的に塗りつけて、乾いた筆とウェザリングカラーの薄め液で湿らせたティッシュなどでゴシゴシ拭き取ってなじませました。この作業の意図は、...車体にうっすらとかぶった土埃がすれて車体色のロシアングリーンがはっきりと見えている... そんなイメージでしょうか。

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前の記事:4BO色 で使った写真ですが、砲塔のエッジやフェンダーの一部など擦れやすい部分に地色の4BOグリーンがしっかりと見えているのがわかります。こんな雰囲気を再現してみたくて、ピグメントで埃を強調した後でも全体がぼんやりとしないように色のトーンを強めてみました。

ここまでのフェーディング(退色表現)作業。ペンキの色褪せというよりも軽く拭った程度では落ちない汚れを含めて塗ってます。いわば「長期汚れ」ともいう色調の変化を与えてみました。このあと、クリアを吹いてツヤを調整、そしてピグメントなどで「短期汚れ」を表現するつもりです。   

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ここまでの調整の殆どは油彩で行いました。プラモに油彩と聞くと経験がないとハードルは高く感じますが、実はすごく簡単。何よりいいところは、塗った絵の具が乾いて定着すると、上から塗り重ねても下の層の色が溶剤で溶けることはありません。だからウェザリング中に下の色が滲んだり変なツヤが出てきたり塗膜が剥げたりとかのトラブルもないです。油彩はウェザリングに最適。

ウェザリング程度だったら写真のような7色あれば十分。今回は使ったのは赤(カーマイン)、黄色(パーマネントイエロー)、緑(ビリジャン)、青(コバルトターコイズディープ)、焦茶(ローアンバー)、黒(アイボリーブラック)、白(アイボリーホワイト) 。メーカーはホルベインの汎用品。

赤は少し赤紫っぽい色を選んでます。ロシアングリーンの補色に近いのでグレートーンが表現しやすい色。フィギュアの塗装だと黄色でもカドミニウムイエローなど発色の良いものがいいと思いますが、ウェザリングでは少し弱い色の方が扱いやすいです。絵の具はこれだけあれば殆どの色調はカバーできるから、画材屋の絵の具を端から端まで買い占める必要はなく、混色も法則をいくつか押さえておけば大丈夫。三原色を混ぜた時の色とか、オレンジに白を混ぜると肌色になるとか、黄色に黒を混ぜるとあら不思議カーキグリーンができるとか。あとはちょっぴり補色の話も。

溶剤にはオドレスペトロールを常用。今回はスケジュールの都合もあって、アプタイリングの速乾シンナーを使ってみました。乾燥時間に劇的な違いはないのですが。

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作業の最初は油絵の具の油抜き。100円ショップで買った密閉容器とAMAZONのダンボールを用意。使う色をチューブから出して半日から一晩程度、密閉容器の中で寝かせてダンボールに余分な油を吸わせます。このままダンボールをパレット代わりにしても良いのですが、使い残した絵の具を載せたままにしておくと、密閉しておいても2日と持たずにカチカチに固まってしまうので、右の写真のようなペーパーパレットに油抜きした絵の具を移し替えて容器で保存します。1週間くらいは使えます。

ペーパーパレットは滑らかで吸油性のない使い捨てのペーパーシートなら何でも可。写真のものはホルベインのSSサイズ。葉書より一回り小さい大きさの30枚1セットで180円。1枚あたり6円なり。パレットナイフは簡単なものでもあると便利。油絵の具は粘度が高くてチューブから出した状態だと筆で取りにくく、固まりかけた絵の具を筆で直接すくったりしてると筆があっという間に傷んでしまいます。ペーパーナイフで必要な色をすくってナイフで混ぜて溶剤で希釈してから筆に含ませます。

とまあ、訳知り顔で書いてみましたが、模型での油絵の具の使い方って、雑誌でもあんまり詳しく書いてないんですよね。ウェザリング商材の事は..あれ?こないだも同じこと書いてあったよねと思うくらい情報が多くて予習復習バッチリとなるのですが.. 油彩となると、しかも本格的な油彩画ではNGのような手法だったりするので美術専門書も役に立ちません。油抜きにしても、油絵本来の良さを消してしまうような使い方だし。

油絵の具の乾燥の原理について、自分の知ってる範囲で書き留めておきます。
模型用塗料と油絵の具はその特性が全く違います。模型用塗料(ラッカー、エナメル、アクリル)は顔料を揮発性の溶剤でとかして、溶剤成分が揮発すると塗料も固まる(乾燥する)仕組みです。完全な可溶性ではないものの、乾燥後に溶剤で再び溶かすこともできます。

それに対して油絵の具は顔料のペーストに練りこまれた乾性油が酸素に触れることで酸化重合反応を起こして凝固するものです。塗るときにペトロールやターペンタイン(テレピン油)などの揮発性の溶剤で希釈するのは、単にペーストを希釈して薄く塗り伸ばしやすくしているだけで、模型に塗った溶剤の揮発成分が乾いても、薄い絵の具の層自体はまだ固まっておらずべとついたりするのはそのためです。絵の具に含まれる乾性油が固まるまでにごく薄く塗っても半日から1日程度。模型塗料のように厚塗りすると、絵の具によっては一週間たっても固まってないこともあります。

この乾燥(凝固)の遅さが色のブレンディングなど精緻なグラデーション作りには役に立つのですが、ウェザリングの場合は塗った絵の具が2日も3日も乾かないと次の作業ができず仕事にならないので、それで「油抜き」をする訳です。
チューブから出した絵の具のペーストに含まれる乾性油をダンボールに吸わせるなど減らして、油の酸化重合による凝固が早まるようにします。油を抜けば抜くほど絵の具の「乾燥」は早くなります。絵の具の乾性油には完成後のツヤを出す効果があって油絵特有の重厚感にもなるのですが、模型に使う場合はこのツヤが邪魔なので油を抜いた方が扱いやすくなります。

じゃあ乾性油なんて模型では邪魔じゃん、油なしの油絵の具があったらいいね!となりそうですが、油絵の具にとってはこの乾性油が顔料の定着材でもあるので、油抜きした絵の具で油絵を描いたら将来絵の具が剥落したなんてことにもなります。ピグメント的に使うなら、仮に剥げてもまあいっかとなりますが、苦労して塗ったフィギュアの瞳が鱗が剥がれるように落ちたら泣いちゃいます。だからフィギュア塗装で油絵の具を使ってグラデーション塗装をするときは油抜きはほどほどに、ウェザリングで使うときは粘度のあるピグメントと思って油抜きをしっかりしたものを使うなど、時と場合に応じて使い方を調整。

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あ"ー 上部転輪が曲がってる....


模型用塗料に比べて乾燥が遅いというのはネックになりますが、フェーディングや墨入れで色のグラデーションを作ったりするのはやっぱり他に変えがたいものがあります。固まらないうちならペトロールで拭えば色を落とせるし、固まったら上から塗り重ねても下の色が溶けたりしないし。ちょっと作業しては休んでブログを描いたり(ダラダラ作るのが得意な)モデラーにとっては便利な画材です。


何を隠そう自分も油絵の具を使い始めて1年も経ってない初心者。遠い昔、高校生の時に一度使ったきり ..「油絵の使い方を覚えるために有名な絵の模写から始めよう!」と美術の先生の言葉にそそのかされて描いて、こりゃ才能ないね..と思ったクチです。まあ、模写した絵が後期印象画の巨匠、セザンヌが描いたサント・ビクトワール山の風景。挑んだ相手が悪かった。
                

# by hn-nh3 | 2018-03-16 19:15 | T-60軽戦車 | Comments(4)
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昨日はホワイトデー。バレンタインのお返し、ちゃんとしましたか? 
思い出すのは作りかけて中断しているバレンタイン歩兵戦車。タミヤから発売されたMk.Ⅱ/ⅣとAFVクラブのMk.Ⅳの2台の制作記(Ex.バレンタイン沼)も遠い日となりつつありますが、忘れてはないですよ。またそのうち再開します。

で、今日はもう1台隠し持っているMiniArtのMk.Ⅵ初期型の簡単なキットレビューをやります。
TFマンリーコさんのブログで、AFVクラブのMk.Ⅱを改造してカナディアン・バレンタインMk.Ⅵを制作する話(https://blogs.yahoo.co.jp/maefuna/16184316.html)を受けての便乗企画ですね、早い話。

バレンタイン戦車のシリーズの中でもMk.Ⅵ、Mk.Ⅶはカナダで生産され、主にレンドリースでソ連に送られた車両です。外観はイギリスで生産されたMk.1〜Mk.Ⅱ/Ⅳに準じた内容で、Mk.Ⅶになると砲塔や車体に鋳造部品が多用されるなど本国仕様とは異なる仕様になったりして、模型制作的には面白いところ。この辺りの違いは以前の記事:バレンタイン沼リスト化してるのでそちらを参照。
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Mk.Ⅵ初期型は仕様的にはほぼほぼMk.1と同じで、はっきり言えばあえてキット化する意味があるのか、カナダ人以外に買う人がいるのかと思ってしまいますが、まあここに買っている人がいるので、それなりには需要があるのかも知れませんね..
MiniArtのキット。やはりMk.1との違いを出すために、レンドリースでソ連に送られた車両のマーキングをデカールで用意。ソ連戦車兵のフィギュアセットがついてます。Mk.1には入ってなかった仕様として、メッシュのマフラーガードがエッチングパーツで用意されてます。
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転輪は初期のリブ型のプレスパターンのものが入ってます。リブ型パターンの誘導輪と筒型ヘッドライトのランナーも追加されてます。砲塔の左側面にはD型のハッチがあるものとないものの両方が入ってます。Mk.Ⅵ初期型はD型ハッチのない仕様。

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MiniArtのバレンタイン戦車シリーズはプロポーションに難があるらしくPMMSのレビューでも問題になってました。
同じレビューで転輪もAFVクラブのものと大きさが違うとか指摘があったので比較してみました。タミヤとだいたい一緒か。
バレンタイン戦車の転輪はゴム部分の断面形状の丸みが特徴的ですが、タミヤのキットは一番新しいキットなのにその特徴は完全に無視。MiniArtの転輪はちゃんと丸みが表現されてます。ややオーバーな感じもするけど雰囲気は悪くない。
プレスパターンはカナダのボーデン博物館に残る実車の写真をみると、キットのリブはエッジの丸みが不足気味か。

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車体はMiniArtもスライド金型を使って箱型の一体整形。裏面のモールドは各社まちまち。MiniArtのものはドライバーズシート付近の車体下部にハッチらしきもの。工場で撮影された写真がこの記事に掲載されているので、それを見るとMk.ⅥはMiniArtのキットのようにハッチがあるのが正解。

同じ記事、その写真の下に掲載されてる工場風景を描いた絵は、カナディアン・バレンタインの塗装色が何色で塗られていたかという問題を解く貴重な資料。絵なので正確さには欠けるとはいえ、オーカーの入ったグリーン。いわゆるカーキグリーンno.3という色でしょうか。カーキグリーンno.3は茶色なのか緑なのかよくわからない色ですが、少なくともSCC2 ブラウンではないですね。ソ連に送られたマチルダとかバレンタインなどイギリスとカナダから送られた車両の色は緑だったのか茶色だったのか、ミシリンでもいろいろと議論がありましたが。

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サスペンションのコイルスプリングは、AFVクラブのキットはスライド金型を使って本当に可動するバネを再現した驚異的なモールドでしたが、MiniArtはそこまではやってません。それでもシャープなモールドでこれで十分。このスプリングは実車の写真を見ると丸ではなく角形断面のロッドが巻いてある形状ですが、MiniArtのはそれをしっかり表現してます。それに対してAFVクラブのものは丸型断面のロッド。現存車両ではアバディーンの実車(Mk.Ⅱ)も角形断面のロッドなので、AFVクラブのような仕様が果たしてあったのか。これはもう少しリサーチする必要がありそう。

とりあえず今日はここまで。気が向いたら砲塔も少しレビューするかも。
そもそも、MiniArtのMk.Ⅵ初期型のキットは転輪や角形ヘッドライトなどタミヤのキットとのコンバート用に買ったのですが、せっかくならパーツ取り用だけでなく、残り部品で何かしてみたいところだけどまだ妙案はなし。

# by hn-nh3 | 2018-03-15 20:59 | valentine戦車 | Comments(4)
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T-60 (Plant no.264) 制作その11。基本塗装の上に油絵の具でフェーディング(退色表現)を行いました。
ウェザリング技法でよくドッティングなどど言われてる方法ですね。粘度の高い基本色(Ex.緑、青、赤、黄色、白..)を小さく斑点状において、ペトロールなど油彩用シンナーで薄く塗り伸ばして微妙な色階調を作り出す方法ですが、今回はロシアングリーンを明るくしたライトカーキグリーンともいうような色を作って2階調で薄く塗り伸ばしました。基本塗装の保護でクリアを吹いた時に少し色が沈んでしまったこともあり、明度を全体的に引き上げる目的もあったので、グリーン系の2階調で塗装色のニュアンスを調整しました。

同色系の絵の具でのフェーディングを行ったことに、もう一つの理由があります。いわゆる「カラーモジュレーション」は行っていないのですが、さすがに何もしないと模型的な押しが弱くなるので、光の効果を加味した色調整を同時に行いました。
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何もやってないじゃん...と言われればそれまでですが、天板を側面より明るく、砲塔側面下部や車体側面のフェンダー側などを反射光の表現で少し明るくしてます。さりげなく所作を感じさせない程度に。それとわかってしまうと光ではなく色になってしまうので... もう一回色を重ねますが、このあたりはまだ試行錯誤中。

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簡単な実験ですが、写真Aは白い物体を白い紙の上に直においたもの。写真Bは白い物体を紙から少し浮かせた状態。物体の側面の明るさを比べてみると、Aの紙の上に直に置いた時の方が明るくなっているのがわかります。比較用に写真Bの赤で囲った部分に同位置のAの部分を合成してます。明るさの違いが明確にわかると思います。

このように物体の側面はすぐ側の明るい面(この場合下に敷いた紙)からの反射光の影響を受けてほんのり明るくなります。

d0360340_15313785.jpg実験その2。反射光の影響がわかりやすいように下にオレンジ色の紙を敷いてみました。
オレンジ色の反射光が白い物体の側面をオレンジに染めているのがわかると思います。白い紙の上にある部分の側面は白いままです。このように物体の側面は周囲にあるものからの反射光にいつも影響を受けてます。

さらに詳しく観察すると物体側面の上部の方が下部よりオレンジ色が強く見えてます。下部の方が下のオレンジ面よりの反射光が強くて明度が高い状態なのでオレンジが薄く見えます。サンプルが小さかったので反射光のグラデーションがわかりにくいですが、物体側面は隣の明るい面との距離に応じて色と明るさが変化しています。

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ここからが本題。下手くそなデッサンですみません。
慣れない絵を描いた訳は、「カラーモジュレーション」について少し考えてみたいと思ったからです。実は現在流行している技法には少し懐疑的です。立体の面構成を強調するように色のグラデーションをつける方法は、確かに小さな模型の立体感を強調するには有効な技法ですが、濫用すると却ってリアリティを損なうような塗りかたに陥ります。

上の立体デッサンを見てみます。二つの白い立方体に左斜め向こうから光が当たってる設定。基本的には左の立方体のように3段階の明るさの違う面ができます。この明るさの描き分けは模型塗装にそのまま適用することはできません。模型鑑賞の光源の向きを固定しない限りは立体が破綻します。さらには色の明度の問題。左図では上面(1)は光が当たっていて白く見えてますが、側面(2)、そしてさらに暗い側面(3)は影を強調しようと色のトーンを暗くすると、結果として暗いシャドウ部分に塗られた色は基本色とは似ても似つかない沈んだ色彩になってしまいます。シャドウ吹きで煤けたような模型になってしまった人は多いはず。

この話は絵画の世界でも同じで、陰影を表現しながら色彩の純度を損なわないようにする方法として考えられたのが、右図ような影のつけかた。

人間の眼は隣り合う面の色の違いで立体を把握しています。その習性を利用して面の隣接する部分の明るさの違いだけ表現してやると、影になる面(2)と(3)の面全体をグレーで塗り潰さなくても立体が表現できます。影の面も白と感じられるような塗りかたができる訳です。左の立体の面(2)と(3)の影は下部がグラデーションが白いまま塗り残されてますが、先の反射光の話を加味して地面からの反射光で明るくなっていると解釈することもできます。

この明暗表現を模型の塗装に応用したのが「カラーモジュレーション技法」と言うことになります。その意味では基本色のトーンを損なわずに陰影を強調できるので便利です。模型塗装では、物体が小さくなると見かけの明るさが減光するのでそれを補うために色の明度をあげる必要があったり(スケールエフェクト)、屋外の自然光の強さを表現するためにコントラストを強調する必要がある訳ですが、そのために色を使って模型に光を描きこむのがカラーモジュレーションの原理だと思います。

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模型誌をパラパラとめくっていると、手法が目的化して光の効果から離れて面の塗り分けに注力している作例も見かけます。隣接面からの反射光が考慮されてないパターンも多いです。例えばフェンダーのつく車体上部側面の塗りかたは、側面のフェンダー際が暗くて上にいくにしたがって明るくなるような色調。現実世界ではそのような現象は起こらないのに、判をついたようにこの塗りかたが踏襲されてます。砲塔も側面下部が暗くて上部に向かって明るく塗られていたりします。

しかし実際はフェンダーと同様、砲塔側面の下部は車体天板からの反射光で明るくなります。砲塔の防盾下面も影の中にあっても車体からの反射光でほんのり明るくなっています。人間の顎の下が胸板からの光の反射で意外なほど明るいのと同じ原理。

話はこれくらいしておきますが、目的と原理から離れて、手法としての様式化が進むとどうしてもそういったことに陥りがちです。リアルの追求からは遠く、不自然で模型的な所作が繰り返されて...
まあ、習い事に共通することです。...剣道、茶道、戦車道。道と名のつくもの全て。

# by hn-nh3 | 2018-03-13 18:00 | T-60軽戦車 | Comments(2)
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T-60 (Plant no.264)制作 その10。もう一つのT-60 第264工場製車両は砲塔8角形ハッチ、鋳造スポーク転輪の仕様。それだけではつまらないので後期の増加装甲付きのタイプに改造する予定。

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実車はこんな感じ。車体の前部に15mmの装甲板の増し貼り。ドライバーズハッチ周りのバルジ部分にも15mm増加装甲。
車体後面は10mm。車両によっては後面の増加装甲が貼ってないタイプも。
砲塔は防盾正面に15mm。砲塔側面にぐるりと10mmの増加装甲板。ビジョンブロックやピストルポート周りは増加装甲を切り欠いて干渉しないようにしてあります。


d0360340_20593770.jpgつい先日リリースされたMiniartのT-60バリエーションキット。ゴーリキー工場製後期型(ma35232)は増加装甲付きの仕様が再現されてます。Miniartのページにキットのパーツの写真が掲載されているので、それをダウンロードしてイラストレーターで画像をキットの原寸に調整してトレース、増加装甲の型紙を作りました。

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これをプリントアウト、スプレー糊で0.5mmのプラ板に貼り付けて、プラ板を切り抜いて増加装甲を作ってみました。
後面の装甲板は 実車で10mmなので、1/35に換算すると約0.3mm。うっかりしてました。後面装甲板も0.5mmで作ってしまっていたので、表面をサンドペーパーで削って0.3mmぐらいに薄く調整...

車体前後の装甲板はリベットを避けるための穴(後面はスリット)が増加装甲板に穿たれているのも再現してます。車体前後の増加装甲板は牽引フックや誘導輪基部、テールランプとの干渉を避けるための切り欠きがあるので、これも再現。チマチマとプラ板を切り抜いて制作

後部フェンダー固定用のアングル材はキットのパーツを見ると、増加装甲の上からリベットで止めてあるようなディテールになってますが、本当にそうなのか。ちょっとこれには疑問があるので検証してみます。

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仮にフェンダー固定アングルが増加装甲板の上からリベットで止めてあるとすると、その下の車体本体の装甲と一緒に穴を開けてリベットで止めているということになります。先に穴が開けてある増加装甲板を貼るときに、どうしても取付誤差が生じて車体側装甲板の穴とずれたりする可能性があります。テールランプなどではそれを嫌ったのか、その部分の増加装甲を大きく切り欠いて、テールランプは本体側の装甲板に固定するような納まりにしています。それなのにフェンダー固定アングルに限って増加装甲と本体の下穴がずれないように細心の注意を払って取り付けるような工法を採用するのかは疑問です。

他の部分のフェンダーステイを見てみると、増加装甲のない車体側面にはフェンダーステイはボルト固定。前部フェンダーは車体前面の天板にアングル材をボルト固定。ただし前端部の補強リブの基部は本体側が溶接接合部になる関係でボルトを使えなかったと思われ、そこだけ溶接。

仮に後部のフェンダー固定アングルが増加装甲板の上に止めてあるとすればおそらくは溶接止め、そうでなければ増加装甲を切り欠いてテールランプ同様に本体装甲板に直接固定していると想像します。

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増加装甲のその部分がわかる写真が殆どありません。黄色の矢印の部分がフェンダー固定アングルの取付け場所。増加装甲を切り欠いているのか..溶接でアングル材を止めているのか.. どちらの写真でも判読不可能。青い矢印は増加装甲の切り欠き部分。

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見つけました。その部分がわかる写真。この車両は砲塔ハッチが8角形、砲塔側面に増加装甲があることはビジョンブロック周りの切り欠きで判別できます。車体後面もおそらく増加装甲。誘導輪基部に装甲板の切り欠きが確認できます。

問題のフェンダーの固定アングルは増加装甲の上から固定してありました。その下の誘導輪基部周りの装甲板切り欠きとは影の出方が違います。アングル材が溶接固定なのかボルト固定かまではこの写真では判断できず。


# by hn-nh3 | 2018-03-10 14:02 | T-60軽戦車 | Comments(0)

4BO+5:T-60 (Plant no.264) vol.9

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T-60 第264工場製車両 その9。基本塗装を行いました。
塗装の下地にサフェーサープライマーを吹いて、先ずはダークブラウン。チッピングで上塗り塗料が剥がれたところに見える下地色を作ります。チッピング用の剥離剤を吹いて乾いた後に基本色のロシアングリーン:4BOを吹きました。

d0360340_21562410.jpg使った塗料はMMPの水性アクリル系塗料。前作のGrille改造FLAKの塗装からこれ使ってみてます。元々は同じく水性アクリル系のライフカラーを使ってたのですが、水性アクリルの弱点である塗膜の弱さ、エアブラシの目詰まりを解消する性能がある、とのセールスポイントに惹かれて導入しました。

ロシアングリーンのカラーはMMP−031の4BO:FS34079とMMP-028のRussian DarkOlive:FS34102を使用。MMP-031を下吹きして、その上にMMP-028。さらに028をもう一段明るく調整した色を重ね吹して色のニュアンスを調整しました。3階調の色をぼわっと重ねただけで特にカラーモデュレーションとかは行ってません。
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基本塗装が終わったら、水で濡らした固めの筆で塗膜をぽんぽん叩いて塗膜を剥がして下地の錆色を露出。転輪、工具箱、フェンダー、歩くところをちょこちょこっと、あくまで控えめに。プライマー色ではなく錆色のつもりだったけど、少し明るすぎたかな...

d0360340_22361226.jpgT-60の記録写真を見るとマーキングがない車両の方が多いのですが、それだと模型的には少し寂しいので、車両番号くらいはつけたいと思います。キットには2種類のデカール。ステンシル文字の「076」と手書き数字の「31」

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このナンバーを実際につけてた車両の写真がありました。左側の写真の奥の車両が「076」。鋼製転輪の車両でちょうど再現した仕様でもあるので有力候補。ただこの写真、撮影場所が11月の北コーカサス方面。作っているキットは1942年の8~9月頃のスターリングラード前哨戦をイメージしているので、ちょっと場所と時期が合わないのが残念。左側の写真の車両が「031」。しかしこの車両、残念ながら砲塔ハッチが8角形タイプ。再現しているのは丸型ハッチの車両なので悩ましい。細かいことには目をつむって使ってしまうという考えもよぎったものの「散々、仕様にこだわっといてこれかよ」という声がしたので、これも諦めます。

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鋼製転輪・丸型ハッチの車両となると、マーキングがあるのは写真の左上の車両。砲塔に「3672」という少し不揃いの数字。余ってるデカールの数字を寄せ集めて再現しようかと思いつつこの写真をよく見ると、検分するドイツ兵の傍に乗員の痛ましい姿が... キットからそんな未来が見えてしまうのはちょっと切ない。何よりこのナンバーが模型的に見栄えがしなさそうなので、これも不採用。

他の候補としては写真右上の車両についてる三角の部隊マーク。これも8角形ハッチの車両ですが、円形ハッチの車両でも同様のマークをつけた車両はあったはず。写真に写るのは放棄車両を検分するのがイタリア兵で、ロシア戦線のイタリア兵というシチュエーションも楽しそうです。デカールは第37工場製車両のキットから流用できそう。ただ、マークがピストルポートにからむのでデカール貼りの難易度高め。

写真左下も8角形ハッチの車両ですが、面白いマーキング。しかし、これを再現するのは難しそう。デカールを自作するノウハウは持ってないし。
写真右下の車両。増加装甲付きの車両で砲塔ハッチは8角形。砲塔には「7」の車両番号。これなら何かのデカールから流用できそう。夏のウクライナの草原というシチュエーションもイメージに合いました。これにします。
ただし、数字を変えて、この車両の近くで行動していただろう僚機の設定で再現してみます。上の北コーカサスの写真のように8角形ハッチの車両と円形ハッチの車両が同じ部隊にいた状況は十分にありそう。
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デカールはDragonの何かのキットで余ってたデカールから流用。記録写真の「7」のようなもう少しロシア成分の高いフォントだったら良かったのですが、これなら許容範囲。デカールがカルトグラフ製というのも安心感あり。

ウェザリングとデカールのシルバリング防止用にセミグロスのクリアを車体全体に吹いてあります。デカールはぬるま湯に10秒ほど浸して引き上げて暫し待ちます。台紙から動くようになったら爪楊枝を使って数字を滑らせながら所定の位置に配置。マークセッターを塗って位置を調整した後、空気を追い出すように綿棒でデカール表面をトントン叩きながら水分を抜いてセット。デカールが乾いたらもう一度セミグロスのクリアを上から吹いてコーティング。

接写して拡大して見ると...クリア吹いた時にあちこち埃を巻き込んでしまってます。後で少しペーパーを当てて均す必要あり。それと..クリア吹いた時に車体色が濡れ色になって少しイメージより暗くなってなってしまったのは少し迂闊でした。前回の記事で「同じ色でも光沢が変われば色の濃さも変わって見える」なんてこと言っておきながらこの始末。完全に経験値不足ですね。

# by hn-nh3 | 2018-03-06 06:20 | T-60軽戦車 | Comments(0)

4BO色

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ソ連戦車の色。4BOと言われるロシアングリーンは実際どんな色だったのか。
第二次大戦当時の写真はモノクロが大半で、カラーフィルムで撮影されたものの発色の問題があったり時代を経て退色してしまっていたりで、実際に目で見た感じのリアルな色からは程遠い。

d0360340_19113575.jpg最近出版された「AFVリアルカラー」は塗装色の資料本としてかなり充実した本です。当時のカラーチャートやオリジナルの塗装が残る部品の写真、最新知見に基づいた解説、何よりも日本語版というのが有難い。

ソ連戦車の色も詳しく解説されてます。戦前のプロテクティブグリーン、ZB AU、そして標準色となる「4BO」。迷彩用の6Kブラウン、7Kサンド、6RPブラックなど、再現された色見本や車両への塗装例の綺麗なイラストでとても参考になります。

4BOはダークグリーンに少しイエローオーカーが入ったような色調ですが、実際には色の配合比率にばらつきがあって、いろいろなニュアンスのグリーンがあった、とのこと。

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「AFVリアルカラー」からの抜粋。(ページを写真に撮った段階で発色が変わっているので正確さには欠けます)左が出版に際して再現された色調。右は当時のカラーチャート。退色したのか、左のサンプル色とも既に違ってますね。

「4BO」は正確にはどんな色だったのか、というのは気になるところですが、それ以上に知りたいのは4BOに塗られていた車両が戦場ではどんな見え方をしたのか、という部分です。例えば同じ色の塗料でもツヤありとつや消しでは色の濃さが違って見えるし、退色したり土埃にまみれて色が変わって見えたり、レニングラードとコーカサスでは光の色が違っていただろうしで、実際にはどんなトーンの色調で見えたのか。

当時のカラー写真はそのイメージを探る貴重な資料ですが、フォルム特性で青みが強く発色していることも多く、またそこにフィルムの退色が発生して赤みが強くなり、紫色を帯びて補色となる緑が黒っぽくなっていたりします。

実験ですが、当時の写真をPhotoshopで色補正。退色して抜け落ちてしまっている色もあるので擬似的な退色補正でしかないけど、なるべく目で見た感覚に近い色調が出るように調整してみました。2枚組の右側はオリジナル画像。左が補正後。

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3枚目と4枚目の写真のT-34/76は1942年ウクライナで撮影のものと思われますが、夏の強い日差しと土埃でかなり白っぽく見えてます。4BO自体が明るめのグリーンだった可能性や塗料の劣化でチョーキング(白亜化)を起こして明るい色調になったと言うことも考えらます。ただ、4枚目の写真の先頭のT-34の砲塔上面〜防楯や右フェンダーに強いグリーンが残っているので、やはり埃まみれになってこんな色調で見えていたのでしょうか。3枚目の写真も防楯周りに4BOらしき色。

d0360340_21263874.jpgただ、よくわからないところもあって、右のモノクロ写真はT-40Sのスクリュー廃止部分がわかる貴重なバックショットですが、この車体の色調はどう見ても暗色の4BOではないような気もします。

上からのショットなので、光の反射で明るく見えるということもありますが、別のカットでアイレベルから撮ったものでも明るい色調。新品車両だから退色したり埃をかぶって真っ白ということもなさそうだし。

グリーンというよりドイツ軍のダークイエローにも似た明度は、迷彩用の7Kサンドの単色で塗っているのかとも考えられますが、確たる証拠もなし。

さてさて、製作中のT-60 はどんな色調で仕上げようかしら..






# by hn-nh3 | 2018-03-04 21:56 | 資料 | Comments(2)