断片的思考のメモ


by hn-nh ( or hn )
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1945年7月のベルリン。木製カートに乗った少年の画像は「Berlin and Potsdam 1945 - aftermath (HD 1080p color footage):Youtube から。

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終戦直後のベルリンを映したカラーフィルムですが、前に記事(難民カート)を書いた時に紹介したものよりも長いバージョン(30分)がYoutubeにありました。
廃墟となったベルリンの街。進駐するソ連軍や米軍、瓦礫を整理する市民。各地から引き上げてきた人々、交通整理にあたるドイツの警官。などなど見所は多く見ていて飽きないフィルムです。

戦後2ヶ月経った映像なので戦車など放棄車両の類はさすがに片付けられてしまっているようで、その方面を期待すると肩透かしをくらいます。

それでも映像の中にはこんな車両も。これは何?


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しかし、がっかりすることなかれ、今回の本題は映像に登場する荷車の類。前に書いた記事の続編です。 戦車ネタでなくてすみません(笑)

d0360340_05344197.jpgMiniArtの「ラゲージセット 1930~40年代」(no.35582) はボックスアートに描かれた廃墟の風景から、これは平和な時代の旅行道具ではなく、戦争中に避難する市民や住む場所を追われて難民となった人びとの荷物であることを暗示していると、前に記事(難民カート)に書いこともありましたが、そのキットが先日発売されたので早速に組立てレビュー。





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部品分割は細かすぎずアバウト過ぎず、といったところか。ベビーカーの車輪を支えるアームが装飾を兼ねたサスペンションになっている構造もしっかり再現されてます。エッチングにたよらず全てプラスチックで出来るのもいいですね。最近のミニアートらしく成形はきれい、一時期見られたプラスチックがポキポキ折れる現象も解消されてますね。思うにあれはプラ質の問題以上に射出成形時の温度管理が悪かったんじゃないかしら。

パーツの勘合もよく組立てもサクサク進んで、あとは車輪をつけて完成、ということろで問題発覚。車輪を車軸に取り付けるための穴が空いてないのです。組立説明図にはダボ穴らしきものが表現されていて、車軸には小さいながらも先端にダボがつくられているのに車輪側はのっぺらぼう。金型製作時のモデリングデーターに穴の入力を忘れたのかしら。セカンドロットでは改善されるといいですね。

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d0360340_08003590.jpg車輪に0.5mmの取り付け穴を開けて接着。サスペンションのアームつく車軸はカート本体から浮いた構造になっているので、実物はそれで衝撃を吸収できるようになっているのですが、模型としては華奢なので見えないところで補強したほうがよさそう。
ベルリンの映像に映るベビーカーは4台(1台は遠景だったので割愛)ですが、どれも車輪がスポークタイプ。キットはプレスタイプとなっているのが違うところですが、シルエットは同じで当時の標準的なタイプなのでしょうか。当時の写真でベビーカーの写真をいくつか確認してますが、ほとんどスポークタイプでした。まあそれをエッチングで再現するのは大変なので、プレスタイプでいいとは思います。

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カートの組み立て。これは少し前に発売された「小型カートとミルク缶」(no.35580)に入ってたものと同じ。裏面にはちゃんとシャーシが再現されてますね。小さな脇役アクセサリーながらもしっかりとリサーチして再現してあるのは嬉しいですね。こんなの自分でディテール調べて工作するの大変ですから。
前輪のステアリングの機構、引手が上下動するディテールもしっかり表現してあります。真鍮線で軸打ちすればそれぞれ可動するようにもできそう。こんなもの可動させて楽しいかという話はありますが。



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フィルムに登場するカートをいくつか。前輪と後輪の直径の違いのバランスなどいくつかのバリエーションがある様子。スポークは10本が一般的なのか。キットの車輪も10本スポークですね。
ちなみに前に記事(荷車メモ)で取り上げたMasterboxのフィギュアセットに付属のカートの車輪は8本スポーク。

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比較してみます。左がMasterboxのもの。右がMiniArtのカート。スポーク本数の違いの他にもサイズがずいぶん違います。まあこれはどちらが正しいという訳ではなく、タイプの違いと考えるべきものかと思います。8本スポークのカートも当時の写真で確認できます。ディテールは新しいMiniArtのキットのほうが繊細。

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小形カートとベビーカーの2ショット。とりあえず組立ては完成。軽くサフ吹いて記念撮影。

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そしてラゲージセット・オールスターズ。カートのほかにはトランク類とジャガイモ袋、などなど。エッチングパーツは無し、トランクに貼るステッカーがデカールで用意されてます。

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トランクも大きいのから小さいのまで。メーカーなど調べればモデルとなったタイプも分かるのでしょうが、そこまでは調べてません。ごめんなさい。
ルイヴィトンのモノグラム柄とか塗装でがんばって再現できたら楽しそう。このサイズでそれは無理だと思いますが。
寸胴のドクターバッグは側面が別パーツのはめ込み式になっていた少し潰れた感じがうまく再現されてますね。お医者さんが往診の時に診療道具を詰め込むのに便利な形なのでこのタイプはドクターバッグと呼ぶようですね。レッドクロスをつけた車両に積むなどちょっとしたアクセントになりそうなアイテム。
円筒形のバックが帽子ケースかしら。それぞれディテールもしっかり表現されてますが、取手の付け根など少し手をいれてやるとぐっとよくなりそう。


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ベルリンのフィルムにはこの他にもいろいろなタイプのカート、荷車類が登場。民間人の服装や荷物類がカラーで分かるのがいいですね。モデリングの参考になります。この他にもMiniArtのフィギュアのモデルになっていると思しき人物など登場して、その話もしたかったのですが、長くなるのでこれはまた別の機会に。

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前に書いた関連記事INDEX:
・難民カート
・荷車メモ

by hn-nh3 | 2018-08-22 09:11 | 資料 | Comments(17)

難民カート

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MiniArtからメールマガジンが届きます。何か登録したっけな?と思いつつ、好きなメーカーではあるからそのままにしてますが。

LUGGAGE SET(No.35582)がもうすぐリリースとのお知らせ。2018年のカタログにホワイトバックのモデリング画像で発表されたときになんとなく気になってましたが、このボックスアートを見て、やっぱりそうなのかと。
タイトルは1930〜40年代荷物セットとなってるけど、廃墟の街を背にした荷物は、夏のバカンスのためのものではなく、これは故郷を追われる人々の荷物なのだと。
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d0360340_19281217.jpg難民の話はこの前の記事:荷車メモ で少し触れましたが、このキットから想像されるのは1945年のドイツ人追放

敗戦で1200万人とも1600万人とも言われるドイツ人が旧領土や占領地から追放されたと言われています。当時のドイツ人の5人に1人くらいの人が住む場所を失った、ということでしょうか。着の身着のまま身の回りのものをカバンに詰めて、ベビーカーにもありったけの荷物を積んで西に移動する姿が写真に残ってます。

王道楽土の開拓からの引き輪げではなく、戦争の結果の国境変更により故郷を追われた人々。ドイツ国境は戦後に東側がごっそりポーランドになってるんですね。ポーランド自体も東半分をソ連に持ってかれて西側をドイツから得て、国自体が西にスライドしてるような有様。フィンランドも然り。国境はあくまで結果です。
そうしたヨーロッパの状況を知ると、北の島々が元の持ち主に返されるなんて幻想だってのがわかります。まあ元の持ち主って誰?という話もあるけど。

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もちろんキットの使い方はそれだけではないし、モデリングとしての個人的な興味の範疇は荷車系のベビーカーと小型カート。

キットのパーツランナーを見ると、MiniArtらしい繊細さでベビーカーの華奢な感じがうまく表現されてますね。PEパーツに走らずプラパーツのみで再現できるのは嬉しいですね。ハンドルは折れてしまいそうな細さでさすがに真鍮線で作り直したほうが良さそう。

スケルトンタイプの小型カートは牛乳缶セット(No.35580)に入ってるのと同じもので、ゴートカートとかドッグカートと呼ばれる当時一般的なタイプのもののようです。キットの箱絵のようにジャガイモ袋を積んでもいいしトランクを載せてもいいし、毛布を自作して積み込んでもリアル。

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ベビーカーと小型カート。前回の記事の時は「農業用カート」で検索しても当時の小型カートの写真をなかなか見つけられなかったけど、「難民」をキーワードに検索すると荷車やベビーカーの写真が続々と出てきます。キットと同じスケルトンタイプの4輪の小型カートの写真も見つかりました。
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d0360340_19434443.jpg上の写真は1946年7月、チェコからドイツ本国に向かう人の列。ベビーカーで荷物を運んでいる人の多いこと。確かに、普通の一般家庭にある車輪つきのカートというとベビーカーぐらい。

キット化されたタイプも見かけます。側面の模様に違いはあるものの一般的なメーカーのものだったのでしょう。それがどこのなにかまでは突き止められず。

ベビーカーやカートが写っている動画も見つけました。


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敗戦後のベルリン。避難先から戻ってきた市民でしょうか。3:45秒にベビーカー、3分50秒と4分00秒にカート、5分10秒頃にベビーカー。街はまだまだ廃墟。破壊された車両も転がったまま。ガソリンなしで動けるから便利なのか、自転車乗ってる市民が目に付きます。


その他、こんな写真を見つけました。
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1945年3月、ドイツ国内ベンスハイム。廃墟を前に呆然とする女性の名前はアンナ・ミックス。64歳。写真はWikimedia Commonsより。

この人、どこかで見たことある、と思ったら、これ。
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MiniArtのフィギュアセット:1930~40年代のドイツ市民(No.38015)。真ん中のお婆さんのモデルですね。といっても全く同じではなく、モデルの女性は60代のメガネをかけたシルバーマダムですが、キットではもう少し年配、70過ぎの老婆といった感じで脚色されてます。

彼女に限らずMiniArtのフィギュアには当時の写真の中にモデルがいたりするので、ひょんなところで出会ったりすると楽しいですね。右端の警官もキットにコンパーチブルで入っている制帽をかぶった姿でいるのを、上記の記録フィルム(5分05秒頃)の中で見かけましたよ。

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去年のSUMICONの時に作ってみたもの。フィギュアの塗装は出戻り後初めてだったので、顔の塗り方とかまだまだですね。すべて油彩です。右手の杖は真鍮線で作り直してあります。使うシーンにあわせて左手の角度はキットのオリジナルのポジションから少し調整したと思います。

フィギュアは塗装作業とベースへの固定のために足裏に打ったピンを洗濯はさみに固定して写真を撮ってますが、ピンなしでも自立するように足先の向きとか微妙な角度を調整してます。これに限らず静止した立ち姿のフィギュアは足の角度や腰とか背中の向きを微調整して、支えなしでも自立するように調整するといい感じになります。両足がつくる台形の地面のエリアに重心を納めればフィギュアは自然に立つようになります。

もちろん実際の人体とフィギュアでは身体部位の重量バランスが違うので厳密には違うのですが、人間が立つというのはそういうことですから。自分の中の言葉では「重心が見えるようになる」までポーズを微調整します。
歩いている、動いてる姿勢の時は、重心を足先から外すようにします。外れた重心に向かって身体を移動させて再び安定させようとする随意反応が「運動」だから。

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製作記事:Grille弾薬運搬車改造3.0cmFLAK 1945.5 Praha

1945年5月、戦争終結時のプラハで我が身の行く末を案じるドイツ系女性、という設定で登場してもらいましたが、見立てはだいたい間違ってなかったですね。

この時は、車両の塗装やジオラマベースの製作そしてフィギュアの製作など、最後はバタバタでろくに製作記事も残さず完成させてしまったので、どこかで機会をつくってそれも書き留めておきたい気もします。車両に載せた新聞とかパンの「焼き方」とか、いつか忘れないうちに。


by hn-nh3 | 2018-05-26 09:41 | 資料 | Comments(4)
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昨日はホワイトデー。バレンタインのお返し、ちゃんとしましたか? 
思い出すのは作りかけて中断しているバレンタイン歩兵戦車。タミヤから発売されたMk.Ⅱ/ⅣとAFVクラブのMk.Ⅳの2台の制作記(Ex.バレンタイン沼)も遠い日となりつつありますが、忘れてはないですよ。またそのうち再開します。

で、今日はもう1台隠し持っているMiniArtのMk.Ⅵ初期型の簡単なキットレビューをやります。
TFマンリーコさんのブログで、AFVクラブのMk.Ⅱを改造してカナディアン・バレンタインMk.Ⅵを制作する話(https://blogs.yahoo.co.jp/maefuna/16184316.html)を受けての便乗企画ですね、早い話。

バレンタイン戦車のシリーズの中でもMk.Ⅵ、Mk.Ⅶはカナダで生産され、主にレンドリースでソ連に送られた車両です。外観はイギリスで生産されたMk.1〜Mk.Ⅱ/Ⅳに準じた内容で、Mk.Ⅶになると砲塔や車体に鋳造部品が多用されるなど本国仕様とは異なる仕様になったりして、模型制作的には面白いところ。この辺りの違いは以前の記事:バレンタイン沼リスト化してるのでそちらを参照。
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Mk.Ⅵ初期型は仕様的にはほぼほぼMk.1と同じで、はっきり言えばあえてキット化する意味があるのか、カナダ人以外に買う人がいるのかと思ってしまいますが、まあここに買っている人がいるので、それなりには需要があるのかも知れませんね..
MiniArtのキット。やはりMk.1との違いを出すために、レンドリースでソ連に送られた車両のマーキングをデカールで用意。ソ連戦車兵のフィギュアセットがついてます。Mk.1には入ってなかった仕様として、メッシュのマフラーガードがエッチングパーツで用意されてます。
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転輪は初期のリブ型のプレスパターンのものが入ってます。リブ型パターンの誘導輪と筒型ヘッドライトのランナーも追加されてます。砲塔の左側面にはD型のハッチがあるものとないものの両方が入ってます。Mk.Ⅵ初期型はD型ハッチのない仕様。

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MiniArtのバレンタイン戦車シリーズはプロポーションに難があるらしくPMMSのレビューでも問題になってました。
同じレビューで転輪もAFVクラブのものと大きさが違うとか指摘があったので比較してみました。タミヤとだいたい一緒か。
バレンタイン戦車の転輪はゴム部分の断面形状の丸みが特徴的ですが、タミヤのキットは一番新しいキットなのにその特徴は完全に無視。MiniArtの転輪はちゃんと丸みが表現されてます。ややオーバーな感じもするけど雰囲気は悪くない。
プレスパターンはカナダのボーデン博物館に残る実車の写真をみると、キットのリブはエッジの丸みが不足気味か。

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車体はMiniArtもスライド金型を使って箱型の一体整形。裏面のモールドは各社まちまち。MiniArtのものはドライバーズシート付近の車体下部にハッチらしきもの。工場で撮影された写真がこの記事に掲載されているので、それを見るとMk.ⅥはMiniArtのキットのようにハッチがあるのが正解。

同じ記事、その写真の下に掲載されてる工場風景を描いた絵は、カナディアン・バレンタインの塗装色が何色で塗られていたかという問題を解く貴重な資料。絵なので正確さには欠けるとはいえ、オーカーの入ったグリーン。いわゆるカーキグリーンno.3という色でしょうか。カーキグリーンno.3は茶色なのか緑なのかよくわからない色ですが、少なくともSCC2 ブラウンではないですね。ソ連に送られたマチルダとかバレンタインなどイギリスとカナダから送られた車両の色は緑だったのか茶色だったのか、ミシリンでもいろいろと議論がありましたが。

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サスペンションのコイルスプリングは、AFVクラブのキットはスライド金型を使って本当に可動するバネを再現した驚異的なモールドでしたが、MiniArtはそこまではやってません。それでもシャープなモールドでこれで十分。このスプリングは実車の写真を見ると丸ではなく角形断面のロッドが巻いてある形状ですが、MiniArtのはそれをしっかり表現してます。それに対してAFVクラブのものは丸型断面のロッド。現存車両ではアバディーンの実車(Mk.Ⅱ)も角形断面のロッドなので、AFVクラブのような仕様が果たしてあったのか。これはもう少しリサーチする必要がありそう。

とりあえず今日はここまで。気が向いたら砲塔も少しレビューするかも。
そもそも、MiniArtのMk.Ⅵ初期型のキットは転輪や角形ヘッドライトなどタミヤのキットとのコンバート用に買ったのですが、せっかくならパーツ取り用だけでなく、残り部品で何かしてみたいところだけどまだ妙案はなし。

by hn-nh3 | 2018-03-15 20:59 | valentine戦車 | Comments(4)
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T-60 (Plant no.264)制作 その10。もう一つのT-60 第264工場製車両は砲塔8角形ハッチ、鋳造スポーク転輪の仕様。それだけではつまらないので後期の増加装甲付きのタイプに改造する予定。

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実車はこんな感じ。車体の前部に15mmの装甲板の増し貼り。ドライバーズハッチ周りのバルジ部分にも15mm増加装甲。
車体後面は10mm。車両によっては後面の増加装甲が貼ってないタイプも。
砲塔は防盾正面に15mm。砲塔側面にぐるりと10mmの増加装甲板。ビジョンブロックやピストルポート周りは増加装甲を切り欠いて干渉しないようにしてあります。


d0360340_20593770.jpgつい先日リリースされたMiniartのT-60バリエーションキット。ゴーリキー工場製後期型(ma35232)は増加装甲付きの仕様が再現されてます。Miniartのページにキットのパーツの写真が掲載されているので、それをダウンロードしてイラストレーターで画像をキットの原寸に調整してトレース、増加装甲の型紙を作りました。

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これをプリントアウト、スプレー糊で0.5mmのプラ板に貼り付けて、プラ板を切り抜いて増加装甲を作ってみました。
後面の装甲板は 実車で10mmなので、1/35に換算すると約0.3mm。うっかりしてました。後面装甲板も0.5mmで作ってしまっていたので、表面をサンドペーパーで削って0.3mmぐらいに薄く調整...

車体前後の装甲板はリベットを避けるための穴(後面はスリット)が増加装甲板に穿たれているのも再現してます。車体前後の増加装甲板は牽引フックや誘導輪基部、テールランプとの干渉を避けるための切り欠きがあるので、これも再現。チマチマとプラ板を切り抜いて制作

後部フェンダー固定用のアングル材はキットのパーツを見ると、増加装甲の上からリベットで止めてあるようなディテールになってますが、本当にそうなのか。ちょっとこれには疑問があるので検証してみます。

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仮にフェンダー固定アングルが増加装甲板の上からリベットで止めてあるとすると、その下の車体本体の装甲と一緒に穴を開けてリベットで止めているということになります。先に穴が開けてある増加装甲板を貼るときに、どうしても取付誤差が生じて車体側装甲板の穴とずれたりする可能性があります。テールランプなどではそれを嫌ったのか、その部分の増加装甲を大きく切り欠いて、テールランプは本体側の装甲板に固定するような納まりにしています。それなのにフェンダー固定アングルに限って増加装甲と本体の下穴がずれないように細心の注意を払って取り付けるような工法を採用するのかは疑問です。

他の部分のフェンダーステイを見てみると、増加装甲のない車体側面にはフェンダーステイはボルト固定。前部フェンダーは車体前面の天板にアングル材をボルト固定。ただし前端部の補強リブの基部は本体側が溶接接合部になる関係でボルトを使えなかったと思われ、そこだけ溶接。

仮に後部のフェンダー固定アングルが増加装甲板の上に止めてあるとすればおそらくは溶接止め、そうでなければ増加装甲を切り欠いてテールランプ同様に本体装甲板に直接固定していると想像します。

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増加装甲のその部分がわかる写真が殆どありません。黄色の矢印の部分がフェンダー固定アングルの取付け場所。増加装甲を切り欠いているのか..溶接でアングル材を止めているのか.. どちらの写真でも判読不可能。青い矢印は増加装甲の切り欠き部分。

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見つけました。その部分がわかる写真。この車両は砲塔ハッチが8角形、砲塔側面に増加装甲があることはビジョンブロック周りの切り欠きで判別できます。車体後面もおそらく増加装甲。誘導輪基部に装甲板の切り欠きが確認できます。

問題のフェンダーの固定アングルは増加装甲の上から固定してありました。その下の誘導輪基部周りの装甲板切り欠きとは影の出方が違います。アングル材が溶接固定なのかボルト固定かまではこの写真では判断できず。


by hn-nh3 | 2018-03-10 14:02 | T-60軽戦車 | Comments(0)
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MiniartのT-60制作、その4。またもや考証沼にはまりつつあるこの頃。制作も進めてます。
車内の工作はエンジン、トラッスミッションなど細かい部品の組み立てが続きます。パーツの精度はよく、極小ながらもダボなどがついてるので、取り付け位置に迷うことは殆どないです。ただ、パーツの切り出しの時にゲート跡なのかダボなのか、組立て説明書で形状をチェックしてからパーティングラインとか処理しないと、うっかりダボも削り落としてしまうミスが起こりがち。
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ちょっぴり追加工作。エンジンのプラグの配線を0.15mmの銅線で再現。銅線はEUREKAの銅線セット(0.13,0.15,0.18mm)を使用。プラグの頭の側面を狙って0.2mmのドリルで穴を開けて銅線を差し込んでます。
車内反対側にはバッテリー。実車を観察すると側壁にブレーカースイッチがあるので、これはプラ板とMasterClubのレジンボルトを使ってデッチアップ。レジンボルトの側面にドリルで穴を開けて銅線を差し込み。
こんなことしてもどうせ見えなくなってしまうので、内部の追加工作はこのくらいにして先に進めます。

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重箱の隅的考証あれこれ。左の写真は264工場製車体を上から撮った貴重な写真。排気管の吹き出し方向が、他工場製車体では斜め後方(8時の方向)に向いているのが一般的ですが、264工場製車体では後方吹き出し(6時の方向)の事例が確認できます。全ての車両がこの仕様であったのかは不明ですが、これはMiniartのキットでは表現されてない特徴。

右の写真。遠くに写っているT-34(エラの削げた砲塔のスターリングラード工場製)も気になりますが、今日の本題は写真の端にちらりと写っているT-60。どの工場で作られた車両かは不明ですが、操縦手ハッチの裏側の通気穴は丸い小穴がいくつも並んだタイプ。大きな2つの穴が空いたタイプもあるのですが、この使い分けがどのようになっていたのかは要検証。

この車両の面白いのは車体下部前面の増加装甲。中央のアクセスパネルや両サイドのフックと干渉しないように増加装甲板を切り欠いてあります。この車両では前回の記事で触れたミッション固定用の4つのリベットがあるタイプで、増加装甲には干渉を避けるための穴。セータ☆さん情報によると、車体後面では、リベットとの干渉を避けるためにスリットを設けた増加装甲の事例もあるのだとか。

その他、同じくセータ☆さんからの耳寄りの情報。264工場製の車両には砲塔左側面(8時の方向)に小さなボルトが三つあるのだそうな。車内の砲手用シートのアームを固定するもので、T-30,T-40の砲塔で見られたパターン。
他工場の車両にはこのボルトはなく、シートの取り付け位置も若干違う、とのこと。
このボルトを再現してみました。実車の写真を見ながら砲塔側面に穴を開けてMasterClubのレジン製リベット(0.6mm)を植えて見ました。実車ではリベットではなく尖頭ボルトが正解ですが、持ち合わせがないのでリベットで代用。
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平面図に他工場のシート位置(オレンジ色)と264工場製のシート位置を書き込んで見ました。他工場の砲塔では8角形の隅部にシート取付用のプレート(赤の部分)を溶接してそこにシート基部をボルト止め。砲塔外側にボルトがでない納まりになってます。それに対して264工場では、少し位置をずらして(青色)砲塔側面にダイレクトに固定。
これを再現してみます。キットではシート基部が赤色の部材と一体の整形なので、そこを削り取って位置を少しずらして接着。この位置だと砲塔の外れ止め金具と微妙に干渉しそうな感じで、実際どうなっていたのか?
現存する車両の中にこのボルトが確認できる264工場製の砲塔と思われるものがあるので、どこでもドアがあったらちょっと行ってハッチを開けて中を見たいところ。

このボルトは砲塔に増加装甲を貼ったタイプでは見かけない。増加装甲の下に隠されているという気もしないし、ボルト部分に干渉防止の穴がありそうなものだが。
シートの固定方法を変えたのか、あるいは他工場と同じ位置にシートを固定するように変更したのか。

by hn-nh3 | 2018-01-23 20:04 | T-60軽戦車 | Comments(0)

T-60 (Plant no.264) vol.1

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2018 新春企画。T-60をいっぱい作ろう!

MiniartがT-60軽戦車のバリエーションを怒涛の勢いでリリース。さすがにコンプリートは諦めますが、生産工場や生産時期での仕様の微妙な違いを再現したバリエーションキットなぜか惹かれます。ぱっと見で違いがわからないくらいの違いが考証モデラーの心をくすぐります。

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MiniartのT-60は既に3台も買い込んでいることは昨年の買い物リストでカミングアウト。積みの山を減らすべく2台(第264工場製、第37工場製)の生産を進めます。
第264工場製は、SUMICONのニューキットコンにエントリーしたものの、年末に仕事が立て込んでいたこともあり、仮組み程度。年が明けてようやく始動。

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インテリア再現キットです。インストでは先にトーションバーやミッション、ドライバーズシートなど内装部品を殆ど接着してから車体側板を組むように指示がありましたが、車体に歪みが出るのを避けるため、先に箱組みしてからミッション類を組み込んでいきました。

が、そこに思わぬ落とし穴。ミッションと車体の隙間にブレーキディスクの部品を嵌め込むのに難儀。接着してあった車体側板を無理矢理広げてなんとかセーフ。作業性を考えて車体前面装甲板を接着してなかったので助かりました。してたらアウトでしたね。途中、何度か接着したい誘惑に駆られてたのですが、セータ☆さんの指摘する「リベット問題」もあって、どうしようか思案してたのが功を奏しました。毎度ながらの問題先送り癖も、そんなところで伏線回収。

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工場のストックヤードに積み上げられた車体(上が第37工場、下が第264工場用)
このシーン、やってみたかったんですね。Panzerwrecks本なんかで製作中のパンターやらティーガーⅡのドンガラが積み上げられてる風景。T-60ならお手頃サイズ。
この2つのバリエーションキットは車体にも違いがあります。車体側面の装甲板は中間部で2枚の鋼板を継いでますが、前期のリベット接合と後期の溶接タイプの違いが表現されてます。車体底板は両キット共通の部品が入ってますが、リベットがびっしりと打たれた前期型仕様。264工場の溶接タイプを再現するなら不要なリベットをそぎ落とす必要があるのですが、参考になる底面の写真が少なく、これも判断先送り。

d0360340_06350322.jpgT-60の内部はどんな色で塗装されてたのでしょうか。博物館の車両を見るとT-34などでは車体部が白、底板や底板に固定されている器具類はライトグレーで塗られているのを見かけます。伝統的にそうしたカラーリングなのか、保存修復の際に現用戦車のパターンで塗装されてしまったのかは不明。現存するT-60の内部写真を見ると、同様に底面はライトグレー。写真出典は、"T-60 Werk 37 Walkaround"

底面がライトグレーなのはソ連戦車の一般的なパターンに従ったものと推測しますが、MiniartのT-60のインストを見ると、底面も白で塗りつぶすような指示になってます。同じMiniartでもSU-122ではライトグレーの指示があるので、T-60は底面も白で塗られていたという解釈なのでしょうか。確認したいところですが資料不足。

もっとも、標準的な仕様が判明したところで、仮に第37工場工場では底板はグレーで塗っていたけど、生産の合理化を進めていた第264工場では車内は全部白で塗っていた、という可能性もなくはないので、結論が簡単に出るものではなさそうですが。



by hn-nh3 | 2018-01-14 07:00 | T-60軽戦車 | Comments(2)

T-60 来襲

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大変なことになってきました。我が家にT-60が2台、GAZ?工場製と第37工場製。MiniArtから立て続けに発売。しかも鋼製転輪の264工場製のリリースも発表されて、もう何が何だか。
SU−122の時はバリエーションと言ってもその違いなんて、ほとんど間違い探しのレベルだったから1つだけ買って他はスルーしちゃいましたが、T-60は生産工場と時期によって転輪とか砲塔が違ってたりして、ちょっと気になってしまうんですよねー

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35215(GAZ?)と35224 (No.37)のキットの違いは 、大雑把に言うと転輪が違います。T-40から引き継いだディスクタイプの転輪と鋳造のスポークタイプの転輪。
他は共に初期型の砲塔など仕様はほぼほぼ一緒で、わずかにトランスミッションのアクセスハッチのボルト数の違いがあったりするくらい。

35215は当初、GAZ工場製と謳ってましたが途中でその表記は消えてます。キットで再現されているディテールがGAZ工場製の特徴とは言い切れないのだと想像します。私もロシア側に寝返ってまだ日の浅いモデラーなので細かいことわかりません。セータ☆さんのブログ記事:gizmolog や最近発売されたCanforaのT-60本を眺めながら作ることにします。

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いい出来です。インテリア再現キットとはいえ、車体が小さいので眩暈を覚えるほどのパーツ数ではないです。最近のMiniArt らしくディテールもシャープ。フェンダーのリブもプレス模様がちゃんと裏側にもモールドしてありましたよ。

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ディテールも繊細。別パーツのドライバーズハッチ周りのバルジの装甲板の溶接跡も雰囲気あります。車体との取付部の溶接跡もちゃんと表現してあって、もう伸ばしランナーで追加工作する必要なし。

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砲塔はスライド金型を使って、側面のディテールも丁寧に再現。前面の張り出し上部のベンチレーション用のスリットもそれらしく表現されてます。さすがにスリットは抜けてなかったけど覗き込んでも見える場所ではないので、このくらいで十分か。

この砲塔前面のベンチレーション用スリットはT-40から踏襲された形式ですが、防御力にはやっぱり問題あったのか、ここにつけるのは廃止して砲塔ハッチにベンチレーターをつけた改良型の砲塔が後に登場します。このタイプもいずれキット化されるんでしょうね。

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d0360340_05340484.jpg履帯は組み立て接着式。両サイドに穴の空いたトレッドパターンのモールドはHobbyBossのT-40のものよりも細部のニュアンスがよく再現されてます。
ガイドホーンの軽め穴も当然のように抜いてます。ただ、穴のエッジに少しバリが出るのか、穴の輪郭が安定してないのが少し惜しいところ。

最近のタミヤのキットで、ガイドホーンの穴を再現しないでなんとなくごまかしているのは、こういうリスクを嫌っての判断なのかもしれないですね。

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さてさて、ちょっとここでガチンコ対決。T-40からT-70まで使われているディスク型ホイールのキット比較。MiniArtのT-60のものとHobbyBossのT-40、TamiyaのSU-76Mを並べてみました。
                  
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TamiyaのSU-76Mは転輪の幅が広がったタイプのものなので厳密には同じではないのですが、プレスしたお椀型のディスクを転輪のリム部分のリングに溶接した構造は同じ。HobbyBossのものはリムの表現が少し強調されすぎてる感はあるものの雰囲気は悪くないです。Tamiyaのものは、溶接部のディテールが少し間延びしていてちょっと違和感を覚えます。最近作のバレンタイン戦車もそうだったけど、タミヤさんはどうも転輪の曲面のニュアンスの把握ができてないところがありますね。

              
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MiniArtのT-60。GAZ工場製で使われているディスク型転輪は誘導輪も同じ形ですが、直径はアイドラーホイールのものが一回り小さくなってます。前のバージョンのT-40から踏襲された形式ですが、何か意味があったのでしょうか。後のT-70では同サイズのもので統一されていること考えると、補給が煩雑になっただけだったような気もします。

これが少し悩みの種で、GAZ工場製のT-60。誘導輪が一回り小さい正規パターンのものと、転輪と同じサイズのものを使っているのがあるんですよね。
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GAZ工場製T-60(写真出典は共にCanfora T-60より)


by hn-nh3 | 2017-09-01 06:20 | 模型 | Comments(6)

最近のニュースから

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ちょっと仕事の締め切りに追われてバタバタしているうちに、世の中いろいろと動いてますね。
といっても模型の話題。The Modeling Newsを見ていたら、Canfora PublishingからT-60の資料本が出るとのこと。


MiniArtのT-60の発売を控えてこのタイミング。自分はキリル文字読めないので、頑張れば読める言語でT-60の資料本がでるのは何とも嬉しいニュース。チラ見せの写真のセレクトを見ても、期待度MAX。ああ待ち遠しい。

しかも、シリーズの名前が Red Machines vol.1 とは。これも何だかワクワクします。vol.2とか3は何だろう?
..T-60の工場別バリエーションとかだったら、ちょっと笑う。
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ホビーサーチを見れば、いよいよT-60が掲載。リリースは秋頃かと思っていたら7月中旬には発売されるみたい。それまでに在庫の山を低くしておかないと...


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そこに山が有る限りまた積んでしまうんでしょうけど、MIniArtのソ連戦車兵セットが再リリースされるのも嬉しいニュース。

初期のフィギュア [MA35009]にオマケがついた新パッケージ。このフィギュアは定評あるミニアートのフィギュアのシリーズの中でも屈指の名作。

ボックスアートで損してるけど、箱の中に入ってるのは、こんなナイーブな青年たちではなく、5人の悪い奴ら。とってもいい面構え。プロポーションも秀逸で、これはまた別な機会に取り上げてみたいと思ってます。

ジオラマは作らないから、フィギュアは基本的には必要ないのですが、造形的に面白いのはついつい買ってしまいますね。これもインジェクションの射出圧力が上がったりして、旧キットよりモールドがシャープになってたらもう一度買ってしまうカモ。

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(ボックスアート、作例写真出典 ともにminiart-models.com)


by hn-nh3 | 2017-06-19 19:28 | 日々 | Comments(0)