断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )

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久しぶりに模型の話。ブラチモデルのフルレジンキット:ロレーヌシュレッパー 15cm自走砲をSUMICON参加作品として、6月より制作しているのだけど、いろいろとあって制作は大幅遅延。
そういえばこっちのブログではこの話題の記事はまだアップしてなかったことに気づきましたが、今更最初から始めるのも気がひけるので、現在進行形の話から始めます。

今回はオープントップの戦闘室内に搭載された無線機の話。生産数の少ない自走砲は記録写真も少ないこともあって、戦闘室内の装備はモデラー泣かせ。多分にもれずロレーヌシュレッパー 15cm自走砲も、内部がわかる写真が非常に少ない。北アフリカに送られ1942年のエル・アラメイン戦で捕獲された車両を調べた報告書(Preliminary Report No. 13 - Lorraine S.P. Mounting)を見ると、戦闘室には砲弾ラックの類はなく、単純に榴弾砲と乗員スペースを囲っただけのものだったようだ。

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オープントップの戦闘室左後部に無線機を積んでらしく、「収容箱が2個」との記述が確認できます。残念ながら無線機周辺を写した写真が報告書には載っていないので、推測にはなるがMarderllなどに搭載されていたような2段式の無線機ラックが装備されていたのだろうか。この記述が正しいとすれば、他の自走砲車両の事例を参考にモデリングすればよさそうにも思われますが、気になるのが次の写真。

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ノルマンディ戦で捕獲されたと思われる記録写真が残ってます。鮮明さを欠くのが惜しまれますが、無線機周りの装備がわかる貴重な写真。比較参考にアフリカで捕獲された車両と、同じくノルマンディ戦の車両の写真も並べて検証してみます。

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無線機が設置されているのは黄色い数字のno1.の部分。上から見たノルマンディ戦の車両では無線機ラックは2段積みのタイプではなく1つしかないように見えます。下の写真のアフリカ戦の車両ではぼんやりとした影ぐらいにしか判別できない。アンテナのつく雨避けのガード(no.2)はどの車両でも共通して確認可能。その隣の四角い箱(no.3)はヘッドホン収容箱と想像しますが、設置が確認できるのはアフリカの車両のみ。ノルマンディの車両では雨避けガードの下部に無線機用変圧器(no.4)の取付金具があるのがわかります。

砲弾ラックのようなもの(no.5)がノルマンディ戦の車両に積んであるのが見えますが、固定式の装備ではなく、運搬用の砲弾コンテナを必要に応じて載せてたのかもしれません。

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参考資料として、2段組の無線機ラックと1段のみのラックの搭載事例。38t戦車車台を利用したグリレH型とマーダーlll M型の写真。

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2段組のラックに搭載されていたのは、Fu5(もしくは Fu16)と言う受信機と送信機が別筐体になっているタイプでII号戦車からティーガーまでの戦車系列、III号突撃砲やヘッツアーなど密閉式の戦闘室を持つ突撃砲/駆逐戦車などが主に装備。それに対して、1個タイプのFuSprech a/d/fはsdkfz.250などハーフトラック、ベスペやマーダーIIIといったオープントップの自走砲などに搭載。上の無線機の写真はK59(1120)のレジンキット。

無線機の機構と運用方法から詳しく紐解いていけば、どの車両にどのタイプの無線機が使われていたか明確にわかるのかもしれませんが、まだそこまで調べ切れてないので、事例からの推測にはなりますが、オープントップの自走砲でも1942年に設計されたグリレHやマーダーIIは2段式のラック(Fu5/Fu16)が採用され、同様に1942年に生産、北アフリカに送られたロレーヌシュレッパー自走砲も2段式のラック(Fu5/Fu16)を搭載していたとするのに無理はなさそうです。

ではなぜノルマンディ戦の車両では2段ラックではなく1個タイプの無線機を積んでいるように見えるのか?。おそらくは1943~44年に生産された多くの自走砲と同様にFuSprech a/d/fを搭載していたからでは、と想像します。

ロレーヌシュレッパー自走砲はアフリカに40両が送られた後、さらに40~50両が追加生産。後部の駐鋤などが改良されたバージョンがノルマンディに配備。その際に無線機の仕様も変更された可能性を考えてます。同じロレーヌシュレッパー車台を利用した7.5cm対戦車自走砲:マーダー1の無線機も1個タイプの無線機だったのは写真(Panzerwrecks 11 P56掲載)で確認。

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ロレーヌシュレッパー車台を利用した着弾観測車の写真。ロレーヌシュレッパー自走砲と同じアルフレッド・ベッカーの工場で生産された車両。砲兵部隊の前方に進出して、着弾位置の修正の指示を出すなど通信機能を強化した車両だけあってか、Fu5/Fu16(+Fu2/15) とFuSprech a/d/fの両方を装備していますね。

ノルマンディ戦で使われたロレーヌシュレッパー15cm自走砲の無線装備に関しては、別のアングルから写した内部写真が見つかるか何かの公式記録で確認できない限りは結論はなさそうですが、今回のモデリングではマーダー1 、マーダーlllと同様のFuSprech a/d/fを搭載していた、との仮定で進めてみます。

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用意した無線機のパーツ。黄色いレジンの機器はK59(1120)のFuSprech a/d/fのセット(no.Z-13)から。前にオチキス改造自走砲を作った際に購入したセットのあまり。FuSprech a/とFuSprech fの2つの無線機の2-in-1。ラックはオチキス改造自走砲の制作で使ってしまっていたので、ドラゴンのGrille自走砲のキットに不要パーツで入っていたMarderlll M用ランナーから流用。

変圧器、車内通話用コネクター、配線コネクター、アンテナベースはK59(1120)の無線機セットに入っていたもの。配線のソケットなど恐るべき注型精度。

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ドラゴンのMarderlll用パーツから流用した無線機ラックは抜きテーパーでフレームが厚くなっていたので、薄く削ってK59(1120)の無線機が嵌るように修正。

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部品を戦闘室に組み込んでみました。無線機ラックを車体に固定するホルダーはMarderlll用パーツをそのまま使用。実際にそうだったかは不明ですが、角度的にもぴったり。変圧器にはバッテリーからの電源と無線機、車内通話コネクターへの電源供給ケーブルを0.13mmの銅線を使って配線。
車内通話コネクターは、記録写真のアングルでは確認できないのですが、ヴェスペやマーダーlllでも装備していることから、同様に装備していたと仮定。

Panzerwrecks 11"Normandy-2" に掲載のマーダー1でも通話装置が写っていることから、ノルマンディ戦の時には他の車両と同様に装備していたと想像していますが。先掲のアフリカ戦の車両の調査報告書には運転手席への通話装置は確認できない、と記述があるので、初期生産車では車内通話コネクターは装備していなかった可能性はあります。

ヘッドホン用収容箱は無線機上に設置されていたのかいなかったのか、他の場所に配置されていたのか、わからなかったのでとりあえず保留。そのかわりに円筒状のスピーカーをアンテナベース脇にぶらさげてみました。このパーツはドラゴンのMarderlll用パーツのものを薄く削り込んで使ってます。最近発売されたPassionModelsのヴェスペ用エッチングセットにもスピーカーのフェイスは入ってましたね。

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配線はK59(1120)の無線機セットに入っていた説明書を参考にしています。配線に使った銅線はEUREKAのワイヤーセットから0.13mmのものを使用。変圧器周りの電源供給ケーブルはもうひとまわり太いのを使って、通信用コネクトケーブルとの太さの違いを表現すればよかった。と作った後で反省。

by hn-nh3 | 2018-10-21 12:52 | ロレーヌシュレッパー系列 | Comments(6)
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T-60軽戦車 第264工場製(全鋼製転輪・丸型ハッチ仕様)完結編。
SUMICONでは先に公開したジオラマですが、再録にあたり備忘録がてら、これまでの製作記のインデックスとマテリアルリストを文末に追記。
写真は全てクリックで拡大(1600px)

ROSTOV 1942.8

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1. 19427月25日。ロシア南部の要衝、ロストフ陥落。

  スターリングラードへと退却していく赤軍の戦車部隊。


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2. エンジントラブルで道路脇の麦畑で停止中のT-60軽戦車。

  原因はラジエーターの水漏れによるオーバーヒートか。


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3. 僚車の救援を待つ間、束の間の休憩をとる乗員2人。

  配属されて数ヶ月。幸いにして大きな戦闘には未遭遇。


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4. 地平線の彼方まで続く8月のライ麦畑。

  後にしてきた街を思い出す。


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5. 8月23日。ドイツ軍はスターリングラードに総攻撃を開始。`

  彼らの乗る5号車についての記録は残っていない。



記事INDEX

[T-60製作]

T-60 (Plant no.264) vol.1

264沼(前編):T-60 (Plant no.264) vol.2

264沼(後編):T-60 (Plant no.264) vol.3

重箱の隅:T-60 (Plant no.264) vol.4

内部塗装:T-60 (Plant no.264) vol.5

264+264T-60 (Plant no.264) vol.6

諸々:T-60 (Plant no.264) vol.7

ひとまず工作完了:T-60 (Plant no.264) vol.8

4BO+5T-60 (Plant no.264) vol.9

増加装甲を作る:T-60 (Plant no.264) vol.10

フェーディング1回目(油彩):T-60 (Plant no.264) vol.11

フェーディング2回目(油彩):T-60 (Plant no.264) vol.12

泥とか埃とか:T-60 (Plant no.264) vol.13


[ジオラマベース]

[フィギュア]

[その他考察]

4BO


[DATA + MEMO] ※more.. クリックで追記が開きます。



More
by hn-nh3 | 2018-04-18 06:25 | T-60軽戦車 | Comments(2)
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T-60 第.264工場製車両、制作編その13。全鋼製転輪+砲塔ハッチ丸型仕様の完結編。
SUMICONでは一足先に完成のお披露目をしてますが、こちらでは忘備録がてら、制作メモを含めて書き留めておきます。

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OVMの塗装。金属部分はメタリックグレイで全体を塗った上に黒に近いダークグレーの塗料を塗って拭き取り。黒錆(or黒塗装)が剥げたところに鉄の地肌が露出しているような表情に。ともにアクリル系塗料。鉄部の錆色は油彩を上からかけて表現。

d0360340_21210830.jpg実際、T-60に搭載されていたOVMは何色に塗られていたかという問題も。

現存する博物館車両を見ると、柄の部分が木地の色の場合もあれば、車体色と同じ緑色に塗られていることも。
当時の記録写真を見てもどちらのパターンもあるように思われます。この写真、第264工場製の車両(砲塔8角形ハッチ)ですが、フェンダー上の斧の柄は明るい木地色に見えます。鉄部の色はわかりませんが、フェンダーの先にあるジャッキが黒色のようなので、斧の柄が車体色で塗られてないことから、斧の鉄部も黒色かと推測。

d0360340_21473905.jpgフェンダーに取り付けて周囲は土埃が溜まったようにピグメントなどで汚したら、なんだかドロドロになっちゃいました... 油断すると、1/35スケールではなく1/1の汚れになってしまう。
角形工具箱をつけてる車両の場合、フェンダー上のOVMはシャベルとワイヤーだけのようですが、ジャッキとか斧はどうしてれるのかしら?

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足回りの泥汚れはウェザリングペーストを利用。「マッドホワイト」を筆につけて弾いて飛沫を飛ばして車体下部全体に散らしたところに「マッドブラウン」をサスペンション周りに散らして土の湿った感じを表現。そのあと、ベースに使ったピグメントを振りかけて、ベースと色調を調整。転輪の塗装剥がれはグラファイト鉛筆を塗り込み金属感を強調。

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履帯をセットして車両は完成。履帯のウェザリングは今回、ちょっとトラブル。墨入れに油絵の具を薄くペトロールで溶いて使ったのですが、履帯の接着が甘かったのか途中でポロポロと取れて復旧に苦労。エナメルシンナーほどではないものの、ペトロールもプラを侵す性質があるみたいですね。

d0360340_05351428.jpgウェザリングで今回使ったマテリアル。AKインタラクティブのDUST EFFECTSとSTREAKING GRIME。いつも使うのはだいたいこの2つ。薄く塗り伸ばして溶剤(オドレスターペンタイン)で拭き取り。錆色ピグメント(Track Rust)は排気管周りに。その他、ベースで使った土埃のピグメントをフェンダーの周りに散らしてアクリル溶剤を筆で弾いて飛ばしてピグメントを定着。

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d0360340_05460928.jpg履帯の片側には麦畑に踏み込んでついた泥を表現。ウェザリングペーストのマッドブラウンにベース作りで使った草の素材を混ぜ込んで塗りつけました。

ウェザリングは今回はちょっと反省。T-60のような小さな車両の場合、慎重に施したつもりでもたちまちスケールアウト。もっとフィギュアの塗装の時のような小さなグラデーションを刻む必要があったか。サビ表現も抑えたつもりだったけど、写真に撮ってみるとなんだかんだ目につく感じでちょっと過剰。

夏のロシア南部の気候を調べてみたら、降水量や湿度は東京の2月ぐらいと非常に乾いた気候。錆の色は、水と結びついたオレンジよりも空気中の水分との反応による暗い茶色で抑えるべきでした。もっと計画的に考える必要ありで、これは次回の課題。

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by hn-nh3 | 2018-04-03 06:11 | T-60軽戦車 | Comments(2)
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T-60 (Plant no.264) 制作その12。前回のフェーディング(退色表現)の上にもう一度油彩で変化をつけました。
細かなニュアンスの調整と車体下部からフェンダー、車体上面などに埃色をかぶせて、使い古されて全体に汚れが染み付いた雰囲気になるように。
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リベット周りやパネルラインの墨入れは油絵の具の焦茶(ローアンバー)に青(コバルトターコイズディープ)を混ぜたものを溶剤(オドレスペトロール)で薄く溶いたものを使用。黒を使うと淀むので補色の関係にある色を混ぜて絵の具の彩度を下げてます。墨入れに油彩を使うのはボカシがなめらかにできるからですね。エナメル系だと染みがついたようになりがちで拡大して見たとき時にスケール感を損なうことがあった経験から。 

排気管からの煤煙で黒ずんだエンジングリルのメッシュも油絵の具のローアンバーを擦り付けて表現。排気管の焼け錆び色も油彩で同様に表現。後の工程でこれに錆色ピグメントをまぶして仕上げる予定。

 
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車体下部には油彩でアースカラーを作って塗り伸ばして土埃の下地を作りました。実際かなり明るくしてますが、それでも写真にとってみるとフェンダーなどの影で沈んだ感じで落ち着いて見えます。これに転輪、履帯が被さるとさらに暗くなるので、もっと明るく塗っても問題なし。この部分をシャドウ吹きで暗色に塗装する手法もありますが、写真をとったときに車体下部が真っ黒に落ちてしまうことが多く、それは避けたいところ。

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車体下部は全体的に泥色を強くしてこの後に施すピグメントの色調と馴染むようにしてます。地面からの照り返しの光で明るくなる効果も少し意識してます。

砲塔や操縦席周り、車体フェンダーの一部はフェーディングの後で、緑色が強くなるように色を戻しました。Mr.ウェザリングカラーのフィルタリキッドの緑(フェイスグリーン)を部分的に塗りつけて、乾いた筆とウェザリングカラーの薄め液で湿らせたティッシュなどでゴシゴシ拭き取ってなじませました。この作業の意図は、...車体にうっすらとかぶった土埃がすれて車体色のロシアングリーンがはっきりと見えている... そんなイメージでしょうか。

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前の記事:4BO色 で使った写真ですが、砲塔のエッジやフェンダーの一部など擦れやすい部分に地色の4BOグリーンがしっかりと見えているのがわかります。こんな雰囲気を再現してみたくて、ピグメントで埃を強調した後でも全体がぼんやりとしないように色のトーンを強めてみました。

ここまでのフェーディング(退色表現)作業。ペンキの色褪せというよりも軽く拭った程度では落ちない汚れを含めて塗ってます。いわば「長期汚れ」ともいう色調の変化を与えてみました。このあと、クリアを吹いてツヤを調整、そしてピグメントなどで「短期汚れ」を表現するつもりです。   

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ここまでの調整の殆どは油彩で行いました。プラモに油彩と聞くと経験がないとハードルは高く感じますが、実はすごく簡単。何よりいいところは、塗った絵の具が乾いて定着すると、上から塗り重ねても下の層の色が溶剤で溶けることはありません。だからウェザリング中に下の色が滲んだり変なツヤが出てきたり塗膜が剥げたりとかのトラブルもないです。油彩はウェザリングに最適。

ウェザリング程度だったら写真のような7色あれば十分。今回は使ったのは赤(カーマイン)、黄色(パーマネントイエロー)、緑(ビリジャン)、青(コバルトターコイズディープ)、焦茶(ローアンバー)、黒(アイボリーブラック)、白(アイボリーホワイト) 。メーカーはホルベインの汎用品。

赤は少し赤紫っぽい色を選んでます。ロシアングリーンの補色に近いのでグレートーンが表現しやすい色。フィギュアの塗装だと黄色でもカドミニウムイエローなど発色の良いものがいいと思いますが、ウェザリングでは少し弱い色の方が扱いやすいです。絵の具はこれだけあれば殆どの色調はカバーできるから、画材屋の絵の具を端から端まで買い占める必要はなく、混色も法則をいくつか押さえておけば大丈夫。三原色を混ぜた時の色とか、オレンジに白を混ぜると肌色になるとか、黄色に黒を混ぜるとあら不思議カーキグリーンができるとか。あとはちょっぴり補色の話も。

溶剤にはオドレスペトロールを常用。今回はスケジュールの都合もあって、アプタイリングの速乾シンナーを使ってみました。乾燥時間に劇的な違いはないのですが。

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作業の最初は油絵の具の油抜き。100円ショップで買った密閉容器とAMAZONのダンボールを用意。使う色をチューブから出して半日から一晩程度、密閉容器の中で寝かせてダンボールに余分な油を吸わせます。このままダンボールをパレット代わりにしても良いのですが、使い残した絵の具を載せたままにしておくと、密閉しておいても2日と持たずにカチカチに固まってしまうので、右の写真のようなペーパーパレットに油抜きした絵の具を移し替えて容器で保存します。1週間くらいは使えます。

ペーパーパレットは滑らかで吸油性のない使い捨てのペーパーシートなら何でも可。写真のものはホルベインのSSサイズ。葉書より一回り小さい大きさの30枚1セットで180円。1枚あたり6円なり。パレットナイフは簡単なものでもあると便利。油絵の具は粘度が高くてチューブから出した状態だと筆で取りにくく、固まりかけた絵の具を筆で直接すくったりしてると筆があっという間に傷んでしまいます。ペーパーナイフで必要な色をすくってナイフで混ぜて溶剤で希釈してから筆に含ませます。

とまあ、訳知り顔で書いてみましたが、模型での油絵の具の使い方って、雑誌でもあんまり詳しく書いてないんですよね。ウェザリング商材の事は..あれ?こないだも同じこと書いてあったよねと思うくらい情報が多くて予習復習バッチリとなるのですが.. 油彩となると、しかも本格的な油彩画ではNGのような手法だったりするので美術専門書も役に立ちません。油抜きにしても、油絵本来の良さを消してしまうような使い方だし。

油絵の具の乾燥の原理について、自分の知ってる範囲で書き留めておきます。
模型用塗料と油絵の具はその特性が全く違います。模型用塗料(ラッカー、エナメル、アクリル)は顔料を揮発性の溶剤でとかして、溶剤成分が揮発すると塗料も固まる(乾燥する)仕組みです。完全な可溶性ではないものの、乾燥後に溶剤で再び溶かすこともできます。

それに対して油絵の具は顔料のペーストに練りこまれた乾性油が酸素に触れることで酸化重合反応を起こして凝固するものです。塗るときにペトロールやターペンタイン(テレピン油)などの揮発性の溶剤で希釈するのは、単にペーストを希釈して薄く塗り伸ばしやすくしているだけで、模型に塗った溶剤の揮発成分が乾いても、薄い絵の具の層自体はまだ固まっておらずべとついたりするのはそのためです。絵の具に含まれる乾性油が固まるまでにごく薄く塗っても半日から1日程度。模型塗料のように厚塗りすると、絵の具によっては一週間たっても固まってないこともあります。

この乾燥(凝固)の遅さが色のブレンディングなど精緻なグラデーション作りには役に立つのですが、ウェザリングの場合は塗った絵の具が2日も3日も乾かないと次の作業ができず仕事にならないので、それで「油抜き」をする訳です。
チューブから出した絵の具のペーストに含まれる乾性油をダンボールに吸わせるなど減らして、油の酸化重合による凝固が早まるようにします。油を抜けば抜くほど絵の具の「乾燥」は早くなります。絵の具の乾性油には完成後のツヤを出す効果があって油絵特有の重厚感にもなるのですが、模型に使う場合はこのツヤが邪魔なので油を抜いた方が扱いやすくなります。

じゃあ乾性油なんて模型では邪魔じゃん、油なしの油絵の具があったらいいね!となりそうですが、油絵の具にとってはこの乾性油が顔料の定着材でもあるので、油抜きした絵の具で油絵を描いたら将来絵の具が剥落したなんてことにもなります。ピグメント的に使うなら、仮に剥げてもまあいっかとなりますが、苦労して塗ったフィギュアの瞳が鱗が剥がれるように落ちたら泣いちゃいます。だからフィギュア塗装で油絵の具を使ってグラデーション塗装をするときは油抜きはほどほどに、ウェザリングで使うときは粘度のあるピグメントと思って油抜きをしっかりしたものを使うなど、時と場合に応じて使い方を調整。

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あ"ー 上部転輪が曲がってる....


模型用塗料に比べて乾燥が遅いというのはネックになりますが、フェーディングや墨入れで色のグラデーションを作ったりするのはやっぱり他に変えがたいものがあります。固まらないうちならペトロールで拭えば色を落とせるし、固まったら上から塗り重ねても下の色が溶けたりしないし。ちょっと作業しては休んでブログを描いたり(ダラダラ作るのが得意な)モデラーにとっては便利な画材です。


何を隠そう自分も油絵の具を使い始めて1年も経ってない初心者。遠い昔、高校生の時に一度使ったきり ..「油絵の使い方を覚えるために有名な絵の模写から始めよう!」と美術の先生の言葉にそそのかされて描いて、こりゃ才能ないね..と思ったクチです。まあ、模写した絵が後期印象画の巨匠、セザンヌが描いたサント・ビクトワール山の風景。挑んだ相手が悪かった。
                

by hn-nh3 | 2018-03-16 19:15 | T-60軽戦車 | Comments(4)
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T-60 (Plant no.264) 制作その11。基本塗装の上に油絵の具でフェーディング(退色表現)を行いました。
ウェザリング技法でよくドッティングなどど言われてる方法ですね。粘度の高い基本色(Ex.緑、青、赤、黄色、白..)を小さく斑点状において、ペトロールなど油彩用シンナーで薄く塗り伸ばして微妙な色階調を作り出す方法ですが、今回はロシアングリーンを明るくしたライトカーキグリーンともいうような色を作って2階調で薄く塗り伸ばしました。基本塗装の保護でクリアを吹いた時に少し色が沈んでしまったこともあり、明度を全体的に引き上げる目的もあったので、グリーン系の2階調で塗装色のニュアンスを調整しました。

同色系の絵の具でのフェーディングを行ったことに、もう一つの理由があります。いわゆる「カラーモジュレーション」は行っていないのですが、さすがに何もしないと模型的な押しが弱くなるので、光の効果を加味した色調整を同時に行いました。
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何もやってないじゃん...と言われればそれまでですが、天板を側面より明るく、砲塔側面下部や車体側面のフェンダー側などを反射光の表現で少し明るくしてます。さりげなく所作を感じさせない程度に。それとわかってしまうと光ではなく色になってしまうので... もう一回色を重ねますが、このあたりはまだ試行錯誤中。

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簡単な実験ですが、写真Aは白い物体を白い紙の上に直においたもの。写真Bは白い物体を紙から少し浮かせた状態。物体の側面の明るさを比べてみると、Aの紙の上に直に置いた時の方が明るくなっているのがわかります。比較用に写真Bの赤で囲った部分に同位置のAの部分を合成してます。明るさの違いが明確にわかると思います。

このように物体の側面はすぐ側の明るい面(この場合下に敷いた紙)からの反射光の影響を受けてほんのり明るくなります。

d0360340_15313785.jpg実験その2。反射光の影響がわかりやすいように下にオレンジ色の紙を敷いてみました。
オレンジ色の反射光が白い物体の側面をオレンジに染めているのがわかると思います。白い紙の上にある部分の側面は白いままです。このように物体の側面は周囲にあるものからの反射光にいつも影響を受けてます。

さらに詳しく観察すると物体側面の上部の方が下部よりオレンジ色が強く見えてます。下部の方が下のオレンジ面よりの反射光が強くて明度が高い状態なのでオレンジが薄く見えます。サンプルが小さかったので反射光のグラデーションがわかりにくいですが、物体側面は隣の明るい面との距離に応じて色と明るさが変化しています。

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ここからが本題。下手くそなデッサンですみません。
慣れない絵を描いた訳は、「カラーモジュレーション」について少し考えてみたいと思ったからです。実は現在流行している技法には少し懐疑的です。立体の面構成を強調するように色のグラデーションをつける方法は、確かに小さな模型の立体感を強調するには有効な技法ですが、濫用すると却ってリアリティを損なうような塗りかたに陥ります。

上の立体デッサンを見てみます。二つの白い立方体に左斜め向こうから光が当たってる設定。基本的には左の立方体のように3段階の明るさの違う面ができます。この明るさの描き分けは模型塗装にそのまま適用することはできません。模型鑑賞の光源の向きを固定しない限りは立体が破綻します。さらには色の明度の問題。左図では上面(1)は光が当たっていて白く見えてますが、側面(2)、そしてさらに暗い側面(3)は影を強調しようと色のトーンを暗くすると、結果として暗いシャドウ部分に塗られた色は基本色とは似ても似つかない沈んだ色彩になってしまいます。シャドウ吹きで煤けたような模型になってしまった人は多いはず。

この話は絵画の世界でも同じで、陰影を表現しながら色彩の純度を損なわないようにする方法として考えられたのが、右図ような影のつけかた。

人間の眼は隣り合う面の色の違いで立体を把握しています。その習性を利用して面の隣接する部分の明るさの違いだけ表現してやると、影になる面(2)と(3)の面全体をグレーで塗り潰さなくても立体が表現できます。影の面も白と感じられるような塗りかたができる訳です。左の立体の面(2)と(3)の影は下部がグラデーションが白いまま塗り残されてますが、先の反射光の話を加味して地面からの反射光で明るくなっていると解釈することもできます。

この明暗表現を模型の塗装に応用したのが「カラーモジュレーション技法」と言うことになります。その意味では基本色のトーンを損なわずに陰影を強調できるので便利です。模型塗装では、物体が小さくなると見かけの明るさが減光するのでそれを補うために色の明度をあげる必要があったり(スケールエフェクト)、屋外の自然光の強さを表現するためにコントラストを強調する必要がある訳ですが、そのために色を使って模型に光を描きこむのがカラーモジュレーションの原理だと思います。

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模型誌をパラパラとめくっていると、手法が目的化して光の効果から離れて面の塗り分けに注力している作例も見かけます。隣接面からの反射光が考慮されてないパターンも多いです。例えばフェンダーのつく車体上部側面の塗りかたは、側面のフェンダー際が暗くて上にいくにしたがって明るくなるような色調。現実世界ではそのような現象は起こらないのに、判をついたようにこの塗りかたが踏襲されてます。砲塔も側面下部が暗くて上部に向かって明るく塗られていたりします。

しかし実際はフェンダーと同様、砲塔側面の下部は車体天板からの反射光で明るくなります。砲塔の防盾下面も影の中にあっても車体からの反射光でほんのり明るくなっています。人間の顎の下が胸板からの光の反射で意外なほど明るいのと同じ原理。

話はこれくらいしておきますが、目的と原理から離れて、手法としての様式化が進むとどうしてもそういったことに陥りがちです。リアルの追求からは遠く、不自然で模型的な所作が繰り返されて...
まあ、習い事に共通することです。...剣道、茶道、戦車道。道と名のつくもの全て。

by hn-nh3 | 2018-03-13 18:00 | T-60軽戦車 | Comments(2)

4BO+5:T-60 (Plant no.264) vol.9

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T-60 第264工場製車両 その9。基本塗装を行いました。
塗装の下地にサフェーサープライマーを吹いて、先ずはダークブラウン。チッピングで上塗り塗料が剥がれたところに見える下地色を作ります。チッピング用の剥離剤を吹いて乾いた後に基本色のロシアングリーン:4BOを吹きました。

d0360340_21562410.jpg使った塗料はMMPの水性アクリル系塗料。前作のGrille改造FLAKの塗装からこれ使ってみてます。元々は同じく水性アクリル系のライフカラーを使ってたのですが、水性アクリルの弱点である塗膜の弱さ、エアブラシの目詰まりを解消する性能がある、とのセールスポイントに惹かれて導入しました。

ロシアングリーンのカラーはMMP−031の4BO:FS34079とMMP-028のRussian DarkOlive:FS34102を使用。MMP-031を下吹きして、その上にMMP-028。さらに028をもう一段明るく調整した色を重ね吹して色のニュアンスを調整しました。3階調の色をぼわっと重ねただけで特にカラーモデュレーションとかは行ってません。
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基本塗装が終わったら、水で濡らした固めの筆で塗膜をぽんぽん叩いて塗膜を剥がして下地の錆色を露出。転輪、工具箱、フェンダー、歩くところをちょこちょこっと、あくまで控えめに。プライマー色ではなく錆色のつもりだったけど、少し明るすぎたかな...

d0360340_22361226.jpgT-60の記録写真を見るとマーキングがない車両の方が多いのですが、それだと模型的には少し寂しいので、車両番号くらいはつけたいと思います。キットには2種類のデカール。ステンシル文字の「076」と手書き数字の「31」

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このナンバーを実際につけてた車両の写真がありました。左側の写真の奥の車両が「076」。鋼製転輪の車両でちょうど再現した仕様でもあるので有力候補。ただこの写真、撮影場所が11月の北コーカサス方面。作っているキットは1942年の8~9月頃のスターリングラード前哨戦をイメージしているので、ちょっと場所と時期が合わないのが残念。左側の写真の車両が「031」。しかしこの車両、残念ながら砲塔ハッチが8角形タイプ。再現しているのは丸型ハッチの車両なので悩ましい。細かいことには目をつむって使ってしまうという考えもよぎったものの「散々、仕様にこだわっといてこれかよ」という声がしたので、これも諦めます。

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鋼製転輪・丸型ハッチの車両となると、マーキングがあるのは写真の左上の車両。砲塔に「3672」という少し不揃いの数字。余ってるデカールの数字を寄せ集めて再現しようかと思いつつこの写真をよく見ると、検分するドイツ兵の傍に乗員の痛ましい姿が... キットからそんな未来が見えてしまうのはちょっと切ない。何よりこのナンバーが模型的に見栄えがしなさそうなので、これも不採用。

他の候補としては写真右上の車両についてる三角の部隊マーク。これも8角形ハッチの車両ですが、円形ハッチの車両でも同様のマークをつけた車両はあったはず。写真に写るのは放棄車両を検分するのがイタリア兵で、ロシア戦線のイタリア兵というシチュエーションも楽しそうです。デカールは第37工場製車両のキットから流用できそう。ただ、マークがピストルポートにからむのでデカール貼りの難易度高め。

写真左下も8角形ハッチの車両ですが、面白いマーキング。しかし、これを再現するのは難しそう。デカールを自作するノウハウは持ってないし。
写真右下の車両。増加装甲付きの車両で砲塔ハッチは8角形。砲塔には「7」の車両番号。これなら何かのデカールから流用できそう。夏のウクライナの草原というシチュエーションもイメージに合いました。これにします。
ただし、数字を変えて、この車両の近くで行動していただろう僚機の設定で再現してみます。上の北コーカサスの写真のように8角形ハッチの車両と円形ハッチの車両が同じ部隊にいた状況は十分にありそう。
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デカールはDragonの何かのキットで余ってたデカールから流用。記録写真の「7」のようなもう少しロシア成分の高いフォントだったら良かったのですが、これなら許容範囲。デカールがカルトグラフ製というのも安心感あり。

ウェザリングとデカールのシルバリング防止用にセミグロスのクリアを車体全体に吹いてあります。デカールはぬるま湯に10秒ほど浸して引き上げて暫し待ちます。台紙から動くようになったら爪楊枝を使って数字を滑らせながら所定の位置に配置。マークセッターを塗って位置を調整した後、空気を追い出すように綿棒でデカール表面をトントン叩きながら水分を抜いてセット。デカールが乾いたらもう一度セミグロスのクリアを上から吹いてコーティング。

接写して拡大して見ると...クリア吹いた時にあちこち埃を巻き込んでしまってます。後で少しペーパーを当てて均す必要あり。それと..クリア吹いた時に車体色が濡れ色になって少しイメージより暗くなってなってしまったのは少し迂闊でした。前回の記事で「同じ色でも光沢が変われば色の濃さも変わって見える」なんてこと言っておきながらこの始末。完全に経験値不足ですね。

by hn-nh3 | 2018-03-06 06:20 | T-60軽戦車 | Comments(0)
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T-60 (Plant no.264)制作編その8。
第264工場製車両、鋼製転輪・砲塔丸型ハッチタイプ。工作はほぼほぼ完了。履帯のガイドホーンのバリのクリーニングや塗装後に接着するOVMの留め金の一部を残してひとまず組みあがった姿になったので記念撮影。
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左側。フェンダー上の工具箱は第264工場に特有の角形のもの。塗装の便を考えて未接着。ドライバーズハッチ横にある丸っこいのはホーン。この時期、物資の欠乏でヘッドランプ未装備の車両が殆ど。当時の写真を見るとホーンがついてない(もしくは取れてしまった)車両も多い。
               
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右上から。砲塔のハッチは丸型のタイプ。ドライバーズハッチも角が丸くなっているタイプ。ちなみにドライバーズハッチの前半分が盛り上がっているのは、その部分にベンチレーター機能があるため。

フェンダー上のOVMはワイヤーロープとシャベル。GAZ工場や第37工場の車両では左フェンダーに載せるものだけど、第264工場はその部分に角形工具箱が乗るので、右側に移動。他工場車両で右フェンダーに装着するジャッキとか斧とかは第264工場の車両ではどうしてたのだろう。角形の工具箱にでも入れてたのかしら?

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左後ろから。砲塔左後ろのピストルポート下には第264工場車両の特徴である3つ組ボルトを追加工作。これは砲手用シートの固定ボルト。その他、車体上面の排気管吹き出口を第264工場車両でよく見かける後方吹出しに改造。

d0360340_20291559.jpg車体上部後面左側は燃料タンクが入っているスペース。メンテナンスのために天板は平頭の6角ボルト止めになってるのですが、キットでは丸頭リベットになっていたので、ヤスリで頭を平らに削ってなんとなくボルトっぽい感じに。

これをMasterClubのレジンボルトなんかに置き換えてやるとシャープになってかっこいいのですが、サボりました。
というか、他にもT-60を2台持っていて、これをやりだすと全部のT-60のボルト植え直ししないとバランスが取れなくなるので、思いとどまりました。

                  
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サフを吹いてチッピング下地用に錆色の塗装を塗って乾燥待ち。その間に車両に添える戦車兵のオーディションをしました。
オーバーオールを着た兵士がいいかなと思っているのですが、何色で塗ったらいいのかよくわからなくて悩み中。
戦車兵がよく着ているこのオーバーオール。黒とかグレーとかブルーとか、何色もあるみたいだけど軍装には疎くて思いあぐねてます。どういう色の使い分けがされてたのか、1942年頃は何色が標準だったのかとか、詳しい人がいたら教えを請いたいところ。

by hn-nh3 | 2018-03-03 20:48 | T-60軽戦車 | Comments(4)
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T-60 (Plant no.264) 制作その7。組んで内部塗装しておいた砲塔の部品を組み合わせていきます。砲塔基部のリング部分に取り付く部品は接着面積が小さくてうっかり触ると壊れそう。砲手用シートは第264工場仕様で通常の位置より少し後ろ寄りにつけてあります。内部の塗装はヘアスプレー技法の練習。下地の錆色が見えるように白をハゲチョロに....ちょっとやりすぎました。
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砲身と防盾のセットはキットの組み立て説明図のようにやると部品が干渉してうまく嵌らないので、砲身(Bc4)の先端からスリーブ(Bc15)を先ず通しておいて、防盾(Ba15)を砲尾側からスリーブと防盾を接着、その後Bc15+Ba15を砲身の先にずらしておいて砲身の基部を砲塔側の砲耳パーツに接着、それから防盾の部品をスライドさせて砲耳パーツに接着。この辺りは仮組みをしながら手順を考えて組む必要あり。ここまでは驚くほど組み立てはスムーズでしたが、砲塔の細部パーツは「これがMiniart」という感じ。ただし嵌合の良さは昔のキットとは別次元。

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d0360340_05345624.jpgフェンダーの取り付け。直角3角形のフェンダーステイは、細長いエッチングパーツを折り曲げて作りますが、頂点部分の折り曲げ位置が示されてません。実車のその部分は鋭角の角が出たものではなくアールがついた曲げになっているので、Miniartの設計者がパーツに折り曲げの筋彫りを入れるのを嫌ったのでしょう。気持ちはわかるけど、それだったら、何ミリの位置で曲げるとかの指示は欲しいところ。

こんな感じで曲げればいいかなという加工図(写真右)を作って、スチール定規にパーツを載せて曲げました。寸法はだいたいこんな感じというアバウトなものなので、参考になるかどうかの精度です。利用は自己責任で。

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だんだん組みあがってきました。工具箱とかOVMは仮置きです。履帯はキットの組立て式パーツをC組みにして塗装の時に取り外せるようにしてます。履帯の組立てはいつものようにリモネンセメント。(過去記事参照:マジックトラックを繋ぐ
枚数は95枚で組み立て説明図通り。キットの履帯、ガイドホーンの肉抜き穴を実車同様に再現してくれて嬉しい限りですが金型精度が甘いコマがあって、肉抜き穴にバリが回ってしまってるパーツがあります。こうやって横からみるとちらほら混じってるのがわかります。後でカッターでコリコリ整形しましたが、接着前に選別して不良コマをハネておいた方が後の作業が楽でしたね。上部転輪から浮き上がってしまってますが、これは塗装後に接着します。


d0360340_06090238.jpgこの第264工場製仕様のキットは、車体側面に半月状のパーツをつける指示があります。エンジン点検用のアクセスハッチでしょうか。他のキット(初期型、第37工場製)ではなかったもの。

写真右はボルゴグラード(旧スターリングラード)に残る実車。写真引用はWikimedia commonsより。この車両には半月状のハッチがついています。砲塔には例の3つ組みボルト、誘導輪は460mm鋳造スポーク転輪と、この第264工場製仕様になっているので、この車両を参照しているようにも思えますが、車体側面装甲板の接合部が第264工場製の特徴である溶接ではなくボルト接合になってるんですよね... 部品の寄せ集めたり足りないものは再現パーツを作ってレストアしたのか、フェンダーや砲塔の防楯も少し微妙。ただこの車両、車体前面や操縦席周りの増加装甲が確認できる車両としては貴重。


d0360340_07444464.jpg第264工場製仕様の現存車としては、ロストフに残る車両がそれっぽい。写真引用は:walkarounds scalemodel.ruのページから
保存状態が非常に悪く、あちこち部品が紛失してディテールの参考になる車両ではないのですが、砲塔には3つ組みボルト、車体側面装甲板の溶接など、砲塔と車体ともに第264工場製の可能性が大。
ただ、この車両には半月状のアクセスハッチはついていないんですよね。ハッチがどの時期にどの工場で設置されるようになったのかは要リサーチ。
.... やっぱりロシア語勉強しようかな。

by hn-nh3 | 2018-03-01 06:44 | T-60軽戦車 | Comments(8)
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T-60 第264工場製 その6。これまで並行制作を進めてきた第264工場製とで第37工場製の車両。これからは、どちらも第264工場製として制作を進めることになります。いきなりどうしてそんな話になるのかというと、第264工場製の仕様が抱える厄介な話。MIniartのキット(第264工場製:MA35219)のような特徴を全て兼ね備えた車両の記録写真が見つからないという問題です。
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第264工場製の車両の主な特徴として、1.鋼製転輪、2.ゴムなし460mm鋳造スポーク誘導輪、3.角形工具箱、4.砲塔八角形ハッチ、5.操縦主角形ハッチ。キットのボックスアートのような1~5の特徴が「全部入り」の車両の写真は見つからず、鋼製転輪の車両の砲塔ハッチは一般的な丸型ハッチ、砲塔八角形ハッチを備える車両は転輪が第37工場製車両と同じ鋳造スポークタイプの事例が殆ど。

写真は見つかってないけど想像力を働かせて「全部入り」の車両を作るのか、特定車両の再現とは言わないまでも確認できる写真に即した仕様を再現するのか。悩ましいところですが、バリエーションキットを持っていることを生かして後者で行くことにしました。
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ざっとこんな感じ。第37工場製(MA35224)と第264工場製(MA35219)のパーツを組み合わせて、2台の第264工場製を作ります。写真後方の砲塔八角形ハッチの車両は転輪は第37工場製のキットから鋳造スポーク転輪を流用。誘導輪には460mmディッシュタイプ誘導輪を「T-60初期型」のキット(MA35215)から流用。

このディッシュ型誘導輪は上の事例写真の車両がそのような仕様になってますが、通常のディッシュ型転輪(515mm)を使っているのか、小型の460mmの何なのかは確証がありません。ただ、第37工場製車両の誘導輪のように転輪と同じものを使わず、わざわざ誘導輪にはディッシュ型を使っているのは、「誘導輪」と定められた部品を使いたかったからではないかと想像。それで誘導輪専用の460mmタイプのものを使っているのだと判断しました。

ちょうど「T-60初期型」のキットも持っていたので、そこからパーツをとりました。

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誘導輪を取られてしまった「T-60初期型」はどうするかというと、誘導輪には515mmのディッシュ型転輪を使って、不足する転輪には第37工場製のキットで余る鋳造スポーク転輪をあてがって、ディッシュ型との混ぜ履き仕様で作ることになりそう。

もっともこの混ぜ履きタイプの仕様は、博物館に現存する車両ではよく見かけるのですが、当時の記録写真では意外に少ないようにも思えます。実際、どの程度に「普及」していた仕様なのかは要精査。

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キットの制作を進めます。とりあえず鋼製転輪/砲塔丸型ハッチのタイプから。車体上面装甲板を接着して側面装甲板との溶接線を再現してやります。伸ばしランナーを貼って流し込み接着剤を塗り込んで柔らかくしてカッターの先で溶接パターンを表現。トランスミッションの点検ハッチは固定用のボルト穴を0.3mmドリルで再現。ボルト数は工場での写真から4-2-4の配列を選択。

砲塔リングの横の開閉式エアインテークはキットでも開けられるになってます。取っ手は0.3mmの真鍮線で置き換え。組み立て説明図では砲塔リング側に向けた位置で固定するようになってましたが、逆の外向きにしました。

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その理由はこれ。蓋を跳ね上げた時、取っ手が下向きに倒れるのが自然なので、それに対応した向きに。

d0360340_22250193.jpg車体上面後方の排気管は、斜め後方(8時方向)吹出しが他の工場などでは標準と思われますが、第264工場製と思われる車両では真後ろ(6時方向)に排気している事例が複数見つかります。

この部分がはっきりわかる写真も少ないのですが、他工場で標準的だった斜め後方排気の事例も確認できないので、第264工場では後方排気のパターンが一般的だったのではと推測しています。キットは斜め後方吹き出しになっていましたが、真後ろに排気方向を変えて、この特徴を再現してみました。

現存車両を見ると、排気口が倒れないように裏面に支持金物があり、第264工場製の後方排気の場合も同様と推測してますが、状態の良い第264工場製車体が現存しないので、これについては確証はなし。

by hn-nh3 | 2018-02-20 22:59 | T-60軽戦車 | Comments(2)
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T-60 (Plant no.264) 制作その5、内部の塗装。
エンジンはダークブラウンの下地塗装の上にライトグレーを軽く吹いた上にアルミシルバーを塗り込み。キャブレターのパイプや排気管はダークグレーを塗って薄めたブラウンでウォッシュ、うっすらと錆びた感じを表現。エンジン本体のアルミ合金の部分は油彩の茶系の色でピンウォッシュ。何色か重ねてオイルと埃で汚れた感じに。

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第264工場製(右)と第137工場製(左)の2台並行制作。内部塗装を進めました。
T-60の内部床の色は何色なのか、と言う問題を前に書いたものの未だ結論には至らず、白色なのかライトグレーなのか迷った挙句、1台は白に、もう一台はライトグレーと言うなんとも妥協的な結論。

両方試してみたい気分もあったのですが、白とグレーのバージョンを作るシナリオを思いついたというのもその理由です。
ちょっと前から何となくこうなる気はしてたのですが、今作っているのは第264工場製と第137工場製のキットですが....結局、どちらも第264工場製を再現する結末になるんじゃないかと。つまり第264工場製の鋼製転輪タイプ(右)と鋳造スポーク転輪タイプ(左)ということにして、砲塔ハッチは丸型と八角形タイプの使い分け。そして鋳造スポーク転輪タイプのタイプは後期の増加装甲型に改造しようかと思いを巡らせています。この問題は詳しくは次回に書く予定。

車体の内部塗装に関しては、車内の床面は最初はグレーだったけど、生産の合理化が進み、後期生産型では床面も白で塗ってしまっている、と言う想定で塗り分けてみました。

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第264工場製鋼製転輪タイプの内部。1942年4~5月頃の生産車で1942年初秋、スターリングラード近郊の設定。そこそこ使い込まれた想定で塗ってみました。床面はライトグレー。チッピングの練習も兼ねて例のヘアスプレー技法を初めて試してみました。下地にダークブラウンを塗り、剥離剤はAKインタラクティブの剥がれ表現液(AK088)。以前買ったものの使うことなく5年くらい寝かしたものですが、引っ張り出してきてエアブラシでスプレー。その上にライトグレーをオーバースプレー。側面には白を吹きました。塗料は水性アクリル(ライフカラー)を使ってます。上塗りが乾いてきたところで水をつけた硬い筆でゴシゴシ、塗膜を荒らして擦れる部分に下地のダークブラウンが露出した状態を....まだもう少し練習が必要ですね。

床面にはさらにピグメントを使って、結局は泥で汚れた感じに。ドン河周辺の穀倉地帯を抜けてきたイメージで、情景用の草素材を撒いて散らしまして麦畑の土と藁を踏んだ足でそのまま車内に入った状態を再現してみました。運転席の横のバッテリーは不整地をガタゴト走ったおかげで液漏れを起こして床に溢れた酸性の電解液で少し錆びてしまった表現...ちょっとやりすぎました。小さい車両なので、ちょっとだけ汚したつもりでも写真に撮って拡大してみると...

床で試した剥がしチッピング技法も、最終的には何だかよく見えない結果になってしまいましたが、多少意図的です。キットの床パーツはGAZ工場などの初期生産型のリベットが多用されたものが入っているのですが、第264工場製の車両は側面装甲板と同様に合理化が進んでリベット工法から溶接工法に置き換えられてたのではと想像します。前に作ったリストのno.2の現存車両は車体もおそらく第264工場製ではないかと考えているのですが、僅かながらある車体底板裏面の写真を見ると実際にリベットは少ないですね。とはいえ、トーションバーの部品など交換を想定したものは当然に溶接ではなくボルトで固定してあるなど、それなりにボルト/リベットは使われているようで、どの部分のリベットが溶接に置き換えられているのかまでは資料不足で判断できず。

そんなこんなで、車内床面のリベットを削除するには至らなくてそのままにしたので墨入れも控えて目立たないように、ピグメントで泥まぶして曖昧な感じに....

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d0360340_06362253.jpg砲塔など他のパーツも内部塗装をざっとして組み立ての準備。誘導輪の基部は履帯のテンション調整用の機構で調整用工具を差し込む穴も再現されてます。誘導輪シャフトの調整回転軸はキットでは接着固定式だったので、0.4mmの真鍮線で軸打ちして模型でも回転するように改造しました。組立接着式の履帯を組むときはコマ数や張り具合の調整の時、やっぱりここが動くと便利です。履帯はロコ組み、もしくはC組みにする予定。

by hn-nh3 | 2018-02-09 08:22 | T-60軽戦車 | Comments(3)