断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )
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春から制作を進めていたGrille改造 3cmFLAK、とりあえず完成してます。SUMICON参加作品として10月31日の締め切りになんとか間に合ってほっと一安心。

こっちのブログには塗装経過とかアップしてなかったので、工作終わったと思ったらいきなり完成、ということになってしまいました。伏線を回収しないまま突然に最終回を迎える人気のない漫画みたいですが、と言ってまだ完成してないふりして「サフ吹いたとこです〜」という偽装記事を書くも気が乗らないので、ひとまず完成報告。
完成にいたる過程の書き留めておきたいことはいくつかあるから、それは改めて記事にするつもり。

写真、撮りなおしました。コンペの最終日に慌てて撮った写真はちょっとミスったとこあるので、その顛末を含めて今回書き留めておきます。まずは再撮の写真をSUMICONのサイトよりも高解像度(1600×1200:写真はクリックで拡大)でアップ。キャプション再録。


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Grille弾薬運搬車改造3.0cmFLAK 1945.5 Praha

完成しました。ドラゴンの考証ミス白箱キットが形になりました。
1945年5月、ドイツの降伏と前後して蜂起したプラハ市民に鹵獲された車両です。
この車両を取り巻く状況を伝えるべく、ベースもつけてみました。

1. 拠点防衛用にGrille1を改造して3.0cmFLAKを無理やり搭載した車両。機関砲の簡易砲架をスクラッチ。新品の機関砲と改造のベースに使った中古車両のくたびれた感じの対比を表現しました。
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2. 左側全景:残っている当時の写真を参考にして各部を制作。
取り外されたトラベリングロック、車体のカモフラージュ用ワイヤー。迷彩柄も写真を見て復元。
プラハの街灯は当時の写真を元にそれらしく再現してます。
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3. 右側全景:こちら側の実車の写真は殆ど残ってないので、想像を交えて作ってます。
排気管は途中で脱落しているらしく、その状態を再現。
ここからはフィクションですが、破損の原因となったかもしれない事故の傷を車体につけてみました。
写真に残ってないアイドラーホイールは、接触事故で壊れて取り替えたというストーリーを設定。スペアホイール不足でヘッツアーの誘導輪を流用してます。
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4. 上から:機関砲への換装の時に元々の部品を取り外した痕跡を表現してます。
脇に立つフィギュアはミニアートのものから。手の表情だけ少し変えてます。
蜂起してドイツ兵やドイツ系住民を追い払っている市民を見て不安げな老婆。
その昔、ベルリンから嫁いでプラハにやってきました。彼女は追われる側なのか、排除する側になるのか。
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5. 後方から:途中で途切れた排気管。加倒式の後部装甲板の上にあるのはドイツ軍のヘルメットをゲットしてチェコの蜂起部隊が使っていたもの。チェコの国旗を付けてます。
路上で旗を振るのは赤軍の交通整理兵。ミニアートのものを首の角度と長さを調整。少し顔もいじってます。
彼女は戦車に乗ってウクライナからプラハまで来ました。22歳、ただしちょっと太め。
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6. チェコ民兵が鹵獲して使っていた様子を想像で再現。不便だったので、カフェから拝借したトーネットの椅子を車内に持ち込み。
機関砲を俯角で地上掃討に使うのには、踏み台があった方が便利。椅子は役に立ちます。
機関砲の脇には、朝のパンと新聞。ここ数日、パンは焼いてなかったらしく、
手に入れたものの固くてそのまま放置。パン屋襲撃。

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写真を取り直して、細部がだいぶ明瞭にわかるようになりました。前回の撮影ではコンデジを絞り優先モードで撮影した際に、なるべく奥までピントが合うように絞りをF値8.0まで上げて、他はカメラの自動設定でシャッタースピードは手ぶれ限界の1/15~1/20で撮った訳ですが、その時ISO感度の上限を設定してなかったものだから、うっかりISO800の設定になってしまったため、写真の粒子が荒れて、滲んだような画面になってしまってました。フィルムカメラで育った世代としては、絞り込んだら自動的にISO感度が変わるなんて意識してなかったよ..

再撮影では、光源をより明るくして、ISO感度は80で固定(6の写真だけISO200)して絞りはF値8.0〜5.6 シャッタースピードは前回同様1/15~1/20で撮影。
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左が今回の撮影。ISO値80、右が前回のもの。ISO値800。やっぱり粒子感がだいぶ違う。左の今回の写真の方が細部のディテールがはっきり見えます。もっともそれでも少しエッジがぼんやりしているのはコンデジの限界。センサーサイズが1/2.3なので元々の解像度までフルに利用できてない。やっぱり1.0型サイズぐらいは欲しかったかな...

それはともかく、今回の方が写真がクリアになった訳ですが、ちょっと腑に落ちない。細部までよくわかる模型写真としては断然に今回の方がいいのだけど、イメージを伝えるという意味では前回のものの方がよかったんじゃないか、という気も。
前回の写真の少し粒子が荒れた感じとか、暗部が潰れてしまっていたりとか、そっちの方が当時の写真を見ている感じもあるし、アングルも直感的で(工作とか塗装で頑張ったところが結局写ってなかったりするけど)空間の雰囲気は伝わりやすい。それに引き換え、今回の同じアングルで撮ったけど、あれこれとどのディテールを写し込むか気にしてシャッターを切ったから、少し説明的な写し方になっている感が否めない。

結局は何を伝えるための写真かという、なかなか悩ましい問題。
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by hn-nh3 | 2017-11-07 20:51 | 38(t)系列 | Comments(6)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その12

車両本体の工作もそろそろ終盤。フェンダーに載せるOVMを準備します。
OVM。スコップ、ジャッキ、ハンマーとかあれこれ必要な工具を車体に積んでる姿は戦車の魅力の一つ。いつでもどこでもキャンプできそうでワクワクします。ところで「OVM」と普通に書いてしましましたが、OVMってどういう意味か調べてみたら、[on-vehicle material:車両装備資材]ということでした。直訳するなら工具でなくてもいいんだね、必要なら焚き木を積んでもOVM。長年モデラーやってたけど初めて知ったよ。

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さて、本題。Grilleに積まれていたOVMの実例を見てみます。資料が少ないので引用したのは同系車のMarderlll-Mの写真。
フェンダー上に車体右はスコップ、バール、ハンマー。左側にはジャッキ、雑具箱、ジャッキ台、斧。これはGrilleもMarderlllも共通。スコップとバールはクランプでひとまとめにされてます。

クランプはドイツ軍仕様(後期型)のタイプ。それ以前の38t系列の戦車車台を利用した自走砲ではチェコ式の革バンドで固定するタイプでしたが、こんなところでも標準仕様:ドイツ化が行われてるんですね。この問題、その後のヘッツアーに至っては右ハンドルから左ハンドルに変えられて、そのおかげで75mm戦車砲の砲弾の装填がやりにくくなった、というおかしな話になってしまってますが。ドイツ仕様だから仕方がないけど、絶対無理..って思ってたでしょうね、設計した人。

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右はMarderlll-M。左はGrille。フェンダー端部、エアインテイクの下にワイヤーカッターを積んでいるようです。右の写真。工場で撮られた記録写真ですが、多くの記録写真ではこの箇所はクランプのみで何も積んでません。上の写真もクランプのみ。アバディーンに残存するgrilleでもクランプは存在します。(写真:prime portal )

ワイヤーカッター用のクランプはどの車両にも用意されてるのですが、実際に積んでる写真はほどんど無し。なんでしょうね、これ。ワイヤーカッターはオプション?
                          
d0360340_20111640.jpgジャッキと雑具箱。有孔板を加工した雑具箱はキットのエッチングパーツをベースに制作。手前の背板は実際には存在しなくて、車体側面装甲板が背板替わりに成る無駄のない構造。模型的には強度確保のため背板を残してます。車体への接着用にプラペーパーを背板に瞬間接着剤で固定。

ところで、この雑具箱。ジャッキ横の蓋の隣。つまりジャッキの下になる部分には天板はなし。ジャッキ搭載状態ではジャッキが天板替わりになるという割り切った設計。(写真:Prime Portal)

雑具箱の上のジャッキを固定するクランプ。キットには中途半端な部品しかなかったので、エッチングパーツを流用して自作。

                   
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クランプ類は、PassionModelsのジェニーズクランプを使用。組み立てやすさを追求したというけど、部品が小さくで目がシバシバします。はっきり言って、クランプをエッチングパーツで作るのは嫌いです。クランプは工具と一体整形されたプラの部品に、せいぜいハンドルだけエッチングに替えるぐらいで充分、といつも思っているのですが、このキットのOVMはクランプのモールドがなくエッチング部品が前提..

クランプの「足」は搭載工具がフェンダーのリブやステイと干渉しないように、実車ではハの字型のプレートがクランプに溶接されてます。エッチングパーツの端材を使ってこれも再現。斧は刃先をカバーするホルダーがあるので、真鍮板で自作。あー疲れた。

ジャッキ台は木板部分そケガいて木目を表現。帯金はプラストラクトのプラ材を巻いて薄く削りました。固定用の超ネジは、ジャンクパーツから流用。

ところで、これらのOVM類。実際は何色だったんでしょうね。模型だと、よく金属部分は黒鉄色、柄の部分は木目色で表現されてますが、実際問題、金属部分が黒鉄色、つまり、鉄の地金かよくて黒染め程度の防錆処理だと雨ざらしの環境に置くと、あっという間に赤錆まみれになってしまいますよね。ペンチを外に置き忘れたらどうなるか...経験あります。
上の実車写真で見ても黒鉄色ではなく、クランプと同じ色に見えます。即ちダークイエロー。柄も車体色で塗装されて木の色ではなかったと言う気がします。だいたい鉄色でピカピカ光ってたら、あっという間にヤーボに見つかってしまいます。

模型上の表現なんでしょうね。鉄部は鉄色、木部は木色というのは。しかし、OVMを車体色のダークイエローで全部が全部塗りつぶしたら、模型的にはサボってるだけみたいに見えてしまうし、この問題は悩ましい。

by hn-nh3 | 2017-09-21 20:43 | 38(t)系列 | Comments(3)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その11
切り株砲ことMK103 BAUMAFFE 車載タイプ、ようやく形になってきました。

3cm MK103の簡易砲架タイプについての考証記事(Baumaffe , Baumaffe part2)を元に、プラ板細工で形を再現していきます。
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機銃をセットする揺架のパーツとシールドがどのように固定されていたかは、正直よくわからない。シールドの付根部分に2つのボルトらしき影が写真で確認できるのを手がかりに、揺架の端部に固定用のフランジが張り出していて、それにボルトで固定していると推測。シールドが2つあるのは、照準穴にスリットがあるタイプと無いタイプ。どちらを使うか迷っていたので、とりあえず両方制作しました。操作用の肩当てリングは、MG151ドリリンクの部品をUVレジンで型取り複製したものをベースにディテールアップ。軸には補強用の真鍮線を埋め込みました。細いパーツを芋付けにするとだいたい破損するのでその予防。

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MK103の機銃背面の点検蓋との干渉を避けるため二、シールドと肩当てリングがヒンジで回転する機構があったと推測して、その機構を再現。模型もヒンジで可動..
は、しないのですが、とりあえず接着前に可動状態を再現して撮影。

         
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閉じたところ。ロック機構はそれらしく作ってみましたが、全くの想像です。ただ、チェーンが下がっているのが写真では確認できているので、なんらかのロックがそのあたりにあったはずです。シールドの前にあるパイプは操作用ハンドル。真鍮パイプで制作。揺架とのジョイント部のディテールはこれもデッチアップ。ボルトとか補強板とかこんな形が合理的かなとイメージしました。

MK103搭載グリレを後ろから写した写真がなくて苦労しましたが、入手したプラハ蜂起の本にチラリと後ろ姿が写ってる写真を発見。細部は判別できないものの、リングをつなぐ水平バーらしき影は見えるので、当たらずとも遠からず、というところか。

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左側面。弾薬箱は、キットの3cm MK103-38の部品から流用。Baumaffeの写真のものとは微妙に違うものの、他に資料もないので、ひとまず先に進みます。新事実が判明した時に取り替えができるように、引っ掛けてあるだけにしてます。

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右側面。グリレに搭載されているのは、照準のバルジがないタイプのようです。照準穴にスリットがあるかないかは、写真を眺めて迷った末に、スリットのないタイプだと判断。背面からの写真でスリット付きであればそのラインの影が見えるはずのところに無い、というのが判断の根拠。この写真で照準穴から下に伸びる線のようなものは、雨かオイルの垂れでは無いかと想像。

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シールド側面からの実物の写真。照準穴の辺りに何か突出物があります。背面からの写真でも、その部分に何かの影が確認できます。照準スコープのような物がついていたのではと想像できるものの、他に判断を補強できる資料がなくとりあえず保留。

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で、問題の車載用ベース。この部分が写っている写真が見つからないため、全くの想像でデッチアップ。写真右の2つ耳が生えたようなプレートは、グリレ本来の15cm重歩兵砲用の砲架固定ベース。キットに入っているものは少し形状が間違っていると思われたので、資料を参考に自作。このパーツに固定できるような車載ベースを考えてみました。

ベースプレートには、グリレの砲架固定ベースのボルト穴位置に合わせて着脱用ボルト。改造してMK103を搭載するときに、やっぱり元の15cm重歩兵砲を再搭載、ということも可能性も想定して作ったんじゃ無いかというストーリーです。

このベースプレートにパイプを立ててMK103 Baumaffeを載せます。補強板は三角の板だと正規部品っぽく見えるので、フラットバーを使って、ありあわせの材料で作った雰囲気にしてみました。弾除けのシールドを前に追加。工場に転がってたヘッツァーのサイドスカートを流用したという設定で、ヘッツァーのサイドスカートにあるボルト穴を再現してあります。

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車載用ベースをグリレ本体にセットしてみたところ。これも新資料が見つかっても修正できるように完全固定はしてません。戦闘室内部の状態は資料に乏しく、装備品など実際にどうなっていたかは不明。

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搭載してみました。車体のOVM類を作れば工作はだいたい完成でしょうか。
来月末に締め切り迫る。急げ!!



by hn-nh3 | 2017-09-16 18:26 | 38(t)系列 | Comments(4)

マジックトラックを繋ぐ

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履帯、組みました。キットの「マジックトラック」を流し込み接着剤でC組みに。

と、まあ作業日誌的には1行で終わってしまう内容ですが、備忘録というかお役立ちTips的に工程を書き留めておきます。
リモネン、セメントS、ロコ組み、C組み...長いブランクを経た出戻り経験者としては、最初全くその意味がわからず右往左往、ようやく履帯の詳しい組み立て方を書いた記事にたどり着いて助けられたことがあるので、そのバトンをつないでおきます。

履帯は戦車模型の華でもあるけど、その組み立てはやっぱり最大のネック。...夜中に小人が耳の中から出てきてバラバラの履帯を勝手に繋いだりしてくれてもいいのだけど... といつも思います。
一体成型のベルト式履帯は便利だけど軟質樹脂の可塑剤の経年変化が心配だし、アフターパーツでフリウルとかマスタークラブのメタル組み立て式履帯を買うという選択枝もあるけどお金かかるしで、やっぱりキットに入ってるプラの組み立て式履帯を使うことが多くなります。

1枚1枚をランナーから切り出して使うタイプ。曲線部分はバラで直線部分などは一体化が図られた部分組み立て式、プラの組み立て式履帯には幾つかのタイプがあります。マジックトラックというのは、ドラゴン社のキットに(かつて)入っていた予め切り外した状態でパックされた履帯の商品名。ピンゲート工法で射出成型されたと思われ、転輪の接触面に小さな成型痕があったりします。パーツを切り出す手間が省けてユーザーには便利だけど、コストがかかるのか最近のキットには入らなくなってしまっているのがちょっと残念。時代の流れですね。
※「ピンゲート」については→金型の分類

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「マジックトラック」の組み立て。カッターマットに履帯長さ+10cm程度の長さのマステを貼ります。その上に履帯の仮止め用に両面テープを履帯長+5cm程度の長さで重ねて貼ります。両面テープを直接カッターマットに貼ると、後でマットから剥がせなくて大変な思いをします。マステを両面テープの下に貼っておけば使用後にさっと剥がせるのでオススメ。

両面テープは低粘着タイプか、接着面をベタベタ触って粘着力を弱くしておきます。両面テープは履帯の半分くらいの幅だけ残して定規を貼り付けて、履帯を並べるガイドにします。履帯幅の半分しかテープを使わないのは接着後の履帯を外しやすくするため。それ意外の両面テープ接着面は定規か他のもので隠しておきましょう。作業中に手がうっかりくっついてうっとおしいです。毛足の長いセーターなんか着て作業してたら大変なことになります。

準備が済んだら、マジックトラック(組み立て式履帯)をチマチマと並べていきます。必要数+3枚程度、取り付け時に長さ調整します。並べ方はあまり隙間が開かないように。途中、押しながら間隔を調整。変に隙間が空いていると接着剤が下に周り込んだり、接着剤で溶けたプラが接地面にはみ出して汚くなったりします。
並べる作業は片側15分、左右で所要30分程度

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履帯の接着。リモネン系の流しこみ接着剤を塗り込んでいきます。リモネン系の接着剤は柑橘系の揮発油分がプラを溶かす現象を利用したもので、初期強度の発現は遅いものの、ゆっくりと固まって強度が出ます。通常の部品の接着にはクレオスのセメントSが便利ですが、履帯の組み立てにはコレ。履帯に塗り込んで半乾きの時のグニャグニャとする状態を利用して転輪の巻きつけて形を整えることができます。

塗り込む量は多過ぎず少なからずの適量で。少ないと作業中にプチプチ切れて発狂しそうになるし、多すぎると履帯の隙間から溶けたプラがはみ出したり形が歪んだりすることがあります。このサジ加減は履帯の形状によって違って毎度試行錯誤になるので、予備履帯とか余ったコマで事前にテスト、確認しておくといいですね。

塗り込みは、リターンローラー側になる部分は切れないように割としっかり、端っこの接続部数枚は長さ調整でピースを切り離しやすくするために接着材は控えめに。下に敷くカッターマットは接着材に強いものにしましょう。100円ショップのカッターマットは溶剤で溶けて履帯が緑色に染まります。

塗り込んだらタイマーを仕掛けて20分待ちます。履帯のピースが繋がり始めるので、両面テープから外して接着材を塗り残して切れやすい部分がないか確かめて、そういう箇所にはリモネン接着剤をぬりたして、さらに20分、合計40分程度待ちます。
固まり具合は板ガム程度、とはよく言います。連続した履帯がグニャと曲がって形が残るぐらいの硬さ。

リモネン接着剤は、クレオスのMr.セメント・リモネン(流しこみタイプ)を使ってます。タミヤからも同様のものが出てますが、初期強度が出るのが少し遅く、匂いが半日ぐらい残るので、個人的にはクレオスの方が好み。初期強度については個体差があったりするみたいなので、どっちがいいとは断言はできませんが。

ちなみに、リモネンセメントは自然素材を使っていて体に優しいと言う利点はあるのですが、材料の性質上、劣化する現象があるみたいです。古くなると接着力が弱くなることがあります。実は今回も一度失敗しました。塗り込んで1時間くらい待っても接着が弱くてプチプチ切れたので、諦めて全部バラしてアルコールに漬けて接着剤を落として、接着剤を買い直してやり直しました。過去にも同じ経験あり。リモネン系接着剤は1年に1回は買い直したほうが良さそうです。

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履帯の取り付け。固まってきた履帯を裏返して細切りのマステを貼ります。巻きつけ途中にで履帯が切れた時にバラバラにならないようにしておく保険です。ただし、あまりピンと張らずに緩めに付けておきます。テンションが強いと変なところでたわみがでます。裏側に接着剤がはみ出て汚くなってしまったピースとかがあればこの時点までに修正しておきます。

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駆動輪から巻きつけて駆動輪で接続。履帯を駆動輪の歯に引っ掛けて全体の長さを調整しながら組み合わせます。途中、履帯が切れたりしたら、速乾性のセメントSで補修して作業を進めます。片側はうまく行きましたが、反対側は一箇所、切れたので補修、養生用の細切マステが役に立ちました。

巻きつけの途中で履帯の垂れも表現。リターンローラーの間の垂れ下がりとともに、駆動輪と転輪の間の斜めの部分も自重で自然に撓んだようにな形を作っておくとリアルです。転輪と誘導輪の間も同様。ただ、この辺りは実車では走行中と停車時で変わってくるし、舗装道路を走るときと不整地走行の時では履帯のテンション変えたりするので、その塩梅は模型としての設定によりますね。

上部のリターンローラー部分の垂れ下がりは、ほどほどに。実車の写真を見ると案外とピンと張ってたりします。激しく垂れた模型の作例を時々見ますが、履帯の垂れを表現するのは模型としての様式美みたいなところがあって、あまり強調しすぎると、却って現実から遠ざかる気がします。

と言う訳で、垂れ下がりは控えめにしてますが、接着剤の乾燥時の収縮や曲げ復りを考慮して適量より少し大きめに垂れを付けておきます。その後、静かに乾燥。巻き付け作業は20分。接着剤塗布から合計で 片側1時間。両側を作って2時間。並べる準備の30分を含めて合計の所要時間は2時間半。

ちなみに今回はC組み。駆動輪のところでCの形で繋がった履帯を塗装する時に外せるようにしました。ただうまく外したり再装着できるかは様子を見ながら判断します。転輪も履帯と接着させて一体化、転輪+履帯のセットで外せるようにしたロコ組みという方法もあり、そっちの方が強度はあるものの塗り分けが面倒になるので一長一短。どっちを選ぶかはケースバイケース。

by hn-nh3 | 2017-09-15 13:38 | 模型 | Comments(0)
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Grille改造3cmFLAK制作編 その10。
戦闘室内の工作は、ディテールが不明な部分もあって停滞していたものの、先日、入手したプラハ蜂起の写真集(レビュー記事はこちら:プラハ 1945.5 )の中に手がかりとなる写真をいくつか発見。
写真左が、オリジナルのアングル。右は部分の拡大。(写真出典:Prahou pod pancirem povstalcu Ceske kvetnove povstani ve fotografi)写真自体は有名な未完成ヘッツアー(蜂起部隊が工場から未完成車両を引っ張り出して使用)を写したもので、その前方にチラリと見えるのが、お目当のGrille改造3cmFLAK。しかし手前のヘッツアーと写真のアングルが災いして車体の大半が見切れてしまっているのが何とも惜しいところ。ただ、ちょっと面白いことに気がつきました。黄色い丸で囲った部分に注目。

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グリレ車体は自走砲専用車台としてミッドシップ型のエンジン配置になっているため、排気管は車体側面を伝って後部のマフラーに導かれる構造になっています。しかし、この車両、途中の継手のところで排気管が外れてしまっている様子。後方に向かって周囲の装甲板が黒く煤けたように見えるので、何らかの原因でそこで外れてしまって、しばらくこの状態で走り回っていたと思われます。

ここに排気管のジョイント部分があるのは知っていたので、現存車両の写真を見ながら、何とかく再現したのが右の写真。ただ、ちょっと間違ってます。実際にはバンド後方が段付きのパイプソケットになっていて、それをエンジンからのパイプに差し込んで、ボルトで締めて固定する、という構造になってます。時間があったら段付きのパイプに修正したい部分でしたが、どうやら、その必要はなくなりました..

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排気管自体をバッサリと切り落として、実車のように排気管が脱落した状態を再現。自作した固定バンドも不要になったので除去。ちょっと勿体なかったけど。

車体後部がはっきり写った写真は見つかってないので、マフラーが外れていたのか残っていたのかは不明。せっかく作ったものを取るのも忍びないので、写真に写ってないことを幸いとして残しました。排気管は何かにぶつかったかで潰れてしまったのでジョイントのフランジ部分から外した、という解釈にしてみました。切断面に穴を開けてパイプらしく見えるように加工。

そして改造のついでに、ちょっと余興。
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車体後部右側の誘導輪にヘッツアー後期型の6穴タイプの誘導輪を使ってみます。
追突されて排気管と一緒に誘導輪も壊れてしまったので、これ使ってみる?という感じで近くにあったヘッツアーの誘導輪を応急処置でつけてみた、という設定を考えてみました。車体右側の誘導輪の付近が写った写真は見つからないので、実際にどうなっていたかは不明。特定車両の再現というリアリズムの中にも、ちょとしたフィクションが紛れこむ隙間がこういうところにあります。

アカデミーから発売されていた「プラハのヘッツアー」の不要部品から6穴タイプの誘導輪を流用。整形が厚くて野暮ったかったので、穴の縁を削って薄板のプレスに見えるように修正。車軸はドラゴンの車軸に嵌るようにプラパイプを埋め込んで調整。

ヘッツアーの足回りは新規に設計されているので、38t戦車系列の足回りとはサイズが異なってます。転輪の直径は775mmから825mm、誘導輪は535mmから620mmと一回り大きくなってます。誘導輪は半径で42.5mm大きくなってますが、まあ使えない大きさではなさそう。履帯の幅もヘッツアーは広がってるもののガイドホーンの幅は変わってないので、車軸部分に互換性があれば多分使える、はず。ベアリングとかは変えたりしないはず、という想定。

そういえば、ソ連軍のSU-85にパンターの転輪をはめて使ってるのがあったような。

by hn-nh3 | 2017-09-07 19:45 | 38(t)系列 | Comments(2)

プラハ 1945.5

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買ってしまいました。プラハ蜂起軍が使用した車両の写真集。
"Prahou pod pancirem povstalcu Ceske kvetnove povstani ve fotografii "

d0360340_11492470.jpg1945年5月、連合軍を相手に崩壊していくドイツ軍に対して、プラハ市民が反旗をあげた5月5日〜9日までの抵抗戦。蜂起軍が使用したドイツ軍からの鹵獲車両や呼応して寝返ったROA(自由ロシア軍)の車両、はたまた工場から引っ張り出してきた未完成の戦車(HETZER)など、こんなものまでという雑多な車両の写真を集めた本です。2010年 既刊本。

製作中のグリレ改造3cmFLAKも、ネットの写真の多くはこの本がソースと思われます。3cm MK103をベルゲヘッツァーに搭載した車両もこの本が原典。さすがにネットで未だ見たことのない驚愕のカットがわんさか載ってるとは思わないものの、何か別の車両を写した写真の片隅に探しているものが写ってたりする可能性はあるかなと、気になってました。

蜂起軍が使用した未完成ヘッツァーのことを以前に調べていてこの本があることを知ったものの、国内では既に売り切れ。

しかしやっぱり気になって、チェコの通販サイトから取り寄せられるのかしらどうかしらと思案したりしてる時にPanzerbookさんに何気に問い合わせてみたら、1冊残ってるとのこと。聞いてみるものですね。

24cm×17cm B5版を一回り小さくしたくらいのサイズ。215ページ、厚みでいうと1.5cm 。撮影のため、インスタグラム風に片手で持ってみたらずっしり重くて親指の爪が白んでますね。
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目次です。見事にチェコ語です。英語対訳は本文、キャプション共にありません。私、チェコ語はさっぱりなので何が書いてあるのかわかりません。蜂起軍の編成表とかあったりする ..らしいのですが、眼に映る全てのものはフルヘッヘンド。

掲載車両とかこの本のデーターはPanzerBook.comの紹介ページに詳しいのでそちらを参照のこと> 1945年5月 プラハ蜂起

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写真集のパートは見開きに大きく1枚から2枚の構成。ネットではトリミングされてた写真も周囲の背景まで写っていて当時の状況がよくわかります。ヘッツァーに関してはドイツ軍からの鹵獲、寝返りROA、「未完成ヘッツァー」など含めて写真100枚も掲載されてて圧巻です。

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今回のお目当、グリレ改造3cm FLAK。ばっちり写ってます。予想どうり「ネット未掲載」の目ぼしいカットは残ってなかったものの、ヘッツァーの隣にちょこんといるのが写ってたりとか、いくつか新しいアングルの写真を発見。

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変態車両の写真もあります。有名なパンツァーベルファー改造MG151/20 ドリリンク搭載車。全ての写真には出典が明示されているので、気になる人はプラハの公文書館とかで記載の写真番号を手がかりに他のカットを探したりとかもできそうです。

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フランス軍からドイツ軍が鹵獲して使ってたAMR35をさらに蜂起軍が鹵獲したもの。砲身がないオチキスH39なんてのも登場。戦線後方ではこんな中古品戦車も結構残ってたんですかね。当時のフィルムにもAMR35が走り回ってる映像が残ってて見てると結構かわいいです。1/35のキットは出てないものかしら。

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本の紙質はマットな半光沢で上品な仕上がり。だけど写真の印刷には少し不向きなのか、別の本にも載ってるものと見比べても元の写真のポテンシャルを十分には引き出せてない感じはあります。
比べるには酷ですが、Panzerwrecksを並べてみると、デジタルエンハンスをかけて光沢紙にプリントした高精細の写真画質には遠く及ばないところで、写真の再現度という点では少し残念かな。

ヘッツァー・シュタールがさりげなく写ってますね。左上の写真。

とは言え、この本をスキャンしてネットで流通している写真では潰れて見えなかったディテールもここでは十分に解像度があがって読み取れるし、この本の価値は実際、そこではないのだとも思う。

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ネットなどで断片的にバラバラで見かけていた写真が一つの本にまとまっていて、撮影日が特定され、前後の文脈が(チェコ語わからなくても)読み取れる写真は、画質云々以上に語りかけてくるものがあります。

by hn-nh3 | 2017-08-27 18:03 | 資料 | Comments(4)

Baumaffe ( 3cm-MK103 ) part2

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前回の記事の続き。と言うか補足。
3cm MK103 Baumaffe の図面を1/35で作ったので、参考までにアップしておきます。記事下に図面のJPG画像とPDFのダウンロードリンクをつけておきます。

図面をダウンロードしておくと上の写真のベルゲヘッツァーに搭載したタイプを作る時に役に立つかもしれません。サンダーモデルからベルゲヘッツァーがリリースされてますから、時期的には旬です。MK103本体はドラゴンのクーゲルブリッツから流用できます。ただし、砲尾をちょこっと改造する必要あるけどね。

d0360340_15033118.jpgBaumaffeの砲架は2タイプ。Bの切り欠き角度が大きいタイプは、グリレ自走砲とベルゲヘッツアー戦車回収車に搭載されるなど、1945年5月のプラハ蜂起の際の写真でも確認できます。

Aのタイプのものが写真に撮られた時期は不明ですが、いかにも記録写真風でプロトタイプを撮影したようにも思えます。A→Bという時系列で考えるのが良さそうで、何となくBの方がスタイルとしても完成形に近い気がします。

左側面につく弾薬箱は箱の側面に7個の丸い点(穴)が写真では確認できます。しかしこれが何かは不明。何か類例はないかと探したFLAK38の砲架にMK103を積んだタイプの弾薬箱ではこの丸い点々は確認できず。砲架への取付方法など、ディテールも含めてもう少し調べてみたいところ。

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Baumaffeの制作は一進一退。解像度の高い写真が見つかって判明したディテールを少し反映。スクラッチのディテールアップ..
砲耳の軸は、砲架のプレートに穴を開けて通しているのではなく、端部に乗っかったような納まりになっているので、一度開けた穴を塞いで修正。砲耳の軸はピンバイスで穴を開けた1mmプラ棒をセット。
揺架は完全に作り直し。プラ板で箱を組んで、ヤスリで削って下部のテーパーを表現。先端に銃身固定用の小さなレバーハンドルを0.4mmプラ棒で再現。

MK103の銃身パーツはドラゴンのキットからの流用ですが、細部に追加工作。航空機への固定用ペグが再現されてなかったのでプラ板に穴を開けて加工したものを取付。ガスシリンダーのロッドが一体成形になっていたのを削り取って真鍮棒に置き換え。その他、金型の抜きの関係で省略された側面のディテールを少し追加。

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図面 クリックで拡大
PDF図面のDLはこちらから > 3cmMK103 baumaffe 170823.pdf




by hn-nh3 | 2017-08-25 17:41 | 資料 | Comments(0)

Baumaffe ( 3cm-MK103 )

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Grille改造 3cmFLAK 制作記スピンオフ。
切株砲こと、3cm-MK103 auf Baumstumpf "Baumaffe"の考証メモ。

航空機搭載用に開発されたMK103。口径30mm 銃身長1200mm 重量145kg、発射速度はHE弾-380/分 AP弾-420/分。ベルト式給弾、電気発火式。ラインメタルーボルジッヒ社製。(概要はWikipedia: MK103機関砲 より)

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大戦後半、威力不足になった20mm 対空砲FLAK38に替わるものして、航空機用機銃を転用した対空機関砲がいくつか作られてます。有名どころではMG151を3連装にした「MG151ドリリンク」
MK103をFLAK38の砲架に搭載して単装3cm対空機関砲としたのが「3cmFLAK38/103 Jaboschreck」
以前にドラゴンでキット化(DR6353)

大戦末期にMK103を連装の密閉型砲塔に搭載してⅣ号戦車車体に載せた「クーゲルブリッツ」がドラゴンからリニューアルキットとしてリリース、と聞いてMK103も新金型になるかと密かに期待してたのですが、公開されたインストを見る限り、どうもMK103のパーツはDR6353からの流用。
事前に公開された新金型の砲塔内部CGでは高解像度の新パーツらしいMK103の砲尾がチラリと見えていたのですが。.....設計はしたものの金型発注の段階で、「DR6353のもそんなに変じゃないから使っチャイナヨ!」なんて上司の声があったのかしら.... ちょっとがっかり。(て、まあ本体じゃなくてそのパーツが欲しかっただけなんですけど)

20mmFLAK38より大威力、3.7cm FLAK36/37(80発/分)より連射速度の大きいMK103に簡易な砲架を用意したのが、上の写真の 3cm-MK103 auf Baumstumpf "Baumaffe" (写真出典は”Waffen Revue 093”:ネットであちこちに転がってる写真の元ソースと思われる)

陣地に木杭を打って簡単に設置可能で、このパターンは小口径の機銃でも採用されてます。MK103の簡易砲架タイプの写真は少なく、この他に(グリレやベルゲヘッツアーに積んでる不鮮明なものを除いて)確認できるのは3枚。

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写真出典は不明。ミシリンのディスカッションボードか何かで前に見たと記憶。写真の部分拡大と注釈を加えました。


d0360340_09420192.jpgディテールの検証がてら、Illustratorでトレースしてみました。(画像 クリックで拡大)
写真を眺めるだけでなく、線を自分で引いてみると解ってきますね。影に潰れて見えない細部など、想像で補った部分もあります。特に肩あてリングの基部がどうなっているのかは写真で判読できず、後記する考察をベースに推定復元。

揺架下、シールドの前方にある細いパイプ(1)は方向操作用のハンドルと思われます。MG151ドリリンクにも同様の握手があるので、位置的にもそれで間違いはなさそう。

パイプの途中についてる小さな金具。ここに何かあるとすれば引き金ですが、機関砲本体とのメカニカルなリンクもないので、おそらく電気発火式のコード付き引き金スイッチを取付るためのペグと推測。

シールドの照準穴前方の三角の突起物(2)は照準器の取付用台座か。ただしこのバルジがないタイプもあったようで、詳細は不明。ひょっとすると取り外し可能だったのかもしれない。基部にライン(2)はバルジの取付基部の可能性もあり。

シールドの照準穴は丸いタイプと下にスリットが入った鍵穴のようなタイプ(3)があった模様。グリレ自走砲改造車に搭載のものは鍵穴タイプの可能性あり。

シールドの左側(給弾ケース側)には切り欠き(4)あり。機関砲のメンテナンスのためと推測。シールドと本体(揺架)の固定方法は不明。右側に2箇所のボルトらしき影(5)を確認できる。

プレートを曲げ加工した砲架には、片側のみ俯仰操作用のスプリングアーム。砲架の形状に複数のパターンがあったらしく、Waffen Revue 093掲載の写真では砲架前部の切り欠きが約45度であるのに対して、別の3枚組写真のものではもっと浅い(6)形状。グリレやベルゲヘッツアーに搭載されたのは、切り欠き角度が浅いタイプ。
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という訳で、誰も注目していないMK103 Baumaffe に詳しくなってきたのですが、どうにも解けなかった問題があります。この3cm MK103 機関砲。給弾部分の上面が開くようになっているのは通常の機関銃と同様。これに加えて銃尾部分もパカンと開くようになっている、みたいです。

d0360340_11421132.jpg図面画像の出典はココ。機関部後面が開くようになっています。

で、これが何か問題かと言うと、Baumaffeの簡易砲架に搭載する場合、この蓋がシールドに干渉しないようにシールドに穴を開ける必要が出てきます。

写真にも切り欠き(4)が写っていて、おそらくは点検蓋の干渉を避けるための工夫。しかし問題はそれで解決ではなく、肩当てリングとの干渉も解消する必要あり。これを図にしてみたのが以下。

d0360340_12005364.jpg機関砲を淡いブルー。蓋を水色、シールドを濃いピンク、肩当てリングを淡いピンクに色分けしてみました。横から見た図(上)と上から見た図(下)。

蓋が干渉しないようにシールドを切り欠く必要があるのは一目瞭然。しかし肩当てリングがどうやって干渉を回避しているのかは、トレースの下敷きにした写真では影になっていて判読不能。

見る限りは、シールドの切り欠きから直接機関砲後面の蓋が見えてる訳でもなさそうで、なんらかの塞ぎ板があるようにも思えます。仮に塞ぎ板があるとして、それがどう開くのか。切り欠きの上部にある横長の棒状ものがヒンジにも思えますが、当時、こういう箇所にロングヒンジを使っている類例は無し。

それで着目したのがシールドの右端、肩当てリングの基部の横にあるヒンジ。ここに可動する水平のバーがあって、二つの肩当てリングは水平バーで連結されてるのでは?と推測。塞ぎ板もそのバーと連動して開く仕組みになっているのではないかと。

d0360340_13082595.jpgこんな感じ。右サイドのヒンジが回転して、肩当てリングと塞ぎ板が一緒にパカーンと開いて、機関砲後部にアクセスできるようになっている。という解釈。

そう思って改めて写真を観察。下の写真のシールドの切り欠き部の向こうに、肩当てリングと一緒に開きかけた塞ぎ板があるようにも見えます。

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と、まあこんな感じで、盆休みに考えてたことを書き留めておきます。
結論を出すには未だ情報が不足していて、せめてあと一枚、別アングルからの鮮明な写真が出てくれば解決。とは思うものの、新たな写真が見つかったら見つかったで、また別の謎に直面するんでしょうね。

たかがBaumaffe、そこに切り株がある限り。

by hn-nh3 | 2017-08-23 14:30 | 資料 | Comments(0)
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グリレ改造FLAK制作記、その9。
車体の工作に目処がついたところで、いよいよ搭載する3cm機関砲の工作を開始。
1945年5月のプラハ蜂起の頃に市街戦の拠点防衛用に改造されたものと思われ、通常装備の15cm重歩兵砲を外して3cm機関砲を搭載したこの車両、確認できる写真では1両のみ。

応急改造は他にも行われていたようで、同様の機関砲をベルゲヘッツァーに搭載したり、2cm高射砲FLAK38をベルゲヘッツアーに搭載した車両も近郊で発見されています。プラハには、グリレやヘッツァーを生産していたBMMの工場があるので、修理などで回送されてきた車両を利用して、簡易改造の車両をあれこれ作ったんじゃないかと推測してます。

d0360340_23123909.jpg右の写真。航空機搭載用に開発されたMK-103・3cm機関砲に簡易な砲架をつけて対空砲として利用したものでしょうか。しかし資料が乏しく確認できる写真も他に数枚。地面に木の杭を立てて装着使用するのか。3cm-MK103 auf Baumstumpf " baumaffe” と言うキャプションがついてますが正式名称かは不明。言わば自走砲ならぬ「切り株砲」とも言う代物。

ドラゴンの白箱キットは3cm MK103を2cm FLAK38用の砲架に積んだものを搭載する解釈ですが、写真を見る限りは間違い。この簡易砲架の「切り株砲」を搭載していると思われます。
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わかりやすいように、切り株砲のパーツを色分けしてみました。砲架は黄色、シールドは青、肩当てのリングは赤。こうして見ると、グリレ改造FLAKはこの簡易砲架のMK103を搭載していたと考えて間違いはないでしょう。もっとも砲架周りが戦闘室装甲板の隙間からかろうじて見えるだけなので、砲架の脚部がどうなっているかは不明。さすがに木杭を立てて装着していることはないと思いますが。

ドラゴンの白箱の考証違いの件は、これまでにも海外のサイトでも指摘されていて、何方のサイトだったかは失念しましたが、このような色分け分析を行ってましたが、今はそのサイトもなくなっているようです。何れにしても、グリレ改造FLAKと切り株砲共に資料が乏しく詳細は不明、と言うのが今のところの結論。求む情報!
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この「切り株砲」を自作します。キットの考証違いもあって、使える部品はMK103の銃身機関部と弾薬マガジンのみ。砲架とシールドはプラ板から自作。肩当ては別キットのパーツを流用します。

作業に先立ち簡単な図面を作成。Photoshopで写真の遠近や歪みを補正したものを下敷きにCADで作図。これを元にグレーのプラ板を加工。白いプラ板を使ったほうが自作パーツっぽいのですが、グレーの方が形状の把握がしやすいので、やっぱりグレーのプラ板を選んでしまいます。丁寧に手の痕跡を残さないように作るほど、こんなパーツが用意されていたみたいに見えてしまうのが難点。

このMK103 簡易砲架バージョンは、レジンキットもあるみたいで、制作にはそちらも参照。ただし、そのキットも上掲の写真からの推測に依っているのか、解釈には疑問の残るところもあるのであくまで参考程度。

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砲架のパーツの加工をしていて気がつきました。グリレに搭載していたもの(写真左上)と参考にしている「切り株砲」の写真(写真左下)では、砲架側板の前部の斜めの切欠き角度に違いが。
はたと気になって他の事例を確かめてみると、ベルゲヘッツァーに搭載しているもの(写真右上)は側板切り欠きの斜めの角度が大きくて、グリレに搭載している砲架も、むしろこれに近いように思われます。別の切り株砲(写真右下)も切り欠き角度が大きいタイプ。どうやら簡易砲架にもいくつかのバージョンがある模様。

グリレに搭載されていたのはベルゲヘッツァー改造車に搭載していた傾斜角度の大きいタイプと推測します。
このサイトによると、チェコ共和国軍(蜂起軍)には2両の3cm機関砲搭載車の登録があったようで、グリレ改造車はその一両。もう一両は、確証はないものの、このベルゲヘッツァー改造車ではないかと。

そんなこんなで加工中のパーツの切り欠き角度修正。同じく自作した揺架と真鍮線の軸でつないで可動するようにしてみました。砲架下の水平回転軸は写真の影になんとなく見えるシルエットと上記のレジンキットからの推測。肩当ては他キットから流用しました。AFVクラブのBussingNag 4.5tトラックに1.5cm3連装機関砲(ドリリンク)を搭載したキットに入っていたレジンパーツを複製。

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複製は、100円ショップでも売ってる「おゆまる」で型取り。UVレジンで複製しました。本当はシリコン型とレジンで複製した方が精度はいいのでしょうが、この程度の形状ならこれで十分。

ちなみに「おゆまる」と、UVレジン、紫外線ランプは娘がデコレーション遊びに使いたいと言うので前に買ってあげたものを借用しました。
紫外線ランプは、清原 スーパーレジンUVクリスタルランプ9W こういうものは二つ返事で買ってあげる良き父親です。(ただし模型製作に利用可能な物に限る)

「切り株砲」の部品が揃ってきました。しかし、シールドや肩当ての取り付き部のディテールがいまひとつ不明で、写真に目を凝らしたり、ネットで資料探し回ったり。どこかで見切をつけて、えいやで作るしかないのですが.. (続く)

by hn-nh3 | 2017-08-08 08:57 | 38(t)系列 | Comments(0)
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8月始まる。グリレ改造FLAKの制作もいよいよ佳境。って、ここまでくるのに何ヶ月かかってるんだって感じですが、仕方ありません。お尻に火がつかないとエンジンかからないタイプなもんで。外では蝉の声。

とはいえ、盆前にはある程度の形にはしておきたいので、細部の工作もそこそこに、これまで作った部品、戦闘室の側壁を組んでいきます。オープントップの車両は、この辺りの作業が一番楽しいですね。
華奢なシルエットに細々とした部品類。重戦車にはない魅力があって、こんなのばっかり作ってる気が..

こういう車両の場合、工作と並行して塗装しながら組んでいくのが定石ですが、戦闘室側壁に成型時の歪みなのか嵌合の設計がうまくいってないのかで、ピタっとは決まらないところが多くて、無理やり接着しながら組む必要がありました。接着剤ベタベタ、隙間埋めのためには塗装は後に回した方がいいと判断しました。
塗装はちょっと面倒くさいことになりそう。

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細部の工作あれこれ。スキーのストックのようなパーツは雨天時のシートを張るためのマスト。キットにはプラで用意はされてましたが、こういうのは作業中に絶対に折る自信があるので、真鍮棒で置き換えました。先端は少し直径が小さくなってるので、真鍮線をピンバイスに挟んで、簡易なドリルレースの要領で先端をヤスリで細く加工。ポンチで撃ち抜いたプラ板に穴を開けて先端に装着。

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戦闘室内には護身用のMP40短機関銃のラック。再現車両の設定が放棄鹵獲車両なので、当然にMP40は紛失して空のラックのみ再現。プラストラクトのプラ材を2列のL型に組んで、ホルダーの部品をキットのパーツから削ぎとって移植。

プラストラクトのプラ材は秋葉原のラジオ会館のボークスで購入。よくみんな使ってるけど、どこで売ってるのかしらと思ってたら、なんだこんなところにあったのですね。そしてまた大散財..

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せっかく買ったプラストラクトのプラ材でいろいろと細かい細工。そこにディテールがあるから作るのか、材料があるから作るのか。

ミッドシップのエンジングリルから車体後部に伸びる排気管は実車では途中に継ぎ手があって、バンドで差し込み口を固定しているようなので、これを再現。

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運転席周りのインパネも作ってみました。操縦主クラッペの直下にあってから出入りのハッチからもよく見えるのでそれらしく再現。メーター類はポンチで抜いたプラペーパーをパネルに貼って、ピンバイスで中央に穴を開けて、丸ヤスリでグリグリ穴を大きくしてメーター周りのリムを表現してみました。

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ようやくここまできました。この次は最大の山場。MK103 3cm機関砲の簡易砲架のスクラッチが待ってます。




by hn-nh3 | 2017-08-02 18:41 | 38(t)系列 | Comments(4)