断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )
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久しぶりに模型の話。ブラチモデルのフルレジンキット:ロレーヌシュレッパー 15cm自走砲をSUMICON参加作品として、6月より制作しているのだけど、いろいろとあって制作は大幅遅延。
そういえばこっちのブログではこの話題の記事はまだアップしてなかったことに気づきましたが、今更最初から始めるのも気がひけるので、現在進行形の話から始めます。

今回はオープントップの戦闘室内に搭載された無線機の話。生産数の少ない自走砲は記録写真も少ないこともあって、戦闘室内の装備はモデラー泣かせ。多分にもれずロレーヌシュレッパー 15cm自走砲も、内部がわかる写真が非常に少ない。北アフリカに送られ1942年のエル・アラメイン戦で捕獲された車両を調べた報告書(Preliminary Report No. 13 - Lorraine S.P. Mounting)を見ると、戦闘室には砲弾ラックの類はなく、単純に榴弾砲と乗員スペースを囲っただけのものだったようだ。

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オープントップの戦闘室左後部に無線機を積んでらしく、「収容箱が2個」との記述が確認できます。残念ながら無線機周辺を写した写真が報告書には載っていないので、推測にはなるがMarderllなどに搭載されていたような2段式の無線機ラックが装備されていたのだろうか。この記述が正しいとすれば、他の自走砲車両の事例を参考にモデリングすればよさそうにも思われますが、気になるのが次の写真。

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ノルマンディ戦で捕獲されたと思われる記録写真が残ってます。鮮明さを欠くのが惜しまれますが、無線機周りの装備がわかる貴重な写真。比較参考にアフリカで捕獲された車両と、同じくノルマンディ戦の車両の写真も並べて検証してみます。

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無線機が設置されているのは黄色い数字のno1.の部分。上から見たノルマンディ戦の車両では無線機ラックは2段積みのタイプではなく1つしかないように見えます。下の写真のアフリカ戦の車両ではぼんやりとした影ぐらいにしか判別できない。アンテナのつく雨避けのガード(no.2)はどの車両でも共通して確認可能。その隣の四角い箱(no.3)はヘッドホン収容箱と想像しますが、設置が確認できるのはアフリカの車両のみ。ノルマンディの車両では雨避けガードの下部に無線機用変圧器(no.4)の取付金具があるのがわかります。

砲弾ラックのようなもの(no.5)がノルマンディ戦の車両に積んであるのが見えますが、固定式の装備ではなく、運搬用の砲弾コンテナを必要に応じて載せてたのかもしれません。

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参考資料として、2段組の無線機ラックと1段のみのラックの搭載事例。38t戦車車台を利用したグリレH型とマーダーlll M型の写真。

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2段組のラックに搭載されていたのは、Fu5(もしくは Fu16)と言う受信機と送信機が別筐体になっているタイプでII号戦車からティーガーまでの戦車系列、III号突撃砲やヘッツアーなど密閉式の戦闘室を持つ突撃砲/駆逐戦車などが主に装備。それに対して、1個タイプのFuSprech a/d/fはsdkfz.250などハーフトラック、ベスペやマーダーIIIといったオープントップの自走砲などに搭載。上の無線機の写真はK59(1120)のレジンキット。

無線機の機構と運用方法から詳しく紐解いていけば、どの車両にどのタイプの無線機が使われていたか明確にわかるのかもしれませんが、まだそこまで調べ切れてないので、事例からの推測にはなりますが、オープントップの自走砲でも1942年に設計されたグリレHやマーダーIIは2段式のラック(Fu5/Fu16)が採用され、同様に1942年に生産、北アフリカに送られたロレーヌシュレッパー自走砲も2段式のラック(Fu5/Fu16)を搭載していたとするのに無理はなさそうです。

ではなぜノルマンディ戦の車両では2段ラックではなく1個タイプの無線機を積んでいるように見えるのか?。おそらくは1943~44年に生産された多くの自走砲と同様にFuSprech a/d/fを搭載していたからでは、と想像します。

ロレーヌシュレッパー自走砲はアフリカに40両が送られた後、さらに40~50両が追加生産。後部の駐鋤などが改良されたバージョンがノルマンディに配備。その際に無線機の仕様も変更された可能性を考えてます。同じロレーヌシュレッパー車台を利用した7.5cm対戦車自走砲:マーダー1の無線機も1個タイプの無線機だったのは写真(Panzerwrecks 11 P56掲載)で確認。

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ロレーヌシュレッパー車台を利用した着弾観測車の写真。ロレーヌシュレッパー自走砲と同じアルフレッド・ベッカーの工場で生産された車両。砲兵部隊の前方に進出して、着弾位置の修正の指示を出すなど通信機能を強化した車両だけあってか、Fu5/Fu16(+Fu2/15) とFuSprech a/d/fの両方を装備していますね。

ノルマンディ戦で使われたロレーヌシュレッパー15cm自走砲の無線装備に関しては、別のアングルから写した内部写真が見つかるか何かの公式記録で確認できない限りは結論はなさそうですが、今回のモデリングではマーダー1 、マーダーlllと同様のFuSprech a/d/fを搭載していた、との仮定で進めてみます。

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用意した無線機のパーツ。黄色いレジンの機器はK59(1120)のFuSprech a/d/fのセット(no.Z-13)から。前にオチキス改造自走砲を作った際に購入したセットのあまり。FuSprech a/とFuSprech fの2つの無線機の2-in-1。ラックはオチキス改造自走砲の制作で使ってしまっていたので、ドラゴンのGrille自走砲のキットに不要パーツで入っていたMarderlll M用ランナーから流用。

変圧器、車内通話用コネクター、配線コネクター、アンテナベースはK59(1120)の無線機セットに入っていたもの。配線のソケットなど恐るべき注型精度。

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ドラゴンのMarderlll用パーツから流用した無線機ラックは抜きテーパーでフレームが厚くなっていたので、薄く削ってK59(1120)の無線機が嵌るように修正。

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部品を戦闘室に組み込んでみました。無線機ラックを車体に固定するホルダーはMarderlll用パーツをそのまま使用。実際にそうだったかは不明ですが、角度的にもぴったり。変圧器にはバッテリーからの電源と無線機、車内通話コネクターへの電源供給ケーブルを0.13mmの銅線を使って配線。
車内通話コネクターは、記録写真のアングルでは確認できないのですが、ヴェスペやマーダーlllでも装備していることから、同様に装備していたと仮定。

Panzerwrecks 11"Normandy-2" に掲載のマーダー1でも通話装置が写っていることから、ノルマンディ戦の時には他の車両と同様に装備していたと想像していますが。先掲のアフリカ戦の車両の調査報告書には運転手席への通話装置は確認できない、と記述があるので、初期生産車では車内通話コネクターは装備していなかった可能性はあります。

ヘッドホン用収容箱は無線機上に設置されていたのかいなかったのか、他の場所に配置されていたのか、わからなかったのでとりあえず保留。そのかわりに円筒状のスピーカーをアンテナベース脇にぶらさげてみました。このパーツはドラゴンのMarderlll用パーツのものを薄く削り込んで使ってます。最近発売されたPassionModelsのヴェスペ用エッチングセットにもスピーカーのフェイスは入ってましたね。

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配線はK59(1120)の無線機セットに入っていた説明書を参考にしています。配線に使った銅線はEUREKAのワイヤーセットから0.13mmのものを使用。変圧器周りの電源供給ケーブルはもうひとまわり太いのを使って、通信用コネクトケーブルとの太さの違いを表現すればよかった。と作った後で反省。

by hn-nh3 | 2018-10-21 12:52 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(6)
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1945年7月のベルリン。木製カートに乗った少年の画像は「Berlin and Potsdam 1945 - aftermath (HD 1080p color footage):Youtube から。

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終戦直後のベルリンを映したカラーフィルムですが、前に記事(難民カート)を書いた時に紹介したものよりも長いバージョン(30分)がYoutubeにありました。
廃墟となったベルリンの街。進駐するソ連軍や米軍、瓦礫を整理する市民。各地から引き上げてきた人々、交通整理にあたるドイツの警官。などなど見所は多く見ていて飽きないフィルムです。

戦後2ヶ月経った映像なので戦車など放棄車両の類はさすがに片付けられてしまっているようで、その方面を期待すると肩透かしをくらいます。

それでも映像の中にはこんな車両も。これは何?


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しかし、がっかりすることなかれ、今回の本題は映像に登場する荷車の類。前に書いた記事の続編です。 戦車ネタでなくてすみません(笑)

d0360340_05344197.jpgMiniArtの「ラゲージセット 1930~40年代」(no.35582) はボックスアートに描かれた廃墟の風景から、これは平和な時代の旅行道具ではなく、戦争中に避難する市民や住む場所を追われて難民となった人びとの荷物であることを暗示していると、前に記事(難民カート)に書いこともありましたが、そのキットが先日発売されたので早速に組立てレビュー。





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部品分割は細かすぎずアバウト過ぎず、といったところか。ベビーカーの車輪を支えるアームが装飾を兼ねたサスペンションになっている構造もしっかり再現されてます。エッチングにたよらず全てプラスチックで出来るのもいいですね。最近のミニアートらしく成形はきれい、一時期見られたプラスチックがポキポキ折れる現象も解消されてますね。思うにあれはプラ質の問題以上に射出成形時の温度管理が悪かったんじゃないかしら。

パーツの勘合もよく組立てもサクサク進んで、あとは車輪をつけて完成、ということろで問題発覚。車輪を車軸に取り付けるための穴が空いてないのです。組立説明図にはダボ穴らしきものが表現されていて、車軸には小さいながらも先端にダボがつくられているのに車輪側はのっぺらぼう。金型製作時のモデリングデーターに穴の入力を忘れたのかしら。セカンドロットでは改善されるといいですね。

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d0360340_08003590.jpg車輪に0.5mmの取り付け穴を開けて接着。サスペンションのアームつく車軸はカート本体から浮いた構造になっているので、実物はそれで衝撃を吸収できるようになっているのですが、模型としては華奢なので見えないところで補強したほうがよさそう。
ベルリンの映像に映るベビーカーは4台(1台は遠景だったので割愛)ですが、どれも車輪がスポークタイプ。キットはプレスタイプとなっているのが違うところですが、シルエットは同じで当時の標準的なタイプなのでしょうか。当時の写真でベビーカーの写真をいくつか確認してますが、ほとんどスポークタイプでした。まあそれをエッチングで再現するのは大変なので、プレスタイプでいいとは思います。

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カートの組み立て。これは少し前に発売された「小型カートとミルク缶」(no.35580)に入ってたものと同じ。裏面にはちゃんとシャーシが再現されてますね。小さな脇役アクセサリーながらもしっかりとリサーチして再現してあるのは嬉しいですね。こんなの自分でディテール調べて工作するの大変ですから。
前輪のステアリングの機構、引手が上下動するディテールもしっかり表現してあります。真鍮線で軸打ちすればそれぞれ可動するようにもできそう。こんなもの可動させて楽しいかという話はありますが。



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フィルムに登場するカートをいくつか。前輪と後輪の直径の違いのバランスなどいくつかのバリエーションがある様子。スポークは10本が一般的なのか。キットの車輪も10本スポークですね。
ちなみに前に記事(荷車メモ)で取り上げたMasterboxのフィギュアセットに付属のカートの車輪は8本スポーク。

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比較してみます。左がMasterboxのもの。右がMiniArtのカート。スポーク本数の違いの他にもサイズがずいぶん違います。まあこれはどちらが正しいという訳ではなく、タイプの違いと考えるべきものかと思います。8本スポークのカートも当時の写真で確認できます。ディテールは新しいMiniArtのキットのほうが繊細。

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小形カートとベビーカーの2ショット。とりあえず組立ては完成。軽くサフ吹いて記念撮影。

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そしてラゲージセット・オールスターズ。カートのほかにはトランク類とジャガイモ袋、などなど。エッチングパーツは無し、トランクに貼るステッカーがデカールで用意されてます。

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トランクも大きいのから小さいのまで。メーカーなど調べればモデルとなったタイプも分かるのでしょうが、そこまでは調べてません。ごめんなさい。
ルイヴィトンのモノグラム柄とか塗装でがんばって再現できたら楽しそう。このサイズでそれは無理だと思いますが。
寸胴のドクターバッグは側面が別パーツのはめ込み式になっていた少し潰れた感じがうまく再現されてますね。お医者さんが往診の時に診療道具を詰め込むのに便利な形なのでこのタイプはドクターバッグと呼ぶようですね。レッドクロスをつけた車両に積むなどちょっとしたアクセントになりそうなアイテム。
円筒形のバックが帽子ケースかしら。それぞれディテールもしっかり表現されてますが、取手の付け根など少し手をいれてやるとぐっとよくなりそう。


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ベルリンのフィルムにはこの他にもいろいろなタイプのカート、荷車類が登場。民間人の服装や荷物類がカラーで分かるのがいいですね。モデリングの参考になります。この他にもMiniArtのフィギュアのモデルになっていると思しき人物など登場して、その話もしたかったのですが、長くなるのでこれはまた別の機会に。

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前に書いた関連記事INDEX:
・難民カート
・荷車メモ

by hn-nh3 | 2018-08-22 09:11 | 資料 | Comments(17)
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いつのまにか蝉の声を聴く季節。新刊の模型の手帖はKV戦車特集ですね。

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TAKOMからはKV戦車の親玉、SKMも発売になるし、タミヤさんからはレンドリースM3スチュアートもリリースされたし、今年の夏はロシアが熱い!

サッカーのワールドカップ、ロシア大会もなんだかんだ盛り上がりましたね。会場が置かれたロシア各地の都市にはヴォルゴグラード(旧スターリングラード)とかロストフ、サンクトペテルブルグ(旧レニングラード)など、どこかで聞いたような名前がいくつもあったりして。こんなところで歴史と現在が繋がってリアルを感じます。会場の一つ、バルト海に面する都市のカリーニングラードは、その昔はケーニヒスベルグと呼ばれた旧ドイツ領、東プロイセンだったんですね。歴史は複雑。

模型に話題を戻します。M3スチュアートは買ったけど、SMKは様子見。その前にケーブルドラムのキットとか難民セット買わないとだし、それ以上にその前に作りかけのKV−1戦車を何とかしないといけないし。という訳で久しぶりにKV−1。前回の記事は5月でしたね...

KV−1の制作再始動。冒頭の雑誌はフェイクです。モチベーションアップのために作ってみました。
パーツの検証記事のカバーヴィジュアルとして、「暮らしの手帖」を何となくイメージしたものの、どこか「美術手帖」っぽい感じにもなってしまって、グラフィックデザインなかなか難し。もう少しこだわってみたかったところではあるけど、そんなことしてないで早く模型作れよって声も聞こえるし。

KV-1の製作が中断したにはちょっと理由があって、それはエンジングリル。
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トランペッターのキットはエッチングパーツを使わずに全てプラで表現するという潔さ。グリルは両端がカマボコ型になった初期のタイプと片側がフラットに潰れた後期のものの2タイプの選択式。ディテールはしっかりしていて、中間部の枠がメッシュの外側にくるのと、枠をメッシュがまたぐ違いも丁寧に再現。欠点はメッシュがプラスチックのモールドである、ということぐらい。

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メッシュを表現するならやっぱりエッチング。試しにボイジャーモデルのものを購入。値段も手頃で「フェザータッチ」と銘打った繊細さをうたったシリーズに期待。透けぐあいとかが気になります。
しかし、問題はそれ以前の話。寸法が少し幅広でトランペッターのキットにはうまく納まらない。。

d0360340_23253331.jpgそれで結局アベール。繊細さと精密さは定評あるメーカー。問題はお値段か。。と思いきや、エンジングリルだけならそれほどでもなかったので買ってみました。

ついでにフェンダー上の増設タンクのパーツも買ってみました。タンクはドラゴンのT-34についてるパーツを流用できるかなと思ってましたが、固定用の金具を必要な数だけプラ板でスクラッチするのはちょっとしんどいかなと、ここはエッチングのキットに頼ってしまおう。

しかしこれが海外からの取り寄せになるとのことで、2〜3週間待ち。パーツが届くまで暫しクールダウン。そして..そのままいつものごとく月日が過ぎて3ヶ月。

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エンジンのグリルメッシュ。アベールのエッチングパーツの構成はこんな感じ。ボイジャーモデルでは省略されていた中間リブの内部構造もパーツ化。メッシュも両端カマボコ型(右上)と片側フラット型(左下)をきちんと再現。フラットになる部分の幅が平面の展開状態では少しすぼめられてるところとか重要。立体にしたときに幅がちゃんと平行になるようになってるんですね。ちなみにボイジャーモデルのものは未対応。

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アベール(左)とボイジャーモデル(右)の比較。片側をフラットにしようとするとボイジャーモデルのものは幅が平行にはならないのがわかりますね。ボイジャーモデルでは枠は外周しかなかったので内部をプラ板で追加工作。アベールのパーツは枠部分もすべてエッチング。縁を折り返してつくるような仕組みになっていてエッチングでは再現が苦手な「厚み」を再現できるようになってます。しかし折り返しの幅とか工作の限界を超えているのではと思わせる細さ。無理やり作ったらちょっと歪んでしまった。これを作るにはいい道具が欲しい。

しかし、枠の仕上がりの幅が全然違う。ボイジャーモデルのものが製作誤差で幅広になってしまった、ということではないのがわかります。

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アベールのエッチングパーツとトランペッターのプラパーツの比較。左が片側フラットのタイプ。右が両端かまぼこ型。仕上がり幅がトランペッターのキットと揃ってくるのが分かります。メッシュは2タイプ用意されてますが、枠は端部のリブの片側を切り飛ばしてフラットタイプに対応させる選択式なので、そのまま作るとどちらか1セットしか作れないことになります。

それで片側フラットの枠はプラ板で自作してみました。これを制作中のKV-1に使って、両端かまぼこ型のエッチング枠は「組立待機中」のKV-2に使うつもり。

しかしアベールのは、メッシュの周囲のリベットも作らないといけないんだね。気が遠くなる。
こうして考えると、トランペッターのオリジナルパーツは透過度以外は遜色のないディテールであったことを認識。塗装でそれらしく表現してやれば全然問題なし。

というのが3ヶ月かかって知りえた事実。

( 7/30訂正:文中のエッチングメーカーの名前が間違ってました。エデュアルドではなくアベールが正解...)

by hn-nh3 | 2018-07-30 06:14 | KV-1戦車 | Comments(12)

キルロイ

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ご無沙汰してます。皆さま、お元気でしょうか。

特に話題がある訳でもないのですが、生存報告です。このところ仕事でちょっとテンパっていてブログどころではないという状況が続いてました。といって寝る間もないほど仕事で追い詰められている訳ではなく、睡眠時間を削ってサッカーのワールドカップ見てたりするのが原因の一つだったりするのは否定しませんが、いずれにせよカッターは錆びてしまっていることには変わりはありません。少しリハビリ必要ね。

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冒頭の画像は、ちょっと前のMiniArtのメールマガジンで知ったNo.35583「木製ケーブルドラムセット」の塗装図。
ケーブルドラムのキットがリリースされるのは知っていて確かに面白いアイテムではあるけど、果たしてこんなの誰が買うの?と思ってました。

心待ちにしているのは密かに難民セットと呼んでいるMiniArtno.35582「ラゲージセット」のベビーカートなので、これはスルーだなと決めてましたが、このグラフィックには少し心が揺らぎます。

およそミリタリーモデルには登場しない円という幾何学、カラフルな色とロゴタイポ。なんとなくその昔、groovisionsのアートワークを見た時に覚えた気分。所詮ケーブルドラム、ではあるけど。

そういえば、木製のケーブルドラム。昔はよく道端の工事現場で見かけたような気がしたけど最近はあまり見かけない。Google先生に聞いてみたら、テーブル代わりに人気の様子。中目黒とかのローコストバーで見たことあるよこういうの。

そんなことはどうでもいいのですが、グラフィックが素敵でもこれは作ったところで、どうにもなるものではないなとやっぱりこれはスルーかなと。と、思っていたのですが... 見つけてしまいました。
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同梱のデカールで、キルロイの落書きがあるのね。
これは...ちょっと欲しいかも。


画像は全てMiniArtのページから。
キルロイについてはこちら>キルロイ参上



by hn-nh3 | 2018-07-06 21:06 | 日々 | Comments(4)

7年目(Semovente da47/32)


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何を隠そう、デモデリ1号:Semovente da47/32。2011.12-
ずっと離れていた模型趣味が復活するきっかけとなったイタリアの小型自走砲。AMAZONでたまたま見つけて、とっくに模型作りをやめていたのにどうにも抑えきれなくなって買ってしまったのが7年前。

カッターだけは他にも使うことあったから残してあったけど、ニッパーも接着剤も塗料も資料も全て処分。模型を作る環境がきれいになくなっていたから、届いてしまったAMAZONの箱の中のキットを前に呆然としましたね。100円ショップでニッパー買って、パテ替わりにする瞬間接着剤をコンビニで買って、ヨドバシカメラでリモネンセメントという「身体にいい」接着剤買って、これを作ったら.. ふたたびこの気持ちに蓋をしようと思いつつ。

d0360340_13024370.jpgキットはイタレリ。 イタリア軍の軽戦車L6をベースに47mm対戦車砲を搭載したオープントップの車両。300台が作られて、チュニジア、シチリア、そしてイタリア降伏後のドイツ軍でも使用。
 
小型車両が好きで自走砲好み、イタリア車両が好きだったので、これ見たら、やっぱり作るしかないという気持ちになってしまいました。2011年の暮れの頃。

しかし、制作は大変でしたね。長いブランクあったし、モールドは繊細でも嵌合はいまひとつで歪みがでないように隙間を埋めたりしながらの作業。おまけにリモネンセメントが初期強度が低いなんて知らなかったから、パーツがくっつくまで手で押さて息を止めて、履帯なんか1コマ1コマ接着しながら組み立てましたよ。

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塗料は水性アクリル系のライフカラーを四谷仙波堂で購入。内部の塗装、タイヤのゴム、履帯や車載工具など鉄部を塗り分けて、さて.. マーキングとウェザリングはどうしよう? と手が止まったところで長考に入ってそのまま現在に至る。

とりあえずの基本塗装が終わった段階です。これをブログに載せるかどうかはちょっと迷ってましたね。組み立て途中だったらどう見ても未完成の姿で「経過報告」というスタイルをとることもできるけど、基本塗装完了という状態は一番始末が悪い。作品としての完成には程遠いけどプラモ的には完成ということもできる訳で..
だけど、恥を忍んで見せてしまいましょう。箱の奥にしまい込んでいても仕方がないし。Let It Be.. ありのままに、なすがままに。

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イタリア戦車の後ろ姿、いいですね。CV33 ..L6/40軽戦車系、..M13/40中戦車系..と基本的なパターンは不変。

戦闘室内にコードを加したり、車体後部のワイヤーを電線ほぐした銅線を捻って自作、ワイヤーを引っ掛けるフックをエッチングパーツの余りの真鍮板で自作したぐらいで後はほぼ素組み。また時期を見てウェザリングとか手を入れてみたいですね。

これ完成させたらもう一度やめようと思ってたけど、まだ未完成。結局7年もまたこの趣味続けてます。


追伸)
Let It Be.. 何気なく文中でこの言葉を使って、久しく聞いてないことを思い出した。
あらためて聞いてみるとやっぱりいいね。泣けてきた。
The Beatles:Let It Be (album ver.)



by hn-nh3 | 2018-06-06 14:09 | Semovente | Comments(8)

難民カート

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MiniArtからメールマガジンが届きます。何か登録したっけな?と思いつつ、好きなメーカーではあるからそのままにしてますが。

LUGGAGE SET(No.35582)がもうすぐリリースとのお知らせ。2018年のカタログにホワイトバックのモデリング画像で発表されたときになんとなく気になってましたが、このボックスアートを見て、やっぱりそうなのかと。
タイトルは1930〜40年代荷物セットとなってるけど、廃墟の街を背にした荷物は、夏のバカンスのためのものではなく、これは故郷を追われる人々の荷物なのだと。
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d0360340_19281217.jpg難民の話はこの前の記事:荷車メモ で少し触れましたが、このキットから想像されるのは1945年のドイツ人追放

敗戦で1200万人とも1600万人とも言われるドイツ人が旧領土や占領地から追放されたと言われています。当時のドイツ人の5人に1人くらいの人が住む場所を失った、ということでしょうか。着の身着のまま身の回りのものをカバンに詰めて、ベビーカーにもありったけの荷物を積んで西に移動する姿が写真に残ってます。

王道楽土の開拓からの引き輪げではなく、戦争の結果の国境変更により故郷を追われた人々。ドイツ国境は戦後に東側がごっそりポーランドになってるんですね。ポーランド自体も東半分をソ連に持ってかれて西側をドイツから得て、国自体が西にスライドしてるような有様。フィンランドも然り。国境はあくまで結果です。
そうしたヨーロッパの状況を知ると、北の島々が元の持ち主に返されるなんて幻想だってのがわかります。まあ元の持ち主って誰?という話もあるけど。

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もちろんキットの使い方はそれだけではないし、モデリングとしての個人的な興味の範疇は荷車系のベビーカーと小型カート。

キットのパーツランナーを見ると、MiniArtらしい繊細さでベビーカーの華奢な感じがうまく表現されてますね。PEパーツに走らずプラパーツのみで再現できるのは嬉しいですね。ハンドルは折れてしまいそうな細さでさすがに真鍮線で作り直したほうが良さそう。

スケルトンタイプの小型カートは牛乳缶セット(No.35580)に入ってるのと同じもので、ゴートカートとかドッグカートと呼ばれる当時一般的なタイプのもののようです。キットの箱絵のようにジャガイモ袋を積んでもいいしトランクを載せてもいいし、毛布を自作して積み込んでもリアル。

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ベビーカーと小型カート。前回の記事の時は「農業用カート」で検索しても当時の小型カートの写真をなかなか見つけられなかったけど、「難民」をキーワードに検索すると荷車やベビーカーの写真が続々と出てきます。キットと同じスケルトンタイプの4輪の小型カートの写真も見つかりました。
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d0360340_19434443.jpg上の写真は1946年7月、チェコからドイツ本国に向かう人の列。ベビーカーで荷物を運んでいる人の多いこと。確かに、普通の一般家庭にある車輪つきのカートというとベビーカーぐらい。

キット化されたタイプも見かけます。側面の模様に違いはあるものの一般的なメーカーのものだったのでしょう。それがどこのなにかまでは突き止められず。

ベビーカーやカートが写っている動画も見つけました。


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敗戦後のベルリン。避難先から戻ってきた市民でしょうか。3:45秒にベビーカー、3分50秒と4分00秒にカート、5分10秒頃にベビーカー。街はまだまだ廃墟。破壊された車両も転がったまま。ガソリンなしで動けるから便利なのか、自転車乗ってる市民が目に付きます。


その他、こんな写真を見つけました。
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1945年3月、ドイツ国内ベンスハイム。廃墟を前に呆然とする女性の名前はアンナ・ミックス。64歳。写真はWikimedia Commonsより。

この人、どこかで見たことある、と思ったら、これ。
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MiniArtのフィギュアセット:1930~40年代のドイツ市民(No.38015)。真ん中のお婆さんのモデルですね。といっても全く同じではなく、モデルの女性は60代のメガネをかけたシルバーマダムですが、キットではもう少し年配、70過ぎの老婆といった感じで脚色されてます。

彼女に限らずMiniArtのフィギュアには当時の写真の中にモデルがいたりするので、ひょんなところで出会ったりすると楽しいですね。右端の警官もキットにコンパーチブルで入っている制帽をかぶった姿でいるのを、上記の記録フィルム(5分05秒頃)の中で見かけましたよ。

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去年のSUMICONの時に作ってみたもの。フィギュアの塗装は出戻り後初めてだったので、顔の塗り方とかまだまだですね。すべて油彩です。右手の杖は真鍮線で作り直してあります。使うシーンにあわせて左手の角度はキットのオリジナルのポジションから少し調整したと思います。

フィギュアは塗装作業とベースへの固定のために足裏に打ったピンを洗濯はさみに固定して写真を撮ってますが、ピンなしでも自立するように足先の向きとか微妙な角度を調整してます。これに限らず静止した立ち姿のフィギュアは足の角度や腰とか背中の向きを微調整して、支えなしでも自立するように調整するといい感じになります。両足がつくる台形の地面のエリアに重心を納めればフィギュアは自然に立つようになります。

もちろん実際の人体とフィギュアでは身体部位の重量バランスが違うので厳密には違うのですが、人間が立つというのはそういうことですから。自分の中の言葉では「重心が見えるようになる」までポーズを微調整します。
歩いている、動いてる姿勢の時は、重心を足先から外すようにします。外れた重心に向かって身体を移動させて再び安定させようとする随意反応が「運動」だから。

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製作記事:Grille弾薬運搬車改造3.0cmFLAK 1945.5 Praha

1945年5月、戦争終結時のプラハで我が身の行く末を案じるドイツ系女性、という設定で登場してもらいましたが、見立てはだいたい間違ってなかったですね。

この時は、車両の塗装やジオラマベースの製作そしてフィギュアの製作など、最後はバタバタでろくに製作記事も残さず完成させてしまったので、どこかで機会をつくってそれも書き留めておきたい気もします。車両に載せた新聞とかパンの「焼き方」とか、いつか忘れないうちに。


by hn-nh3 | 2018-05-26 09:41 | 資料 | Comments(4)

ロコムモデル

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超解像度のエッチングパーツを発表するROCHM MODEL(ロコムモデル)。その恐るべきディテールと考証密度は圧倒的。四谷仙波堂でもページを割いて詳しく紹介していますね。

(写真はいずれもロコムモデルから)
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見てるとクラクラしてきます。エッチングパーツを発表しているのは今のところ殆どパンターとティーガー関連で自分にとってはどちらの車両も「今期の生産計画」には入ってないこともあって、これを使うことはないだろうなとスルーしていたのですが、たまたまメーカーのホームページを見て、ちょっと心を掴まれました。

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ホワイトバックの写真が印象的なページデザイン。エッチング製品の紹介コーナーもさることながら、それ以上に主催者のRochmCheng氏の制作する模型の数々:Workbench が素敵です。
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未完成キットのパレード。上の写真は紹介用にこちらでレイアウトしたインデックスなので、ホームページで直接見てもらったほうがいいと思いますが、キットのオリジナルの部分と手をいれたところのバランス感。これを見ているとプラモデルって完成してなくてもいいのかも...というより、未完成の状態こそが模型の美しさなのでは、と思ってしまいます。

自分の模型が完成しない言い訳に使うつもりではないけど。

もちろん、模型は塗装までして完成させても魅力的。RochmCheng氏の完成模型のGalleryも必見。
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詳しくはページを直接見てもらいたいのですが、これまた超解像度の塗装表現。
現実の車両の塗装の光沢感とうっすらと積もった土埃。いつもそんなに汚れたりあちこち錆びたりしている訳でない戦車のリアリズムが追求されています。そして、足回りの泥汚れやレインマーク、排気の煤やグリースオイルの染みも車両の設定にあわせて本当に必要なものだけが的確に。

この作品群を見てると、流行のウェザリング商材の塗装見本的なテクニックというものが、リアルさの追求からいつの間にか遠くなった様式的な表現にも思えてきます。我が身も反省。

by hn-nh3 | 2018-05-23 08:36 | 資料 | Comments(6)
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オチキス改造自走砲、Panzerjager 39(H)7.5cm続編。 
自走砲って好きです。オープントップの車両は、戦車だと分厚い装甲板に隠されてしまう内部の複雑な機構が全部見えたりして、模型としての見せ場が多いところでしょうか。作るのに手間がかかるから完成までたどりつかなかったりするのですけど。

思えば、デモドリ1号はセモベンテL40 da47/32(イタレリ)、2号は Sdkfz.138/1 15cm自走重歩兵砲 グリレH型-極初期型(ドラゴン白箱)、そして3号がこのオチキス改造自走対戦車砲(ブロンコ)。

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d0360340_07201052.jpg戦闘室内部の造作はBLAST Modelのレジンキットを利用。当時の写真で内部がわかる写真も少ないのでよくリサーチされたこういうアフターパーツがあると助かります。

対戦車砲型では現存車両はないものの、10.5cm榴弾砲搭載型はソミュールに現存。それも内部工作の参考になります。ただし戦闘室デッキ後部の床板が失われているなど不完全な状態なので、車両の正確な再現とはいかず、その他断片的な資料とあわせての推測になる部分も。

戦闘室後部、エンジンデッキの脇にセットバックしたニッチ状の窪みは何のスペースなのか。ここは資料のない部分ですが、海外のモデラーが即応弾ラックの場所と推測していたのに倣って、想像で作ってみました。ロレーヌシュレッパー車台の対戦車自走砲:Marder1にも即応弾ラックはあるので、その可能性はありそう。

外から見える部分の戦闘室内の塗装は、車体色のパンツァーグレー。砲架下から運転席への隠れる部分は室内色の白で塗ってあります。この塗り分けはハーフトラック(Sdkfz251)やグリレH型の当時の写真で確認できるパターンを踏襲してます。エンジンのミッションやキャブレターは、オチキス戦車の内部塗装色を調べて、ライトグリーンとブルーで塗装。実際には改装時に車体色と同じグレーで塗りつぶしてしまっているような気もしますが、そこは模型的なアクセントとしての判断。

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1944年のノルマンディ戦で使われたのに...何故イエローベースの3色迷彩ではなく、グレーで塗っているのかということに対する答えはコレ。

残っている数少ない記録写真で確認できる内部塗装色はダークイエローよりも暗い色。左下の写真でよくわかります。PAK40の砲尾は明るいダークイエロー。防盾内側はそれよりはるかに暗い色。装甲板の角度で暗く見えているということを考慮しても、ダークイエローではないことは確か。BLAST Model の組立て説明書にも内部色はグリーンかグレーかもね、との言及あり。

右下の破壊された車両の矢印部分。側面装甲板が吹き飛んで、インナーシールドに色ムラはが見えます。外部がダークイエローでオーバーペイントされたとき、側面装甲板が邪魔になって塗料が届かなかった部分にロールアウト時のグレーが残っているのだと想像します。戦闘室内も暗色に見えますが、これは装甲板の角度で暗く見えてたり、火災でススがついた可能性もあるので、内部がグレーで塗り残されていたのか外部同様にダークイエローでオーバーペイントされていたのかは判断がつかず。

右上の内部写真は左上の後ろ姿の車両と同一車両のものと思われますが、影になって色調の判別は難しいところですが、機銃架や無線機ラックはダークイエローか。戦闘室の後ろ扉は内側にもダークイエロー、3色迷彩が施されているのがわかります。これは戦車のハッチの内側を車内色でなく車体外部色に塗って、解放時にも目立たないようにしていたのと同じ塗り方。

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正面、側面の写真。周囲の建物から判断して、上図左上の後ろ姿の写真と同一車両と思われます。いろいろな角度から撮ってあってグッドジョブ。この写真の原版までたどり着ければ他の部分も写したカットなどまだまだ発見がありそうだけど、いずれも原典不明。

d0360340_09514518.jpgこれは10.5cm砲タイプですが、戦闘室内部のディテールがわかる貴重な写真。
原典はWaffen-Revue70か。

この写真を見ると、戦闘室内部は外側のダークイエローとは全く違う暗色で塗られていることがわかります。
外防楯と砲身はダークイエロー。内部は製造時に塗られていたと思われるフランス車両系のグリーンか、1943年までの独軍制式色のパンツァーグレー。

ルノーR35を改造した4.7cm対戦車自走砲の塗装色はグレー、ロレーヌシュレッパー自走砲で同じくグレー塗装のカラー写真があることから判断すると、製造が1942年のこの車両もロールアウト時には内外ともにパンツァーグレーで塗られていたのでしょう。
そしてこの車両に限らず、その後の制式色の変更にあわせて車体をダークイエローに塗り替えが行われ、必要に応じて迷彩も施されたと想像します。

オープントップの戦闘室内側の塗り替えをどうしたのかは、車両ごとケースバイケースだったと判断しています。たとえば、ロレーヌシュレッパー15cm自走砲の戦闘室内側にも迷彩(イエロー+グリーン)が施されている車両などの写真も残ってます。後記のPANZERWRECKS15に掲載されたパリのバリケードに使われたオチキス車台対戦車自走砲の戦闘室内側はダークイエローに塗られていたことが写真で確認できます。

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というわけで、製作中のキットはとりあえずロールアウト時の塗装色の状態。ラッカー系の錆止色サフに水性アクリル系のライフカラーで塗装。カッターを引っ掻いて塗装剥がれを表現してみたけどまだるっこしかったのでアルコールで拭いてみたらごっそり塗膜が剥がれました。加減が難しい。

この後、ダークイエローでオーバーペイントして三色迷彩にする予定でしたが、内部までダークイエローを吹くのか迷彩はどんなパターンにするのか思案しつつ、そして5年の月日が流れすぎ...
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車体底面。ここはイエローでオーバースプレーはされない場所になるので、グレーのまま使い続けられた設定。ピグメントで汚してみました。底面の丸い脱出ハッチは、プラ板で追加工作、サスペンションの取り付け基部のプレートもキットでは省略されていたので、実車の写真を見ながらそれらしく追加。

戦車の裏面がわかる写真は博物館車両でもなかなかなくて、ましてや記録写真となると...
リサーチしていたとき、ノルマンディ戦で使われていたフランス系車両の写真を追跡しているおもしろい記事があったので、参考までにリンク貼っておきます。

道端でひっくり返っているルノーR35やオチキスH39。1944年でも結構使われてるんですね。

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その他、このオチキス車台の7.5cm対戦車自走砲を詳しく分析しているペーパーを見つけたので、レファランスとして載せておきます。
これは本来は参照元にリンクを貼るか、引用元を明記すべきものなのですが、見つけたときから時間が立ってしまい、元ページにたどり着けず、検索してもわからなくなってしまっていることもあるので、モデリングの参考までに、ひとまず別サーバーにアップしたものにリンク貼っておきます:Marder l : A quick guide 1-3

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必要な資料は後になって発見される、というのもよくあること。

キットのフォルムがなんか変だと気になってリサーチして海外のモデラーも同じこと気にしてた記事も見つけたりして、それらを参考にキットの戦闘室の装甲板の角度を改修。BLAST Modelsのパッケージ写真でもわかるように、キットのフォルムからはずいぶんと正確になったと満足していたのですが、その後発売されたPANZERWRECKS15(p8-9)を見て真っ青。
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防楯が失われて戦闘室装甲板の前部形状がはっきりとわかるその写真は、前面装甲板が車体と接続する箇所ががフェンダーと車体の接する部分ではなく、だいぶ内側に入り込んだところにラインがあるのを確認できます。

確かに、そこに切り替わりのラインがあると、キットでは防楯の装甲板の角度と戦闘室装甲板の角度が大きくずれているのが、より自然な関係になるので合点のいく話。
これは気がつかなかったなー。ついついドイルさんの元図面に引きずられて、切り替わりのポイントは現存する10.5cm砲搭載型と同じフェンダーと車体の接する部分だと思い込んでた....

しかしそうと知ったら、他の写真もなんとなくそんな感じで見えてくるから人間の目というのは信用ならない。

by hn-nh3 | 2018-05-20 11:58 | Hotchkiss系列 | Comments(4)

荷車メモ

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At the market in Baryssau, Russia 1942:Franz Krieger

1942年、旧ソ連領内(現ベラルーシ)ミンスク近郊の都市、ボリソフ(Барысаў)の市場での一枚。撮影はフランツ・クリガー(1914-93)。オーストリアの写真家で戦時中はPKに所属。> LENS | World War II Mystery Solved in a Few Hours
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AT THE BERESINA NEAR BARYSSAU, RUSSIA 1942:Franz Krieger

写真はいずれも PIXPAST より。カラーフィルムのプライベートコレクションで、WEBで公開されている大戦期のカラー写真はフィルムからの色再現が見事で当時の実際の色調を知ることができる貴重な資料。
AFVに限定した写真コレクションではないので、それを期待すると少しがっかりしますが、それでも独ソ線初期のソ連戦車(BT,T-35)やドイツ軍(3号戦車、8輪装甲車、ソフトスキン)やフランス線で遺棄された仏軍戦車など、原版自体の発色や退色で再現しきれてない色もあるけど、このコレクションに登場する戦車や車両の色調は模型製作の参考になります。白眉はアフリカでロンメルが使用していた”MAX”のカラー写真でしょうか。個人的には当時の街や村の風景、人々の姿などAFV写真集では得られない情報がたくさんあって好きですね。
写真にはいずれも著作権があるので、上記2点は有料データー購入。



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製作中のKV-1戦車は、必要なメッシュ材料の調達や細部仕様の確定作業で、ちょこっと休憩タイム。(そのまま中断、ってことにはならないので大丈夫..) 

今日のお題は当時の写真に登場する農業用カート。

秋葉原のパーツバラ売りコーナーでちょっと前に購入。
このコーナーは戦車のキットのパーツランナーをバラ売りしていて、欲しい部品の調達に便利だったりしますが、フィギュアセットもランナーを細切れにしてフィギュア単体でバラ売りしてたりします。セットはいらないけどあの人は気になるなーなんていうときに、出会えると嬉しいですね。

もちろん全てのキットが並ぶ訳ではないので(どっちかというと在庫処分?)パーツとの出会いは一期一会。使うあてもないのに、つい買ってしまったりします。
                        
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小型のカートのパーツはMasterBox 3567「第二次大戦期の西欧市民」のセットに入っているもの。キットの箱絵には姿は描かれてません。農夫の傍に置く小道具にでもとセットされたのでしょうが、しかし2人の大人と少年少女が並ぶシーンにはちょっとそぐわないので表紙からは省かれたのか。いずれにせよ、このキット(セット未購入)に小型のカートが入ってるなんて知りませんでした。

d0360340_13394751.jpg余談ではあるけど、このキットにはシリアスな話題に触れてしまう部分があって、ボックスアートの右側に登場するヒゲを生やしたおじさんは実はユダヤ人だというような話。
これについては、かつて ”赤軍博物館別院 別当日誌”や模型慕情さんが記事で扱っていたのでそちらも参照。

ボックスアートの裏側には小型のカートと4人の組立図。帽子姿のヒゲのおじさんはキッパ(ユダヤ帽)とのコンパーチブル。少年も帽子を選べます ..軍帽をかぶって台車で何を運ぶんでしょうね。箱裏絵の構図からなんだかいろいろと想像してしまう。

どうしたものか、荷車の風景写真でピックアップした冒頭の2枚。意図したものではなかったのだけど、ボリソフ、ミンスクという街は、避けがたくそのことに関わる場所だったようです。
それ以上はここで語ることはしませんが。

話題を変えましょう。
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組み立ては一瞬です。荷台のフレームや車輪のスポークなどパーティングラインの処理は少し面倒だったけど、簡単に組みあがります。
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カートの裏側。前輪は引棒にあわせて方向転換できるように構造。引棒も高さを変えられるようなディテール。接着してしまいましたが、真鍮線を軸打ちすれば可動にもできそうです。動かして遊ぶことはないと思うけど。
なんとなくひっくり返ったカブトムシみたい。本来は何を運ぶためのカートなんでしょうね。

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このタイプのカートはポピュラーなのか、MiniArtの最近作:「ミルク缶と小型カート」(no.35580) のセットにも入ってますね。荷台のコーナーに柱のないタイプでMasterBoxのものとは細部が異なります。特にどこかのメーカーが専売特許で生産しているものではないだろうから、いろいろなバリエーションはありそうです。

d0360340_14285900.jpgMiniartnのキットの組立て説明図を見ると、前輪周りも少し複雑な構成。どちらが正解というものでもなさそうですが、モールドなどはこちらのほうがシャープな予感。ミルク缶は使う用事ないしとスルーしてたけど、買わないとだめかな。

この小型カートはアンティークとしても人気があるようで、Farm CartとかGoat Cartで検索すると、e-Bayなどで売ってるのが見つかります。花屋とかパン屋の店先においたら可愛いのでしょうね。

名前の話。Farm Cartというのはわかりますが、なんで「Goat Cart」というのか。検索するとヤギに牽かせた小さな馬車の写真がでてきて、「Goat Cart」というのは、総じて子供が馬車遊びをするためのおもちゃと思われます。しかし、それは2輪のいわゆるリンバーの子供版がほとんどで、キットでも再現されたタイプの4輪のカートをヤギで引いている事例は見つからず、なぜこの4輪カートも「Goat Cart」というのかは結局わからず。馬車とか西洋アンティークに詳しくないのではっきりとしたことは分からないけど、小型のトイカートのことをゴート・カートと呼ぶのかもしれません。ひょっとして、ゴーカートというのもそこからきてるのか?

この小型のカートが当時の写真に写っているのを探したのですが、見つかりませんでした。考えてみれば、目の前をティーガーとかパンターとか通り過ぎるのはカメラマンもすかさず写真に撮るけど、スターリン戦車に背を向けてこんな民生用カートを撮ったりはしないと思うし。

(築地市場でターレーを撮らずにゴミ収集ビークルにカメラを向けるようなもの...)

とはいえ、意地もあるから見つけました。キットのタイプそのものではないけど。
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YouTubeの動画:Rhineland-Palatinate in April 1945 (in color and HD) 10:00頃に登場

荷台がフレームのスケルトンタイプではなくて板で組まれた箱型タイプ。スケルトンタイプはミルク缶とか干し草運んだりするには便利ですが、小物を入れて避難するにはこっちの箱型タイプのほうが役に立ちそうです。暇なときにでもキットの荷台をこのタイプに改造してみようかしら。

この動画が撮られたのは1945年4月。ラインラント=プファルツ州ということで地理的にはベルギー、ルクセンブルグ、フランスと国境を接するあたりか。

「Goat Cart」は検索すると、German Farm Cart という名前ででてきたりもするから、ロシアや東欧ではなく、ドイツやフランスなど西ヨーロッパで一般的な小型荷車という気もします。(要確認)

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1/35スケールのキットで民生用/非武装カートにどんなものがあるかを集めてみました。軍用タイプは除いて、その他にも、件のMasterBoxのゴートカートのようにボックスアートに載ってないもの、一輪車など手押車のタイプ、見落としたものなどまだまだあるかも知れません。レンジキットメーカー:スターリングラードから出ている農業用カートはまさに冒頭の写真に登場するようなタイプ。タイトルにロシアの荷車とかウクライナの荷車とかありますが、地方によってどう違うのかはちょっと調べたくらいではわからない奥深き世界。

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レジンメーカーのスターリングラードからは、荷車に避難民を乗せたセットも出てます。上掲の動画もそうですが、民間用カートが登場する風景を探すと、従軍カメラマンが写真を撮ってる場所というと、やはり戦場から避難する、占領地から逃れる難民の写真にぶつかります。

この母子が荷車に乗った写真はドイツ軍がいなくなった村に帰還する時の写真のようですが、いずれにせよ戦争は抽象的な戦場ともいう無人の荒野で専ら行われていた訳ではなく、日常の街や村、畑があったところで起きていたことなんだなと..

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小さなカートが気になってキャプチャした写真ですが、背景は完全に破壊された村。

MasterBoxの小型カートのキットは、この前のSUMICONで制作したT-60のジオラマで使えるかと思って買い込んだものでした。
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記事は:ROSTOV 1942.8 :T-60 (Plant no.264) INDEX 参照

舞台設定はスターリングラードの前哨戦、近郊都市ロストフ陥落の少し後の風景。撤退、そして新たな戦線に送られる兵士、占領された街や村から逃れる住民の姿など、小さなベースの外側で起きている出来事が見えてくるように、何かベースの中に関連した小物を配置したくて、その候補のひとつで買ったのがMasterBoxの小型カート。

結局、スペース的な制約もあったし、小物の設定に作り込みが足りないと冗長になるだけなので、壊れたカートを配置するのはやめましたが...
戦場ではあるけど同時にそこは誰かが普通に暮らしていた日常でもあるような。
それもあって、戦車に踏み荒らされるのは草原ではなく麦畑。

戦車の模型を作る以上は、反戦を声高に訴えるとか戦争の悲惨さを伝えよう、なんてこと言うつもりは全くありません。しかし、戦車の模型を置くための「ベースという模型」は戦車がくる前からそこにあった場所、ともいうような日常世界をどこか表現しておきたいという気持ちがいつもあります。戦場だけど日常世界でもあるベース、の表現。 兵士たちがトランプに興じる戦場の日常ということではなくて。
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なんとなく雨の日は内省モード。





by hn-nh3 | 2018-05-13 18:23 | 資料 | Comments(4)

KVポケット (KV-1 vol.4)

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どれだけ写真を撮ったところで物の内側が映ることはない。空港の手荷物件でX線に通さない限りはスーツケースの中身も見えないのと同じで、人の内面だって何もわからない。だのにその人の顔の表情はいつも何かを映しているようで見る人の気持ちを惑わせる。

製作中のKV-1戦車はちょっとそんな迷宮に足を踏み入れてしまったようです。

d0360340_17585750.jpg右の写真の車両は強化型鋳造砲塔に42年型車体でエンジンアクセスハッチはフラットなタイプ。フェンダーには増設燃料タンクの固定金具がついてるのが確認できます。1941~42年型車体で見かけるエンジンデッキの点検ハッチをフラットなタイプに改造してみたのは前回までの話。 ...しかしこのフラットハッチ。生産簡易型というものではなく、通常のV-2Kディーゼルエンジンの供給不足を補うためにM-17Tガソリンエンジンを搭載した車両を特徴づけるハッチではないか、そんな解釈が近年の有力な説であることをセータ☆さんから教えてもらった。


d0360340_17512778.gif考えてみると、標準ハッチのドーム型の膨らみにはアフィルターが収まっていて、フラットハッチを使うためにはエアフィルターが他所に移動する必要がある訳です。しかし42年型車体のすべてがフラットハッチでもなく後継のKV-1Sではドーム型のハッチに戻っていることを考えれば、フラットハッチはエアフィルターの位置が違うエンジンが一時的に採用されたことによる限定仕様、と考えるのが自然かもしれない。40~41年の一時期、M-17Tガソリンエンジンを搭載した車両が生産されたという記録もこのフラットハッチの登場する時期とかぶってくる...


結局のところ、フラットハッチの内側がガソリンエンジンかディーゼルエンジンかは模型的にはどっちでもいいのです。中は空っぽ、プラスチックのハリボテですから。モーターライズでもないし。


ポケットの中にはエンジンがひとつ。ポンとたたけばエンジンは二つ。

しかし、見えることのないエンジンの問題から避けて通れない理由がひとつあって、それはフェンダー上の装備品の話。

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従来はフェンダーに筒型増設燃料タンクを搭載している車両がM-17ガソリンエンジン車とされていたようですが、近年はエンジンの種別に関わらずチェリャビンスク・キーロフ工場製車両に見られる装備、という説が濃厚。これもセータ☆さん情報。

確かに後継のKV-1Sで筒型燃料タンクが標準的な装備であることを考えれば、ガソリンエンジン車に限った装備ではないと考えるのが自然。もちろんガソリンエンジン車の場合、航続距離や補給の問題で増設燃料タンクがマストアイテムであった可能性はあるけど。

d0360340_18140426.jpg模型製作上の問題は、エンジンのハッチがフラットな車両にする場合、M-17Tガソリンエンジン車の可能性も考えて、増設燃料タンクを積んだ仕様を再現するのが妥当ではあるけど、右の写真の車両のようにタンクを積んだ形跡が見られない車両もあることをどう考えるのか ..未装備の訳は何か? あるいは取れてしまった理由は?..とか、悩みはつきない。

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試しにタンクを乗せてみました。キットには入ってない増設燃料タンクはドラゴンのT-34から流用が出来そう。ただしフェンダーへの取付ディテールを調べる必要あり。


d0360340_18380383.jpg増設タンク付き車両では工具箱は40年型から使われている大型のタイプを装備しているパターンが殆どで、これはKV-2のキットから流用できるものの、トラペのKV初期型のキットはフェンダー幅が間違っているらしく工具箱のパーツも奥行きが長くなってしまっているので、流用するには奥行きを切り詰める必要がある…. さてどうしよう。


フェンダー上の装備の問題は、最終的な塗装やマーキングをどうするかという話とも関わってくるので、問題先送りで未完成とならないようにするためには、どこかで腹を括って決める必要がありそう。

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とりあえず、エンジンデッキのメッシュを追加工作。キットにはエッチングパーツはなく、プラスチックの部品のみ。メッシュグリルのパーツは両サイドがかまぼこ型になったタイプと砲塔に近い側がフラットになったものの2パターンが選択可能。41年型車体では後者の片面フラットのパターンであることはボービントンやアバディーンの現存車両や事例写真で確認できます。

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Voyager Modelからエッチングのメッシュパーツが出てるので試しに使ってみます。メッシュは繊細で透過率も高くていい感じ。実車の写真を見ると、メッシュグリルの中間部にはリブがあってロッドで補強されている様子。リブも実際はもう少し複雑な形状と思われますが、メッシュ越しに見えるだけなのでプラ板で簡略的に再現。真鍮のパーツの枠内にプラ板で補強しながら組んでみました。

と、ここまではよかったのですが、車体に載せてみたら…..なんと両側のリベットの間隔より幅広で嵌らない…どゆこと?
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折り曲げたときの真鍮板の厚みが計算に入っていないのか、0.5~1mmほど幅が広すぎる。真鍮パーツなので削るのも簡単ではないから、本体のほうのリベットを移植して取り付けスペースを広げる? とも思ったけど、ミスのフォローでミスを重ねて取り返しのつかないことになりそうで思いとどまりました。

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はい、作り直します。実車の写真もガイドにしながら、メッシュグリルのリブのパーツ図面を修正して、プラ板で最初から作り直し。当然のことながらメッシュのパーツも幅広で使えないので、汎用品のメッシュから形を起こす必要あり。全て自作になるなら、アフターパーツなんかに頼らないで最初からスクラッチすればよかった。半月型のリブは多めに切り出して、精度がよくできたものを選んで使用。グリルの枠は0.5mmと0.3mmプラ板の細切りの積層。
JAPANミリテールでhiranumaさんが連載中のケッテンクラート超絶工作に比べたら、このくらいで悲鳴をあげてはいけないのだと思う。

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エンジングリルはとりあえずここまでリカバリー完了。後はメッシュを貼ってフレームを作らないと...

目の細かいメッシュは細い銅線を編み込んで.. なんてことはもちろんやりません。


※5/11誤記訂正:M-17ガソリンエンジンのM-17がF-17となっていたので訂正しました。


by hn-nh3 | 2018-05-09 19:08 | KV-1戦車 | Comments(16)